トヨタ クラウンクロスオーバーRSアドバンスト試乗記・評価、価格 走りの質感をアップするデュアルブーストハイブリッド搭載!
CORISM / 2023年4月25日 10時10分
走行性能優先!? クラウンクロスオーバーの評価は?
トヨタ クラウンクロスオーバーには、2つのパワーユニットが設定された。1つ目は、最もベーシックで多くの車種に使われているA25-FXS型2.5Lエンジンを搭載したハイブリッドシステムだ。クラウンクロスオーバーでは、GとXグレードに搭載されている。
パワーと燃費のバランスがよいパワーユニットなのが特徴。システム出力は234psを誇り、燃費性能は22.4㎞/L(WLTCモード)と優秀だ。このパワーユニットの人気が最も高い。バイポーラ型ニッケル水素電池と組み合わされている。
この2.5Lハイブリッドだけでも十分なのだが、最近のトヨタは走りにこだわる。2つ目のパワーユニットとして、新開発2.4L デュアルブーストハイブリッドシステムが投入された。
このクラウンクロスオーバーRS系の2.4L デュアルブーストハイブリッドシステムは、遊星ギアを使った複雑な2.5Lハイブリッドシステムとは大きく異なる。シンプルな1モーター2クラッチ式。エンジンとモーターの間にクラッチがあり、ダイレクトにつながれている。搭載されたエンジンは、レクサスNX350で使われているT24A-FTS。このエンジンに、フロントが83.9ps&292Nm、リヤが80.2ps&169Nmのモーターが組み合わされている。
こうした1モーター2クラッチ式は、構造がシンプルなため、主に輸入ハイブリッド車が採用していた。
しかし、この1モーター2クラッチ式のハイブリッドは、モーターにブースト的な役割をもたせており、非常にパワフルだった。しかし、燃費向上の効果はあまりなく、ガソリン車より少し良い程度に止まった。そのため、欧州車などの多くはPHEV化の道を選んだ。
気持ちよい電動車の走りを追求したデュアルブーストハイブリッド
では、なぜトヨタはクラウンクロスオーバーRS系に2.4L デュアルブーストハイブリッドシステムを新開発したのかだ。それは、単純明快。「電動化技術による気持ちよい走りの追求」だ。システム名のデュアルブーストとは、ターボとモーターの2つを指している。
燃費を捨てたようにも見える2.4L デュアルブーストハイブリッドシステムだが、ハイブリッドシステムを知り尽くしているトヨタだけに、燃費値も15.7㎞/L(WLTCモード)と良好な数値となった。
単純比較はできないが、純ガソリン車で同じT25A-FTSエンジンを搭載するNX350の燃費はAWDで11.7㎞/L(WLTCモード)。車重は、クラウンクロスオーバーRS系が100㎏以上重いのに、燃費は約34%も向上。単にパワーだけでなく、燃費もしっかりと向上させているのは、さすがトヨタといったところだ。
トヨタ クラウンクロスオーバー Gアドバンスト試乗記・評価
システム出力349ps! モーターとターボエンジンの抜群コンビネーション
さて、試乗。2.5Lハイブリッドは、すでに試乗済み。システム出力は、234psと十分。とくに、速いという印象は無かったものの、物足りなさもなく、ほとんどの人が満足できるパワーユニットだった。
それに対して、クラウンクロスオーバーRS系2.4Lデュアルブーストハイブリッドのシステム出力は、なんと349ps。アクセルとグッと踏むと、瞬時にドーンと加速を始める。とにかく、速い。スペックの数値を見れば、十分に分かっていたことだが、やや想定外に速かった。
単に速いだけでなく、フィーリングが抜群だ。ジワっとアクセルを踏んでもガンと踏み込んでも、瞬時に反応する超絶アクセルレスポンスが美点。やっぱり、モーターとターボエンジンの組み合わせは相性抜群だ。
ターボエンジンは、多かれ少なかれ構造上、過給遅れが発生する。アクセルを踏んだ瞬間に、わずかだが無反応な状態があるのだ。ターボラグともいわれる現象。このターボラグを解消するのが、モーターの役割。モーターの特徴は、電気のスピードで瞬時に最大トルクを発生する。このモーターがターボラグを消す役割を果たし、アクセルを踏んだ瞬間にクルマが反応する超絶レスポンスを実現している。これが、トヨタが、2.4Lデュアルブーストハイブリッドで狙っていた走りの質感だ。
高出力モーターを後輪側に設置した4WD「E-Fourアドバンスト」
トヨタもクラウンの名を冠したクラウンクロスオーバーなので、やはり単なるFF(前輪駆動車)を造りたくなったのだろう。そのため、クラウンクロスオーバーは全車4WD。2.5Lハイブリッドでも後輪をモーターで駆動するE-Fourが採用されているが、クラウンクロスオーバーRS系2.4Lデュアルブーストハイブリッドでは、さらに高出力のモーター後輪に組み込んだ「E-Fourアドバンスト」を新採用した。
2.5LハイブリッドのE-Fourと大きく異なるのは、後輪側のモーター出力。2.4Lデュアルブーストハイブリッドの後輪モーター出力は、80.2ps&169Nm。これに対して、2.5Lハイブリッドは54.4ps&121Nmと大きく異なる。
前後輪トルク配分を100:0〜20:80の間で制御。発進時、直進加速時は、車両のピッチングを抑え、ダイレクトな加速感が得られるように、60:40〜40:60程度で制御する。ステアリングの切り始めから旋回中はほぼ50:50の駆動力配分とし、コーナー脱出時はリヤ寄りの駆動力配分(50:50〜20:80)とすることで、トラクション性能の確保や車両のピッチングの抑制しながら、狙った通りのラインをトレースできる旋回フィーリングを実現した。
クラウンクロスオーバーRS系2.4Lデュアルブーストハイブリッドは、後輪側のモーター出力が大きく異なるため、2.5Lハイブリッドと比べると、よりハッキリと後輪側にトルクが配分されていることがよく分かる。
とくに分かりやすいのが、登り坂のカーブ。立ち上がりで、グッとアクセルと踏むと、後輪側の駆動力が強くなり、後ろから押される感覚になる。FR(後輪駆動)車のようなというレベルまでにはいかないものの、気持ちの良く走ることができる。クラウンという名を冠したこともあり、少しFR車らしさを残したかったのかもしれない。
この「E-Fourアドバンスト」の仕組みは、多少出力などの違いはあるものの、レクサスRXと同じだ。
グレード名はRSだが、意外とソフトな乗り心地
クラウンクロスオーバーRS系もDRS(ダイナミック・リヤ・ステアリング)と呼ばれる後輪操舵システムを搭載していることから、ハンドリングは軽快。さらに、システム出力は349psとかなりパワフル。よほど、シッカリとした硬めの乗り心地かと思うだろう。しかし、クラウンクロスオーバーRS系の乗り心地は、ソフトで快適性重視。2.5Lハイブリッドとそれほど変わりなく、後席が特等席だ。
そのため、速度高めで走るとカーブでは、やや大きめに車体が傾く。パワーとサスペンションが少々マッチしていないように感じる。もっと足を硬めにしてロールを抑え、スポーティな走りを目指すべきなのでは? と、思ったのだが、どうやら、こうした設定もトヨタの狙い通り。クラウンクロスオーバーRS系であっても、従来のクラウンロイヤル系のイメージで、あくまで乗り心地重視ということだ。じゃぁ、RSなんてスポーティな走りを期待しちゃうようなグレード名を付けなければいいのに・・・、とも感じた。
トヨタのエンジニアによると、スポーティな走りを重視するのであれば、今後発売予定のクラウンの異なるボディタイプであるセダンやスポーツに期待して欲しいとのことだ。
失敗・後悔しない新型クラウンクロスオーバーRS系のグレード選び
さて、新型クラウンクロスオーバーRS系のグレード選び。クラウンクロスオーバーRS系には、RSとRSアドバンストの2タイプが用意される。大きな装備差は、カラーヘッドアップディスプレイやデジタルキー、ハンズフリーパワートランクリッド、イージークローザー、おくだけ充電、プレミアムサウンドシステムなど。こうした装備類などの差で、価格差は35万円になる。
価格差以上にお買い得とはいえないものの、600万円オーバーのクルマであることを考えれば、より装備の充実したRSアドバンストを選んだ方が無難。リセールバリューもRSアドバンストの方が高くなると予想できるので、積極的にRSアドバンストを選ぶとよいだろう。
ただ、RSアドバンストは最上級グレードながら、パッケージオプションが豊富に用意されているのが特徴。しかも、後席の装備を充実させたリヤサポートパッケージはRSアドバンストにしか装備できない。ただ、リヤサポートパッケージは、後席に座る人のための装備。それほど重要度は高くない。
また、先代クラウンより安価になったとはいえ、RSアドバンストを選ぶだけでは、装備面で少々物足りない状態。RSアドバンストを選んだ上で、ドライバーサポートパッケージ2を選択することが必要。
このドライバーサポート2に設定される追加装備は、大きなところでパノラミックビューモニター、パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)、ドライブレコーダー(前後)、アドバンスト パーキングサポートブレーキ+ (物⽌周囲静( ドライブ アドバンスト (援⽀渋滞時)、緊急時操舵+ FCTA[フロントクロストラフィックアラート+ [LCA[レーンチェンジアシスト)などがプラスされる。オプション価格は、23万6500円だ。
より高度な予防安全装備や運転支援機能などがプラス装備されるので、実用面で大きなメリットがある。ドライバーサポート2は必ず装備したいオプションだ。
<レポート:大岡智彦>
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トヨタ クラウンクロスオーバー価格
■2.4Lターボ、デュアルブーストハイブリッド(E-Four Advanced)
・CROSSOVER RS 6,050,000円
・CROSSOVER RS“Advanced” 6,400,000円
■2.5Lハイブリッド(E-Four)
・CROSSOVER G 4,750,000円
・CROSSOVER G“Advanced・Leather Package” 5,700,000円
・CROSSOVER G“Advanced” 5,100,000円
・CROSSOVER G“Leather Package” 5,400,000円
・CROSSOVER X 4,350,000円
トヨタ クラウンクロスオーバー燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード: CROSSOVER RS Advanced
ボディサイズ[mm]: 4,930×1,840×1,540
ホイールベース[mm]: 2,850
最低地上高[mm]: 145
最小回転半径[m]: 5.4
車両重量[kg]: 1,920
総排気量[cc]: 2,393
エンジン種類:T24A-FTS型 直4 DOHCターボ
エンジン最高出力[kW(ps)/rpm]:200(272)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm]: 460〈46.9〉/2,000~3,000
フロントモーター最高出力[kw(ps)]: 61(82.9)
フロントモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:292(29.8)
リヤモーター最高出力[kw(ps)]: 59(80.2)
リヤモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:169(17.2)
システム出力[kw(ps)] 257(349)
ミッション: 電気式無段変速機
WLTCモード燃費[km/l]: 15.7
バッテリー 種類:バイポーラ型ニッケル水素
サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
タイヤサイズ:225/45R21
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