スズキ アルト新旧比較 似て非なる9代目
CORISM / 2022年6月5日 18時16分
廉価帯モデルを支える重要モデルが「アルト」
スズキ アルトは、ロールーフ系と呼ばれる軽自動車のジャンルに属する。スペーシアやN-BOXといった人気のスーパーハイト系とは異なり、主に生活の足、商用といった使い方を想定され開発されている。そのため、価格も重要視されてきた。100万円を切るモデルもある。ダイハツ ミライースがライバル車だ。
また、アルトをベースとし、よりパーソナルで個性的なモデルも投入されてきた。9代目アルトベースのモデルは、まだ投入されていない。従来のアルトがベースとなったの派生モデルは、アルトワークスやアルトラパンなどだ。このように、アルトは廉価帯の軽自動車として重要なモデル。今回は、そんなアルトの新旧モデルを燃費・価格・デザイン・走行性能などを徹底比較した。
スズキ アルトの歴史・概要
スズキ アルトは、歴史あるモデルのひとつだ。2021年12月に9代目アルトが発売をされ、これまで約半世紀近くラインナップされている。初代アルトの発売は1979年。当時47万円という安価な価格で人気を博した。廉価な軽自動車というジャンルを築き、スズキにとって転換期となったモデルでもある。
![スズキ 8代目アルト VS 9代目アルト比較評価](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/suzuki-alto-8.jpg)
![スズキ 8代目アルト VS 9代目アルト比較評価](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/suzuki-alto-9.jpg)
根強い人気がある8代目アルト
8代目である先代アルトは、2014年に登場した。この8代目は、非常に力の入ったモデルとなった。安価な価格を維持しながら、スズキ独自の軽量化技術により低燃費化に成功。当時、乗用モデルでは1グレードを除き、全車エコカー減税免税対象となっている。
さらに、従来のモデルとは大きく異なるユニークなデザインが採用された。まるで眼鏡をかけたような可愛らしいデザインは、とても個性的だ。プラットフォームも刷新し、クラストップレベルの室内長を誇った。商用のバンは、8代目アルトで最後となっている。
個性的な派生車も魅力的だ。2015年には、軽量ボディを生かしたスポーツモデルである、ターボRSとアルトワークスがデビューした。軽量スポーツモデルを好むファンに絶大な人気を誇っており、アルトとしては異例の高いリセールバリューとなっている。
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アルト史上、最も立派に見える9代目
9代目となるアルトは、2021年12月に登場した。プラットフォームは8代目アルトと共通で、進化版が採用されている。
9代目アルトは、全高が50mmアップした。全長と全幅、ホイールベースは同じなのだが、まったく異なるクルマのように見える。面の張りが強く滑らかになったことで、高級感と存在感が大幅にアップした。1クラス上のクルマのように立派さを感じる。
また、カラフルな2トーンルーフを設定した。実用車としてのシンプルさを残したグレードも残しながら、よりパーソナルなグレードも用意している。
燃費へのこだわりも健在だ。ついに、アルトにもマイルドハイブリッド車を設定し、全高を大きくしても、クラストップの低燃費を実現した。
コンセプト&エクステリアデザイン
全高を低くした8代目アルト。全高を高くした9代目
8代目スズキ アルトは、シンプルで安価だ。さらに低燃費と安全性能を高め、総合力に富んだモデルである。
軽自動車のトレンドは、全高を高める傾向にあった。しかし、8代目アルトは、全高を1,475mmとした。これは、7代目アルトの全高1,535mmに対し60mmも低くしている。頭上のほとんど使わないスペースは省く、というシンプルな考え方によるものだ。
室内スペースが十分であれば、全高を低くすることで、燃費や運動性能の向上など大きなメリットを得ることができる。合理的に考えれば、正しい判断だ。
だが、軽自動車マーケットでは、立派に見える、ということがとても重要視される。実際、より立派に見える背が高いスーパーハイト系に人気が集中している。
次に、バランスの取れたハイト系。そして、アルトのようなロールーフ系と、全高が低くなるほど人気も低くなる。顧客が求めていたのは、合理性よりも立派に見えることだった。
9代目アルトでは、全高を1,525mmと再び50mmも高くした。これは、前述したマーケットニーズに対応したためだ。
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歴代アルトの中でも個性的な8代目のデザイン
8代目アルトのデザインは、歴代アルトの中でもかなり個性的。眼鏡をかけたようなフロントフェイスに、フォルクスワーゲン ゴルフのような「くの字型」の太いCピラー、そして低いバンパーに設置されリヤコンビネーションランプなど、従来のアルトとはまったく異なるデザインとなっている。全高を下げたことでやや小さく見えるものの、独特の存在感を放っている。
上質感がアップした9代目アルトのデザイン
8代目アルトのデザインが少々先鋭的だったこともあり、9代目アルトではマーケットイン的なデザインへと変更されている。8代目アルトのヘッドライトデザインを少し継承しながらも、全高を50mm高め大きく見えるデザインとした。
スッキリとしたシルエットながら、面の張りも強くドッシリとした安定感がある。8代目アルトと比べると、1クラス上の上質感もある。2トーンのボディカラーも用意され、よりパーソナルで愛着の湧くクルマになった。9代目アルトのデザインは、8代目よりかなり存在感と上質感がアップしている。
![スズキ 8代目アルト VS 9代目アルト比較評価](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/suzuki-alto-8-appearance.jpg)
![スズキ 8代目アルト VS 9代目アルト比較評価](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/suzuki-alto-9-appearance.jpg)
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インテリア&安全装備
9代目が上回っている予備安全装備
8代目アルト初期のモデルには、対車両低速域のみ対応の自動ブレーキ「レーダーブレーキサポート」がオプション設定された。
2018年12月の改良では、以下の機能などが追加され、現在でも一定レベルの予防安全装備を得ている。
・デュアルセンサーブレーキサポート
・後退時ブレーキサポート(後退時の衝突被害軽減ブレーキ)
・車線逸脱警報機能
・ハイビームアシスト
9代目アルトは、全車標準装備の機能が満載だ。
・デュアルカメラブレーキサポート(夜間の歩行者も検知する自動ブレーキ)
・誤発進抑制機能
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ハイビームアシスト
・後退時ブレーキサポート
・後方誤発進抑制機能
衝突安全面では、サイド&カーテンエアバッグなども標準装備化された。こうした安全装備の強化は、法的に義務化されている。そのため、法規制前の8代目アルトとは大きな差がついた。
![スズキ 8代目アルト VS 9代目アルト比較評価](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/suzuki-alto-8-instrumentpanel.jpg)
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室内空間が広い9代目アルト
室内の広さは、プラットフォームが共通なので前後スペースは同等だ。ただ、9代目アルトは室内幅が25mm拡大されたので、やや運転席と助手席間に余裕が出ている。また、全高を50mmアップした分、少し開放感がある。
8代目アルトのインパネは、水平基調のカチッとしたシンプルなデザインなので好感度は高い。
9代目アルトも水平基調でスッキリ系なのは共通だが、若干立体感がある。インパネとドアトリムに落ち着きのあるオシャレなネイビーカラーを使用した。
全体的に9代目アルトの方が、上質感がある。
ただ、一部グレードにオプションを装着しないとUSB電源が装備されない。クルマの中は、スマートフォンのチャージングポイントだけに残念だ。
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