2021年、年間新車販売台数ランキング ヤリス、三位一体でN-BOXを撃破!?
CORISM / 2022年1月23日 19時8分
東日本大震災時並みの大幅減となった2021年自動車販売台数
自販連と全軽自協が発表した2021年の新車販売台数は、登録車と軽自動車の合計で前年比3.3%減の444万8340台となった。合計の販売台数が450万台を割り込むのは2011年以来の10年振りのことだ。
2021年は半導体不足が深刻化したことに加えた、新型コロナウィルス禍で海外の部品生産が落ち込み、自動車メーカーが調達難に見舞われた結果、工場の休止と減産につながったことが大きい。
新型コロナウィルス禍の直接的な影響で生産が落ち込んだ2020の台数も下回る結果になった。自動車メーカー各社は、生産の回復を計っているが、12月の販売台数も2桁減となるなど本来の需要の回復には届いていない。
年間の新車販売台数が、前年を下回るのはこれで3年連続だ。ブランド別にみると、合計台数で前年を上回ったのは三菱自動車とレクサスだけで、ほかのブランドはいずれもマイナスだった。登録車だけで見ると、日産もプラスだった。
部品供給の停滞による生産調整が比較的少なかったトヨタは台数を落としたもののシェアは前年比0.4ポイント増加して32.0%となり、2年連続で30%を超える水準を維持した。登録車の乗用車だけを見ると、トヨタのシェアは50%超。圧倒的な強さを誇っている。
過去4番目に少ない販売台数となった軽自動車
2021年の登録車の新車販売台数は前年比2.9%減の279万5818台で、4年連続して前年を割り込む結果になった。
300万台割れとなるのは2年連続のことで、280万台を下回るのは東日本大震災が発生した2011年以来の10年振りの結果である。この台数は1968年に統計を開始以来、過去4番目に少ない台数である。
一方、2021年の軽自動車の新車販売台数は、前年比3.8%減の165万2522台で、こちらは3年連続で前年を割り込んだ。170万台を下回ったのはやはり2011年以来である。
軽自動車の市場をけん引するスーパーハイトワゴンを中心に供給量が低迷したことが、新規届け出台数の落ち込みにつながった。
トヨタ1強鮮明に! ノート意地の9位に
2021年の新車販売の銘柄別ランキングは別表の通り。
販売ランキングナンバー1の座は、トヨタのヤリス系となった。コンパクトカーのヤリスに加え、ヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスといった3車種トータルの販売台数なので、さすがに強い印象。前年の2位からランクを上げて首位に立った。
この1年を振り返ると、6月と11月はN-BOXに首位を奪われたものの、ほかの月は首位を続けており、当然といった首位である。
トップ10に入った車種を見ると、登録車は首位のヤリス系のほか、3位のルーミー、6位のカローラ系、8位のアルファード、9位のノートと、合計5車種が入っている。
これに対して軽自動車も2位のN-BOXのほか、4位のスペーシア、5位のタント、7位のムーヴ系、10位のルークスと、こちらも5車種でほぼ互角といえるような結果になった。
3位のルーミーはマイナーチェンジでタンクを統合する形になったことで、前年比54.5%増と販売台数を伸ばしたものだ。比較的低価格のコンパクトなクルマなので良く売れるのも当然といった感じである。
6位のカローラ系は、カローラスポーツ、カローラセダン、カローラツーリングの合算だったが、さらにSUVモデルのカローラクロスを追加。カローラクロスは、着実に販売台数を伸ばし、直近の単月ではカローラシリーズ中、約半数を占めるほどよく売れている。カローラクロスの貢献が寄与して、順位を押し上げた。
また、SUV系モデルの人気は全体に高く、その中でトヨタはライズからランドクルーザーまでフルラインのSUVモデルを揃えている。こうした人気カテゴリーの選択肢の豊富さが、トヨタの強さでもある。
8位に入ったのは高額車のアルファード。こうした車種がランキングの上位に入るのは、稀なことだ。ひと昔前であれば、クラウンがこうした位置にいた。しかし、現在ではクラウンに代わりアルファードが、トヨタブランドの代名詞という時代になっている。
それにしても、新型コロナウィルス禍による景気の悪化が指摘される中で、このクラスの新車を買える層の需要はしっかりしていることに驚かされる。
トップ10に入った登録車でトヨタ車でないのは9位のノートだけだった。モデルチェンジの効果によって台数を伸ばしたのだが、年の途中のモデルチェンジだったこともあって台数の伸びも限定的だった。ノートは日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど評価が高いので、2022年の売れ行きが期待される。
実質的ナンバー1はN-BOX!? 圧倒的な実力
2021年にトップ10に入った軽自動車は、2位のN-BOXは前年の首位から陥落したが、それでも軽自動車の首位はしっかり維持。1位のヤリス系は、まったく異なるカテゴリーのモデルを合算しているので、単一の車種という見方をすれば、やはりN-BOXがナンバー1ということになる。
また、軽自動車の中でも見ても、2位のスペーシアと比べると、約8.4万台もの大差をつけている。この強さは、もはや他の追随を許さないものだ。
4位のスペーシアは、タントを上回った。おらおら顔のモデルを出してから販売を伸ばすようになり、2021年は1年を通じてほとんどタントよりも多くの台数を販売していた。
5位のタントと7位のムーヴ系は、以前ほどの勢いはないものの、安定した売れ行きを続けている。
10位に入ったルークスは新型車効果のあるモデルだが、年末になってエアバッグの不具合から販売を停止するなどしたことが最後の伸びを欠く結果になった。
■2021年、年間新車販売台数ランキング1~10位
1)ヤリス系 212,927台(140.3%)
2)N-BOX 188,940台( 96.4%)
3)ルーミー 134,801台(154.5%)
4)スペーシア 128,881台( 92.2%)
5)タント 116,912台( 90.2%)
6)カローラ系 110,865台( 93.7%)
7)ムーヴ系 95,840台( 92.0%)
8)アルファード 95,049台(104.7%)
9)ノート 90,117台(124.9%)
10)ルークス 84,748台(116.403)
2022年の注目車は、ヴォクシー?
11位から20位までのランキングでは、登録車が6車種で軽自動車が4車種と登録車がやや優勢になった。
登録車は12位のライズ、13位のハリアー、14位のアクア、15位のヴォクシー、16位のフリード、20位のセレナだった。6車種のうち4車種がトヨタ車で、ホンダ車と日産車はそれぞれ1車種ずつが入っただけである。ここでも、トヨタの強さが明確だ。
トヨタ車のうち12位のライズは、需要が一巡して順位をやや下げている。ただし、2021年11月に待望のハイブリッド車が投入されているので、2022年はいっきにまた順位を上げてくるだろう。
13位のハリアーは、前年の22位から大幅な上昇。フルモデルチェンジを受けた14位のアクアは、前年の25位からの大幅な上昇である。アクアは来年以降の販売の伸びも期待される。
ヴォクシーは、モデル末期だったのにもかかわらず良く売れている。このあたりがトヨタの強みだ。2022年1月にフルモデルチェンジしているので、2022年は大幅な伸びとなることは確実だ。
ホンダ車は、モデルサイクルが長期化しているフリードが16位に入った。これは、必ずしも喜べる状況ではない。モデルの新しいフィットのほうが上位に来るべきだし、それもトップ10圏内の販売台数を確保すべきところだ。
ただ、ホンダも半導体や部品不足に悩まされ続けており、旧式型ベースのフリードは、こうした影響が少なく、比較的順調に生産ができたことによる順位の上昇だ。新型フィットやヴェゼルも半導体や部品不足が解消されれば、イッキに順位を伸ばすだろう。
セレナは、モデルサイクルが長期化。その割には、まずまずの台数と見ていい。
■2021年、年間新車販売台数ランキング11~21位
11)ハスラー 82,486台(103.0%)
12)ライズ 81,880台( 65.0%)
13)ハリアー 74,575台(112.9%)
14)アクア 72,495台(121.7%)
15)ヴォクシー 70,085台(100.8%)
16)フリード 69,577台( 91.2%)
17)ワゴンR 68,970台(104.4%)
18)ミラ 65,803台( 89.6%)
19)タフト 62,278台(145.0%)
20)セレナ 58,954台( 85.9%)
2022年はヴェゼルに期待したいホンダ
21位から30位までの車種では、登録車が7車種、軽自動車が3車種だった。21位のフィットは、やっとここで登場してきた。前年に比べると6割程度しか売れていないので2022年の売れ行きに不安があるが、前述した通り、フィットも半導体や部品不足に悩まされている。これが解消すれば、ジャンプアップの可能性は大きい。
23位のシエンタを挟んで25位にホンダ車のヴェゼルが入っている。フルモデルチェンジを受けたことで大幅に台数を伸ばしている。2022年にはフィットを逆転するような勢いだ。
このランクのトヨタ車は、23位のシエンタ、27位のRAV4、28位のプリウス、30位のノアの4車種だった。トヨタ車のラインナップの豊富さがこのあたりに示されている。
28位のプリウスは想定した売れ行きに達していないと思うが、30位のノアはヴォクシーに差を付けられているもののしっかり販売している。またスズキ車のソリオが三大メーカー以外の登録車として最上位の29位に入っている。
2022年春、ステップワゴンのフルモデルチェンジに期待が高まる
このランクの軽自動車は22位のアルト、24位のデイズ、26位のN-WGNの3車種で、それぞれ際立った特徴は見られない。
31位以下の車種では、31位のジムニー(軽自動車)に始まり、32位のステップワゴン、33位のキックス、34位のeKワゴン系、35位のランドクルーザーワゴンと、いずれも前年に比べて販売台数を伸ばしている。
本来なら、ステップワゴンもこの順位にいていいモデルではない。2022年春にフルモデルチェンジが予定されており、大幅な販売台数増が期待される。
さらに38位のレヴォーグがフルモデルチェンジの効果で前年の2倍を超える売れ行きを記録。45位のオデッセイは、販売終了が決まってから好調。最終的に、前年の2倍を超える売れ行きだった。しかし、フルモデルチェンジし新型が登場するなどの噂もなく、今後に不安が残る。
<レポート:松下宏>
■2021年、年間新車販売台数ランキング21位以下
21)フィット 58,780台( 59.9%)
22)アルト 60,919台( 96.1%)
23)シエンタ 57,802台( 79.5%)
24)デイズ 53,773台( 61.8%)
25)ヴェゼル 52,669台(159.9%)
26)N-WGN 50,728台( 73.1倍)
27)RAV4 49,594台( 90.4%)
28)プリウス 49,179台( 73.1%)
29)ソリオ 44,713台(110.8%)
30)ノア 44,211台( 97.3%)
31)ジムニー(軽自動車) 39,425台(103.6%)
32)ステップワゴン 39,247台(114.0%)
33)キックス 35,044台(114.0%)
34) eKワゴン系 34,100台(102.7%)
35)ランドクルーザーW 33,481台(127.3%)
36)パッソ 32,542台( 98.7%)
37)インプレッサ 26,854台( 73.3%)
38)レヴォーグ 25,439台(210.0%)
39)マツダ2 24,652台( 86.9%)
40)スイフト 23,415台( 83.3%)
41)フォレスター 22,903台( 95.2%)
42)CX-5 22,431台( 92.6%)
43)クラウン 21,411台( 96.6%)
44)ロッキー 21,392台( 68.7%)
45)オデッセイ 21,148台(217.6%)
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