トヨタ スープラ新車情報・購入ガイド 好きか? 嫌いか? 賛否両論あってこそ、本物のスポーツカー
CORISM / 2019年5月25日 16時6分
いずれ、スープラのオープンボディも?
トヨタから、新型スープラが発売された。スープラについては、すでにさまざまな情報がリークされている上、プロトタイプ車の試乗記事なども出ている。またディーラーなどでは予約を申し込むユーザーに対して価格情報も出しているので、今さら何を発表するのがという感じながら、正式発表を機に改めてスープラについてレポートしておこう。
ちなみに、トヨタのマーケティング活動上はGRスープラを名乗るらしいが、国土交通省に届け出た車名は単にスープラであるので、ここではスープラとして表記しておく。
今回のスープラは、BMWとの提携から生まれたモデルである。トヨタとBMWは包括的な提携を結んでいて、トヨタから燃料電池技術などを提供しているのに対し、BMWからはヨーロッパで販売するトヨタ車用にディーゼルエンジンを供給してもらったりしていた。今回は、BMWからZ4の姉妹車をスープラとして供給してもらうことになった。
生産はBMWが直接担当するのではなく、さまざまなメーカーの小量生産車の生産を請け負っているオーストリアのマグナ・シュタイヤー社グラーツ工場で行われ、船便で日本に運ばれて、トヨタの元町工場で点検・検査などを実施した上でディーラーにデリバリーされる仕組みになっている。
トヨタがBMWとの提携によってスープラを復活させたのは、スポーツカーを独自開発しても多くの販売台数が見込めるわけではなく、採算に乗らないからだ。スバルとの提携から生まれた86/BRZも基本的に同じである。
スープラの場合には特に、スポーツカー用に直列6気筒エンジンを搭載したいが、これを独自に開発するのは経営的にも事実上無理。直列6気筒エンジンを持つBMWから供給を受けるのが合理的という判断だった。
スープラはZ4の姉妹車だが、スープラがクローズドボディのクーペだけの設定になっているのに対し、Z4はオープンボディだけの設定で差別化が図れている。ただ、スープラにしてもZ4にしても、過去の歴史を見ると、後からオープンボディやクローズドボディを追加してきた歴史があるから、今回のモデルでもいずれは追加モデルが設定されるかもしれない。
スポーツカーのデザインは、好き嫌いが明確に出る方がよい?
新型トヨタ スープラの外観デザインは、すでに公開されている写真の通り。筋肉質のボディを感じさせるアグレッシブなデザインと言って良いだろう。ただ、これがカッコ良いかと聞かれたら、う~んとうなってしまう。お世辞にもカッコ良いとは言いにくい。まあデザインに関しては個々のユーザーの好き嫌いによる部分が多いから、あまり言いたくないが、ちょっとどぎつい感じのフロント回りが特に気に入らない。
デザインに関しては、見ているうちに慣れてくるし、ほかに新しいデザインのクルマがいろいろ出てくるとまた印象が変わったりすることもあるだろう。いずれにしても、スープラのデザインの長所は、好き嫌いがはっきりするデザインであること。
スポーツカーのデザインが誰にでも好かれるような当たり障りのないものであったら、そんなクルマは絶対にヒットしない。賛否両論を巻き起こすくらいのデザインは評価されるべきである。
FRスポーツカーらしいシルエットをもつ新型スープラ
スープラのデザインがどのように作られたかというと、直列6気筒エンジンを搭載するFRのスポーツカーであることが基本である。ロングノーズ・ショートキャビンのいかにもスポーツカーらしいデザインはこれから生まれた。
またショートホイールベースと大径タイヤによるサイドビューもスポーツカーであることを強調するものだ。スポーツカーとしてのパッケージングや車両レイアウトが端的に反映されたデザインといっても良いだろう。
エアロダイナミクスに関しては、リフトを抑えることに特化したデザインとされ、前後の空力バランスはスポーツカーとして最適なものとされているという。ルーフは運転席と助手席の頭上部分を盛り上げたダブルバブルルーフとされていて、これも空気抵抗の低減に貢献している。またフェンダー部分のデザインなどには、トヨタ2000GTや先代スープラが採用したトヨタ車歴史も反映されているという。
インテリアもスポーツカーらしさにあふれたものだ。運転席に座ると窮屈なくらいに包まれ感を感じさせるタイトな空間が作られている。上下に薄く水平に軸の通ったインパネの基本形状は、ハイスピード時の見晴らし性や車両の姿勢変化のつかみやすさを考慮したものだ。タコメーターやシフトインジケーターなど、スポーツ走行に必要な情報をセンターに集約し、小径ステアリング越しに自然にフォーカスできるメーターレイアウトとした。
ドライバー正面に集中配置されたメーターやステアリングスイッチなどの視認・操作系のエレメントをドアトリムからコンソールのニーパッドまで繋げる新しいコクピット様式を採用したのも特徴である。腰部を中心に身体を保持するホールド性にこだわったハイバック構成のシートは、インテリアデザイナーの実体験に基づいたもので、サーキット由来として理由を持つこだわりの形状とのこと。
抜群のハンドリングマシンとして必要だったディメンションとは?
ボディサイズは、2シーターに割り切ったこともあって、全長は86よりも100mmも短いコンパクトカー並みの4380mmに抑えられているが、全幅は1865mmとワイド。全高は1300mm以下と低く抑えられている。最低地上高も112mmまたは118mmで、これもかなり低めの設定だ。
ピュアスポーツに徹したクルマとして、卓越したハンドリングや安定したコーナリング姿勢を実現するため、「ホイールベース」「トレッド」「重心高」の3要素を最重要ファクターと捉えて理想を追求した。
ホイールベースとトレッドの比は1.55とされていて、ほかの量産スポーツカーと比較してもトップレベルの小さい数値を達成した。これは優れた回頭性に寄与する要素だ。重心高にも徹底的にこだわり、水平対向エンジンを搭載した86よりもさらに低い重心高を実現している。
3.0L直6ターボの他に、出力違いの2.0Lターボを2タイプ用意した新型スープラ
搭載エンジンは2機種。セリカXXの時代から搭載してきた伝統の直列6気筒エンジンを頂点に、直列4気筒エンジンの搭載もある。直列6気筒は3.0Lの直6 3.0Lツインスクロールターボ仕様で、250kW(340ps)の最高出力を発生するとともに、500N・mの最大トルクをわずか1600rpmという低い回転数で発生する。アクセルペダルの操作に応じた思い通りの加速が味わえるエンジンだ。
直列4気筒エンジンは、チューニングの異なる2つの2.0Lツインスクロールターボ仕様を搭載した。ハイパフォーマンス版のエンジンは、最高出力190kW(258ps)/400N・mを発生し、標準版のエンジンも145kW(197ps)/320N・mを発生する。トランスミッションは3.0Lエンジンも含めて全車に8速のスポーツATが組み合わされる。
アルミ製サブフレームを採用した軽量サスペンション
サスペンションは、バネ下重量の低減のほか、高い組み付け剛性を実現するなど、精微な車両コントロールを追求して新設計された。フロントのマクファーソンストラット式サスペンションとサブフレームはアルミニウム製とすることで前後重量配分の適正化に寄与し、後輪にはマルチリンク式を採用した。
一部グレードにアダプティブバリアブルサスペンションシステムを設定し、選択中の走行モードや路面状況に応じて4輪のショックアブソーバーの減衰力を連続的に最適に制御し、走りと乗り心地を高い次元で両立させている。
同様に一部グレードに設定のアクティブディファレンシャルは、VSC(車両安定性制御システム)と連携しながら、電子制御多板クラッチによって後輪左右間のロック率を0~100の範囲で連続的に最適制御し、高いコーナリング速度と安定性、ニュートラルなステアリング特性を実現するものだ。
タイヤは設定される3グレードとも前後異サイズで、グレードに応じて19インチの35タイヤ、18インチの40タイヤ、17インチの50タイヤが装着されている。
充実した安全装備とコネクティッドサービスを提供する新型スープラ
新型スープラには、充実した先進の安全装備も用意されている。今やスポーツカーでも、安全第一の時代なのだ。昼間の歩行者に加え自転車の運転者を検知し、衝突回避支援または被害低減を図るプリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)を始め、隣車線の死角を走る車両を検知するブラインドスポットモニター、前方車両の追従走行を支援する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)、車線を逸脱しそうな際にステアリング操作をアシストするレーンディパーチャーアラートなどがそれだ。
さらに、車載通信機DCMを全車に標準搭載し、スープラ専用のコネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」を提供する。専用のスマホアプリなどから車両の遠隔操作、確認ができるリモートサービスのほか、バッテリーの電圧低下を自動的にメールでお知らせするバッテリーガード、運転中に端末に触れることなくiPhoneを操作することができるApple CarPlayにも対応している。
新型トヨタ スープラのグレード選び。お勧めは?
新型スープラのグレード構成は、RZ、SZ-R、SZというシンプルな3グレードの構成だ。先に紹介した3機種のエンジンごとにグレードが設定されている。価格はベースグレードとなるSZが490万円、ハイパフォーマンス仕様の2.0Lエンジンを搭載するSZ-Rが590万円、3.0Lエンジンを搭載する最上級グレードのRZが690万円という設定だ。前述したアダプティブバリアブルサスペンションシステムとアクティブディファレンシャルはRZとSZ-Rに設定されていて、SZには設定がない。
グレード間の装備の違いはあまり多くはないが、シートがRZとSZ-Rはアルカンターラ+本革のパワーシート、ヒーター付きシートになるのに対し、SZではマニュアル操作のファブリックシートになる。これはやや大きな違いだ。
ブレーキはRZのみブレンボ製となり、ペダルもスポーツペダルが装備される。ほかにRZとSZ-Rはカラーヘッドアップディスプレーが装備され、インテリアにカーボン製のオーナメントパネルが採用される。「Toyota Supra ConnectのHDDナビゲーション」は全車に標準である。
[caption id="attachment_25727" align="alignright" width="210"] セリカXX[/caption]
BMW製のモデルということもあって価格的にはかなり高めの印象もあるが、スポーツ性を徹底追及したスポーツカーの価格としては納得モノと考えるべきなのだろう。
グレードによって100万円ずつ予算が変わるので、お勧めグレードといっても難しい面があるが、発売直後の今の時点で考えたら、やはり直列6気筒エンジンを搭載するRZがイチ推しだろう。これが最もスープラらしいモデルといえるからだ。
次いでSZ-R、SZの順になるが、SZは単にスポーツカーの雰囲気を味わいたいだけの人向きのグレードといった印象だ。RZに手が届かない場合でもSZ-Rを選んでおきたい。
<レポート:松下 宏>
新型トヨタ スープラ価格
・スープラSZ 4,900,000円
・スープラSZ-R 5,900,000円
・スープラRZ 6,900,000円
新型トヨタ スープラ燃費、出力、ボディサイズなどスペック
■代表グレード スープラRZ
[caption id="attachment_25728" align="alignright" width="210"] セリカXX[/caption]
全長(mm) 4,380 全幅(mm) 1,865 全高(mm) 1,290
ホイールベース(mm) 2,470
トレッド フロント(mm) 1,595 リヤ(mm) 1,590
最低地上高(mm) 112
車両重量(kg) 1,520
[caption id="attachment_25729" align="alignright" width="210"] スープラ[/caption]
乗車定員(人) 2
エンジン 直列6気筒DOHCツイン・スクロール・ターボチャージャー
排気量(cc) 2,997
最高出力(kW[PS]/rpm) 250[340]/5,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 500[51.0]/1,600-4,500
[caption id="attachment_25730" align="alignright" width="210"] スープラ[/caption]
トランスミッション 8速スポーツAT
WLTCモード燃費(km/L) 12.2
サスペンション F:マクファーソンストラット R:マルチリンク
ブレーキ F:ベンチレーテッドディスク4ポッド対向アルミモノブロックキャリパー アルミフローティングキャリパー R:ベンチレーテッドディスクフローティングキャリパー アルミフローティングキャリパー
タイヤ F: 255/35ZR19 R:275/35ZR19
スポーツカー新車情報・購入ガイド一覧
スポーツカー試乗記・評価一覧
トヨタ GRスープラ試乗記・評価一覧
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