2020年7月、新車販売台数ランキング 軽自動車、前年並みに! 登録車、コロナ禍でも強いトヨタ
CORISM / 2020年8月12日 11時11分
軽自動車比率40%越え目前か? 軽自動車マーケット早くも復活か?
自販連が発表した7月の新車登録台数は239,355台で、前年の300,799台に対して20.4%の減少となった。
登録車の販売台数は、大需要期の3月に前年比10.2%減と冴えなかった後、4月は25.5%減、5月には40.2%減と大幅なマイナスが続き、6月からは26.0%減、7月は20.6%減とやや持ち直し傾向を示している。
とはいえ、前年比が20%を超えるマイナスというのは大きな減少幅であり、新型コロナウィルス禍からの脱却がどうなるか、まだ見えてきていない状態といっていい。
一方、全軽自協が発表した7月の軽自動車の新車販売台数の速報値は、156,991台で前年同月の158,657台に対して1.1%の減少にとどまった。
ほぼ前年並の数値だ。メーカー別に見ると、スズキとマツダが10%を超える伸びを示し、ダイハツが微増となったほかは、各社ともマイナスしているのだが、あまり大きなマイナスではないことから、全体としてはほとんど横ばいといえる数字になった。
軽自動車の前年同月比は、3月が7.6%減、4月が34.5%減、5月には52.7%減となり、6月には17.3%減となっていた。4~5月は登録車よりも大きくマイナスしていたが、6月からはややマイナス幅が小さくなっていて、実需を反映した形である。
新型車効果がようやく出てきたことや、経済が低迷していることを受け、安価で税制面での負担が減らせる、コロナ禍で人との接触をなるべく避けるためのクルマ通勤用などの需要も多くなってきたとも予想できる。普通車が低迷したまま、軽自動車は昨年並みとなると、さらに軽自動車が比率が上がりそうだ。
不況下でも売れている! 高級SUVのハリアー、一気に8位へ
7月の銘柄別新車販売ランキングは別掲の通りだが、7月もトヨタの強さばかりが目立つ月になった。特に驚かれるのがハリアーの売れ行き。フルモデルチェンジを受けた新型車とはいえ、9388台も販売して総合ランキングのトップ10入りを果たしている。前月の23位から8位への赤丸急上昇である。
ライズのようなコンパクトSUVではなく、価格的にはその2倍以上もするハリアーがたくさん売れているのは驚きだ。ハリアーのあおりを食らった形になったのか、RAV4はフルモデルチェンジから1年を経過したこともあり、前年比が57.4%(43.6%減)の4963台にとどまり、ランキングも25位に下降している。
逆にいえば、RAV4もフルモデルチェンジ直後にトップ10入りするような売れ行きにはならなかったのだから、それだけハリアーが良く売れているということだ。
N-BOX、ナンバー1の座に揺るぎなし! スペーシア、2ヶ月連続軽自動車2位を確保
販売ランキングの首位は7月もN-BOX。完全に定位置になった形でなかなか牙城は揺るがない。ただ、7月に限っていえば、フィットが7位から9位へ、フリードが15位から23位に落ちるなど、ほかの車種の売れ行きが伸び悩んでいる感じもあるので、ホンダとしてはほかの車種もバランス良く売りたいところである。
トップ10に占める軽自動車は4車種で、5車種で6月に比べて1車種増えた。スペーシアが3位、タントが4位、ムーヴ系が7位、ハスラーが10位に入っている。6月はルークスがトップ10に入っていたが7月は12位に下がり、代わってムーヴ系とハスラーがトップ10入りして5車種になった。スペーシアは2カ月続けて軽自動車2位で総合3位を確保している。完全に軽自動車3強のひとつになってきた感じだ。
ダイハツは5月、6月とやや不調のきらいがあったが、7月はタントとムーヴ系がトップ10に復帰してやや元気が出てきた。ほかにミラが16位、新型車のタフトも17位に入っている。
登録車ベスト10内、トヨタ車に対抗できるライバル不在
登録車では、ヤリスが最も良く売れてN-BOXに次ぐ2位に入った。4月以降の登録車の首位はヤリス、ヤリス、ライズ、ヤリスといずれにしてもトヨタ車が占めている。
4月こそ2位ヤリスに続いて3位にフィットが入っていたが、5月は2位ヤリス、3位ライズに次いで4位にフィット、6月は2位ライズ以下、スペーシア、ヤリス、ルークス、カローラと次いでその後の7位にフィットだから、トヨタ車に対抗できる登録車はほとんどない状態だ。
それがさらに明確になったのが7月で、総合ランキングから登録車だけを拾うと、2位ヤリス、5位ライズ、6位カローラ、8位ハリアーときて、その後の9位にフィットである。トヨタ以外のメーカーも国内市場でしっかり頑張らなければダメだ。
■2020年7月の新車販売ランキング 1~10位
1)N-BOX 16,222台( 67.5%)
2)ヤリス 14,004台(2019-02)
3)スペーシア 13,338台(105.1%)
4)タント 13,108台( 90.3%)
5)ライズ 12,823台(2019-11)
6)カローラ 10,994台(124.2%)
7)ムーヴ系 10,073台( 97.4%)
8)ハリアー 9,388台(273.3%)
9)フィット 9,213台(106.3%)
10)ハスラー 8,831台(217.2%)
軽自動車が躍進した11位から20位
11位から20位までの車種を見ると、軽自動車が6車種で登録車が4車種と軽自動車がやや盛り返しているような印象がある。軽自動車全体の販売台数が前年並であったことが関係しているのかも知れない。12位にルークス、16位にミラ、17位に新型車のタフト、18位にN-WGN、19位にワゴンR、20位にデイズが入っている。
ルークスはトップ10から陥落したが、8月以降は盛り返してゆきたいところ。デイズと分けてカウントするようになったとはいえ、N-BOXやスペーシア、タントと互角の争いを続けたい。
ミラは安定した売れ行きを続けており、概ねこのあたりの順位を確保している。新型車のタフトはまずまずの好調さを示しているが、ハスラーの対抗車ということなら、もう少し売って台数で競りかけたいところ。
N-WGNの前年比は2336%という数字になったが、前年はフルモデルチェンジ直前ということもあり、ほとんど売っていなかったこともありこの数値となっている。
ワゴンRは以前のような大ヒットモデルだった時代には戻れないものの、それなり安定した売れ行きだ。デイズはルークスを分離した形になったため、台数も前年比も大きく落ち込んでいる。
トヨタ、全チャネル全車種扱いの結果、人気車一極集中?
このランクの登録車では11位のアルファードが目立つ。トヨタは、販売チャンネルが廃止され、全ディーラーで全車種を扱うようになったので、ヴェルファイアよりも押し出しの利いたデザインのアルファードに需要が集まって台数を伸ばしている。以前はアルファードよりも良く売れていたヴェルファイアは1289台で登録車の38位にまで下落し、総合40位までのランキングから陥落している。
13位と14位にセレナとノートの日産車が入った。セレナは6月の16位から上昇。セレナは、5ナンバーミニバンの中でナンバー1の販売台数になっている。ヴォクシー、ノア、エスクァイアの3姉妹合計販売台数には、まったく歯が立たない状態とはいえ、 ヴォクシーの前年比が66.1%なのに対して、セレナの前年比87.4%であることを考えると、かなり頑張った結果と言える。
ノートは、6月の13位から下落。モデル末期なので、仕方のないところ。新型ノートの早急な投入に期待したいところだ。
15位のルーミーは、コンパクトカー需要の中で安定した売れ行き。姉妹車で31位のタンクと合わせると1万台を超えてトップ10に入るような売れ行きだから、実際には見た目以上に良く売れているクルマである。
■2020年7月の新車販売ランキング 11~20位
11)アルファード 8,448台(135.6%)
12)ルークス 7,958台(2020-03)
13)セレナ 7,686台( 87.4%)
14)ノート 6,730台( 60.9%)
15)ルーミー 6,528台( 68.9%)
16)ミラ 6,403台( 83.7%)
17)タフト 6,300台(2020-06)
18)N-WGN 6,169台( 2336.7 %)
19)ワゴンR 6,135台( 92.0%)
20)デイズ 5,544台( 37.5%)
手が付けられないトヨタの強さ
21位から30位までの車種では、トヨタ車が6車種も入っているのが注目される。トップ10に入るような良く売れる車種ばかりでなく、確実に台数を確保するような車種もしっかりラインナップしているのがトヨタの強さである。
21位のシエンタは、登録車で首位に立ったこともある車種。今では発売から時間が経過するのと同時に新型車効果が薄れ、販売台数は前年を大きく割り込んでいる。それでもこの位置だ。
22位のヴォクシーは、さらにモデルサイクルが長期化しているが、それでもこの位置にあり、しかも27位のノアやランク外で登録車29位のエスクァイアを加えると合計では1万台を超え、これもトップ10に入る車種になる。販売チャンネルの再編に合わせて、今後トヨタが姉妹車を集約化していけば、トップ10の大半をトヨタ車が占めることになりそうな勢いだ。
23位はホンダのフリードで、23位のステップワゴンと合わせてこの位置にある。シエンタやヴォクシー3姉妹との競争を考えると、もう少し台数を稼ぎたいところである。
25位のRAV4も発売から1年以上が経過して需要が一巡したところなので、この台数と位置も止むを得ないところ。新型ハリアーの登場も影響している。
26位のプリウスは、かつては販売ランキングの首位に君臨したクルマだが、現行モデルではこの位置にまで下がっている。TNGAの導入モデルという触れ込みだった割には、販売が伸び悩んでいる印象だ。また、30位のアクアもモデル末期だ。
21位から30位までの間の軽自動車は24位のアルトと29位のジムニーの2車種。ジムニーは前年に比べて50%以上も伸ばしており、生産・納車が順調に回るようになっているようだ。ちなみに、ランク外になるが、登録車のジムニーシエラは、登録車で28位の2099台を販売している。かなり趣味性の高いモデルで、しかもコロナ禍の中で、この販売台数は多くのファンに支えられているモデルであるかがうかがえる。
■2020年7月の新車販売ランキング 21~30位
21)シエンタ 5,344台( 49.8%)
22)ヴォクシー 5,316台( 66.1%)
23)フリード 5,302台( 69.7%)
24)アルト 5,143台( 94.5%)
25)RAV4 4,963台( 57.4%)
26)プリウス 4,654台( 35.4%)
27)ノア 4,063台( 82.2%)
28)ステップワゴン 3,884台( 82.4%)
29)ジムニー 3,740台(158.0%)
30)アクア 3,642台( 37.9%)
スズキ好調。厳しい状況が続くマツダ、三菱、スバル
31位から40位までの車種では、32位のソリオだけが前年を上回る販売台数を記録した。7月はスズキ車が全体に好調な売れ行きを示している。逆に総合40位までに1車種も入ってこなかったのがマツダ車だ。
実は、登録車だけで見ると27位(総合41位)に2125台を販売したマツダ2が入り、総合32位には1684台を販売したCX-30が入り、総合34位には1581台を販売したCX-5が入り、総合36位には1500台を販売したマツダ3が入っているのだが、それでも総合40位までに1車種も入らないというのは厳しい。
三菱も軽自動車のeKワゴン系が総合38位でやっと引っ掛かったような状態だが、これまた何とも物足りない印象である。スバルは総合33位にインプレッサが入り、37位にはフォレスターが入っているのだから、マツダや三菱のクルマも40位までに入るような売れ行きを示してほしい。
■2020年7月の新車販売ランキング 30位以下
31)タンク 3,601台( 47.9%)
32)ソリオ 3,430台(111.6%)
33)インプレッサ 3,050台( 71.0%)
34)パッソ 2,944台( 71.7%)
35)スイフト 2,649台( 86.1%)
36)ロッキー 2,595台(2019-11)
37)フォレスター 2,591台( 87.7%)
38) eKワゴン系 2,330台( 76.3%)
39)キャスト 2,222台( 67.2%)
40)C-HR 2,160台( 51.3%)
<レポート:松下 宏>
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