アウディQ5試乗記・評価 安心・安定・快適! 3拍子揃ったSUV!
CORISM / 2021年4月20日 12時15分
アウディのSUV、Qシリーズを解説
まず、AUDI Q5 40 TDI quattro S-Lineの試乗前に、AUDI Qシリーズを整理してみた。
・「Q」:AUDI独自の4WDシステム(quattro)の名称を冠したSUVモデル。
(その他のシリーズには「A」「S」「RS」「Q」「SQ」がある)
・「5」:AUDIのラインナップでミドルクラスの呼称
(車体の大きさで「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」に分けられる)
・「TDI」:Turbocharged Direct Injectionを採用した直噴ターボディーゼルエンジンで、1989年に量産の乗用車用として初めて搭載されたアウディの誇るクリーンディーゼルエンジン。
・「quattro」:アウディが独自に開発した乗用車用フルタイム4WDシステムの呼称。
・「S Line」:スポーティさをさらに高めるパッケージングのオプション装備で、専用デザインのフロント/リアバンパーや5スポークデザインの18インチアルミホイール、インテリアには専用スポーツシートとアルミパネル、スポーツステアリングなどが加わる。
余裕ある空間と落ち着いたデザインをもつアウディQ5
AUDI Q5 40 TDI quattro S-Lineの外観は、全体に丸みを帯びているためかボディーの大きさはそれ程感じない。フロント周りも曲線が多用され、キラキラ感も無く、落ち着いた雰囲気で威圧感もない。ウィンドウモールなども鈍い光を放つマッド系アルミ調が落ち着いていて好印象である。
AUDI Q5 の室内は窮屈さを感じない空間で、頭上に余裕もある。ドライバー前のメーターパネルにある12.3インチ高精度液晶モニターには、スピードメーターだけでなくオーディオや電話の操作画面、ナビゲーション画面が表示され、ステアリングのスイッチで見易く切り替えることができる。
センターコンソール中央の10.1インチMMIディスプレイは、USBケーブルを介してスマートフォンと繋がり、使い慣れたスマートフォンのコンテンツアプリがそのまま表示されて迷うことなく操作が可能になっている。
リアの足元も前席に足が当たる事はなく十分だが、前方の視界がもう少し広く取れれば後席での安心感も向上すると感じた。また、乗降性においてクルマから降りる際にふくらはぎがサイドステップに接触しなかった点が良かった。これなら、雨の日などにサイドステップでズボンなどが濡れたり、汚れたりする事が少なくなるのは嬉しい。
シート自体は表面に硬質感があり、沈まずしっかりしている印象だがサポート性はイマイチ弱く感じる、しかし、普段使いを考えると乗降性が良いので全く問題無いものである。
AUDI Q5 操作系は初めてでも分かり易く、センターコンソールやシフト周りがシンプルで非常に扱い易いと感じた。フル液晶メーターも出しゃばらずに必要な情報が分かり易い。唯一センターディスプレイの操作がタッチと文字入力、自然な会話に対応する音声操作も追加されているが、センターコンソールのロータリー/プッシュコントロールの廃止は残念で、走行中の音声以外の細かな操作は難しくなっている。
慣れれば気にならない? ディーゼルの発進・加速性
AUDI Q5 40 TDI quattroの発進時アクセルレスポンスは、ディーゼルターボらしく? アクセル操作に対して、少し遅れてエンジン回転が上昇。エンジン回転の上昇と共に、トルクが発生し加速する。
車重が1,910 kgと重いこともあり、ターボの過給ができていない発進時のレスポンスは少々微妙な感覚になる。走り出してしまえば、それほど気にならない。クルマの動きに敏感なドライバーがストップ&ゴーが多い市街地で乗り続けると、すこしストレスになるかもしれない。ただ、これもオーナーになり、慣れてしまえば気にならないレベルともいえる。
加速時には、ディーゼル特有のエンジン音も聞こえる。だが、高周波のカラカラしたものでは無く、音量も小さいのでそれ程気にならず、ステアリングやフロア足元に振動は感じられない。しっかりと制振や遮音・吸音対策ができており室内は快適だ。
通常走行域(40km/h~80km/h程度)の一定速や加速時のレスポンスは良く、エンジン音も小さく気にならない。加速時にアクセルを多めに踏み込むと、エンジン回転が少し遅れるのでガソリン車の様なダイレクトさが無く少々戸惑う。
変速時のショックはほとんどなくてシフトアップ、シフトダウン共にスムーズで快適な走行が出来た。
安定・安心のquattro! 優れた直進安定性
AUDI Q5 40 TDI quattroの直進性は、路面の凹凸や突起などの外乱を受け難くふらつきも無く自己直進性が良い。ハンドルの手応えもセンターの締まり感があり安心感がある。
車線移動的な操舵を行うと、切り始めに突っ張った様な動かない部分が少しあり、反応の遅れを少し感じる。車が動きだすと同時に小さいロールを伴ってスーとやや速めに動きが始まり、その後に動きが加速する様な動きを感じる。
クルマが予想より動いてしまう傾向にあり、少し舵を戻す操作が必要な場面もある。しかし、操舵後の切り返しはロールも含めて自然でふらつきなどは無く収まり良く安定している。
タイヤサイズが原因でバランス悪化? 20インチはカッコはよいがデカすぎる?
今回のAUDI Q5 40 TDI quattroへ装着されていたタイヤサイズは、255/45R20とワイドで扁平率も低く、サスペンションとのバランスが崩れている様な印象を受けた。応答の遅れやロール感などのクルマの動きに影響が出ているように思われる。
確かに255/45R20もクルマに指定されているタイヤサイズではあるが、他に17インチから19インチまで指定サイズはある。指定タイヤの内の235/55R19サイズ辺りが車とのバランスも取れてもう少し応答性やロールなども自然な動きになるのではないかと推測する。
AUDI Q5 40 TDI quattroの乗心地&騒音は、小凹凸でのタイヤ表面の硬さは感じるが、中~大凹凸や段差などでのショックに強さ、身体の揺すられ感なども無くショック音も小さく良い。
全般的にパターンノイズは小さく聞こえにくいし、ロードノイズも路面変化で音質の変化はあるが、音量は後席などとの話を阻害しない程度で許容範囲にある。耳への圧迫感や不快感も無く、快適性は損なわれていない。前席に比べて後席の方がショック感は小さく、ショック吸収性良く、ショック音などの騒音も小さめで圧迫感なども無く快適性は十分満足できるものだった。
まだまだ伸びしろがある走行性能
AUDI Q5 40 TDI quattroは、ワインディング走行でも実用十分な運動性能を持っている。速めの操舵でコーナーに進入すると、クルマがスッと速めのロールを伴って、そのままコーナリング姿勢になる。その後タイヤに踏ん張る強さが加わり、コーナリング中の切り足しなどの操作に対しても追従性が良く、ロール感を除けば安定している。
また、ゆっくりとした操舵でコーナーに進入すると、応答初期のタイヤの突っ張り感による動きの遅れと、その後の車の動きに食い込むようなロールを伴った加速感がある。
そのため、コーナリング時のスムーズさが不足してややギクシャクした動きになりやすく、コーナリング中にハンドルを動かして、何気に小さく修正する頻度が多くなってしまう傾向がみられる。
ブレーキングは減速感があり、ふらつきも感じられず全く問題は無いが、踏み応えが少し弱く感じるので、もう少し剛性感を高めた安心感が欲しいところだ。
タイヤ自体のグリップはしっかりとしており、動きが破綻する様な挙動や動作は無い。しかし、速い切り返しやアクセルのON/OFFで、クルマが揺すられるようなロールの揺り戻しなどが感じられるのは残念。
全般的に腰高さを感じさせる操舵時の動きと、発進加速時のアクセル踏量とエンジン回転のアンバランスさがもう少し薄まれば、直進安定性は抜群なので、より気持ちよく走れるモデルになりそうだ。そういう意味では、伸びしろはたっぷりある。
優れた予防安全性能・運転支援をもつアウディQ5
AUDIでは、誰もが安心して快適にドライブを愉しめる社会を目指して、さまざまな危険から乗員を守り抜くためのセーフティや運転を快適にサポートするアシスタンスなど、新たな技術開発に取り組んでいる。下記のような予防安全、運転支援機能をもち、ドライバーをサポート。安心して乗れるクルマに仕上がっている。
<運転支援>
・アダプティブクルーズコントロール:先行車との車間距離をキープして、減速やブレーキ操作を自動で行い、渋滞などでドライバーの疲労軽減となる。
・ターンアシスト:レーダーセンサー情報で、右折時対向車や後続車に衝突する恐れがある場合、警告または衝突被害軽減ブレーキを作動させる。
・アクティブレーンアシスト:高速道路走行中に走行レーンを逸脱しそうになると、ハンドルの振動させて車を戻す方向にアシストする。
・アウディサイドアシスト:レーダーセンサーが、ドライバーの後方死角を並走する車両を検出すると、該当する側のLEDを点灯させて注意を促す。
・サラウンドビューカメラ:車に装着されている4つのカメラ映像を合成して、車両周辺にある障害物(歩行者含む)上空からの映像をモニターに映して発見をサポートする。
・パークアシスト:駐車スペースを指定すれば、ドライバーはアクセルとブレーキ操作だけで指定の位置に移動することができる。
・アウディホールドアシスト:信号などブレーキを踏んで停止すると、その状態で断続的に停止したままで車を維持する。上り坂や下り坂で有効。
<衝突安全性能>
・アウディプレセンスベーシック:システムが事故を察知すると、前席のシートベルトを巻き上げたり(リバーシブルベルトテンショナー)、ハザードランプを点灯させる。大きな横滑りを検知すると、サイドウィンドーやスライディングルーフを閉じて車外放出、飛散物の侵入を防止する。
・アウディプレセンスリア:リアバンパーのレーダーセンサーが後方からの事故を察知すると、前席のシートベルトを巻き上げたり(リバーシブルベルトテンショナー)、ハザードランプを点灯させる。また、サイドウィンドーやスライディングルーフを閉じて車外放出、飛散物の侵入を防止する。
・エグジットワーニング:ドアを開けようとした際に、後方から車や自転車が近づくと、ミラー内蔵のLEDランプやドアのイルミネーションが点灯して注意を促す。一部のモデルではドアがロックされる。
<予防安全性能>
・アウディプレセンスシティ:システムが車載カメラの情報で、先行車や歩行者に衝突の恐れがあると、衝突被害軽減ブレーキを作動する。40km/h未満ではフルブレーキが働く。
・リヤクロストラフィックアシスト:駐車スペースからバックで退出する際に、車両後方の往来をレーダーが感知し、近づく車があるとMMIディスプレイに表示すると共に、危険と判断した場合は、光と音、ブレーキペダルの振動で警告する。
AUDI Q5 40 TDI quattro S-Line装着タイヤ
Front:MICHELIN Latitude Sport 3(AO)
255/45R20 101W (Made in France)
指定空気圧:230kPa(3名乗車)、230kPa(5名乗車)
Rear:MICHELIN Latitude Sport 3(AO)
255/45R20 101W (Made in France)
指定空気圧:230kPa(3名乗車)、250kPa(5名乗車)
AUDI Q5 40 TDI quattro S Line価格
・7,390,000円
AUDI Q5 40 TDI quattro S Lineボディサイズなどスペック
・全長x全幅x全高(mm) 4,685×1,900×1,665
・ホイールベース(mm) 2,825
・トランク・ルーム容量(L) 550/1,550
・定員(名) 5
・車両重量(㎏) 1,910
・最小回転半径(m) 5.5
・エンジン型式 DTP
・種類 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャーディーゼル
・総排気量(cc) 1,968
・最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 150〔204〕/3,800-4,200
・最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC)) 400〔40.8〕/1,750-3,250
・燃料消費率WLTCモード(km/L) 14.5
・トランスミッション 7速Sトロニックトランスミッション
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