スバルBRZ新旧比較 2.0Lから2.4Lへ。排気量アップで得たものは?
CORISM / 2022年1月13日 12時12分
スバルBRZの歴史・概要
存在するだけで価値があるFRスポーツカー
初代スバルBRZはZC06型とも呼ばれ、2012年にスバルとトヨタで共同開発されデビューした。
共同開発となった主な理由は、コストだ。スポーツカーの人気は、世界的にも低い傾向にある。とくに、より多くの人が楽しめる安価なスポーツカーは利益が出にくく、多くの自動車メーカーが投入を見送っていた。
そんな中、マイノリティなジャンルとはいえ、FRスポーツカーの灯を消してはならいという想いから、トヨタとスバルの共同開発が行われた。
共同開発することで、お互いの開発コストは抑える。さらに、それぞれのブランドで販売できるので、多少なりにも販売台数の上乗せが期待できるからだ。
こうしてスバルブランドではBRZ、トヨタブランドでは86(2代目はGR86)として販売された。
ハード面では、スバルの技術が多く使われたため、スバルが生産も担った。
BRZという車名の由来は、以下の頭文字を組み合わせたものだ。
「BOXERエンジン」のB
「Rear Wheel Drive」のR
「究極」のZ
スバル車の特長である水平対向エンジンを搭載したスポーツ車への想いを込めたという。
86とは違う、スタビリティ重視のBRZ
デビュー直後の初代BRZと86は、少しセッティングが異なる。
86は、その車名通り漫画「イニシャルD」のイメージに近い。ドリフトを意識し過ぎたため、とにかくリヤタイヤがズルズル滑る仕様だ。
対するBRZは、リヤのスタビリティを少し高めながら安定性を重視した。
搭載されたエンジンは、FA20型と呼ばれる自然吸気水平対向4気筒2.0Lだ。出力は、6MT車で200ps&205Nmだった。
その後、初代BRZは幾度となく改良が施され熟成されていく。スバルは、STIと呼ばれるレース部分を担う子会社がチューニングを施したモデルも投入。
2015年には、限定300台で投入された「BRZ tS」を、2017年には初代BRZの最上級モデルとなる「STI Sport」を発売している。86とは異なる「スバルらしさ」を感じさせてくれる貴重なFRスポーツモデルとなった。
想像を超えた進化
2代目スバルBRZは、2021年7月に9年振りのフルモデルチェンジを実施した。初代は約9年間という長期間販売されたモデルだったが、プラットフォーム(車台)はキャリーオーバ。その理由は、またしてもコストという大きな壁だった。
しかし、スバルは高評価されているSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の知見を活かし、ボディ剛性の大幅な向上に成功。抜群のハンドリングと操縦安定性を得た。このボディが、2代目BRZにとって重要な役割を担う。
搭載エンジンも大きな変化があった。排気量が400cc増え2.4Lとなっている。エンジン型式は、初代BRZのFA20型からFA24型に変更。スペック的には、FA20型のボアアップ版に見えるが、多くの部分が新設計された。
排気量が増えたことで、低速トルクに厚みが出た。より乗りやすくなり、同時に、初代BRZを大幅に超える速さも手に入れている。デビュー直後なので、よりスバル車らしさを表現するであろうSTIモデルは、まだ投入されていない。
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コンセプト&エクステリアデザイン
体幹が強くなったような力強さをもった2代目BRZ
初代スバルBRZのデザインは、低重心でスポーツカーらしさがあった。力強いリヤフェンダーの膨らみで、FR(後輪駆動)車らしさもアピールしている。また、何度か改良が加えられたことで、後期モデルは意外と古さを感じさせない。スバルは、「走りの愉しさ」を直感させるデザインを目指したという。
対する2代目BRZでは、ひと目見ただけで高い走行性能を予感させる、躍動感を持ったスポーツカーらしいデザインに仕上がった。
全体的に重厚感があり、大人っぽく落ち着いた雰囲気があるスタイリングだ。中高年ドライバーでも違和感なく乗れるデザインになっている。
その上で、ボディ全体の面の張りが強くなっている。強い体幹のような内面の力強さを感じさせている。1クラス上のモデルになったような高級感も兼ね備えた。
そして、あえてエモーショナルなキャラクターラインは抑えているのも特徴だ。飽きのこないデザインとなっている。
エクステリアデザインを比較すると、2代目BRZが完全に勝っている。初代BRZと2代目BRZを比べると、初代BRZは線の細さを感じる。2代目BRZのもつ力強さや存在感は、スポーツカーらしいオーラをもある。
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インテリア&安全装備
2代目のATには、待望のアイサイトが標準装備化。この差は大きい
初代、2代目スバルBRZ共に、インパネは水平基調だ。ダッシュボードはフラットなデザインで視界がスッキリし、ドライビングのしやすさを提供している。2代目BRZの方が、よりスッキリとしたシンプルさが際立っている。
運転中の視界にこだわったのはよいのだが、初代・2代目BRZ共に、モニターがセンターコンソール中央付近にある。モニター類は、視線移動が少ない方がよいので、エアコンの吹き出し口を移動してでも、もう少し高い位置にあった方が見やすくドライビングにも集中できる。
2代目BRZでは、デジタルスピードメーターと7インチTFTカラー液晶のメーターになり、先進感がアップした。情報量も増え、ドライバーが必要とする表示の変更が可能となっている。
しかし、メーターの表示文字が小さく、瞬時に判別するのが難しいのが残念だ。これなら、むしろ初代BRZのアナログメーターの方が見やすい。
インテリアの質感も2代目BRZは若干アップした。それでも、上質というレベルにはあと一歩だ。2代目BRZの外観デザインは、高級感が出て大人のスポーツカーらしくなった。
しかし、スポーツグレードの定番ともいえるレッドステッチを多用。そのため、インテリアは少し子供っぽさを感じさせる。こうした手法は、初代BRZと同じであまり進化がない。
初代BRZには、歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備は用意されていない。
安全面では、2代目BRZのAT車に大きな進化があった。AT車には、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「アイサイト」が装備された。
しかし、最新のアイサイトではないので、機能や性能はレヴォーグと比べる大幅に物足りないものとなっている。
また、残念ながらMT車にはアイサイトは装備されていない。公道を走る以上、スポーツカーだからといって予防安全装備を装着しなくてはいいという理由はない。
マツダ ロードスターは、MT&AT問わず早くから昼夜対応の歩行者検知式自動ブレーキを標準装備している。2代目BRZも早急に最新のアイサイト装備に期待したい。
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走り、メカニズム
走行性能は2代目BRZの圧勝
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