アバルト500e試乗記・評価 かわい過ぎるスポーツEV
CORISM / 2024年2月11日 18時20分
フィアットのスポーツモデルがアバルト
アバルトというブランド。50歳代以上のクルマ好きならば、当たり前のように知っているイタリアのスポーツブランドである。だが、40代以下となると知っている人は意外に少ない。と、いうのも20世紀後半から21世紀前半の15年くらいの間は、ブランドそのものが消滅していたからである。
それが、最近になってアバルトの注目度がグングンと上がってきている。アバルトが復活したころは、アバルトはフィアット車のチューニングバージョンという展開だった。今もその成り立ちは一緒なのだが、フィアット車ではなくアバルト車としてプロデュースしているところが一番のポイントだろう。
![アバルト500e リヤスタイル](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5181.jpg)
![アバルト500e フロントアップ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5236.jpg)
![アバルト500e リヤアップ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5211.jpg)
キビキビ感あふれるフィアット500eをさらに・・・?
そんなアバルト車の最新モデルが、BEV(電気自動車)の500eである。簡単に言ってしまえば、同じくBEVであるフィアット500eのアバルトバージョンなのだが、これがなかなかにくい乗り味である。
フィアット500eは2320mmという短いホイールベースを持つシャシに118馬力/220Nmのモーターを搭載し、フロントタイヤを駆動するモデルだ。現代の軽自動車のホイールベースが2500mm程度なので、2320mmのホイールベースがいかに短いものかはわかりやすいと思う。
クルマの基本特性は、ホイールベースとトレッドに大きく依存する。ザックリした言い方だが、短いホイールベースはキビキビとした元気な走りを得られる。フィアット500eはこの特性の権化のような存在であった。
そのフィアット500eのモーターパフォーマンスを155馬力/235Nmまでアップし、サスペンションやブレーキ、タイヤなどをチューニング。エクステリアも迫力のあるものとしたのがアバルト500eだ。ただでさえキビキビ元気だったフィアット500eは、アバルトとなってその元気さをさらにアップした。
![アバルト500e インパネ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5265.jpg)
![アバルト500e メーター](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5281.jpg)
![アバルト500e ボンネット](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5260.jpg)
かなり走りが楽しい電気自動車
アバルト500eは、eモードという走行モード切り替え機構が装備される。普通に走るときは「TURISMO(ツーリズモ)」、ワインディングなどでは「SCORPION STREET(スコーピオンストリート)」、もっともスポーティな走行が「SCORPION TRACK(スコーピオントラック)」。トラックとはサーキットの別称だ。
ツーリズモとスコーピオンストリートは、ワンペダルモードとなる。アクセルを緩めると強い回生が働き、完全に停止するまで減速が続く。減速に関しては同じフィールだが、加速感はスコーピオンストリートのほうが断然強い。つまり、スコーピオンストリートは強い加速と強い回生、ツーリズモは普通の加速と強い回生が得られる。
スコーピオントラックに切り替えると、加速力はスコーピオンストリートと同程度ながら回生が効かないようになる。なんでトラックだと回生を効かせないのかは疑問である。トラック、つまりサーキットを速く走りタイムを縮めるのであれば、強い回生を生かしたブレーキングが有効なはずである。
サスペンションまわり、ブレーキ、タイヤのグレードアップによってハンドリングの引き締まり感も上がっている。元々のショートホイールベースでキビキビしたハンドリングはさらに強調されている。
フィアット500eでも、日本の自動車メーカーはこんな思い切ったクルマを作ることはできないだろうなあ、と本気で感じさせるハンドリングなのに、それが2まわりくらい強調されている。ミニサーキットやタイトなワインディングで走ったらかなり楽しいタイプのセッティングだ。
![アバルト500e フロントシート](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5310.jpg)
![アバルト500e リヤシート](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5322.jpg)
![アバルト500e ドライブモードコントローラー](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5295.jpg)
充電用アダプターが巨大すぎる!?
残念なのは、クルーズコントロールがACCではなく速度を一定に保つタイプだということ。軽自動車でもACCが付く時代だけにここは頑張ってもらいたい。
そして、CHAdeMOの急速充電器に接続するためのアダプターの大きさ。寺沢武一のコミック「コブラ」の主人公が左手にはめるサイコガンのようなシルエットのアダプターは、もはやアダプターではなく、充電機器のレベル。ラゲッジスペースからこれを出してつなげるのはちょっと……なあである。
レポート:諸星陽一
![アバルト500e 充電アダプター](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/D55A5403.jpg)
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アバルト500e価格
・Abarth 500e Turismo Hatchback 6,150,000円
・Abarth 500e Turismo Cabriolet 6,450,000円
・Abarth 500e Scorpionissima Hatchback(150台限定) 6,300,000円
・Abarth 500e Scorpionissima Cabriolet(50台限定) 6,600,000円
アバルト500e航続距離、電費、ボディサイズなどスペック
代表グレード アバルト500e Turismo Hatchback
全長×全幅×全高 3,675mm×1,685mm×1,520mm
ホイールベース 2,320mm
トレッド(前/後) 1,470mm/1,460mm
車両重量 1,360kg
フロントモーター最高出力 114kW(155ps)/5,000rpm
フロントモーター最大トルク 235N・m/2,000rpm
一充電走行距離(WLTCモード) 303㎞
バッテリー容量 42.0kWh
電費 約7.2kWh
電力用主電池 リチウムイオンバッテリー
駆動方式 FF(前輪駆動)
サスペンション 前:ストラット、後:トーションビーム式
タイヤ 前後 205/40 R18
最小回転半径 5.1m
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