日産ノート オーラ ニスモ(NISMO)試乗記・評価 Bセグコンパクト最強か?
CORISM / 2021年9月2日 12時12分
NISMOのノウハウを惜しみなく投入
日産ノートe-POWERに、ひとクラス上のCセグメント並みの質感と走りを盛り込んだのが「ノートオーラ」だ。
初夏にテストコースでステアリングを握ったが、予想を超えるほどの出来栄えだった。この試乗のとき開発陣に「もう少しスポーティな仕様を」と提案したのだが、すでにスポーティモデルは完成していたようである。
それが、モータースポーツ活動でのノウハウを駆使して開発されたノートオーラ「NISMO」だ。
空力を重視したエアロパーツ
エクステリアは、NISMOの文法にのっとって赤を挿し色にした精悍なエアロパーツをまとっている。
空力バランスを重視したデザインを採用し、赤を差し色としたスポイラーなどの採用により全長は80㎜延びた。レーシングカーのようにカナードも備えた前後のエアロバンパーのほか、サイドにはロアーガーニッシュを、ルーフエンドにはスポイラーを装着する。
赤に塗られたドアミラーや、リアエンド中央に装備した丸型LEDのリアフォグランプとNISMOのロゴマークも目を引く。
専用サスペンションで20mmローダウン
ノートオーラNISMOのサスペンション形式は、ノートオーラと同じストラット/トーションビーム式。ノートオーラNISMOでは、ショックアブソーバーとスプリングを変えている。
まず、ショックアブソーバーの減衰力をNISMO専用チューニングとし、フロントは外筒の板厚をアップした。リアはモノチューブ化し、バンプラバーも変えている。
スプリングはバネ定数を変え、フロントはノーマル比36%アップ、リアは25%アップだ。これらの変更により全高は20㎜のローダウンを実現した。
アルミホイールは専用品で、17インチのままだが、6.5Jから7Jへとワイド化されている。タイヤもグリップ性能の高いミシュランのパイロットスポーツ4を履く。
やや派手さを抑えた大人っぽいインテリア
インテリアも、カーボン調パターンのフィニッシャーなどを効果的に散りばめたスポーティな仕立てとなっている。意識的に赤の色味を抑えているため、他のNISMOより大人っぽい印象だ。
ただし、鮮やかなインテリアパッケージも用意した。ドライバーの前に据えられた12.3インチのフルTFTメーターはNISMO専用品で、グラフィックも異なる。
ノートオーラNISMOのシートは、グレーを基調に赤を加えた合皮とファブリックのシートを装備した。だが、オプションでサイドエアバッグを内蔵したレカロシートを設定する。
ノートオーラNISMOのECOモードは、オーラのスポーツモード
パワートレインは、ノートオーラと同じだ。発電用の1.2LのHR12DE型直列3気筒DOHCエンジンにモーターを組み合わせたe-POWERを積んでいる。
パワーユニットこそ同じだが、制御を変えたから見違えるほどスポーティな味わいになった。
ノートオーラNISMOでは、燃費を意識したECOモードをなんとノートオーラのスポーツモードとしているのだ。
当然、ECOモードでもレスポンスは鋭い。減速力も他のモードより大きくしている。ノーマルモードも専用チューニングし、このモードでは減速力を抑え気味とした。
ECOモードなのに鋭いレスポンス
そして、新たにNISMOモードを設定したのである。
ノートオーラNISMOは、FF(前輪駆動)車だけの設定だ。今のところ4WDモデルは用意されていない。
ノートオーラNISMOの車両重量は10kg増え、1270kgとなった。だだし、最大トルクも300Nmと自然吸気3.0Lエンジン並みもあるため、冴えた加速を見せつけた。
ECOモードでも、アクセルを踏み込むとクルマがグッと前に出る。モーターは瞬発力が鋭いから上り坂も苦にしない。滑らかなパワーフィールに加え、静粛性も高いレベルにある。タイヤを変えているが、クルージングしたときも耳障りではなかった。
ECOモードは、モード名が違うだろ、と感じさせるほど気持ちよい加速を見せる。
それだけでなく、ワンペダルドライブの守備範囲も広いから運転しやすい。ゴーストップの多い街中の走りは得意だ。クリープもあるから発進はラクだし、停止するときもほとんどブレーキを使うことがない。
ノーマルモードを選ぶと、さらに軽快な加速を楽しめる。加速レスポンスが鋭くなり、100km/hを超えてもモーターの後押しが息切れしなかった。
NISMOモードは、慣れが必要?
驚かされたのは、NISMOモードだ。応答レスポンスは鋭く、パワー感とトルク感も他の2つのモードを圧倒する。エンジンが元気に回り、全力で発電しているからパンチの効いた加速を楽しめた。
だが、ダイレクト感が強く、トルクの出方も強烈だから最初は戸惑う。アクセル操作に対して、敏感にクルマが反応するので、ラフなアクセル操作をすると、ギクシャクした走りになるからだ。
慣れを必要とするが、減速感もちょっと抑え気味にしているので箱根などのワインディングロードでは気持ちいい走りを楽しめるはずだ。パドルシフトがあれば、さらに楽しくなるだろう。
優れた接地フィールと軽快なハンドリングを支える専用サスペンション
パワートレイン以上に感激したのがサスペンションである。電動パワーステアリングを専用チューニングしていることもあり、205/50ZR17サイズのミシュラン製パイロットスポーツ4を上手に履きこなしていた。
操舵したときの動きが滑らかで、足の動きもいいから意のままの走りを無理なく引き出すことができる。スッキリとした素直な操舵フィールだから狙ったラインに乗せやすい。
専用チューニングのサスペンションは、優れた接地フィールを披露し、身のこなしは軽やかだった。リアのグリップ感もいいので、コントロールできる領域も広い。
ノートオーラNISMOの乗り心地は、ちょっと硬めだ。低速域では引き締まった乗り味だが、スピードを上げていくとフラット感が増し、気にならなくなる。
メーターは見やすいし、グリップ部分を合成皮革のアルカンターラとした本革巻きステアリングも操作しやすい。
シートもホールド性を高めていたが、ハードな走りでは上体の揺れが大きくなる。39万6000円と高価だが、ホットに攻めることが多い人は、オプションで用意されているレカロシートを選びたい。
お買い得? 奥の深いスポーツモデル? その訳は?
ノートオーラNISMOは、街乗りからワインディングロードまで余裕でこなす奥の深いスポーツモデルだ。標準のノートオーラと比較すると、安心感は大きく違うし、操る楽しさは一歩上を行く。
ナビやプロパイロットはオプション扱いだから、ちょっと割高と感じている人もいるだろう。だが、充実した走りの装備やプレミアム感、リセールバリューを考えれば、リーズナブルな価格設定だと思う。
FF車だけの設定だが、潜在性能が高い4WDモデルが加われば、さらに輝きを増すはずである。
<レポート:片岡英明>
日産ノートオーラNISMO価格
・ノートオーラNISMO 2,869,900円
日産ノートオーラNISMO燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード ノートオーラNISMO
ボディサイズ:全長4125×全幅1735×全高1505m
ホイールベース:2580mm
車両重量:1270kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
最小回転半径:5.2m
エンジン型式:HR12DE型 直3 DOHC 12バルブ
排気量:1.198L
エンジン最高出力:82PS(60kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:103N・m(10.5kgf・m)/4800rpm
フロントモーター型式:EM47
モーター最高出力:136PS(100kW)/3183 -8500rpm
モーター最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/0-3183rpm
WLTCモード燃費:23.3km/L
動力用主電池種類: リチウムイオン電池
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
タイヤ前後:205/50ZR17
日産ノートオーラNISMO発表会動画
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