三菱アウトランダーPHEV VS トヨタRAV4 PHV徹底比較評価
CORISM / 2022年7月23日 10時10分
アウトランダーPHEVとRAV4 PHVの違いや実力を徹底評価!
まずは、PHEVとは?
近年、世界中の自動車メーカーは「カーボンニュートラル」を目指し、EV(電気自動車)へシフトしている。
EV化は急速に進んでいるものの、充電環境の整備などは、やや追い付いていない状況。現在のガソリン車のように、手早く簡単に充電できるようになるにはもう少し時間が必要だ。
完全EV化へ向けて、現実的な環境車と言われているのがPHEVだ。PHEVは、Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略で、EVと化石燃料車の良いとこ取りしたモデルだ。RAV4は、独自の呼称でPHVと呼んでいるが、仕組みは同じ。
PHEVは、搭載された大容量バッテリーを家庭用コンセントなどを使い充電。大容量バッテリーに蓄電された電力を使い、通常はEV(電気自動車)として走る。純粋なEVほどの航続距離は無いが、主に日々の通勤や送迎、買い物程度であれば、ほとんどガソリンを使わないで走行が可能。つまり、CO2の排出量をほぼゼロに抑えることができる。
長距離走行時は、ガソリンを使いエンジンで発電。その電力で走行するハイブリッドとなる。ハイブリッド車なので、純ガソリン車より燃費に優れる。毎日のように長距離走行する人は少ないため、大幅にCO2の排出量を抑えることができるのだ。
こうしたPHEVを世界でもトップレベルの早さで市販化したのが、三菱アウトランダーPHEV。しかも、前後輪にモーターを配したツインモーター4WDという世界初の技術も搭載。まさに、PHEVのパイオニア的モデル。
そして、トヨタRAV4 PHVは、低燃費性能で世界を席巻したハイブリッドシステムTHS-Ⅱをベースにして、満を持して投入されたPHEV。
そんなPHEV2台のどこがどう違い、何が優れているのかを徹底比較評価した。
三菱アウトランダーPHEVの特徴
初代三菱アウトランダーPHEVが登場したのは2013年。当時、まだPHEVと呼ばれるモデルは極めて少なかった。しかも、アウトランダーPHEVは、世界初となる前後にモーターを設置したツインモーター4WDを採用。現在でこそ前後に2基のモーターを設置するPHEVやEVは珍しくないが、当時としては画期的なシステムだ。
こうした三菱独自の技術が高く評価され、初代アウトランダーPHEVは2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤーでイノベーション部門賞を受賞した。
2代目アウトランダーPHEVは、2021年12月にデビューした。
初代からツインモーター4WDを継承したものの、中身は一新されている。後輪側のモーター出力は70kWから100kWへと大幅にアップした。後輪側によりパワーをかけられるようになったことから、ドリフト走行も可能となるくらい走行性能に磨きがかかっている。
さらに、クルマの基幹部分であるプラットフォーム(車台)も刷新された。
2代目アウトランダーPHEVから、新プラットフォーム(車台)CMF-C/ Dが採用されている。三菱・日産・ルノーのアライアンスで開発された新プラットフォームにより、運動性能を大幅に高めた。
最新プラットフォームや初代アウトランダーPHEVで得た知見が活かされ、2代目アウトランダーPHEVは世界的にも非常に完成度の高いPHEVとなった。この優れたパフォーマンスが高く評価され、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
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トヨタ RAV4 PHVの特徴
トヨタ RAV4 PHVは、2020年に投入された。2019年に登場したRAV4をベースに PHV化したモデルだ。
床下には、大容量18.1kWhのリチウムイオンバッテリーが敷き詰められている。この大容量バッテリーにより、RAV4PHVのEV走行可能距離は95kmを達成した。日常的な使い方であれば、ほぼガソリンを使用することがないほどのEV走行可能距離となっている。
RAV4 PHVの魅力は、EV走行可能距離だけではない。むしろ、スポーティな走りが魅力のひとつだ。
PHVシステムの最高出力306psとかなりパワフルだ。加速力はちょっとしたスポーツカー並で、0-100km/hの加速はわずか6.0秒と俊足だ。
ちなみに、トヨタのPHVはPlug-in Hybrid Vehicleの略だ。呼び名は違うものの、PHEVと同じ意味をもち、外部から給電することによりEV走行できるモデルであることに変わりない。
車重差が、EV航続距離と燃費差に直結した評価となった。
1.燃費比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.5
RAV4 PHVの評価は 5.0
アウトランダーPHEVとRAV4 PHVの燃費、EV航続距離、バッテリー容量、車重を比較した。
燃費(WLTCモード) EV航続距離 バッテリー容量 車重
■アウトランダーPHEV
燃費 16.2~16.6km/L(WLTCモード)
EV航続距離 85~87km
搭載バッテリー容量 20kWh
車重 2,010~2,110kg
■RAV4 PHV
燃費 22.2km/L(WLTCモード)
EV航続距離 95km
バッテリー容量 18.1kWh
車重 1,900~1,920kg
燃費は、トヨタ RAV4の圧勝
アウトランダーPHEVはRAV4 PHVより大容量のバッテリーを搭載しているにも関わらず、EV航続距離で負けている。さらに、ハイブリッド時の燃費も大差が付いた。
この差は、単純にPHEVシステムの効率というより、車重が大きく影響している。アウトランダーPHEVは、RAV4に対してボディサイズがひと回り大きく、車重は110~190kgも重い。これだけ重いと、燃費やEV航続距離で負けるのも仕方がない。
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アウトランダーPHEV、トヨタを意識したのか戦略的な価格設定
2.価格比較
アウトランダーPHEVの評価は 3.5
RAV4 PHVの評価は 3.0
価格は以下の通り。
・三菱アウトランダーPHEV 4,621,100〜5,320,700円
・トヨタ RAV4 PHV 4,690,000~5,390,000円
価格を比較すると、後から登場した三菱アウトランダーPHEVが、いかにトヨタRAV4 PHVを意識しているのかがよく分かる。微妙にRAV4 PHVを下回る価格となっているからだ。
しかも、ボディサイズはアウトランダーPHEVの方がやや大きく、7人乗りの設定がメインなので買い得感もある。
ただ、どちらも500万円クラスのクルマである。まだまだ、ハイブリッド車と比べると、かなり高価なのは否めない。
また、両車共に国から補助金が出る。これで、少しはコストパフォーマンスが向上する。しかし、PHEVの普及をさらに進めたいのであれば、そろそろ税金を使った補助金頼みの価格設定も終わりにしたい。
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ともに、それなりの値引きに期待
3.購入時の値引き術
アウトランダーPHEVの評価は 3.0
RAV4 PHVの評価は 3.5
三菱アウトランダーPHEVは、2021年12月に登場したばかりの新型車だ。本来ならば、しばらくの間、値引きはゼロベースである。
しかし価格設定はRAV4 PHVをかなり意識している。また、三菱にとっては数少ない新型車なので、新車効果がある内に1台でも多く売りたいという考えも強い。そのため早くも値引きガードも緩んでおり、一定の値引きは比較的容易に引き出せるようだ。
ただし、買う気満々で三菱ディーラーを訪れるのはNGだ。本命がアウトランダーPHEVであると営業マンに悟られれば、値引きしなくても買う顧客と判断するからだ。
こうした状態にならないようにするためには、RAV4 PHVの見積りを先に取得しておくことが重要だ。三菱の営業マンには、RAV4 PHVが本命と思わせ、あくまでアウトランダーPHEVは、たまたま見に来た程度で商談したい。
営業マンとしては、一度来店し見積りまで渡した以上、なんとしても買ってもらいたいと考える。しかも、ライバルがトヨタとなれば、値引きしてでも勝ち取りたいと思うのは当然だ。営業マンには、「RAV4 PHVより安価になるなら購入を検討する」と伝えるといいだろう。
RAV4 PHVを購入したい場合、アウトランダーPHEVと逆のパターンで商談することが基本だ。デビューが2020年と、すでに新車効果も薄れてきているので値引きも引き出しやすい。
アウトランダーPHEVの7人乗りはユニークポイントだ。「7人乗りは便利だ」と強調しながら、支払価格がかなり安価になるなら、という条件で商談するといいだろう。
また、トヨタディーラーは全車種扱いだ。経営が異なるトヨタディーラー同士を競わせるというのもよい。
<レポート:大岡智彦>
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方向性は異なるがユニークさが際立つデザイン
4.デザイン比較
アウトランダーPHEVの評価は 3.5
RAV4 PHVの評価は 3.5
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