ダイハツ タント新車情報・購入ガイド 打倒N-BOXの大本命登場!
CORISM / 2019年7月12日 10時58分
負け続けた3代目タントの借りを返す! 打倒ホンダN-BOXの宿命を背負った新型タント
ダイハツは、スーパーハイト系の軽自動車であるタントをフルモデルチェンジし発売を開始した。新型ダイハツ タントは、このモデルで4代目となる。
現在、軽自動車の人気カテゴリーは、タントのようなスーパーハイト系。少し前までは、ムーヴのようなハイト系が主流だった。しかし、2012年度頃からマーケットは急変する。それは、初代ホンダN-BOXが登場してからだ。N-BOXは、瞬く間に軽自動車新車販売台数ナンバー1を獲得する。
すでに、2003年に初代タントを投入していたダイハツは、販売面でN-BOXに煮え湯を飲まされていた。しかし、3代目タントが2013年に登場。ミラクルオープンドアなどが評価され、販売台数はイッキにアップ。2014年度の軽自動車新車販売台数では、N-BOXを抜きナンバー1の座を奪取している。しかし、その後、タントはN-BOXに再びナンバー1の座を奪われたまま4代目新型タントにバトンタッチすることになった。
DNGAの採用で基本走行性能を向上
打倒N-BOXが最大のテーマとなる新型ダイハツ タント。そこで、ダイハツはプラットフォームをゼロベースから開発した。ダイハツの新世代のクルマづくりである「DNGA(ダイハツ ニュー グローバル アーキテクチャ)」による第1弾のモデルになった。
DNGAにより、サスペンションや骨格の部品配置をゼロベースで再構築しプラットフォームを新開発した。軽自動車の走行性能は物足りないという顧客の声に対して、操縦安定性、乗り心地の性能を最大限引き出すため、サスペンションアレンジを最優先で設計。衝突安全性、NV性能、ボディ強度も大幅に向上した。こうした設計により、曲げ剛性を従来比約30%向上。さらに、ハイテン材の活用や構造合理化により、プラットフォームを含むボディ骨格全体で約40㎏の軽量化も実現した。軽量化は、燃費向上に直結する。
新開発D-CVT採用などで、加速感や燃費性能を向上
新型ダイハツ タントに搭載されたガソリンエンジンは、660㏄の直3DOHCエンジンで、自然吸気とターボの2タイプが用意された。マイルドハイブリッドなどの電動化技術は投入されていない。電動化技術を投入すると、車両価格が高価になる。ダイハツは、燃費より安価な車両価格を優先する傾向にある。自然吸気エンジンの出力は、52Nm&60Nm。ターボは64ps&100Nmとなった。
このKF型エンジンには、日本初となる複数回点火(マルチスパーク)の採用や、燃料噴射方法の改良(スワール噴霧)により、燃焼効率を向上。さらに、自然吸気エンジンでは、軽自動車初となる排ガス5☆(平成30年排ガス基準775%低減レベル)を実現している。
このKF型エンジンと組み合わされたのは、世界初のスプリットギヤを用いた新開発のCVT「D-CVT」だ。このCVTは従来の「ベルト駆動」に加え、より伝達効率の良い「ベルト+ギヤ駆動」が可能となった。とくに、高速域では「ベルト+ギヤ駆動」となり、伝達効率を約8%向上している。同時に変速比幅もワイドになり、低速域でのパワフルでスムーズな加速と、高速域でのエンジンの回転を下げ、伝達効率もアップさせて低燃費で静かな走りを実現している。エンジンや新CVTの投入で、加速度を約15%向上し、より力強い加速を可能とした。
この新開発のCVT効果もあり、新型タント自然吸気エンジンの燃費は27.2㎞/L(JC08モード)となった。ただし、先代タントの燃費は28.0㎞/L。軽量化され高効率なCVTが採用されているのに、先代より燃費が悪化している点が謎である。ターボ車の燃費は、25.2㎞/Lになっている。
軽量化で走りの質を向上
タントなどのスーパーハイト系は、全幅が狭いのに全高が異様に高いという非常にバランスの悪いディメンションになっている。そのため、重心が高くなりカーブでフラフラするし、横風にも弱い。そのため、スーパーハイト系の走行性能は向上させるのは難しい。
新型ダイハツ タントでは、「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能を重視。サスペンションジオメトリ(足回り部品の配置、角度など)をゼロから再構築した。また、部品点数削減や構造合理化、ハイテン材の採用により、足回り全体で約10㎏の軽量化を実現。
その結果、優れた操縦安定性とフラットな乗り心地を実現。また、ブレーキブースターを最適チューニング。女性や高齢者など、踏力が少ない方でも楽に踏むことができるブレーキ性能を実現し運転しやすさに貢献している。
また、スーパーハイト系はファーストカーとして使用されることも多く、快適性や静粛性は重要な要素になっている。そのため、新型タントでは車体形状の工夫や、ボディ表面の隙間、段差の低減により、車体に沿ったスムーズな風の流れにすることで、風切り音を低減。さらに、製造作業用の穴の数を減らし、防音材を最適配置したことで、ロードノイズなどが車内に侵入することを低減し静粛性を高めている。
マイルドになったタント カスタムのデザインは〇か? ✖か?
新型ダイハツ タントのデザインは、従来通り基準車とカスタムの2タイプが用意された。基準車は、女性を意識したもので、やや丸みのある塊感で可愛らしいフォルムを作り出した。
対して人気のタントカスタムは、少々意外なデザインになった。先代のギラギラ&オラオラ系の売れるとされたデザインから、少々マイルドになった印象が強い。フルLEDヘッドランプを使ってギラギラ感を出したり、下部をワイドにしてより顔の大きさと低重心感をアピールするバンパーデザインなど、手法は同じ。しかし、ヘッドライトが丸みを帯びたことや、メッキパーツの量が少なくなったことで、やや可愛らしくなっている。
ライバルN-BOXも2代目になり、カスタムは先代に比べやや柔らかい顔に変化した。こうしたこともあり、カスタム系のトレンドが変化したということなのだろうか。マーケットで、どんな評価となるのか注目したいところだ。
インテリアのインパネデザインは、水平基調で広さ感をアピールする手法が使われている。全体的に立体感がありコッテリとしたデザインになった。センターコンソール付近に操作系スイッチを集中させるなど、操作性は高い。
機能的になった室内
また、あえて流行りのタッチパネルを使って無い点も好感が持てる。タッチパネルの操作は、揺れる車内では確実な操作がしにくく、指先を注視してしまい、結果的に前方監視がおろそかになり、安全運転面では疑問が残る。ダイヤル式やスイッチなら、慣れればブラインド操作が可能だ。メーター類は、大きな表示サイズのデジタルメーターを採用。
また、Aピラーがかなり細くなったのもポイント。細くなったことで、斜め前の死角がへり、運転しやく安全運転にも貢献する。視界の良さは、安全運転で重要な要素だ。
最大540mmものスライドを可能とした運転席
そして、新型ダイハツ タントの大きな魅力が優れたパッケージングだ。左側のBピラーを無くしたミラクルオープンドアの魅力を生かし、使い勝手のよい機能が投入されている。
まず、世界初の運転席ロングスライドシートが採用された。運転席を最大540mmもスライドを可能とした。運転席と後席間の移動や、停車時など運転席に座ったまま後席の子供の世話をしたり、後席の荷物を取ることが可能となった。当然、安全面も重視されており、ロングシートスライドはシフトポジションがPレンジの場合のみ可能。
軽自動車に、なんとイージークローザーを装備した新型タント
そして、タントのようなスーパーハイト系は、利便性が高いスライドアだ。パワースライドドアは、もはや当り前の装備になった。今回新型タントでは、軽自動車初となる助手席イージークローザーが用意された。半ドア状態でも自動でドアが閉まる。
その他、軽自動車初タッチ&ゴーロック機能も用意。この機能は、パワースライドドアが閉まりきる前に、フロントドアハンドルのタッチ式リクエストスイッチに触れることで、ドアロックを事前に予約することが可能。ドアが完全に閉まる前に車から離れることができる。
軽自動車初の機能は、まだまだある。ウェルカムオープン機能も用意。降車の際、インパネに設置したスイッチを押すと、買い物などを終えクルマに戻ったとき両手が荷物でふさがっていても、車両に近づくだけで、パワースライドドアが自動で開くという利便性が高い機能だ。
高齢者にも優しい装備も充実
新型タントは、高齢者にも優しい。高齢者の乗り降りをサポートするラクスマグリップとミラクルオートステップを用意。ラクスマグリップは、助手席側フロントピラーに取り付けるタイプと、運転席/助手席のシートバックに取り付けるタイプのグリップを新開発。足腰に不安のある人でも安心して乗り降りができる。
ミラクルオートステップは、1,170mmのロングステップを助手席側に設定。ラクスマグリップと組み合わせることで、様々なシーンでの乗り降りをより容易にしている。ステップは、助手席ドアと助手席側スライドドアの開閉に連動し、電動で展開/格納する。こうした装備は、ユーザーのライフステージの変化に合わせ、購入後でも装着できるようディーラーオプションで設定されている。
高性能な予防安全装備だが、全車標準装備化されておらず残念
新型ダイハツ タントの予防安全装備は、大幅に進化した。歩行者検知式自動ブレーキなどの他に、「車線逸脱抑制制御機能」や軽自動車初「ADB(アダプティブドライビングビーム)」、「標識認識機能(進入禁止)」、「ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)」などが用意されている。
運転支援機能「スマートアシストプラス」として、「全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」、「LKC(レーンキープコントロール)」、軽自動車初駐車支援システム「スマートパノラマパーキングアシスト、「サイドビューランプ」などが用意されている。
これだけの予防安全装備などは、高級車並みといえるものとなった。ダイハツ予防安全装備スマートアシストを高く評価したい。
しかし、残念なことの1グレードのみだが、スマートアシストが装備されていないグレードがある。価格を少しでも安くして、顧客を誘引したいという営業側の思惑が透けて見えるグレードだ。
そもそも、クルマは扱い方を間違えば、人を殺す道具になる。そんな道具を売る自動車メーカーは、テクノロジーの進化でこうしたリスクを回避できるようになったのなら、積極的に全車標準装備化する責任がある。しかも、新型タントは、安全をウリにしている。安全でないグレードを売りながら、安全をウリにするのはつじつまが合わない。
新型ダイハツ タントのグレード選び
新型ダイハツ タントのグレード選びは、まず基準車かカスタムかを選択したい。デザインの好き嫌いで選んでもよいが、注意したいのは装備。装備は圧倒的にカスタムの方がよい。より、豪華装備が欲しいというのであれば、カスタムから選ぶことになる。もちろん、装備がよいだけありカスタムの価格はなかなか高価。最上級グレードのカスタムRSは1,749,600円だ。
エンジンの選択は、ターボがお勧めだ。新型タントは、大幅な軽量化が施された。しかし、それでも車重は900㎏を超えてくる。こうなると、自然吸気エンジンでは、急な登り坂や高速道路などでは、力不足を感じることが多くなる。とくに、ファーストカーとして購入し、色々と出かけたいなどという人なら、尚更余裕ある走りができるターボモデルがお勧めになる。
残念なのは、高速道路などでの渋滞時に便利で疲労軽減になる全車速追従機能付ACCが基準車のXターボとカスタムRSにしかオプション設定されていない。この機能が欲しい場合、ターボモデルを買うしかないのは残念なポイントだ。
新型タントのグレードは、意外とシンプル。基準車はX、カスタムもカスタムXと呼ばれる中間グレードをベースに、必要な装備の有無を検討すると選びやすいだろう。
ダイハツ タント価格
・L(スマートアシスト非装着車) 2WD 1,220,400円/4WD 1,344,600円
・L 2WD 1,306,800円/4WD 1,431,000円
・X 2WD 1,463,400/4WD 1,587,600円
・X ターボ 2WD 1,560,600円/4WD 1,684,800円
・カスタム L 2WD 1,549,800円/4WD 1,674,000円
・カスタム X 2WD 1,668,600円/4WD 1,792,800円
・カスタム RS 2WD 1,749,600円/4WD 1,873,800円
ダイハツ タント燃費、ボディサイズなどスペック
■代表グレード:タント カスタムRS
ボディサイズ 全長 3,395×全幅 1,475×全高 1,755mm
ホイールベース 2,460mm
最小回転半径 4.7m
車両重量 920kg
乗車定員 4名
エンジン型式 KF型
エンジン種類 直列3気筒12バルブDOHCインタークラーターボ
総排気量 658cc
エンジン最高出力 47kW(64PS)/6,400rpm
エンジン最大トルク 100Nm(10.2kg・m)/3,600rpm
トランスミッション CVT
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費 25.2km/L
WLTCモード燃費 20.0km/L
サスペンション 前:マクファーソン・ストラット式 後:トーションビーム式
タイヤサイズ 165/55R15
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