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BMW iX試乗記・評価 EVトップレベルのコストパフォーマンス

CORISM / 2022年2月26日 18時18分

BMW iX

 

EVに積極的なBMW


 

BMW iXBMWは早い時期に電動化へと舵を切り、2013年には時代に先駆けて画期的なバッテリーEV(電気自動車)のi3を量産に移している。その最新作であるiXは、i3で培ってきた高度な技術を駆使して開発されたBMW初のクロスオーバータイプのEVだ。

i3はコンパクトサイズだが、iXはX5並みのボリュームで、全長は5mに迫る。フロントマスクは縦長の新しいキドニーグリルが特徴だ。EVだから、ラジエーターがないので、開口のないフラットな形状だが、チタニウムブロンズ色を効果的に配した。そのため切長のLEDヘッドライトと相まって凛々しい顔立ちとなっている。

フロントと比べるとリアビューは個性を抑えたデザインとした。横長のリアコンビネーションランプがエレガントさを演出している。ドア後方をホップアップさせたダイナミックな造形の4ドアボディは、i3と同じようにアルミのスペースフレームの上にカーボンを被せている。

ボディはスチールが大半だが、軽量化のためにボンネットやドアなどにはアルミ材を採用。全長は5mまで45mmの長さで、ホイールベースは3000mmだ。全幅も1965mmと日本の狭い道ではギリギリのサイズである。

BMW iXちなみに、iXの最小回転半径は6mで、試乗車はオプション設定のワイドな22インチタイヤを履いていた。取り回し性を向上させるために低速域ではリアが最大3.2度、逆位相にステアして回頭性を高める後輪操舵機構を組み込んでいる。だが、絶対的に大きいので、Uターンや路肩に寄せるときには気を遣った。

グレード構成は、大きく分けると2タイプだ。バッテリー容量やパフォーマンスが異なる2モデルを設定。試乗したのは、上級の高性能モデルであるiX xDrive50だ。

ネーミングから分かるように、iXは4WDである。ごついエクステリアと比べるとインテリアは優雅な雰囲気だ。インパネはi3の雰囲気を残したシンプルなデザインで、開放感がある。

しかも、12.3インチのメーターに14.9インチのコントロールパネルをつなげたカーブドディプレイへと進化し、シンプルに見せながら車格にふさわしい質感まで高めた。

BMW iX

 



 

とにかく広い居住空間


 

BMW iXインテリアは、3種類が用意されている。試乗車は、オリーブの抽出液でなめしたレザーを用いた「スイート」だ。BMW初採用の六角形ステアリングは思いのほか使いやすい。

センターアームレストに設置された­iドライブのダイヤルスイッチも操作しやすかった。キャビンは広々としている。前席はもちろん、後席も余裕の広さだ。

フロントシートは大ぶりで、ホールド性に優れている。オプションでマッサージ機能やベンチレーション機能を備えたシートも選択可能だ。後席も足を組めるほど広い。ちなみにラゲッジルームは、5名乗車時でも500L、後席を畳めば1700Lの荷室容量を確保した。

BMW iX

 



 

システム最大出力765Nm! 想像を絶する超加速力


 

iX xDrive50は、前後に2つのモーターを装備している。フロントモーターの出力とトルクは190kW/365N・m(258ps/37.2kg-m)だ。リアモーターは230kW/400N・m(313ps/40.8kg-m)と、さらにパワフルである。トータルのシステム出力は最高385kW(523ps)、トルクは最大765N・m(78.0kg-m)と、驚異的な数値だ。

スタートボタンを押すと起動するが、音は出ない。Dレンジにセレクトし、アクセルを踏み込む。すると一気にパワーとトルクが立ち上がり2.5トンを超える重量ボディを軽々と加速させた。アクセルを強く踏み込むと体をシートバックに押し付けられる鋭い加速を見せつける。

パワーとトルクが一気に盛り上がり、豪快かつシームレスな加速フィールはEVならではの魅力だ。Bレンジを使えば、i3でお馴染みのワンペダルドライブも楽しめる。音の演出もあるが、静粛性は高い。

BMW iX

22インチタイヤを履きこなし、快適な乗り心地を誇るエアサスペンション


 

BMW iXサスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはマルチリンクだ。上級のiX xDrive50は、最新の4 WDシステムに加え、前後輪統合制御ステアリングシステムや4輪アダプティブエアサスペンションを採用している。

短時間の試乗でも、背の高さを意識させない冴えたコーナリングを楽しませてくれた。後輪操舵を意識させない素直なハンドリングと一体感が印象的だ。走っているときはボディの大きさを意識させない。

i3で驚かされたボディの剛性感、しっかり感も受け継がれている。バッテリーをフロア下に敷き詰めていることもあり、コーナリング時の安定感は素晴らしい。洗練されたハンドリングに加え、乗り心地もよかった。

タイヤは、オプションとなる275/40R22サイズで、ブリヂストン製アレンザ001だったが、荒れた路面を駆け抜けても足はしなやかに動き、どのモードを選んでも快適レベルは高い。

 



 

航続距離は650㎞!  価格&パフォーマンスも抜群


 

BMW iXiX xDrive50はBMWが総力をあげて開発し、送り出したフラッグシップEVだ。バッテリー容量は112kWhと大きく、航続距離はWLTCモードで650kmを達成している。エアコンを使って気持ちいい走りをしても500km近くは走れるだろう。

iX xDrive50の価格は12,800,000円。直接のライバルはアウディe-tronGTやポルシェ・タイカン、ジャガーIペイスだが、どのモデルも安くは無いが、この3車より買い得感が高く、実用性においても秀でていると思う。

また、1 クラス下のメルセデス・ベンツEQCと比べても風格があり、装備面も充実しているから魅力的だと感じられる。

<レポート:片岡英明

 



 

BMW iX価格


・iX xDrive40 10,700,000円

・iX xDrive50 12,800,000円

 

BMW iX xDrive電費、ボディサイズなどスペック


 

代表車種:iX xDrive50

BMW iXボディサイズ:全長4,955×全幅1,965×全高1,695mm

ホイールベース:3,000mm

乗車定員:5名

最低地上高:200mm

車両重量:2530kg

BMW iX駆動方式:4WD

サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク

フロントモーター最高出力:258PS(190kW)/8000rpm

フロントモーター最大トルク:365N・m(37.2kgf・m)/0-5000rpm

リアモーター最高出力:313PS(230kW)/8000rpm

BMW iXリアモーター最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/0-5000rpm

システム最高出力:523PS(385kW)

システム最大トルク:765N・m(78.0kgf・m)

タイヤ前/後:255/50R21

一充電最大走行可能距離:650km(WLTCモード)



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