メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ試乗記・評価 頭の固い人には理解不能か? 古い価値観を打ち破る1.5Lエンジンを搭載!
CORISM / 2021年1月10日 18時50分
フルモデルチェンジに近い大改良が行われた新型Eクラス
![メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2021/01/IMG_0345-300x200.jpg)
しかし、最近はコンパクトなA又はBクラスを街で見かける事が多くなった。そのスタイルは前衛的で、保守的な高級車のイメージからスポーティな高級車に変わりつつある。
ただ、時代の変化によりスタイルは変わってもメルセデス・ベンツが高級車である事に変わりはない。そのメルセデス・ベンツの車種の中で大きさ、ポジションとも中核モデルである新型Eクラスが今回の試乗車である。
メルセデス・ベンツEクラスは、全長5m以下の中大型セダンだ。私の自宅には、17年も前のE320があり以前より興味を持っていた車種である。
今回の新型Eクラスは、マイナーチェンジではあるが、フルモデルチェンジに近いような大幅アップデートを行った。外観デザインは、AMGラインエクステリアが標準装備となり、若いユーザーの心を掴むスポーティなスタイルに変わった。
![メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2021/01/IMG_0408-300x200.jpg)
後部のデザインも変更され、横長になった2分割型リアコンビネーションランプはワイド感が強調され、より流行に沿った変更である。私の個人的の好みとしては流行を追わない以前のテールランプの方がメルセデス・ベンツらしく好きだ。
邪推だが、マイナーチェンジでテールランプが大きく変更されたのは、あまり評判が良くなかったのだろう。好評なら、変更しないことが普通だからだ。遠目から見ると、CクラスやEクラス、Sクラスとすべて似ていて区別がつかなかったこともあり、今回の変更でひと目でEクラスと分かるようになったのは良い点といえそうだ。
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更なる進化を期待したいARナビ
![メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2021/01/IMG_0484-300x200.jpg)
12.3インチの大型ワイドスクリーン2画面が標準採用され、更に対話型インフォテインメントシステム「MBUX」と連携される。「ハイ、メルセデス」と呼びかけると目的地やオーディオだけでなく室温調整などボイスコントロールの出来る範囲が広がった。実際に音声認識を使ってみたが初体験の私の適当な指示でもそれなりにクルマは理解し動作してくれた。
今までこうしたボイスコントロールを装備したモデルでは、無視されたり、関係がないスイッチが入ったりする事が多く、短い試乗では使いこなせなかった。しかし、短い時間で使えたのはチョット嬉しい。オーナーになりコマンドの「癖」が分かれば、AIによる学習機能もあり、かなり使えるようになるだろう。また、タッチスクリーンやジェスチャーコントロールも併用すれば、更に使える場面が多くなるだろう。
ナビゲーションは、日本初採用となるAR(拡張現実)ナビゲーションが採用された。目的地を設定して行先案内を開始すると、ナビゲーションの画面に現実の風景が写り、その画面に矢印で方向が表示される。
これも試してみたが、視線を移動してナビ画面を注視する必要があり、あまり有益だとは感じなかったが、未完部分があるだけ今後の進化が楽しみである。
メルセデス・ベンツの最新の安全支援システムが全てのモデルに標準採用された。車両価格が高価になってしまうが目先の価格ではなく、安全に対する意識の高さがメルセデス・ベンツのブランドの価値の高さであり他メーカーも見習って欲しい。
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振り切ったダウンサイジング化で環境性能を向上した1.5Lターボエンジン
![メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2021/01/IMG_0446-300x200.jpg)
1.5L直4ターボチャージャー付エンジンは、184PSの最大出力と280N・mを絞り出す。E200の名前だと2.0L級のパワーなのだが、最大トルクベースだと2.8L級で、グレード名は少々控え目といえる。
このエンジンンには、更にスターターとジェネレーターを兼ねるモーター、「BSG」と「48V電機システム」が搭載される。回生ブレーキ等で発電した電機をリチウムイオン電池に蓄電。必要に応じてモーターが、最大トルク160N・mの動力補助を行う。
この48Vマイルドハイブリッドシステムを使い、車両重量1,720kgと重いボディを効率の良い電子制御9速ATを介して燃料消費量(WLTCモード)13.1km/Lと良好な値をマークしている。
スタートの発進の一瞬だけ、ターボの過給遅れがありトルクの細さは感じるが、すぐにモーターがアシストするため大柄のボディでも力不足は感じない。
坂道や高速道路の追い越しでも力不足を感じる事はなく、必要充分なエンジンパワーである。燃費は計測出来なかったが、良好な値が期待出来そうである。
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大きいのに小回りは得意!
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また、従来の6気筒エンジンの滑らかな息づかいに比べて4気筒の粗めの鼓動がメルセデス・ベンツに相応しくないと古い世代の私は感じた。しかし、もはやそんな時代でもないし、あるが慣れてしまえば問題無いレベルである。もはや、やっぱりメルセデス・ベンツは6気筒だと、こだわる人は少ないだろう。
街中の走行では、最少回転半径5.4mという数値が光る。全長4.94mと大柄なボディのわりには、メルセデス・ベンツ伝統の優れた小回り性能が生きる。取り回しは楽な方である。
ストロークをたっぷりとった昔のメルセデス・ベンツが懐かしくなる乗り心地とは?
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また、アルミニウム・ボンネットまで使い、軽量化だけでなく前後の重量配分にも拘り、ステアリングの応答がよい。操舵性の軽いステアリングと相まって、峠も気持ち良くコーナーを楽しめるレベルに仕上がっている。
ステアリングの反応の良さはBMWの様にスポーティであり、車名の「スポーツ」に偽りのないハンドリングだった。一方で、ストロークをたっぷり取ったサスペンションにフロントの重さを安定感と感じさせるメルセデス・ベンツの古き良き味わいが減ったのは少々淋しく感じる。
大排気量絶対主義者には勇気がいるクルマ?
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1.5Lというエンジンは、小排気量であるが、試乗していて性能不足を感じる事はなかった。E200スポーツを試乗して私自身もそろそろ大排気量に対する憧れを捨てなければいけない時期に来ていると感じさせられたくらいよくできている。
ただ、大排気量絶対主義のような人にとって、1.5Lエンジンで総額800万円に迫る車両価格を払うには勇気がいる。E200スポーツは、従来の価値観に縛られている人は、きっと選ばないグレードだ。
逆に、思い切ったダウンサイジングが理解出来る人には、E200スポーツは良く出来たクルマだ。安全に対する死角もなく、中身の濃いクルマでありメルセデス・ベンツの先進性も感じられるので、多くの人にお勧めしたいモデルだ。
<レポート:丸山和敏>
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メルセデス・ベンツEクラス価格
■Eクラスセダン
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・E 200 4MATIC スポーツ 7,940,000円
・E 220 d スポーツ 7,930,000円
・E 300 スポーツ 9,100,000円
・E 350 e スポーツ 8,950,000円
・E 350 de スポーツ 9,180,000円
・E 450 4MATIC エクスクルーシブ 11,440,000円
・メルセデス AMG E 53 4MATIC 12,590,000円
・メルセデス AMG E 63 S 4MATIC+ 18,670,000円
■Eクラス ステーションワゴン
![メルセデス・ベンツEクラス E200スポーツ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2021/01/IMG_0490-210x96.jpg)
・E 200 4MATICステーションワゴン スポーツ 8,370,000円
・E 220 dステーションワゴン スポーツ 8,310,000円
・E 300ステーションワゴン スポーツ 9,530,000円
・E 450 4MATIC ステーションワゴン エクスクルーシブ 12,030,000円
・メルセデス AMG E 53 4MATIC+ステーションワゴン 12,880,000円
・メルセデス AMG E 63 S 4MATIC+ステーションワゴン 19,120,000円
■オールテレイン
・E 220 d 4MATIC オールテレイン 9,380,000円
メルセデス・ベンツEクラス燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード:メルセデス・ベンツE200スポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4940×1850×1455mm
ホイールベース:2940mm
最小回転半径:5.4m
車重:1720kg
エンジン型式:M264 1.5L直4 DOHC 16バルブ ターボ
エンジン最高出力:184PS(135kW)/5800-6100rpm
エンジン最大トルク:280N・m(28.6kgf・m)/3000-4000rpm
モーター最高出力:10kW
モーター最大トルク:38N・m(3.9 kgf・m)
トランスミッション:9速AT
燃費:13.1km/L(WLTCモード)
トランクスペース(VDA方式):540L
燃料タンク容量:66L
タイヤサイズ:F 245/40R19 R 275/35R19
価格:7,690,000円
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