日産エクストレイル新旧比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び
CORISM / 2023年4月16日 11時11分
後悔・失敗しないためのエクストレイル新旧比較
2022年、日産はエクストレイルを9年振りにフルモデルチェンジし4代目となった。4代目新型日産エクストレイルはT33型とも呼ばれる。
T33型新型エクストレイルの進化は劇的だ。先代モデルは、1モーター式の2.0Lハイブリッドと2.0Lガソリン車の設定だったが、T33型新型エクストレイルでは、可変圧縮比エンジン1.5Lの「VCターボ」を搭載したハイブリッド「e-POWER」のみとなった。
また、4WDシステムも後輪に大出力モーターを設置した「e-4ORCE」を設定。まったく異なるシステムとした。
劇的進化を果たした4代目新型エクストレイルは、3代目から何がどう変わったのか、新旧エクストレイルを比較評価。新旧エクストレイルの購入で、後悔・失敗しないための参考にしてほしい。
日産エクストレイルの歴史・概要
初代日産エクストレイル(T30型)は、2000年に登場した。タフギヤというキャッチフレーズと「4人が快適で楽しい、200万円の使える4駆」という開発コンセプトが支持され大ヒットを果たしている。エントリーグレードはFF車で185万円と、今では考えられないくらいの価格だった。
2代目エクストレイル(T31型)は、初代のキープコンセプトモデルだ。2008年には、2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載した2.0GTを投入している。
デビュー時は6MTのみの設定だったが、2010年のマイナーチェンジで6速ATが追加された。
四角くタフなオフローダー的デザインだからか、中古車でもとくにディーゼル車の人気が高い。
3代目エクストレイル(T32型)は、2013年に登場。従来の四角いオフローダー的デザインから、流行りの都会派SUVへと大きなデザイン変更があった。2015年には、1モーター式のハイブリッド車を投入している。初代・2代目エクストレイル顧客に支えられ、3代目エクストレイルもよく売れた。
2017年にはマイナーチェンジを果たしている。従来のタフギヤに加え、アドバンスド・テックがキャッチフレーズに加わった。これは、高速道路などで同一車線内を維持しながら全車車速で前走車に追従走行できる「プロパイロット」機能をアピールするものだ。当時は画期的な技術だった。
最新の4代目エクストレイル(T33型)は、2022年7月にデビューした。従来のタフギヤ、アドバンスド・テックに加えてRefined上質というキャッチフレーズが加わった。
さらに、日産のハイブリッドシステムであるe-POWERも一新され、可変圧縮比を実現したVCターボエンジンを搭載した。4WDシステムであるe-4ORCEは、後輪側に大出力モーターを設置した電動4輪駆動だ。
4代目エクストレイルは、こうした最新技術を多く搭載したことで、劇的進化を遂げている。
コンセプト&エクステリアデザイン比較
【4代目T33型エクストレイル】より大きく上質さを感じさせるデザイン
4代目エクストレイルのコンセプトは「新次元の4WDで悪路からシティまで、余裕を持て楽しむことができる上質な本格SUV」だ。デザインのポイントは「上質」である。
3代目エクストレイルのような複雑な線と面の組み合わせではなく、意外なほどシンプルにまとめられている。
フロントフェイスは、大きな顔に大きなグリルを組み合わせ、迫力を出し大きく見えるデザインとした。両サイド上部には、薄型のポジションランプが組み合わされている。基本的にEV(電気自動車)アリアと同じようなデザインテイストだ。
リヤコンビネーションランプのデザインは水平で大きくサイドに回り込み、よりワイドに見える。無垢のインナーレンズは、日本の伝統的な切子パターンからインスピレーションを得ている。精密でキラキラと光り輝く加工が施され、上質さを演出している。
サイドビューはルーフの長さが印象的だ。水平基調のストレートなルーフで、伸びやかな印象を与えている。また、「く」の字型で太いCピラーも個性的だ。
【3代目T32型エクストレイル】マイナーチェンジ前のモデルは、やや古さを感じさせる
対する3代目エクストレイルのデザインは、やや古く見える。2013年のデビューで、とくにマイナーチェンジ前のモデルは仕方がない部分もある。
Vモーショングリルも小さく、押し出し感もやや物足りない。だがフロントフェンダー部分の微妙な盛り上がりや、ボディサイドの面の張りは力強いSUV感を上手く表現している。
Vモーショングリルも小さく、押し出し感もやや物足りない。だが、フロントフェンダー部分の微妙な盛り上がりや、ボディサイドの面の張りは力強いSUV感を上手く表現している。
2017年のマイナーチェンジでは、日産デザインのアイコンであるVモーショングリルを大型化した。グリルからエンジンフードへとキャラクターラインを連続させることで、より迫力あるフェイスとタフネスさを表現している。やや濃い顔になったが、マイナーチェンジ前と比べると高級感や迫力が出ている。
安全装備&インテリア比較
【4代目T33型エクストレイル】さらなる進化に期待したい予防安全装備
4代目日産エクストレイルは、360°全ての方向の安全を確保する「360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用した。9年振りのフルモデルチェンジなので、予防安全装備は進化している。重要な自動ブレーキは、自転車や夜間の歩行者も検知できるようになった。
しかし、最新の自動ブレーキとしては、機能面でやや物足りない。すでにトヨタなどは昼夜の自転車と歩行者、昼間の自動二輪車まで検知が可能だ。加えて、右左折時の歩行者や右折時の対向車にも対応しているモデルもある。自動ブレーキ機能を活かしたアシスト機能(歩行者との距離が近ければ、歩行者との距離を取るようにステアリング操作を補助)などもある。
自動ブレーキ以外の予防安全装備は、グレードによってばらつきがあるのが惜しい。
例えば、SOSコール。エアバッグが展開するような事故に合った場合、自動で専門オペレターに通報し、警察や救急車の手配をしてくれる機能だ。
SOSコールは最上級グレードに標準装備されているが、その他のグレードではオプションもしくは装着不可だ。
以下の機能は、エントリーグレードのS系には装備されておらず、オプションでも装着できない。
インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)
BSW(後側方車両検知警報)
RCTA(後退時車両検知警報)
安全性能を重視するのであれば、S系グレードは選択肢から外したい。
【3代目T32型エクストレイル】 デビュー時から高い予防安全装備
3代目エクストレイルは、2013年にデビューしている。当時のモデルとしては高い予防安全装備を誇っていた。
自動ブレーキ(歩行者や車両を認識して衝突被害軽減できる)
BSW(後側方車両検知警報)
アラウンドビューモニター(カメラ映像を加工し俯瞰から見た映像に変換。周囲の障害物がひと目で分かる)
インテリジェントパーキングアシスト(駐車時の自動操舵で車庫入れや縦列駐車をサポート)
前期のモデルはほぼオプションだった。中古車の場合、こうした装備が装着されているか確認が必要だ。
2015年の改良では、早い段階で自動ブレーキを全車標準装備していた。
室内・インテリア比較
【4代目T33型エクストレイル】圧倒的な上質感と使い勝手の良さを誇る
4代目エクストレイルのインテリアは、タフさと上質な心地よさを兼ね備えたデザインとした。重厚さとワイド感が上手く表現されている。
インパネには革張りのようなソフトパッドが張られている。上質感は3代目エクストレイルと比べると圧倒的に高い。また、7インチのカラーディスプレイは、高級感もある。そしてコンソール部分を宙に浮かせたデザインも特徴的だ。
荷室容量は575Lだ。MクラスSUVの中で、トップレベルの広さをもつ。さらに、アウトドアで家電が使えるようになる100V/1,500Wのアクセサリーコンセントも上級グレードに標準装備した。災害などの停電時には、電気を供給する発電車になるので、不便さを軽減してくれる。
【3代目T32型エクストレイル】高い防水性能を誇る
3代目エクストレイルは、羽を広げたようなインパネデザインが特徴である。さすがに、デザイン的には古く見えてしまう。
防水ラゲッジや防水シートも装備している。濡れたものを積み込むことが多い場合は、4代目より使いやすい。
荷室の広さは550L(ガソリン車)もあり十分なレベルで、4代目と比べても遜色ないレベルだ。
燃費比較
大幅に燃費向上!
3代目、4代目エクストレイルの燃費は以下の通りだ。
4WD、WLTCモード | |
---|---|
3代目エクストレイルハイブリッド | 13.8km/L |
4代目エクストレイルe-4ORCE | 18.3~18.4km/L |
4代目エクストレイルの燃費は、3代目に対して30%以上も向上している。最新のシリーズハイブリッドシステムであるe-POWER効果だ。
e-POWERは、まさに日産の技術の賜物といえる。発電に徹するエンジンは、新開発の1.5L直3 VCターボだ。日産が世界初の量産を実現した、可変圧縮比エンジンである。圧縮比は、8.0〜14.0まで可変可能。大量の電力供給が必要な場合には、低圧縮比で出力をアップする。それほど電力を必要としないときには、高圧縮比で低燃費化に貢献する。
驚きなのは、非常に高い静粛性とキレイなエンジンサウンドだ。e-POWERシステムの制御はかなり洗練されていて、停止時にはほとんどエンジンが始動しない。走行中にエンジンが始動し発電するものの、耳を澄ましていないとエンジン音が聞こえないくらい、とにかく静粛性が高い。
直3エンジンのサウンドは、本来バラバラとした心地よいとは言えないものだった。だがVCターボには可変圧縮機能のリンクなどがあり、その効果でまるで直6エンジンのような心地よいエンジンサウンドになっている。しかも、直3エンジン特有の振動もほとんど感じなかった。
走行性能・乗り心地比較
走行性能の差は歴然。乗り心地も良い4代目
3代目、4代目エクストレイルの出力は以下の通りだ。
3代目エクストレイルハイブリッド | 188ps(システム出力)、147ps(2.0Lガソリン車 |
4代目エクストレイルe-4ORCE | フロントモーター204ps+リヤモーター136ps |
4代目エクストレイルの出力は、フロントモーター204ps+リヤモーター136psの組み合わせだ。前後のモーター出力を合算した数値がシステム最高出力にはならないので、それほど強力な加速をするクルマではない。パワフルさという点では、3代目エクストレイルハイブリッドとそれほど差はない。
ただし、100%モーター駆動なので、アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスの良さと出足の良さは格別だ。
また、4WD機能であるe-4ORCEもなかなか気持ちよい走りをアシストしている。前後左右のトルクを自在にコントロールしているので、カーブではとてもよく曲がる。しかも、自然な制御なので違和感もない。
3代目エクストレイルの4WD機能は、とにかく安定志向で走る楽しさは感じなかった。4代目でも安定志向に変わりは無いが、少しリヤタイヤを滑らせて走ることも可能だ。自らコントロールして走ることが出来る。
4代目エクストレイルの乗り心地は、3代目とは比べ物にならないほど快適だ。e-4ORCE制御で後輪側のトルクをコントロールし、減速時やカーブでも車体はフラットに保たれとても快適だ。
ただし、4代目エクストレイルの19インチタイヤ装着車は、多少タイヤのゴツゴツ感が伝わってくる。乗り心地をさらに重視するのであれば18インチタイヤ装着グレードがお勧めだ。
3代目エクストレイルハイブリッドには、41psという小さなモーターが組み合わされている。狭い範囲だがモーター走行も可能だ。スバル フォレスターのe-BOXERと比べると、よりハイブリッド車らしくアクセルレスポンスもよい。
<レポート:大岡智彦>
結論! おすすめは3代目エクストレイルか、4代目か? 続きをcar-topicsで見る
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