ホンダ ステップワゴンスパーダ失敗・後悔しないための新旧比較
CORISM / 2023年3月4日 10時10分
購入後、失敗・後悔しないためのステップワゴン新旧比較
2022年は、Mサイズミニバンの当たり年だった。1月にトヨタ ヴォクシー&ノア、5月にホンダ ステップワゴン、11月には日産セレナがフルモデルチェンジした。つまり、国内Mクラスミニバンすべてがフルモデルチェンジしたことになる。
全車新型車にったことで、性能差はより僅差になり、激しい販売合戦が繰り広げられている。
そこで、今回はステップワゴンスパーダをピックアップ。5代目、6代目を徹底比較評価。中古車5代目ステップワゴンで十分なのか? それとも、やはり6代目新型ステップワゴンなのかを徹底レポート。購入後、失敗・後悔しないためのステップワゴン選びに役立ててほしい。
ホンダ ステップワゴンの歴史
初代ホンダ ステップワゴンは、1996年に登場した。
現在では、低床でFF(前輪駆動)が当たり前だが、当時のミニバンは商用車バンがベースなのでFR(後輪駆動)だった。そんな中、初の低床FFで使い勝手や乗り心地の良さを追求したミニバンが初代ステップワゴンだった。
こうしたことが高く評価され、初代ステップワゴンは大ヒットした。その影響を受け、ライバル車も続々とFF化を果たす。まさに、初代ステップワゴンはMクラスミニバンのパイオニア的存在だった。
2代目ステップワゴンは、2001年に登場した。初代ステップワゴンのコンセプトをキープした、四角い箱を組み合わせたシルエットが特徴だ。
2003年のマイナーチェンジで、その後人気グレードとなる「スパーダ」がデビュー。また、2.4Lエンジン搭載車も投入されている。
2005年には、3代目ステップワゴンがデビューした。このモデルからライバル車と同じく両側スライドドアが採用され、より低重心・低床化された。
デザインは、Aピラーを大きく傾斜させ、顔も小さくスポーティにまとめ、空気抵抗の低減による低燃費化などにもチャレンジした。技術面ではかなり力の入ったモデルで、優れた走行性能を誇った。
しかし、流行の「より大きな顔、より大きく見えるデザイン」ではなかったこともあり、販売面ではやや低迷した。
4代目ステップワゴンは、2009年に発売開始。3代目がデザイン面で不評だったこともあり、ボックス型のデザインへ戻した。スパーダは大きなグリルを装備し、押し出し感がアップしたことで高い人気を得てヒットモデルとなる。3列目シートは床下収納となり、ライバル車と差別化している。
5代目ステップワゴンは、2015年に登場した。デビュー時、待望されていたハイブリッド車は投入されず1.5Lのダウンサイジングターボエンジンのみの設定だった。
また、迫力ある大きな顔、そして大きく見えるデザインが主流であるのに対して、ホンダはあえて独自性の強い顔で勝負に出る。結果、販売台数は低迷した。
2017年のマイナーチェンジで待望の2.0Lハイブリッド車が投入された。スパーダのデザインは、流行りの迫力ある大きな顔に大変更された。販売面でやや持ち直したものの、ライバル車との販売台数差は大幅に縮まることはなかった。
そして、2022年5月に6代目ステップワゴンが登場。デザインは評価の高かったボックス型に変更された。ただし、トヨタ系の迫力あるフェイスデザインとはせずに、スッキリとしたスタイリッシュ系でまとめた。外観の違いで、カジュアルなAIRと、精悍なスパーダと2タイプに分類。初期受注では、予想通り圧倒的にスパーダの人気が高かった。
【補足】ステップワゴンとスパーダの違い
これまでのステップワゴンは標準モデルの「ステップワゴン」、上級装備の「ステップワゴンスパーダ」という2種類のモデルだった。2022年にフルモデルチェンジされた新型(6代目)ステップワゴンからは標準モデルはなくなり、「AIR(エアー)」と「SPADA(スパーダ)」の2モデルが用意されている。新型モデルはユーザーの嗜好性に合わせて選べるよう、デザインと装備面が異なっている。
コンセプト&エクステリアデザイン
独自性を狙いすぎた5代目ステップワゴン
マイナーチェンジ前5代目ホンダ ステップワゴンのデザインコンセプトは「Modern Functional Beauty」だ。ホンダ車らしい躍動感、未来感を加えながら、ボックススタイルの楽しさ、美しさを追求した。横開きできるわくわくゲートの新しさを、左右非対称のデザインで表現している。
スパーダはフロントノーズを45mm伸ばし、押し出し感をアップ。ロアグリルを横断するメッキバーで、ワイド感と精悍さを表現した。
ホンダは、ヴォクシーのような迫力系デザインとは異なる、独自のデザインを提案。しかし、トレンドに反したこともあり、販売は低迷した。
そこでマイナーチェンジでは、スパーダのフロントフェイスを流行りの迫力系に変更。ボンネットフードを高く持ち上げた、大きな顔が特徴だ。グリルも大型化し、立体的な造形として押し出し感もプラスしている。定番ともいえる迫力フェイスに仕上げた。
同時にハイブリッド車も投入されたこともあり、マイナーチェンジ直後は販売も好調だった。しかし、徐々に勢いを失っていく。
フロントフェイスだけでなく、わくわくゲートを装備したことによるバックドアの分割線や左右非対称のデザインも、あまり評判がよくなかったようだ。
上品・上質さを感じる6代目ステップワゴン
6代目ステップワゴンでは、5代目の反省点を活かし、ボックス型のシルエットをもつデザインに原点回帰した。
全体のコンセプトを「素敵な暮らし」とし、デザインコンセプトとして「Life Expander Box」を掲げた。6代目ステップワゴンでも、ホンダならではの独自性溢れるデザインが採用された。
外観デザインは従来の基準車に当たるAIRとスパーダの2種類が用意された。AIRはファミリー感あるカジュアルなデザインだ。スパーダはAIRに比べ、精悍さがある。
AIRよりもグリルは大型化されているものの、フェイス中央部までと控えめだ。ヴォクシーのようにバンパー全体に広がるようなタイプではない。このグリル、かなりシンプルにまとめられている。金属の無垢材を削り出したような重厚で質感の高いフロントグリルが、強さと精悍さを表現している。
トヨタデザインとは異なる手法により精悍さをアピールしているのは、独自性を重視するホンダならではの姿勢だ。
5代目と6代目ステップワゴンスパーダのデザインを比較すると、方向性が異なっていることがよく分かる。
ミニバンのトレンドを考えると、マイナーチェンジ後5代目スパーダのデザインも安心感がある。こうしたデザインを好む人にとって、6代目スパーダのデザインは、少し異質に感じるだろう。
6代目スパーダの、ボックス型シルエットに合わせた独特のフェイスデザインは秀逸といえる。上質で品のある精悍さが魅力だ。
安全装備&インテリア
安全装備は、最新6代目が上回るが・・・
予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」は、5代目ステップワゴンにも用意されていた。デビュー直後はオプション設定が多かったものの、2016年の改良では一部グレードを除きホンダセンシングとサイド&カーテンエアバッグが標準装備化されている。改良前のステップワゴンを中古車で購入する場合、ホンダセンシングが装備されているかなどをしっかりとチェックしたい。
この世代のホンダセンシングは、歩行者検知式自動ブレーキや車線維持支援機能があり、この世代のモデルとしては高いレベルにあった。前走車追従式クルーズコントロールには、停止機能や再発進機能はない。
マイナーチェンジ後では、ホンダセンシングが全車標準装備化され、8つの機能を備えた。ホンダセンシングも機能強化され、ハイブリッド車には渋滞追従機能付きクルーズコントロールが装備された。これは前走車に全車速追従し、停止まで行う機能だ。停止後は、簡単な操作で再発進しまた追従走行する。渋滞時にドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。
6代目ステップワゴンにもホンダセンシングは全車標準装備化された。渋滞時に全車速追従式クルーズコントロールを使っている状態で、車線を維持しながら走行してくれるトラフィックジャムアシストなどが機能追加されている。
6代目のホンダセンシングは、5代目と比べると進化しているが、重要な自動ブレーキは、歩行者や自転車のみに留まった。ライバル車であるヴォクシーに搭載されているトヨタセーフティセンスでは、昼間の自動二輪や右左折時の歩行者、右折時の対向車にも対応している。
全幅がワイドになった6代目ステップワゴン
5代目ステップワゴンのインテリアは、北欧スタイルのような、BeautyとUtilityの融合をめざした、「ビューティリティーリビング」をコンセプトとした。質感や収納など、ホスピタリティーあふれるインテリア空間に仕上がっている。
インパネデザインは、ワイドな印象を与える水平基調だ。メーターはダッシュボード奥に設置されている。全体的にスクエアなデザインがモチーフとなっていて、ややゴチャゴチャした印象が強い。
室内空間は、7/8人乗りの設定だ。3列目シートは分割して床下に格納式できるユニークな仕様である。横開きするわくわくゲートから、3列目や2列目シートにアクセスも可能となっているので、色々な使い方ができる。
対する6代目ステップワゴンは、「安心」×「自由」で満たされた空間を目指した。インパネデザインは、5代目と同様に水平基調とし、やや似たデザインになっている。コッテリとした立体感あるデザインながら、ノイズを除去しスッキリとまとめられていて上質感もアップしている。
6代目ステップワゴンは、5代目のプラットフォーム(車台)を共用している。そのため、ホイールベースは同じ2,890mmだ。ただし、6代目ステップワゴンは、全幅が1,750mmと5代目に対して55mmワイドになった。ワイドになったボディを活かし、6代目では2列目シートを横スライドさせる機能がプラスされ、より余裕のある空間となった。
また、2列目と3列目シートは、ヒップポイントが5代目より10mmそれぞれ高められ、視界が良くなっている。こうした工夫により、6代目ステップワゴンは、ホンダ史上最大の室内空間になったという。室内の広さ、とくに横方向のスペースは、6代目の方がやや余裕がある結果となった。
お勧めは? 6代目新型ステップワゴン? それとも5代目ステップワゴン? 続きをcar-topicsで見る
走り、メカニズム
5代目、6代目ホンダ ステップワゴンスパーダの出力と燃費、車重は以下の通り。
【2.0Lハイブリッド】FF、WLTCモード
出力(モーター) | 燃費 | 車重 | |
---|---|---|---|
5代目 | 184ps&315Nm | 20.0km/L | 1,790~1,820kg |
6代目 | 184ps&315Nm | 19.5~19.6km/L | 1,830~1,840kg |
【1.5Lターボ】FF、WLTCモード
出力 | 燃費 | 車重 | |
---|---|---|---|
5代目 | 150ps&203Nm | 13.6km/L | 1,680~1,700kg |
6代目 | 150ps&203Nm | 13.2~13.7km/L | 1,730~1,740kg |
乗り心地と静粛性が一段とアップした6代目ハイブリッド車
5代目と6代目のパワーユニットに大きな変化はない。だが、ハイブリッド用2.0Lエンジンは、高圧縮比化や吸気損失の低減など、徹底したフリクション低減によって熱効率が向上した。さらに、車速とエンジン回転数が連動した制御により気持ちよいエンジンフィールも追求している。他にも多くの部分が熟成されている。
・パワーコントロールユニット(PCU)の改良(バッテリー出力向上に寄与)
・インテリジェントパワーユニット(IPU)の改良(2列目シートのロングスライドの実現)
ハイブリッドシステムは改良されたが、燃費性能は若干ダウンしている。これは、全幅拡大などによる車重が重くなったことが影響していると考えられる。
ターボ車は、6代目のほうが車重は重くなっているもののほぼ同等レベルの燃費になった。1.5Lターボもエキゾーストポートやタービン、コンプレッサーを改良している効果が出ている。
力強さは両車互角
2.0Lハイブリッドは、スムースで力強い加速が魅力だ。6代目は、より静粛性が高くなっている。EV走行時の静粛性は、とても高い。エンジンが始動した時も同様だ。静粛性は5代目を上回る。
1.5Lターボは、両車共に十分なパワーをもつ。ハイブリッド車ほどの力強さは無いが、低回転から高いトルクを発揮するターボエンジンなので、街中では乗りやすいと感じるだろう。
5代目ステップワゴンスパーダの乗り心地は、しっかりとした味付けで車体の傾きを抑えたスポーティな走りが魅力だった。
6代目のハイブリッド車は、かなり乗り心地重視の仕様となっている。フロアまわりの剛性のアップや、リヤサスペンションのストロークを拡大させたことにより、サスペンションにしなやかさが増した。
5代目のような乗り味が好きな人は少々物足りなさを感じるかもしれないが、乗り心地は抜群に良くなっている。
6代目1.5Lターボは、5代目同様、少々硬めのフラットライドな乗り味となった。高速道路やカーブが続く山道では、1.5Lターボ車のような少し硬めのサスペンションの方が車体上部の揺れも抑えられていて、より気持ちよく走ることができる。
<レポート:大岡智彦>
おすすめは5代目か、それとも6代目ステップワゴンスパーダ?
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