三菱eKクロスEV試乗記・評価 軽自動車の王様誕生!
CORISM / 2022年8月11日 18時18分
EV専用デザインが与えられなかった訳とは?
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ただ、サクラはベースとなるデイズとは完全に異なる専用の内外装デザインをもつ。そんなサクラに対して、eKクロスEVは、ガソリン車であるeKクロスとほぼ同じデザインで登場した。
これは、なんとも微妙。EVは高価だし、まだまだ特別なクルマ。そういう意味では、サクラと同様eKクロスEVも専用車名&専用デザインにして、特別感を出すべきだと思う。その方が、オーナーの満足度もよりアップするはずだ。
もちろん、三菱の中でもこうした考え方があったという。だが、色々な調査の結果や、EVであってもeKクロスシリーズの一員であるべきという考えの元、eKクロスと同じデザインとなったという。
逆に、日産はEV専用車のラインアップを広げるため、デイズではなく内外装や車名が異なるサクラとしてデビューさせた。
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モーターは、あのクルマと同じ!
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ところが、eKクロスEVはベースとなるeKクロスが、最初からEV化されることを前提として開発されているため、室内のスペースはガソリン車と変わらない。ただ、最低地上高は10mm低くなり、全高は15mm高くなった。
フロントに搭載されたMM48型モーターは、64ps(47kW)&195Nmを発揮する。三菱と日産のアライアンス成果が表れているのが、この駆動用モーター。型式は異なるものの、アウトランダーPHEVの後輪モーターと新型エクストレイルe-4ORCEの後輪モーターと同じなのだ。2社間で、色々な車種に同じモーターを使うことで、上手くコストを下げている。
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恨めしい、昭和から続く軽自動車の自主規制
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なぜ、こんなことになるのか? それは、未だ残り続ける最悪な軽自動車の出力自主規制。軽自動車の最高出力は、各社64psまでにしましょうね、というものだ。
自主規制を破ると、国交省が軽自動車枠の撤廃などがあり得るなど、睨みをきかせていることもあり、1980年代後半から長期に渡って続けられている。同じような時期に、普通車では280ps自主規制があったものの2004年に撤廃されている。
これは、とてもおかしな話で、1980年代後半から現在まで間、軽自動車は当然進化し続けている。当時は、パワフル過ぎて危ないとされていたものの、現在のモデルでは、むしろ余裕で使い切れている状態。軽自動車の魅力を半減させるようなもので、そろそろ、撤廃して欲しい自主規制だ。
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豪快なのに繊細!? 軽自動車の枠を超えたeKクロスEV
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ちなみに、ガソリン車のターボモデルの最大トルクは100Nm。eKクロスEVの最大トルクは、なんとガソリン車の約2倍。これだけのトルクがあれば、約200㎏という車重増もものともしない。
モーターは、アクセルを踏み込んだ瞬間から最大トルクを発生するという特性もあり、eKクロスEVはかなり力強い発進加速性能を誇る。アクセルをドンと強く踏み込めば、195Nmという大トルクが瞬時に炸裂。豪快かつ滑らかに加速する。
その一方で、繊細なアクセル操作にもしっかりと反応。唐突な動きも無く、洗練された滑らかな加速も可能だ。
高速道路に乗ると、195Nmというトルクのありがたみを全身で感じる。高速道路の合流では、余裕で本線の流れにあった速度まで加速。楽々、合流が可能。さらに、100㎞/h巡行などわずかにアクセルを踏んでいるだけでOK。
自然吸気ガソリンエンジンのeKクロスでは、上り坂の高速道になると、ほぼアクセル全開で100㎞/hを維持することさえも大変。しかし、eKクロスEVは、もはやアクセルをチョンと踏んでいるくらいで十分に速度を維持できる余裕がある。
もはや、2クラス以上、上のモデル的で、軽自動車とは思えないほどだ。完全に今までの軽自動車という枠を超えたパフォーマンスをもつ。
少し残念だったのが、80㎞/h位からの速度の伸び。出力が64psに抑えられていることもあり、80㎞/h以上位になってくると、加速がやや鈍ってくる。恨めしいな、自主規制と感じた。まぁ、それでもターボ車よりは全然速い。
また、横風にも強い。スーパーハイト系ほど全高が高くはないものの、やや背が高いこともあり、ハイト系も高速道路での横風は苦手。
ところが、eKクロスEVは、フロア下に大きく重い駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載していることで、重心高がガソリン車のeKクロスより約50mmも下がっている。
さらに、車重そのものも約200㎏重いため、横風にも強く、あまりフラフラしない。これなら、高速道路を使ったドライブも安心さが増す。
この低重心さは、カーブでも生きる。ガソリン車のeKクロスは、このクラスでもトップレベルの運動性能をもっていて、カーブでも車体の傾きを上手く抑えながら気持ちよく走る。
しかし、eKクロスEVは、そのレベルを大幅に超越。ピタッと安定してカーブを抜けていく。重心の低さは、セダンモデル並みだ。
残念なポイントは?
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eKクロスEVは、基本的に乗り心地重視のセッティング。柔らかな設定で、フワンフワンした乗り味。シャキっとした感じが無いので、個人的に好みの乗り味ではない。こうした乗り味が好きっていう人もいるので、まぁ、好みの問題なようにも思える。
ただ、やはりカーブでは、それなりに車体が傾き、右へ左へという連続したカーブは、小さなクルマなのにあまり得意ではない。車体の傾きが元に戻るまでの時間がやや長めだ。もう少し、車体の傾きを抑え、低重心ボディを生かしたヒラヒラ感が欲しい。
高速道路でも同様。速度が高いと、やや大きめでうねったような路面を通過すると、柔らかなサスペンション設定のため、ボディの揺れが収束するのに時間がかかる。やや長めに、クルマが揺れ続けている印象を受ける。
軽自動車だから、高速道や山道なんてあまり走らないよね? 街中の乗り心地重視でいいよね? 的な感じだ。
まぁ、実際、そうしたニーズが強いのも確かで、仕方のない部分でもある。だが、eKクロスEVの素性は優れていて、すでに軽自動車の枠をはるかに超えているだけに、少しもったいないような気がした。
さて、eKクロスEVの航続距離は、20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し180㎞(WLTCモード)となった。
実質150㎞の走行距離と仮定しても、上手く休憩中などに急速充電器を使えば、片道200㎞くらいであれば、それほど苦労しないだろう。eKクロスEVのパフォーマンスなら、今までの軽自動車ではあり得ないような、快適な旅が楽しめる。
eKクロスEVのお勧めグレードは?
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Pが上級グレード。価格差は約53万円で、さすがに、これだけ大きな価格差になると、装備差も大きい。PにあってGない装備の例は以下の通り。
・ステアリングヒーター
・運転席&助手席シートヒーター
・ナビ
・三菱コネクト
・ETC
・SOSコール
・ルーフスポイラー
・15インチアルミホイール
こうした装備差で約53万円差は、少々高いように感じる。
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ただし、自動ブレーキなどの予防安全装備は両グレードとも基本的に同じなので、どちらのグレードも安心して乗ることができる。
素のGグレードでは、かなりシンプルなので、オプションを選択する必要がある。どんなオプションをどれだけ選択するかによって異なるものの、オプションを増やせば増やすほど価格差はPグレードにドンドンと近くなる。予算に余裕があるのであれば、いっそのことPグレードを選択するというのもありだ。
ただし、Pグレードでも車線を維持しながら全車速前走車速追従式クルーズコントロールはオプション設定となるのは残念だ。
結論、予算をとにかく抑えたいのであれば、Gグレードで必要なオプションを最小限で選択。
予算に余裕があれば、Pグレードに全車速前走車速追従式クルーズコントロールはオプション選択すれば、十分に満足いく先進的な仕様になる。
また、令和4年度クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金として55万円が出る。その他、地方自治体では独自の補助金が出る場合があり、高価なクルマだが、かなり買いやすくなっている。
ただ、補助金は予算ベース。予算が無くなると終了だ。2022年度は、多くのEVが登場しているだけに、補助金の予算が早期に終了する可能性もあるため、購入時は注意したい。
<レポート:大岡智彦>
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動画一覧
三菱eKクロスEV価格
・eKクロスEV G 2,398,000円
・eKクロスEV P 2,932,600円
*令和4年度「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」 550,000円
三菱eKクロスEV電費、充電時間、ボディサイズなどスペック
代表グレード eKクロスEV Pグレード
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ホイルベース(mm) 2,495
最小回転半径(m) 4.8m
定員(名) 4
駆動方式 前輪駆動(FWD)
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総電力量(kWh) 20.0
総電圧(V) 350
モーター最大出力(kw/rpm) 47(64ps)/2,302-10,455rpm
モーター最大トルク(N・m/rpm) 195/0-2,302rpm
一充電走行距離WTLCモード(km) 180
充電時間 普通充電:8時間(バッテリー残量警告灯点灯位置~100%) 急速充電:約40分(バッテリー残量警告灯点灯位置~80%)
サスペンション(前/後) ストラット式/トルクアーム式3リンク
タイヤサイズ 165/55R15
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