ボルボXC40 リチャージ試乗記・評価 後輪駆動化の恩恵で、よりスッキリ系ハンドリングへ!
CORISM / 2024年2月18日 12時12分
前輪駆動から後輪駆動になったXC40リチャージ
トヨタ カローラレビン&スプリンタートレノは、AE86からAE92になったときにFRからFFになった。このように、フルモデルチェンジのタイミングで駆動方式が変更になるのはよくある話だ。しかし、ボルボXC40リチャージは2023年3月のマイナーチェンジで駆動方式をFWDからRWDに変更した。こんなこと前代未聞である。
ちょっと話が逸れるが、エンジン車の場合はフロントエンジン-フロントドライブでFFという表現をする。これは、クルマの構成部品のなかでエンジンがかなりの重量物で、どこにエンジンが積まれるかが重要なポイントだ。なので、FFという表現を使う。
ところが、電気自動車の時代になると重いのはバッテリーであってモーターではない。そうなるとモーターがどこに配置されるかはあまり大きな問題ではなくなる。そのため、私は電気自動車の場合は、フロント-ホイール-ドライブの略であるFWDを使っている。
昔のクルマは、多くがFRであった。これは駆動輪と操舵輪を分けたほうが設計しやすかったからである。しかし、時代が進むとクルマはどんどんFF化されるようになった。エンジンもミッションもすべてボンネット内に収めることで、室内空間の拡大をねらったからだ。
FF→FRは、クルマの進化のうえで大きな流れとなった。数少ない逆の流れとなったのはGMのキャディラックで、一時期キャディラックはFF化が進んだが、はやり車格と合わない、欧州でのブランド価値の向上などを理由にFRに戻している。
エンジン車に比べれば、電気自動車の場合、FWDからRWDに変更するのは容易だろう。だが、それでも思い切って駆動方式を変えたのは英断とも言っていいほどの出来事だ。
![ボルボXC40リチャージ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2024/02/MRO_3603.jpg)
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よりハイパワーなモーターと、容量をアップしたバッテリーを搭載
また、今回XC40リチャージのRWD化に当たっては、サプライヤー製であったモーターをボルボ内製に変更したという情報も流れている。
この変更によってモーターのスペックは170kW/330Nmから175kW/418Nmに向上。バッテリー容量も69kWhから73kWhと増加している。
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後輪駆動だからできたスッキリ系ハンドリング
ボルボC40リチャージを走らせると、まずはRWDの恩恵であるステアリングまわりのすっきり感を味わえる。エンジンに比べてモーターは雑味がないのでEVの場合はFWDでもスッキリしたフィールになりがちだが、やはりそのモーターすらないのはじつに好感度が高い。フォルクス・ワーゲンのID.4もRWDの駆動方式を採用していて、同じように好感度がある。
XC40リチャージは、モーターのスペックが向上しているだけあり、加速感も力強いものだ。アクセルをグィっと踏むと、エイヤーと力強い加速を得られる。420Nmものトルクがあり、それがモーターが動き出した瞬間からタイヤに伝わるのだから、当たり前といえば当たり前だ。しかし、まだエンジン車のフィーリングが残っているこの身体だと驚きを感じることもできる。おとなしい顔に似合わない力強い加速感である。
ハンドリングもシャープで気持いい。コーナーに向かってステアリングを切り込んでいったときの向きの変え方はもちろんだが、それにも増してコーナーから脱出する際の正確さに関心させられる。
80km/h程度での車線変更も快適にこなすが、それ以上に加速しながらの動きがいい。ほんとうに雑味のないスッキリとしたハンドリングである。これらの動きはRWDだからこそ実現できているものだと言える。
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よりコースティングを使う制御に変更。ならば、パドルシフトが欲しい
電気自動車(BEV)の大きな特徴といえるのが、ワンペダルドライブだ。従来のXC40リチャージはアクセルを緩めると減速し停止までするというワンペダルモードであった。
だが、このマイナーチェンジ後のモデルにはオートモードというワンペダルモードが設定された。オートワンペダルは、先行車などがいない場合にはコースティング状態となるというもの。
コースティングによってムダをなくそうというのは分かるのだが、先行車がいなくても回生を効かせたいことはある。オートを設定するならマニュアルも同時に設定するべき。やはりパドルなどで、回生量を調整できるのは電気自動車(BEV)には大切な機構だと再認識した。
レポート:諸星陽一
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ボルボXC40リチャージ価格(2024年モデル)
・XC40 Recharge Plus Single Motor 6,790,000円
・XC40 Recharge Ultimate Single Motor 7,190,000円
ボルボXC40リチャージ航続距離、電費、ボディサイズなどスペック
代表グレード XC40 Recharge Ultimate Single Motor
全長×全幅×全高 4,440mm×1,875mm×1,650mm
ホイールベース 2,700mm
トレッド(前/後) 1,600mm/1,610mm
車両重量 2,030kg
モーター型式 CCADE
フロントモーター最高出力 175kW(238㎰)/4,000-5,000rpm
フロントモーター最大トルク 418Nm(42.6㎏-m)/1,000
一充電走行距離(WLTCモード) 590㎞
バッテリー容量 73.0kWh
電費 約8.1kWh
電力用主電池 リチウムイオンバッテリー
駆動方式 後輪駆動
サスペンション 前:ストラット、後:マルチリンク式
タイヤ 前後 前:235/45R20 後:255/40R20
最小回転半径 5.7m
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