BMW M8グラン クーペ COMPETITION 試乗記・評価 胸アツ確実! 非日常の世界に陶酔
CORISM / 2021年6月4日 20時29分
ワクワクが止まらない、BMWのMシリーズ
BMWの試乗は毎回楽しみにしている。特にMモデルは、ワクワクが止まらなくなるのだ。
それは、私が最初にMモデルを運転した時まで遡る。初めてドライバートレーニング(当時、現在はBMWドライビング・エクスペリエンス)に参加した時のことだ。
型式名がE36と呼ばれたM3に乗り、ガンガン運転しても音を上げないタフなクルマであったことが第一印象。何度もトレーニングを受けるうちに“M”の虜になり1999年にM5(E39)を購入。その後、M3CSL(E46)、5リッターV10のM6(E63)を乗り継ぎ、現在はM5(F90)、そしてM2が手元にある。
そんな“Mモデル”のファン”である私にM8の試乗の話しがあり、最優先でスケジュール調整をして箱根に向かった。
実はM8の試乗は初めてではなく、友人のM8カブリオレで峠道を中心に運転した事があった。その時の印象は豪華、快適、速く、大柄なボディだが狭い峠道でも運転が楽しかった。
とにかくデカい!
試乗車の正式名称は、M8 Gran Coupe Competition(以後グラン・クーペ)と長い。M8にはクーペ、カブリオレ、グラン・クーペの3種類のボディがある。そのM8の中でもボディサイズが一番大きいのがこのグラン・クーペであり唯一の4ドアモデルである。
カブリオレでも大きいと思ったが、後席に充分なスペースを確保しドアを追加したグラン・クーペは更に一回り大きい。実際に全長は5メートルを大きく超えた5.105m、全幅1.945m、ホイールベースはクーペモデルより約20cm長くなり3メートルを超える。
7シリーズの標準ボディと比較すると若干幅が広く、車高が低い。その数値以上に実車は幅広く低く見え、BMWの最高級モデルにふさわしい。押し出しが強く、そしてカッコイイ。
試乗車にはオプションのカーボンパッケージが採用されておりリヤスポイラーやフロントなどのカーボン部品が追加され、スポーティ度が増している。さらに、車体の色がグレーであり、大きなボディと相まって、存在感が半端なく強い。
スポーツモデルなのだが、非日常的で優雅な室内空間
一方、迫力のあるエクステリアに対して、インテリアはモダンで豪華である。一昔前の質実剛健・機能性重視のドイツ車的なインテリアから、最近はオシャレ度が増しているBMW。その中でも、8シリーズのデザインは他のモデルとは一線を画す華麗なインテリアが魅力だ。
その8シリーズよりも、M8はさらにレーシングカー的要素を強く意識したデザインを採用。BMWの最上級モデルとして魅力あるインテリアになっている。
前席は、他のMモデル同様にM8のロゴ入りのスポーツシートが採用され、サーキットを含めハードな走りにも不満はでないだろう。同じスポーツモデルであるM4のシートとは違いがある。M8は、優しく大きく身体全体をしっかり包み込み、快適でありながら言いようのない安心感と高級感がある。デザイン、機能、素材も最高のシートだ。
前席だけでなく、後席のデザインもスポーツマインドを取り入れてクールだ。そして、グラン・クーペはドアが増えただけでなく、後席のスペースもしっかり用意されている。
後席に座ってみると、クーペスタイルでも足下が広く充分以上のスペースを確保。また、着座位置が高めに設定されていて、前方の視界は良く閉鎖感は和らいでいる。
身長177cm、短足・胴長の私でも、普通に座れるが、ルーフが低いので頭上の空間のゆとりが少ないのは仕方ないだろう。
メーターは、他の最新のBMWモデルと同様にメーターはマルチ・ディスプレイを採用。左側は速度計、右側に配置されたエンジン回転計は、回転の上昇と共に反時計回りに針が上がる。メーターは“右回転”が刻み込まれた私は、感覚的に瞬時に回転数を読み取れない。
しかし、トランスミッションはATであり、回転数を睨みながらシフトチェンジする必要性もない。私の様に古い人間から批判が出たのか、スポーツモードを選択すれば、ギアポジションと速度表示を中心に左右にエンジン回転計が挟み込んだ表示に変わる。
路面追従性に優れたサスペンション
スタートスイッチを押すと勇ましい排気音が室内に響き渡る。275/35ZR20(前)、285/35/ZR20(後)の大きなタイヤが装着されており、乗り心地の悪さを想像していたが想像を簡単に裏切られた。
引き締まったサスペンションがタイヤの動きをダイレクトに伝えてはくるが、路面の追従性が良くガマンを強いられる程の固さではない。2トンもある車重が良い意味での重厚感ある乗り心地を作り出している。
サスペンションのモードを快適性重視のコンフォートにしても車体剛性が高く、正確なステアリングは狙ったラインをトレースするのは容易で運転を楽しめる。
スポーツモードにすれば、サスペンションは更に引き締まり、ロールも少なくなりクルマとの一体感が増す。低回転から4.4Lのエンジンは溢れるトルクがあり、エンジンの回転を少し回すだけで周囲より速いペースで、M8グラン・クーペは疾走する。
その時の室内の静粛性は高く、オプションのBowers & Wilkinsダイヤモンドサラウンドサウンドシステム(60万9000円)から流れる音楽を楽しめる。
2トンもの重さをものともしないV8 4.4Lツインターボエンジン
アクセルペダルを奥まで踏み込むと、M8グラン・クーペは獰猛なクルマに豹変する。エンジンが唸りを上げた瞬間、強烈に頭がヘッドレストに押し付けられ、身体はシートに張り付く。2トンの車重が何処かに飛び去ったようである。
試乗車のグレードは、Competitionだったので、標準車よりパワーアップされたV8 4.4Lツインターボエンジンは、最高出力625PS/6000rpm、最大トルク750N・m/1800-5860rpmというハイパワーを4輪のタイヤに無駄なく路面に伝えるので挙動は安定している。だが、身体に襲いかかる加速度は半端ではない。
試乗車のブレーキは、オプションのMカーボンセラミックブレーキ(120万5000円)が装備されていた。「飛ばし屋」と自認されている方には、発進から3.2秒で時速100km/hに達する2トンの巨大なエネルギーの塊を止めるには高価であるが必要なオプション。また、初期モデルよりブレーキのフィーリングが改善され、より積極的に選択したい装備だ。
優雅で高性能! 誰もが憧れる至高のモデル
高速道路に入ったら、AAC(アクティブ・クルーズ・コントロール)とレーン・コントロール・アシストのスイッチを入れる事をお勧めする。
勿論、運転支援機能であって自動運転ではないので、注意は必要であるが確実に運転の負担は軽減する。他社にも標準化されつつある装備であるが、M8グラン・クーペのドライビング・アシストは完成度が高い。
更に高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシストにより、疲労度は減り安全度は高まる。ヘッドライトも最新の装備でオートライトに設定すれば、夜間はLEDの白い光が周囲の状況を判断しながら配光を変化させ、最長500mまで到達するレーザーライトも装備されていて夜間の安全性も高い。
M8グラン・クーペは、BMWの最高級パーソナルカーに相応しい豪華なインテリアと、スポーティでクールなエクステリアをもつ。Mモデルとして高性能も持ちながら乗員を快適に目的地に安全に運んでくれる。全ての性能を高いレベルで兼ね備えている贅沢なクルマだ。お財布さえ許せば、誰もが欲しいクルマであるが、そのハードルはとても高い。
BMW M8価格
・M8 グラン クーペ 22,310,000円
・M8 グラン クーペ Competition 24,370,000円
BMW M8燃費、ボディサイズなどスペック
全長x全幅x全高(mm) 5,105×1,945×1,420
ホイールベース(mm) 3,025
トランク・ルーム容量(L) 440
定員(名) 5
エンジン型式 S63B44B
種類 V型8気筒DOHCガソリン
総排気量(cc) 4,394
最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 460〔625〕/6,000
最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC)) 750〔76.5〕/1,800-5,860
燃料消費率WLTCモード(国土交通省審査値)(km/L) 8.8
駆動方式 4輪駆動
トランスミッション 電子油圧制御式8速AT
タイヤ (フロント)275/35ZR20 (リヤ)285/35ZR20
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