メルセデス・ベンツAクラス、Aクラスセダン試乗記・評価 プレミアムコンパクトのお手本!
CORISM / 2023年4月25日 7時7分
マイナーチェンジで、装備やデザインを刷新
メルセデス・ベンツは、Cセグメントのコンパクトカーである「Aクラスシリーズ」をマイナーチェンジして発売を開始した。
メルセデス・ベンツ「Aクラスシリーズ」は、5ドアハッチバックの「Aクラス」とコンパクトセダンの「Aクラスセダン」をラインナップ。それぞれに1.4Lガソリンエンジンと2.0Lディーゼルエンジンを設定している。
新型Aクラスシリーズは、内外装のデザインを刷新した。ナビゲーションシステムもSクラスなどと同じ最新世代にアップデート。
また、安全性や快適性に配慮したアダプティブハイビームアシストを標準装備してグレードアップ。A200dには、Cセグメント初となるMBUX(メルセデス・ベンツユーザーエクスペリエンス) ARナビゲーション、アドバンスドサウンドシステムなどが標準装備されている。残念ながら、A180にはオプション設定だ。
Cセグメントを超える風格を得たボリューム感アップしたボンネットのパワードーム
今回、試乗したのは、ポーラーホワイトの新型メルセデス・ベンツAクラスのA180セダンとローズゴールドのA200dハッチバックAMGラインパッケージだ。
今回のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインに大きな変更点はない。ほとんど変更が無いということは、多くのマーケットで高く評価されたデザインであることの証明でもある。
前方に傾斜した滑らかなラインはメルセデスらしさを感じ、フロントグリル内の繊細なスリーポインテットスターで差別化が図られている。ボンネットのパワードームは、目を引くポイント。
また、フロント下部両サイドに繋がる大口径のエアインテークと、やや吊り上がり気味のヘッドライトは少なからず風格を感じる、そして、アダプティブハイビームアシストを搭載することでドライバーをサポートする。
リア周りも下部のディフューザーでスポーティ感を、リアコンビネーションランプも水平基調で新たに内部のデザインを変えてシャープさを強調。ボディカラーのホワイト系(A180セダン)はボンネットの2本の膨らみ(パワードーム)による陰影のおかげで、フロント周りにボリューム感と締まり感が出ていてスタイリッシュだ。
A200dハッチバックは、後方のオーバーハング短いが、全体のバランスを崩すことなくスポーティ感がある。ローズゴールドのボディカラーも綺麗で落ち着きがあり、クルマとのバランスもとれていて佇まいも好印象だ。
見やすく操作しやすい、すっきりとしたインパネ
新型メルセデス・ベンツAクラス、A180セダンのAMGラインパッケージ「レザーARTICO/MICROCUT」シートは、窮屈感が無く適度な緩さが心地良い。
A200dハッチバックはクラシックレッド/ブラック(本革)のスポーツシートで、シートとドア内張に赤の差し色がスポーティな雰囲気を演出している。こちらはシートサイドの出っ張りが大きく身体のホールドが良い。
ステアリングの静電容量式センサーは、ステアリングに手を添えているだけでディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知が機能して、ある程以上の強さでステアリングを握る(保持する)必要が無く、手を添えているだけでも機能するので使い勝手が向上している。
インスツルメントパネル中央の10.25インチメディアディスプレイに表示される情報量も適度で見易く、特に正面のデジタルコクピットディスプレイの表示はシンプルで好感が持てる。
また、センターコンソールのタッチパネルを無くして、小物入れ的なスペースを設けたことでスマホ置場に困らず、操作系が前方に集約されて安全性が向上している。
AMGラインパッケージはスポーティだが、メルセデスらしさは乏しい?
A180セダンに装着されていたタイヤは、AMGラインパッケージの18インチで、小さな凹凸や荒れた路面などに反応して微振動を感じた。路面凹凸や継ぎ目、突起などの中~大入力の吸収性は良く、ショックも乗員に伝え難くい。路面のうねりなどでも、身体の揺すられる感じが小さくフラット感がある。
しかし、荒れた路面でのロードノイズが大きく、路面により音質・音量の変化が顕著で、綺麗な路面で小さいサーと言う音に対して、荒れた路面で急にザー・ゴーと言う音質・音量の変化が気になった。そのため荒れた路面を走行(通過)する際には、助手席および後席乗員との会話も困難になりそうで、オーディオ音量も大きめに設定する必要がありそうだ。
また、ステアリングに路面のザラザラ感も伝わり易く、メルセデスらしくないと感じた。対するA200dハッチバックの乗り心地はソフトで、小凹凸の吸収性も良く微振動も少ない。ロードノイズも路面変化に対しての敏感さが無くなり音質変化が小さく、音量も小さくなっている。
ステアリングで感じる路面のザラザラ感も伝わらず、ボディ剛性が高くなったような印象だ。クルマの重量増も影響して、タイヤサイズとのバランスが取れているように感じるが、本来メルセデス・ベンツはもっと重厚感のある乗り心地、動きだったように思う。
また、残念なことにディーゼルエンジン独特のカラカラ音が、やや大きく聞き取りやすい。そのエンジン音は乾いた音質で変化も無く不快な感じはなく、オーディオや後席乗員との会話を阻害するほどではないが、エンジン周りの遮音性をもう少し詰めて欲しいと感じた。
試乗車2台共にAMGラインパッケージのContinental EcoContact6の225/45R18が装着されており、A200dとのマッチングは良かった。A180セダンについては標準設定の205/55R17の方が乗り心地、ノイズ、操縦性共にバランス取れて良い。
安心感のある直進性と、安定したコーナリング
新型メルセデス・ベンツAシリーズは、直進時の自己直進性良く、手応えにも重さを感じてすわり感がある。特にA200dがどっしりしていて、直進時の印象が良い。
A180セダンはステアリングの接地感やや薄く軽さを感じるが、動きには軽快さがあり応答性良い。ただ、メルセデス・ベンツらしいかと言うと…、穏やかでどっしりした雰囲気は乏しい。
A200dハッチバックは動き穏やかで応答性にシャープさはないが、手応えに抵抗感があり動きと手応えのバランス好印象で雰囲気も良い。
アクセルレスポンスは、A180セダンのトルク感が薄いが、アクセルに対する反応は良く、軽快なドライビングで郊外でも十分楽しめる。
対してA200dハッチバックは、やや遅れて盛り上がるトルク感があり、加減速時に少し重たさを感じてしまう。しかし、操作に対する過敏さが無いので、穏やかで落ち着きがありA180セダンよりメルセデス・ベンツを感じバランスは良い。
メルセデス・ベンツAクラスに設定されているダイナミックセレクトは、エンジン、トランスミッション、ステアリングアシストなどのパラメーターを「Comfort」(標準設定)、「ECO」(燃費向上)、「Sport」(スポーティ)、「Individual」(ドライバーが任意に設定)に変化させることが出来る。
実際ワインディングでA180セダンの「Sport」モードを試してみた。アクセル操作に対して、エンジンの反応がやや過敏過ぎる傾向で、よほど上手くアクセルコントロールをしないと車体がギクシャクしてしまう。「Eco」や「Comfort」モードでも十分軽快なドライビングが可能で「Sport」モードの必要性が思いつかない。もし同乗者が居れば不快感を与えてしまいそうだ
A200dでは、アクセルに対する反応が穏やかなので、軽快さを味わいたい場合「Sport」モードを選択する場面がある。特にアップダウンのある郊外路では走る楽しさを感じられると思う。
Aクラスにも話型インフォテインメントシステム「MBUX」を装備
新型メルセデス・ベンツAシリーズの「Aクラスハッチバック」、および「Aクラスセダン」に最新世代の対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を採用された。
ボイスコントロールは「Hi Mercedes(ハイ メルセデス)」をキーワードとして起動。音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、気象情報)に加えて、クライメートコントロール、ヒーター、各種照明などの機能にも対応する。
加えて、メルセデス・ベンツ最新世代のナビゲーションシステムと、Cセグメント初のMBUX AR(Augmented Reality=拡張現実:車両の前面カメラの画像がナビゲーション画面に重ねて映し出され、進むべき道路の矢印が表示される)ナビゲーションが採用された。(A180にはオプション設定)
また、新型メルセデス・ベンツAシリーズのA200dセダンには、交通状況に応じてヘッドライトの照射範囲を自動で調整(ロービームとハイビームの切り替え)し、あらゆる状況下において常に最大限の視界を確保するライトシステム「アダプティブハイビームアシスト」を標準装備して安全性を向上させている。
賑やかなA200d。プレミアムコンパクトらしさが欲しい
新型メルセデス・ベンツAシリーズに搭載されるエンジンは2種類。A180に搭載される「M282」の直列4気筒1,331ccガソリンエンジン+ターボチャージャー(最高出力136ps/100kW、最大トルク200N・m)は、「デルタ型シリンダーヘッド(三角形を横に寝かした形状)」を採用。通常のシリンダーヘッドに比べて軽量化を図り省スペース化に貢献する。
ターボチャージャーは、可変タービンジオメトリーを採用しており、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速を可能にした。また、この高圧縮比4気筒エンジンは、吸気ダクトにヘルムホルツ共鳴器(音の共鳴を利用して発生する音量を低減させる)を採用。触媒コンバーターにも遮音シールを施したほか、エンジンカバーなどでもノイズ低減が図られている。
A200dに搭載される「OM654q」の直列4気筒1,949ccディーゼルエンジン+インタークーラー付ターボチャージャー(最高出力150ps/110kW、最大トルク320N・m)は、コンパクトなボディを力強く加速させる性能を持つ。低振動で高い静粛性も両立させていると言うことではあるが、ディーゼル特有のエンジン音はやや大きく感じてしまったのは残念だ。
メルセデス式SDGs(アンビション2039)とは?
メルセデス・ベンツの「アンビション2039」で、 2039年より生産・販売する乗用車について、バリューチェーンとライフサイクルの全体でカーボンニュートラルな商品を投入する目標を設定している。
まずは、2020年代末までに、新車における乗用車1台当たりの全ライフサイクルにわたるCO2排出量を2020年比で少なくとも半減させることを実現すべく、リサイクルから得られる原材料を採用している。
新型AクラスとAクラスセダンの設計においても、使用するすべての材料について見直し、より持続可能な代替品が使えないか検証が行われた。レザーARTICO/ファブリックのシート中央部には、100%リサイクルから得られた原料を使用したファブリックを採用。レザーARTICO/MICROCUTの場合、この比率はシート表面で65%、内部材料で85%となっている。
ユーザーニーズに沿った保証とアフタケア
新型メルセデス・ベンツAクラスの各モデルには、新車購入から3年間の一般保証修理/定期メンテナンス(点検整備の作業工賃・交換部品)/24時間ツーリングサポート/地図データ更新が無償で提供される走行距離無制限の保証プログラム「メルセデス・ケア」が適用される。
さらに、メルセデス・ケア終了後、有償の保証延長プログラムとして、一般保証および24時間ツーリングサポートを2年間延長する「保証プラス」と、4年目、5年目のメンテナンスサービスにおいて、初回車検時および4年目の点検や定期交換部品、消耗品の交換をパッケージで提供する「メンテナンスプラス」(新車登録日から59か月後の応当日の前日、または総走行距離75,000km到達時のいずれか早い時点で終了)を用意している。
メルセデスの安全運転支援システムとは?
「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」
マルチパーパスカメラとレーダーセンサーにより、高速道路などを走行する際に先行車との車間距離を保持して追従する。減速が必要な場合はアクセルおよびブレーキでスムーズに減速、先行車が停止した場合は自車も停止する。作動範囲:0~約200km/h、設定範囲約30~200km/h
「アクティブブレーキアシスト」
先行車や路上の物体などとの衝突の危険性を感知すると、先ずディスプレイ表示や音でドライバーに警告する。衝突するとシステムが判断した場合は、衝突を回避するためにブレーキ圧力を高めてドライバーの回避操作を補助する。作動速度範囲:約7~250km/h
「トラフィックサインアシスト」
一般道路や高速道路を走行中、カメラが制限速度などの道路標識を読取ってディスプレイに表示する。制限速度を超えると警告音でドライバーに注意を促す。ナビゲーションパッケージ装着車両のみ
「アクティブレーンキーピングアシスト」
フロントウィンドウのマルチパーパスカメラが車線を検出し、フロントタイヤが走行車線を越えたと判断した場合、ステアリングを微振動させてドライバーに警告する。ドライバーが反応しない場合は補助ブレーキによって車両を車線内に戻そうとする。なお、破線の車線走行時には隣車線の車両もしくは対向車と衝突の危険性がある場合にのみ作動する。作動速度範囲:約60~200km/h。
「ブラインド・スポットアシスト(降車時警告機能付」
30km/h以上で走行時にリアバンパーのレーダーセンサーにより、車両の斜め後ろのミラーで見えない死角に車両や自転車が居ることを警告する。また、エンジン停止から3分間、障害物が後方から近づくと、サイドミラーの警告灯が点灯する。さらにドアを開けようとすると、警告音で死角から近づく障害物と、開けたドアが接触することを防止する「降車時警告機能」も付いている。
「ドライブアウェイアシスト」
車両前方もしくは後方1m以内に障害物があり、その方向に進むギアを選択した場合、アクセルを強く踏んでも時速2km/h以上に加速せず、警告音によりドライバーに誤操作の可能性があることを警告する。
「アクティブパーキングアシスト」
約35km/h以下で走行中、超音波センサーが左右の最適な駐車スペースを検出、並列駐車スペース出入りの際にドライバーをサポートする。並列駐車スペースからバックで出る際にも、後を横切るクルマを検知してドライバーに注意を促すとともに、必要に応じてブレーキを作動させる「リアクロストラフィックアラート」も装備されている。
<レポート:河野達也>
メルセデス・ベンツCクラス新旧比較
メルセデス・ベンツGLC新車情報・購入ガイド
マイナーチェンジ前メルセデス・ベンツAクラス試乗記・評価
ドイツ車新車情報・試乗評価一覧
メルセデス・ベンツ新車情報・試乗評価一覧
新型メルセデス・ベンツAクラスの装着タイヤと空気圧
A180/A200d(フロント・リア) CONTINENTAL EcoCntact6(MO)
225/45R18 88W(AMGラインパッケージ)
*アドバンスドパッケージ 205/55R17
指定空気圧(kPa)
A180セダン
3名乗車 フロント/リア 260/230
5名乗車 フロント/リア 270/270
A200dハッチバック
3名乗車 フロント/リア 260/230
5名乗車 フロント/リア 260/260
メルセデス・ベンツAクラス価格
・A180ハッチバック 4,980,000円 セダン 5,050,000円
・A200dハッチバック 5,580,000円 セダン 5,700,000円
新型メルセデス・ベンツAクラスの燃費、ボディサイズなどスペック
・全長x全幅x全高(mm) ハッチバック:4,430x1,800x1,440 セダン 4,560x1,800x1,445
・ホイールベース(mm) ハッチバック・セダン:2,730
・トランク・ルーム容量(L) ハッチバック(A180/A200d)355~1,195/345~1,185 セダン(A180/A200d):405/395
・定員(名) 5
・車両重量(kg) ハッチバック(A180/A200d):1,360/1,490 セダン(A180/A200d):1,370/1,500
・最小回転半径(m) ハッチバック・セダン:5.0
・エンジン型式 A180: M282 A200d: OM654q
・種類 A180 : 直列4気筒ガソリンエンジン+ターボチャージャー A200d : 直列4気筒ディーゼルエンジン+インタークーラー付ターボチャージャー
・総排気量(cc) A180 :1,331 A200d :1,949
・最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) A180 :100〔136〕/5,500 A200d :110〔150〕/3,400~4,400
・最大トルク(Nm / rpm (EEC)) A180 :200/1,460-4,000 A200d :320/1,400~3,200
・燃料消費率WLTCモード(km/L) A180:15.3 A200d:19.1
・トランスミッション A180 :電子制御7速オートマチックトランスミッション A200d:電子制御8速オートマチックトランスミッション
この記事に関連するニュース
-
乗ったぞ電気のGクラス! AMGのG63より「G580」の方が欲しいと思えた理由
マイナビニュース / 2024年11月22日 11時45分
-
メルセデス・ベンツ、A クラス特別仕様車「Mercedes-AMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」
マイナビニュース / 2024年11月18日 19時3分
-
メルセデス・ベンツ、Sクラスの新型EV「EQS」- 走行距離が日本最長の759kmに伸長
マイナビニュース / 2024年11月13日 19時26分
-
全長“4.2m”未満! 爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 5リッター超え「V8NA」搭載&オープン仕様! “FR”でめちゃ楽しそうな「SLK55」とは?
くるまのニュース / 2024年10月23日 22時10分
-
“歴代最強”の新型「Gクラス」初公開! “約600馬力”の史上初「画期的システム」搭載! “AMG超え”のスペックを発揮する「G580」発表!
くるまのニュース / 2024年10月23日 15時40分
ランキング
-
1とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
2【GU】1290円の「冷たい風も防ぐ手袋」は、自転車に乗っていても手があったか! 水や汚れをはじく&スマホ操作もできる高機能グローブ
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月22日 8時35分
-
3ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
4今さら聞けない50・60代からの「新NISA」のキホン 投資で効率よくお金を増やすための心強い制度
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時10分
-
5日本の皇位継承が国連勧告を受けるという恥をかかせた元凶…明治時代「男系男子限定」に誘導した人物の名前
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください