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新型トヨタ プリウス(60系)試乗記・評価 足りなものが無い!?

CORISM / 2023年2月7日 7時7分

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 

走行性能を高め完成度が増した4代目だが、少し足りない部分も?


 

歴代トヨタ プリウスって、どこか少し地味で薄味な存在だった。どの世代のプリウスも、世界トップレベルの超低燃費性能を誇っていて環境性能は文句なし。しかし、どうもドキドキワクワクしない。

50系4代目プリウスが登場したときに、縦型のリヤコンビネーションランプには新しさを感じ、少しドキドキした。でも、マイナーチェンジでは、むしろ地味系に戻ってしまった。

ただ、50系4代目プリウスは、最新のGA-Cプラットフォームを使い、走行性能は大幅に進化。

当時、世界的にCセグメントのモデルは、リヤサスペンションにコストダウンを目的としたトーションビーム式を採用する傾向にあった。だが、50系4代目プリウスはコスト高になることは承知で、より上質な走りができるダブルウィッシュボーン式を採用。走りの質を重視し、その進化は素晴らしいものがあった。試乗後、ちょっとワクワクしたのを覚えている。

クルマとしての完成度が高かった50系4代目プリウスだったが、ハイブリッド車のラインアップが増え、同じCセグメントにカローラ系も登場しカニバリが多発。プリウス単体としての販売台数は、伸び悩んだが、これはクルマがダメというのではなく、ラインアップ上の問題。ただ、そうは言っても、徐々にプリウスの存在感が薄れて生きているのも事実だった。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

「エモい」が足りない?


 

そんな中、60系5代目新型プリウスの開発は、かなりプレッシャーがあったに違いない。そんなプレッシャーの中、プリウスの開発陣はやってくれた! マーケットの想像をはるかに超えるプリウスを生み出したのだ。

はるかに我々の想像を超えたきた大きな部分のひとつがデザイン。ひと目見るなり、はっと息をのむような官能的なシルエットが印象的だ。これは「エモい」。従来のプリウスには足りなかった部分のひとつでもある。

60系5代目新型プリウスは、プリウス独自のアイコンである「モノフォルムシルエット」を継承。まるで、ボンネットの先端からルーフを経由し、リヤエンドにつながるラインは、まるでコンセプトカーのように流麗。そこに、ハンマーヘッドをモチーフとしたオリジナリティあるフロントフェイスとし、リヤは流行りの一文字タイプのコンビネーションランプを装備した。複雑な面で構成されるリヤフェンダーまわりのデザインも秀逸だ。

そして、サイドビューを引き締めるのは、やはり19インチ。クラウンクロスオーバーと同じように、ツライチ大径ホイールにこだわった。4代目プリウスは17インチが最大だったので、なんと2インチもアップした。そのため、全体的に塊感が強くなり、カッコいいサイドビューになった。個人的には、フロントをもう少し下げクラウチングスタイルにすると、さらにカッコよくなりそうな気がする。

通常、インチアップするとタイヤ幅も広くなるのだが、広くし過ぎるとタイヤそのものの空気抵抗や摩擦が大きくなり、燃費が悪化する。そのため、タイヤの幅は195/50と意外と細い。タイヤが細くても、大径化されているので路面の接地面積に不足はないので、走行性能面でのデメリットはない。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

中高年に厳しいメーター


 

インテリアデザインは、想像範囲内。「アイランドアーキテクチャー」コンセプトにより、圧迫感のない広々とした空間と運転に集中しやすいコックピットを両立した。

個性的な部分は、小さなステアリングホイールと、メーターパネルを前方奥に設置し、まるでコックピットのような運転席まわりとしたデザイン。EVのbZ4ZXに似ている。

スポーティなことに間違いないが、メーターパネルが小さく、文字も小さい。しかも、奥にあるので、老眼の中高年には辛い。「中高年は乗るな!」と言われているようだ・・・。そういえば、3代目30系プリウスもそんな感じだった。また、室内全般の質感は、もう少しアップして欲しいところだ。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

より力強さが増し余裕たっぷりの新2.0Lハイブリッドシステム


 

試乗したのは、60系5代目新型プリウスのZグレード。5代目新型プリウスから、メインのパワーユニットは1.8Lから2.0Lとなった。1.8LハイブリッドモデルであるUグレードもあるが、こちらは今のところ個人リース販売のKINTOのみのでの販売になる。

2.0Lハイブリッドのシステム最高出力は196ps。1.8Lハイブリッドのシステム出力は140psだったので、イッキに56psもアップした。車重はやや重くなっているものの、その差は歴然。とくに、高速道路の合流などでイッキに加速したいシーンなどで、その差を強く感じた。アクセルレスポンスも良好だ。

全般的に、モーター走行できる領域も増えた。平坦路で、速度が60㎞/h以下程度であれば、なかなかエンジンが始動しない印象。より、モーターの存在感が強くなった。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

進化した超絶低燃費性能! 17インチホイールなら、さらに燃費アップ!


 

60系5代目新型プリウスの燃費性能は、カタログ値で28.6㎞/L(FF、WLTCモード以下同)。4代目は27.2㎞/L~32.1㎞/L。主要グレードで17インチホイールを履いたツーリング系グレードでは27.2㎞/Lだったので、排気量をアップしながら低燃費化していることになる。

ちなみに、60系5代目新型プリウスには、19インチホイールから17インチホイールにダウンするオプション設定がある。17インチにすると-112,200円とかなり安価。さらに燃費は大幅に向上し 、なんと31.5㎞/L!

少し見栄えは悪くなるかもしれないが、より日々の燃料費を重視するのであれば、17インチホイールというオプション選択もよい。また、19インチタイヤは、少し特殊なサイズなのでやや高価になると予想できる。走行距離が多い人であれば、17インチホイールの方がかなり経済的だろう。

60系5代目新型プリウス試乗時の実燃費は、アップダウンの多い郊外路ながら、楽々25.0㎞/Lを超えていた。相変わらずの超低燃費性能だ。

そして、電動4WDのE-Fourも進化した。4代目プリウスでは、7.2ps&55Nmというとても小さな出力のモーターを後輪側に設置。いわゆる、停止からスタート時の低速域でアシストする4WD機能だった。

しかし、60系5代目新型プリウスでは、大幅に出力がアップされた41ps&84Nmというモーターを装備。より高い速度域でも車両をより安定させ、悪路での走破性も高めている。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

クラストップレベルのハンドリングと乗り心地


 

そして、60系5代目新型プリウスで最も秀逸だと思ったのがハンドリング。とにかく、よく曲がる。そこそこ高い速度域でも、FF車にありがちなフロントが外に逃げていくような傾向がほとんど感じなかった。

ステアリング操作に対しても、機敏過ぎることなくクイック。スッとノーズが入る。ドライバーがイメージする走行ラインにピッタリと乗る。直進安定性も十分。よい塩梅に設定されたハンドリングで、走っていて気持ちよい。このクラスでトップレベルのハンドリングといえる。

さらに、よりワイドトレッド化されたこともあり、カーブでの速度も4代目より圧倒的に速い。60系5代目新型プリウスの走りは、まるでスポーツカーのようだ。

60系5代目新型プリウスの走りは、かなりスポーティ。スポーティな走りを楽しんでいると、少しシートが柔らかく感じる。高G状態の運転だと、少しシートがつぶれる感じがした。同様に、もう少し腰回りをしっかりと固定してくれるシートだと、よりクルマとの一体感が増すはずだ。

優れた走行性能を誇る60系5代目新型プリウスだが、静粛性面では、さらにもう少し高めて欲しいと感じた。モーター走行中は、車外の音も遮音され、高い静粛性を保っていた。だが、エンジンが始動すると、エンジン音がしっかりと聞こえてくる。最初は、わざと聞かせているのか? と、感じたが、エンジンサウンドといえるほど良い音ではないので、エンジン回転数が高くなるとやや賑やかな車内となる。

乗り心地は、走行シーンにより少し異なる。低速域では、すこしゴツゴツとしたショックが伝わってくる硬めな乗り心地。だが、速度が上がるにつれて、徐々にしなやかさが増してくるタイプだ。

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

60系5代目新型トヨタ プリウス Zグレード

 



 

KINTO専用、1.8L「Uグレード」の実力は?


 

そして、60系5代目新型プリウスの1.8Lハイブリッドシステムを搭載するUグレードにも試乗した。

1.8Lハイブリッドシステムは、4代目とは異なり最新のヴォクシー&ノアと同じタイプの進化版を搭載。そのため、従来の少しモサっとしたフィーリングはなく、アクセルレスポンに優れ、低速域での力強さが増している。そのため、低・中速域の街中中心であれば、1.8Lで十分といった印象。

60系5代目新型プリウスのUグレードは、17インチホイールでタイヤサイズが195/60R17となる。2.0Lハイブリッドと比べると、乗り心地は大差なく、ハンドリング面では少しダルかなぁ、といったレベル。60系5代目新型プリウスの魅力はしっかりと受け継いでいる。ただ、遮音面では、エンジン始動すると少し賑やかになるのが気になった。

 

 

Uグレード、まさかの短納期! これで十分!? 後悔しない?


 

さて、このUグレード。販売は個人リース(サブスクリプション)のKINTOのみで販売される。

すでに、ネット上では話題になっているが、通常販売の60系5代目新型プリウスの納期が1年以上なのに対して、KINTOではUグレードなら、1.5~2ヵ月という納期になるという。

前述した通り、Uグレードでも性能面は十分。2.0Lハイブリッドにこだわらなければ、納期の早いKINTOがお勧めといえそうだ。

色々な条件があるのだが、KINTOで最も安価な仕様でUグレードを3年リースにすると、月々の支払い(ボーナス支払い無し)は、なんと49,940円! 個人リースなので、税金や保険、点検費用、消耗品、などはコミコミでの金額だ。車両のカスタマイズや喫煙など、一定のNG条件はあるものの、かなりリーズナブルといえる。しかも、ソフトウェアやハードウェアのアップデートも可能だ。

月々の支払いが一定なので、生活費の計画もしやすいし、余計な出費もほとんど発生しないのも大きなメリット。残価設定ローンでの購入を考えていて、後々後悔したくないのであれば、こうした個人リースも選択肢に入れ、しっかりと比較・検討してみるとよいだろう。

<レポート:大岡智彦

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60系5代目新型トヨタ プリウス価格


 

■1.8Lハイブリッド車

・プリウスX FF  2,750,000円/E-Four  2,970,000円

■2.0Lハイブリッド車

・プリウスG FF 3,200,000円/E-Four  3,420,000円

・プリウスZ FF 3,700,000円/E-Four  3,920,000円

 

60系5代目新型トヨタ プリウス(ハイブリッド)燃費、ボディサイズなどスペック


 

代表グレード:プリウス Z (FF)

ボディサイズ:全長4,600×全幅1,780×全高1,430mm

ホイールベース:2,750mm

最低地上高:150mm

車両重量:1,420kg

最小回転半径:5.4m

エンジン型式:M20A-FXS型 直4 DOHC

排気量:1.986L

エンジン最高出力:152PS(112kW)/6000rpm

エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4,400~5,200rpm

フロントモーター型式:1VM

フロントモーター最高出力:113PS(83kW)/-

フロントモーター最大トルク:206N・m(21.0kgf・m)/-

WLTCモード燃費:28.6km/L

動力用主電池種類: リチウムイオン電池

サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン

タイヤ前後:195/50R19

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