新型トヨタ プリウス(60系)PHEV試乗記・評価 スポーツカーになった超絶低燃費エコカー!? 価格追記
CORISM / 2023年3月4日 20時3分
高価だが価値ありの価格!
新型トヨタ プリウスPHEVの価格が発表された。新型プリウスPHEVの価格は460万円。最上級グレードのZのみの設定だ。ハイブリッドZの価格は370万円なので、90万円高になる。
PHEVとハイブリッドの装備差は少なく、大きなところでは、Zでオプションだったディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plusとアダプティブハイビームシステムくらいとなった。
電気代が高騰しているとはいえ、同様に高値維持しているガソリン代と比べると、燃料費換算にすればPHEVがやや優位。とくに、毎日、通勤や送迎、買い物と短距離走行を繰り返すひとに向く。ただ、さすがに90万円高分を回収するのは、かなり難しい。
では、あえて、新型プリウスPHEVを選ぶ理由は何か? それは、やはりら223psというパワフルなシステム出力だ。プリウスPHEVの0-100km/h加速は6.7秒。ちょっとしたスポーツカー並みのタイムを誇る。
さらに、スポーティなハンドリングと高い操縦安定性などを含めると、90万円高の価値はある。
EV(電気自動車)に興味があるものの、まだちょっと様子見。そんな人には、EV本格普及までの間、優れた走りと環境性能を同時に楽しめるモデルになるだろう。
トヨタ プリウスPHEV価格
・Z 4,600,000円
最も進化幅が大きい5代目新型プリウスPHEV
新型トヨタ プリウス(60系)とプリウスPHEVに試乗して感じたのは「トヨタの開発陣、凄く欲張り」だ。
初代プリウスは、ハイブリッドシステムの生み出した大きな価値がある。そして、2代目と3代目は世界トップレベルの超低燃費性能で、多くの顧客に低燃費であることの経済性、社会においていはCO2減というメリットを与えた。
そして、4代目は環境性能を高めながら、走る楽しさを含む走行性能を大幅にアップし歴代プリウスに足りないものを補った。歴代プリウスは、それぞれのモデルが、大きな価値をマーケットに与えてきた。
そんなことをイメージしていたら、60系5代目新型プリウスは初代を除く歴代モデルの中で、最も進化幅が大きく新たな価値も提案していることに気が付いた。
デザインありきの開発? スポーツカーを造るのか?
新たな価値とは「デザイン」だ。デザインに関しては、好みがあるので難しいところだが、歴代プリウスは正直、ひと目見た瞬間に「カッコいい」と感じるタイプでなかったと思う。それは、やはり燃費性能を重視するため空気抵抗の低減が重視されたり、ボディサイズの制限も大きな足かせになったはずだ。
ところが、60系5代目新型プリウスは、まずデザインありきで開発がスタートしたという。とにかく、「一目惚れするデザイン」にこだわった。そして、もうひとつの大テーマである「虜にさせる走り」を実現するために、従来の開発手順を変更した。
通常、秘匿性の高いデザインは、開発チームの中でもギリギリまで公表されないという。しかし、60系5代目新型プリウスでは、かなり早い段階で走行性能などを決める開発チームにデザインを提示した。
このデザインを見た車両開発チームは、このデザインに見合ったより優れた走行性能を実現するために、熱のこもった開発が続いた。その状況をみて、豊田社長に「スポーツカーを造りたいのか!」と言わせたほどだという。
そんな60系5代目新型プリウスの外観デザインは、問答無用にエモい。空気抵抗を多少無視してでも、よりエモーショナルなものをという指令が飛んだほどだ。リヤのフェンダーまわりの造形も複雑で美しい。デザイン優先とはいえ、全幅を1,780mmに抑えたのも正解。狭い道の多い日本では、使いやすい。
よりEVのような力強さを得た5代目新型プリウスPHEV
そして、まずは60系5代目新型プリウスPHEVプロトタイプに試乗した。試乗場所は、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイ。1周目は80㎞/h以下でEV走行せよ、という指令通りに走る。
先代となる50系4代目プリウスPHEVと比べると、とにかくモーターの力強さがまったく違う。それもそのはず、60系5代目新型プリウスPHEVのモーター出力は163psなのに対して、50系4代目プリウスPHEVは72psしかないのだ。
アクセルを少し強めに踏み込むと比較的エンジンがすぐに始動する4代目に対して、5代目は80㎞/h以下ではほとんどエンジンが始動しなかった。5代目のトルク感は、限りなくEVに近い。
そして、気のなるEV航続距離は、4代目比50%以上向上予定。4代目が50~60㎞の航続距離だったので、50%アップとなると75~90㎞くらいの航続距離になるのだろう。
これだけのEV航続距離があれば、日常の通勤や送迎、買い物などの短距離移動であれば、ほとんどガソリンを使わない生活が可能となり、とても経済的だ。
スポーツカーに変身した5代目新型プリウスPHEV
2周目以降は、ちょっと攻めてみた。結論からいうと「スポーツカー」のようだった。ステアリング操作に対して、5代目はキュッと即座に向きを変える。4代目より、明らかに良く曲がる。これは、フロント部分の横曲げ剛性が最大15%もアップした結果だ。
この回頭性の高さは、前後の重量バランスと低重心化のメリットも大きい。駆動用バッテリーは、4代目では荷室付近にあったが5代目ではリヤシートした付近に移動された。これにより、低重心化と前後の重量バランスも最適化されているのだ。
また、全幅が拡大されたことで、トレッドも拡大された。こうしたことなどにより、コーナーリングスピードも大幅に高くなっている。このクラスのFF(前輪駆動)車では、最速? と、思えるほど速い。
さらに、VSC(横滑り防止装置)の制御も緻密でスポーティ仕様。多少のスライドも許容し、スポーツドライビングの邪魔をしない。スポーツカーのような制御だった。
ブレーキフィールもスポーツカーには必要! 絶妙な協調回生ブレーキ
秀逸だったのがブレーキ。元々、トヨタの協調回生ブレーキのフィーリングは、業界ナンバー1だと思っていたが、さらに洗練された。
トヨタ以外の協調回生ブレーキは、ゴムを踏んでいるようなグニュグニュしたフィーリングで、剛性感も無く「止まるの?」と不安に感じるモデルも多い。しかし、60系5代目新型プリウスPHEVの協調回生ブレーキは、剛性感とリニアな感覚はかなり進化した。
例えば、カーブにフルブレーキしながら突っ込むようなシーンでは、油圧ブレーキが作動して全力て減速する。徐々にブレーキの踏力を緩めながら、ステアリングを切り始めると油圧から回生ブレーキに移行するのだが、その切り替わった瞬間がほとんど分からなかったほど自然だった。
また、信号で停止するようなシーンでは、停止寸前に回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わるが、この切り替わったときもほとんど分からないレベルに洗練されている。いわゆる、カックンブレーキ的な動きが激減するはずだ。
これは、新型アクティブハイドロブースター オンデマンドポンプ加圧タイプと呼ばれる技術が投入された結果だ。
あとは、価格だけ? 魅力的なクルマに必要な要素すべてが投入された「欲張り5代目新型プリウスPHEV」
もちろん、動力性能も大きな差になっている。5代目のシステム出力は、122psから223psへと大幅アップしている。加速性能は0-100km/h加速で6.7秒。ちょっとしたスポーツカー並みのタイムだ。ハンドリング、パワー共にスポーツカー並みだ。PHEVという環境車としてだけでなく、スポーツカーという新たなキャラクターを手にいている。
60系5代目新型プリウスPHEVは、日々の使い方では超絶低燃費のエコカー。いざ走りを楽しみたいときには、スポーツカーに変身。スポーツカーに変身しても超絶低燃費。
さらに、カッコいいスタイリング。燃費と走行性能という、二律背反する性能も十分に満たしながら、欲しくなるようなクルマに求められる要素すべて手に入れた。
ほんと、トヨタの開発陣は、なんでも欲しくなる欲張りだ。欲張り開発陣が、情熱と技術力でクルマに求められるすべてを詰め込んだ60系5代目新型プリウスPHEV。「最後に達成したいのは、圧倒的な激安価格だけですね?」という、問いには「苦笑い」しながら、期待していてくださいとのことだった。60系5代目新型プリウスPHEVは、買っても後悔しないモデルになるだろう。
<レポート:大岡智彦>
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60系5代目新型トヨタ プリウスPHEV価格
■新型プリウスPHEV価格
・未定 (2023年3月頃発売予定)
60系5代目新型トヨタ プリウスPHEV参考スペック
エンジン:M20A-FXS型 直4DOHC
排気量:1,986㏄
最高出力:151ps/6,000rpm
最大トルク:188Nm/4,400~5,200rpm
モーター(フロント)最大出力:163ps
モーター(フロント)最大トルク:208Nm
システム最高出力:223ps
0-100㎞/h加速:6.7秒
駆動用主電池:リチウムイオン
EV航続距離:先代比+50%以上
60系5代目新型トヨタ プリウス価格
■1.8Lハイブリッド車
・プリウスX FF 2,750,000円/E-Four 2,970,000円
■2.0Lハイブリッド車
・プリウスG FF 3,200,000円/E-Four 3,420,000円
・プリウスZ FF 3,700,000円/E-Four 3,920,000円
60系5代目新型トヨタ プリウス(ハイブリッド)燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード:プリウス Z (FF)
ボディサイズ:全長4,600×全幅1,780×全高1,430mm
ホイールベース:2,750mm
最低地上高:150mm
車両重量:1,420kg
最小回転半径:5.4m
エンジン型式:M20A-FXS型 直4 DOHC
排気量:1.986L
エンジン最高出力:152PS(112kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4,400~5,200rpm
フロントモーター型式:1VM
フロントモーター最高出力:113PS(83kW)/-
フロントモーター最大トルク:206N・m(21.0kgf・m)/-
WLTCモード燃費:28.6km/L
動力用主電池種類: リチウムイオン電池
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
タイヤ前後:195/50R19
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