レクサスNX VS トヨタハリアー徹底比較評価
CORISM / 2022年10月22日 16時16分
血縁関係にあるNXとハリアー
高級車ブランドであるレクサスの中型SUVであるNX。そして、トヨタブランドの高級SUVのハリアー。この2台には共通のプラットフォーム(車台)であるGA-Kを使用。パワーユニットも含め、共通部分が多く姉妹車関係にあると言ってもよい。車両価格は大幅に異なるものの、高級SUV同士であるNXとハリアーを比較・評価してみた。
レクサスNXの特徴
レクサスNXは、2021年11月にフルモデルチェンジし2代目となった。初代NXは、スポーティで迫力あるルックスで高い人気を誇り、デビュー直後から国内レクサスの基幹車種となった。人気モデルゆえに、2代目NXにも注目が集まっている。
新型2代目NXのコンセプトは「Vital x Tech Gear」だ。生命的な躍動感(Vital)と先進技術(Tech)を融合した、スポーツギアとして開発された。
さらに、レクサスはカーボンニュートラルの一環として、電動化ビジョン「Lexus Electrified」を掲げている。そのためNXには、レクサスブランド初のPHEVを投入。電動モデルは、2.5Lハイブリッドと2.5Lハイブリッドの2種類が用意された。
ガソリン車のラインアップも充実している。純ガソリン車は、2.5Lと新開発の2.4Lターボの2種類だ。パワーユニットの選択肢は豊富だ。プラットフォーム(車台)は、ハリアーと同じGA-KをNX用にチューニングして使っている。
トヨタ ハリアーの特徴
国産高級SUVの代名詞であるトヨタ ハリアーは、2020年6月にフルモデルチェンジし4代目となった。初代と2代目は、レクサスRXと共通のプラットフォームを使用している。
3代目は、ほぼ国内専用車として独自の道を進んでいる。4代目は、北米などでヴェンザとして発売されている。
ハリアーの開発コンセプトは「Graceful Life(優雅で豊かな人生)」である。機能や便利さのみを追求するのではなく、感性に訴え人生を高めてくれる存在を目指して開発された。高級アーバンSUVとして、歴代モデルが築いてきたハリアーらしさを継承している。3代目ハリアーよりも、さらに高級感やスタイリッシュさがアップした印象だ。
パワーユニットは2.0Lガソリンと2.5Lハイブリッドの2タイプだ。人気が高いのは2.5Lハイブリッドである。プラットフォーム(車台)は、NXと同じGA-Kをハリアー用にチューニングして使用している。
残念なのは、2.0Lガソリン車に今時アイドリング機能が装備されていないこと。カーボンニュートラル時代に逆行する仕様になっている。
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両車優れた燃費値
1.燃費比較
NXの評価 4.0
ハリアーの評価 3.5
レクサスNXの燃費は以下の通り(すべてWLTCモード)
・2.5L PHEV 19.8km/L(4WD) EV航続距離 88.0km(4WD)
・2.5Lハイブリッド 20.9~22.2km/L(FF)
・2.4Lターボ 12.2km/L(4WD)
・2.5L 13.9~14.4km/L(FF)
トヨタ ハリアーの燃費は以下の通り(すべてWLTCモード)
・2.5Lハイブリッド 22.3km/L(FF)
・2.0L 15.4km/L(4WD)
パワーユニットの設定が少しずつ異なるので、単純比較は難しい。唯一同じように見える2.5Lハイブリッドも、NXとハリアーでは仕様が異なる。
エンジン型式こそ共通だが、NXはハイオク仕様でハイパワー仕様だ。フロントモーターも、より高出力になっている。同じなのは、E-Four(4WD)のリヤモーターくらいだ。
NXとハリアーの燃費値は大きな差が無く、ほぼ互角だ。ただし、NXは使用燃料がハイオクで、レギュラーガソリンより10円/L前後燃料費が高いのがマイナス点だ。
その他のパワーユニットは(NXとハリアーで直接比較が難しいものの)クラストップレベルの燃費値だ。どのパワーユニットでも、優れた低燃費性能というメリットを得ることができる。
惜しいのは、ハリアーの2.0Lガソリン車には、アイドリングストップ機能が設定されていない点だ。トヨタは、アイドリングストップが無くても競争力がある燃費性能、そして高価なバッテリーを使わなくていい分、顧客メリットがある、としている。カーボンニュートラルをアピールする会社との方針とはずれている。
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NXはハリアーと比べるとリーズナブルに見える?
2.価格比較
NXの評価 3.0
ハリアーの評価 2.5
レクサスNXの価格帯は以下の通り。
・NX250(FF) 4,550,000円~NX450h+ F SPORT(4WD) 7,380,000円
トヨタハリアーの価格帯は以下の通り。
・ハリアーS(FF) 2,990,000円~ハリアーZ レザーパッケージ(4WD) 5,040,000円
価格帯をみる限りでは、高級車ブランドであるレクサスNXがトヨタ ハリアーを圧倒している。
そこで、同じタイプの2.5Lハイブリッドを搭載しE-Four(4WD)であるNX350h バージョンL(6,350,000円)とハリアーZ レザーパッケージ(5,040,000円)を比べてみた。両車共に、レザーシートが標準装備された上級グレードだ。価格差は131万円とかなり大きい。
ハリアーに無くNXにある主な装備は以下の通りだ。
・20インチホイール
・ヘッドランプクリーナー
・e-ラッチインサイドドアハンドル
・後席 6:4 分割可倒式シート(電動格納機能付)
・運転席・助手席ベンチレーション機能付きシート
その他の細かい装備や、同じような装備だが高機能化されているものまで含めると、NXはかなり装備が充実している。
NXの予防安全装備パッケージ「レクサスセーフティシステム+」は、ハリアーの「トヨタセーフティセンス」の機能を大幅に上回った最新式だ。
さらに、レザーシートやインテリアの質感もNXが大幅に上回る。NXの外観デザインはかなり複雑で繊細な造形なので、ハリアーより生産コストが高いのではないだろうか。
こうした部分をすべて含めると、NXとの価格差131万円というのも意外とリーズナブルに見えてくる。だが、NXもトヨタブランドとのプラットフォームやパワーユニットの共通化など、コストダウンされている部分が多いことを鑑みると、やや割高な印象を抱く。
NXがリーズナブルというよりは、むしろハリアーが割高とみるべきだろう。それでもハリアーは売れている。割高でも欲しいと思わせるのが、ハリアーの強力なブランド力といえる。
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値引きゼロなNX。値引き拡大中のハリアー
3.購入時の値引き術
NXの評価 2.0
ハリアーの評価 4.0
レクサスは値引きゼロ戦略を続けているため、数万円程度の値引きやディーラーオプションサービスがある程度だ。値引きは、ほぼ期待できない。
ただし、レクサス車の下取り車がある場合、非常に高い下取り価格が提示されるケースが多い。
一般的に、ディーラー下取より買取店の方が高価になる。だが、レクサス車の場合は、買取店も勝負にならないような下取り価格が提示される。ある意味、この下取車の高価買取が実質値引きともいえる。レクサス車以外は、通常の下取り価格だ。
NXの値引きは難しい。しかし、何もしなければ本当に値引きゼロになるので、メルセデス・ベンツGLBやGLC、BMW X1やX3などの中で、同じ価格帯のモデルと競合させる必要がある。数万円の値引きか、ディーラーオプションのサービスが得られる可能性が高くなる。
対するトヨタ ハリアーは、納期が完全に未定の状態が続いている(2022年7月1日現在)。納期がまったく分からないとはいえ、ディーラーは受注しないことにはビジネスにならない。
現在は以下の二点を背景に、大幅値引きが行われている。
・納期が長いことを理由に他メーカーに行かれるのを阻止
・納期遅れのお詫び
国産車に直接的なライバル車は無いが、価格帯が近い以下の車種と競合させると良い。
・三菱アウトランダーPHEV
・フォルクスワーゲン Tロック
・日産エクストレイル
・マツダCX-60、CX-8
ハリアーの納期は長いので、じっくりと商談し少しずつ値引き額アップを狙いたい。
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より立体的な造形美をもつNX
4.デザイン比較
NXの評価 4.0
ハリアーの評価 3.5
レクサスNXは、次世代レクサスのデザインランゲージ確立に向け、運動性能や機能に寄与するプロポーションに根差した「独自性」と、テクノロジーに根差した「シンプリシティ」の追求を目指した。
外観デザインは、初代NXのイメージを継承した。フロントフェイスは、スピンドルグリル中心としたデザイン手法に変更はない。
しかし、より大きく張り出し、押出し感を増している。初代NXと比べると、やや穏やかなフェイスデザインになった印象だが、彫の深さが立体感をより際立たせており、かなり洗練されている。
シルエットは大きく張り出したフェンダーによって安定感が増した。全体的なスタンスがよく、存在感がある。
リヤビューは、キレのある細型の左右コンビネーションランプを流行りの細型一文字ランプがつなぎ、ワイド感を強調している。台形ラインが組み合わされた、安定感のあるリヤビューを創り出した。
NXを近くで見ると、さらに微妙な面と線が複雑に組み合わされている。細かなレクサスデザインを具現化できるレクサスの生産技術も素晴らしい。
対するトヨタ ハリアーのデザインは、NXと比べるとシンプルだ。多くのSUVと同様、大きな顔と大きなグリルを組み合わせ、迫力ある押し出し感をアピールしている。売れるデザイン手法を存分に活用した。
ハリアーは、やや薄い顔に小さなグリルが組み合わされている。他のSUVとは異なるハリアーらしいデザインで、ファンを魅了している。ルーフラインはクーペ風で、流麗なシルエットとなった。大きく張り出したフェンダーは逞しさの演出に一役買っている。
リヤビューは、流行りの一文字型コンビネーションランプを採用した。極細タイプのシャープさによって、夜間ひと目でハリアーと分かるオリジナリティを表現した。
NXとハリアーのデザインは、かなり方向性が異なる。どちらが優れているかというより好みの問題だろう。
好き嫌いは別として、NXの立体的造形は、かなり飛びぬけている。生産技術も含め、高く評価できるポイントだ。
<レポート:大岡智彦>
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