アルピナD5S 試乗記・評価 欠点が見つからない・・・
CORISM / 2022年6月2日 20時6分
アルピナを諦めM5を買った理由とは?
以前より、アルピナは私の憧れの車である。60歳を過ぎたら、グリーンのボディに、内装はブラックを基調にベージュのレザーシートにステッチはグリーン、その他、自分だけの特別のアルピナに乗りたいと考えていた。
BMWが好きで20年以上乗り継ぎ、「いつかはアルピナ」と思っているが、還暦を過ぎているが実現出来ていない。
今回の試乗車は、その憧れのアルピナ。5シリーズのボディにディーゼルエンジンを搭載したD5Sだ。
実は、D5の購入を真剣に検討した時期があった。カタログとオプション価格表を取り寄せ、空想をめぐらせた。その時に乗っていたBMWは走行距離が10万㎞を大きく超え、新車保証も切れてしまっている状態だったからだ。
すぐに乗り換えたかったが、アルピナD5は納期が1年以上かかるということもあり、待つことができなかったのだ。
アルピナD5の代わりに購入したのが、BMW M5。だから、アルピナD5Sの試乗は、とても楽しみであり両車を比較しながら試乗した。
ガソリン車のB5より買い得感あり?
アルピナD5Sのベースである5シリーズは、2016年に発表された7代目、試乗車は運転支援システムがアップデートされた後期モデルである。アルピナの5シリーズにはガソリンエンジンのB5とディーゼルエンジンのD5がある。試乗車は、Sが付いたパワーアップしたディーゼルエンジンを搭載したD5Sだ。
D5Sに積まれた3.0L直列6気筒デイーゼルエンジンは、ビ・ターボ・チャージング・システムが採用され最高出力255KW(347PS)、最大トルクは何と730Nmを1,7500〜2,760rpm間で発生する。
一方、ガソリンエンジンのB5は4.4リッターV型8気筒は最高出力457kW(621PS)、最大トルク800Nm、ディーゼルエンジンのD5Sは、トルクでB5に迫っている。B5の価格は1,918万円(右ハンドルは41万円のオプション)、それに対してD5Sは1,378万円(右ハンドル)と600万円の差があり、燃料代も考慮するとディーゼルエンジンのD5Sはお買い得感がある。
アルピナD5Sのインテリアは、標準の5シリーズより明白に高級感が増している。デザインの差は無いので、素材の良さが出ているのだろう。M5のスポーティ・イメージとはまた違った、ラグジュアリーな感覚に訴えるのはアルピアナ流である。
M5とは異なる加速Gと快適性
さて、アルピナD5Sの試乗開始。スタートスイッチを押し、エンジンが目覚めるとディーゼルエンジン特有のエンジン音が聞こえてくるが、遮音が充分なために気になるような音ではない。走り出せばその音も消え去り、更にスピードを上げればタイヤや空気を切り裂く走行音だけが聞こえてくるだけで高級インテリアにマッチした静かな室内である。特に高速道でもとても静かで、アクティブクルーズコントロールを使いながらスピーカーから流れる音楽を楽しめる。
静かさだけではなく、有り余るパワーをいつでも引き出せる。最大トルク発生回転2,000回転前後の常用域であり、アクセルペダルを踏んだ瞬間に車が軽くなったようにエンジン音が高まらないまま驚く加速をする。
M5と比較すると、絶対的な性能は劣る。しかし、追い越し加速で比較すると、M5のエンジンが高回転域に入り最大パワーを発揮する前に、D5Sは低回転で最大トルクを発揮するため、瞬間的に加速し一時は先行するだろう。
瞬間的にシートに身体を押し付けられるような加速は、M5の回転の上昇と共に加速度が強まる加速感とは、まったく異なるものだった。
アルピナD5Sは、フルスロットルにしなくてもアクセルペダルの右足に少しだけ力を入れるだけで、シフトダウンもしないで力強い加速をするので運転が楽であり燃費にも良いだろう。
燃費は計測出来なかったが、速さだけでなく燃料タンクが満タンなら1,000km近くを無給油で走行出来て、しかも軽油なので財布にも優しい。
欠点が見つからない!?
アルピナD5Sの利点は性能だけでなく、高級感ある仕立ての良いインテリアと同様に乗り心地も上質で快適だ。タイヤは前:255/30ZR20/、後:295/30ZR20と太く、大きなサイズのタイヤとは信じられない程、路面の凹凸も軽やかに乗り越え乗員へのストレスは最小限である。
一方、M5はサスペンションが硬く、路面状況を正確に乗員に伝えるのとは対照的である。特にM5の後席はサスペンションの硬さにガマンが必要だが、D5Sは高級サルーンと呼んで良く、あまりにも快適なため眠気を誘う。
ハンドリングは、BMW D5Sリムジン アルラットと呼ばれる正式名称が示すように4輪駆動車である。コーナーでも4輪駆動車を意識する事はなく、狙ったラインにピタッと正確にトレースが可能であり、BMW本来の駆け抜ける喜びを更に気持ち良く運転が出来る。
試乗していて、憧れのアルピナ車のためなのかD5Sの欠点が見えてこなかった。いつもの5シリーズなのに室内から見える風景は違ったように感じ、自分も“ジェントルマン”になったような気分になる。
買うなら今!? BMWグループ入りするアルピナ
秘めている性能は隠し、ゆったりと周囲の車に溶け込むように運転していると気持ちも穏やかになってくる。M5の常に“スポーツ!”を感じさせる車は大好きではあるが、最近はD5Sの“ジェントルマン”の車にのってみたいと感じるのは、私がそろそろ高齢者の仲間入りになり運転の卒業が近づいているからだろか。
一方で「若い奴らには、まだまだD5Sの良さは分からないだろう」と負け惜しみを言いたくなる。D5Sは全ての人に勧めたいし、「ディーゼルエンジンなんて」と思っている人にも是非乗って頂きたい車である。
記事を書いている途中でBMWグループにアルピナ・ブランドの商標権譲渡のニュースが届いてきた。2025年末で現在の体制での生産が終了する。アルピナ・ブランドは継続されるが、年間生産2,000台の少量生産メーカーの良さを味わえる“アルピナ・マジック”の最後が近づいている。私も早く決心しないと後悔するだろうと考えている。注文するなら、今でしょ!
<レポート:丸山和敏>
BMW ALPINA D5 S Limousine Allrad (4WD)価格
・13,780,000円
BMW ALPINA D5 S Limousine Allrad (4WD)、エンジン出力などスペック
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,980×1,870×1,480
ホイールベース[mm] 2,975
トレッド前/後[mm] 1,610/1,595
荷室容量[L] 530
車両重量[kg] 1,960
定員[人] 4人
エンジン種類 直列6気筒ディーゼルツインターボ+48Vマイルドハイブリッド
総排気量[cc] 2,992
最高出力[kw(ps)/rpm] 255(347)/4,000~4,200rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 730(74.4)/1,750~2,750rpm
使用燃料 軽油
トランスミッション ZF製8速AT
0-100 km/h加速[S] 4.8
巡航最高速度 [㎞/h] 275
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