ホンダ ヴェゼル新車情報・購入ガイド 価値ある小さな高級SUVへ
CORISM / 2021年4月23日 20時9分
3年連続SUV販売台数ナンバー1になったヴェゼルがフルモデルチェンジ
ホンダは、コンパクトSUVのヴェゼルを約8年振りにフルモデルチェンジし発売を開始した。このフルモデルチェンジで、ヴェゼルは2代目となっている。
初代ホンダ ヴェゼルは、2013年に3代目フィットのプラットフォーム(車台)をベースに開発された。コンパクトなボディサイズとクーペ風のスタイリッシュなデザイン、低燃費なハイブリッドシステムなどが評価され大ヒットモデルとなった。
その人気は非常に高く、デビュー直後の2014~2016年には3年連続で 暦年SUV新車販売台数ナンバー1となる。さらに、モデル後期でも衰えを知らず、2019年 暦年SUV新車販売台数ナンバー1となった。まさに、ホンダの国内販売を支える大黒柱へと成長した。
ホンダにとって、2021年度はとくに2代目ヴェゼルへの期待は非常に大きいものとなている。その理由は、2020年度最繁忙期である2~3月にフィットが低迷したからだ。なんと、モデル末期のフリードに、販売台数で2ヶ月連続で負けている状態だ。これは、ホンダにとっても想定外といえるものだったろう。
個性的なインテグレーテッドグリルは、好き嫌いが分かれる?
そんな大きな期待を背負い2代目新型ホンダ ヴェゼルは、ついに国内デビューした。優れた機能やスペックだけでなく、プラスアルファの体験価値を提供できるクルマをつくるために「AMP UP YOUR LIFE」グランドコンセプトに開発されている。
2代目新型ヴェゼルのボディサイズは、e:HEV Z (4WD)で全長4,330×全幅1,790×全高1,590mmとなった。先代ヴェゼルのハイブリッドZのボディサイズが、全長4,330×全幅1,770×全高1,605mm。全長は同じ。全幅が+20mm、全高は-15mmとなっており、よりワイド&ローとなった。
2代目新型ヴェゼルのデザインは、クーペライクなプロポーションを際立たせながらも、全席で爽快な視界を提供するための「スリーク&ロングキャビン」を採用した。サイドのラインを前後に貫かせた、水平基調のデザインとしている。
ただ、サイドビューは、初代ヴェゼルと比べるとクーペ感がやや薄まった印象。しかし、細く水平でワイドなリヤコンビネーションランプは、ワイド感をアピール。SUVらしい、ドッシリとした安定感がある。
フロントフェイスの特徴は、ボディとの一体感を高めたインテグレーテッドグリルデザイン。ユニークなデザイン手法で、ひと目で2代目新型ヴェゼルと分かるポイント。ただ、スッキリとまとまっている分、他の一般的なSUVのような押出し感や迫力などはあまり感じさせない。こうした部分は、少し好き嫌いが明確になるかもしれない。
シンプルで上質感あるインテリア。上級装備も充実。小さな高級車へ!
2代目新型ヴェゼルのインテリアは、運転をする際の基本となる操作系の最適な配置や視界のよさを突き詰め機能性を徹底追求した。その上で、ドライバーや同乗者が行う動作がスムーズに行える“美しい所作”を意識してデザインされている。
インパネデザインは、水平基調で広さをアピールしながら、シンプルでスッキリとしたデザインでまとめられている。とくに、SUVらしいタフネスさを出すことなくまとめられているので、上質なセダン的でもある。使用頻度の高いエアコンの操作部は、ダイヤル式。タッチパネル式だと、操作性が悪く使いにくいものが多いので、ダイヤル式が正解だ。こうした部分にも使いやすさへのこだわりを感じる。
後席は、着座位置を見直し、足元を先代モデルから35mm拡大し居住性を向上。また、シートバックを厚くすることで、より快適な移動空間とした。
インテリアの装備系では、パノラマルーフを採用。心地良い光と、爽快な視界を楽しむためのパノラマルーフをPLaYグレードに標準装備。シェードを開けたままでも暑さを感じにくいホンダ初となるLow-Eガラスを採用。90%以上の紫外線・赤外線をカットに加え、日射透過率を25%以下に抑えた。従来のモデルでシェードを閉めた状態と同等の室内環境を実現している。
ちょっと高級感がある装備が静電タッチ式LEDルームランプだ。照明レンズ周辺を指で触れて点灯させることのできる。暗い車内でも、スイッチの場所を探すことなく、ブラインドタッチでつけられるようにすることで、利便性を高めた。
そして、独⾃開発のプレミアムオーディオも用意。2代目新型ヴェゼルの車体に合わせて専用開発されている。「原音再生」にこだわり、高級スピーカーにも採用されるデュポンケブラー素材のコーンを使用したスピーカーと、パイオニア製高性能アンプを使用。合計10個のスピーカーにより、臨場感あふれる立体的なサウンドが楽しめる。
後出しなのに、燃費でヤリスクロスに負けた理由とは?
2代目新型ヴェゼルのパワーユニットは、現行フィットと同じ1.5Lハイブリッドの進化型e:HEVが搭載された。モーター出力は131ps&253Nmとなり、現行フィットと比べると最大トルクに変更は無いが、最大出力は22psもアップしている。かなりパワフルなパワーユニットとなった。
さて、気になるのが燃費。最も燃費のよいグレードが25.0㎞/L(WLTCモード、FF)となった。強力なライバル車であるトヨタ ヤリスクロスの燃費は、30.8㎞/L(WLTCモード、FF)と、約20%もの大差が付いている。こうした燃費差は、4代目フィットとヤリスと同等程度の差になっている。
これだけ差が付くと、ホンダのハイブリッドシステムって燃費が悪い? と、思いがちだが、同じセグメントの日産キックスの燃費は21.6㎞/L(WLTCモード、FF)。むしろ、トヨタのハイブリッドシステムが圧倒的に優れているともいえる。
ただ、実際はハイブリッドシステムの差と言うよりも、車重の差が大きなウェイトを占めている。2代目新型ヴェゼル車重は、1,350㎏となっているに対して、ヤリスは1,160㎏なんと190㎏もの差になっているのだ。キックスも同様だ。
なぜ、これだけの車重差になるのか? それは、最新のプラットフォームGA-Bを使うヤリスクロスに対して、2代目新型ヴェゼルは、初代ヴェゼルのプラットフォームを改良して使用。そもそも初代ヴェゼルのプラットフォームは、2013年に登場した3代目フィットのものがベースとなっている。
端的に言えば、開発時期の古いプラットフォームを改良して使っているので、最新のプラットフォームを使っているヤリスクロスには、重量面などで敵わない部分が多いのだ。
こうしたプラットフォームは、莫大な開発費用や時間が必要。多くのモデルが2世代、3世代と改良して使うことは当り前だ。2代目新型ヴェゼルの場合、こうした狭間にあったのに対して、ヤリスクロスは最新プラットフォームを手に入れたことで車重差などが付いてしまった。
当然、3代目新型ヴェゼルが登場する時期には、ホンダも最新プラットフォームに移行しているはずなので、今度は逆にヤリスクロスより有利になるだろう。
1.5Lのガソリン車は、118ps&142Nmをアウトプット。初代ヴェゼルが129ps&153Nmなので、出力トルク共にパワーダウンしている。ただし、燃費は初代ヴェゼルXの14.4㎞/L(WLTCモード、FF)に対して、2代目新型ヴェゼルGでは、17.0㎞/L(WLTCモード、FF)と大幅に向上している。ミッションは、現行フィットにも採用された新開発CVTのギヤレシオを最適化して搭載した。
2代目新型ヴェゼルのガソリン車も燃費を大幅に改善するも、ヤリスクロスとの車重差は前述の通り大きい。そのため、ヤリスクロスの燃費は、18.8~20.2㎞/L(WLTCモード、FF)と比べるとやはり差が付いている。
静粛性や乗り心地を向上
走行性能面では、運転操作に対する車両の応答性を高めるため、サスペンションの低フリクション化やステアリングコラムの高剛性化。また、ブッシュの改良やリヤサスペンションのストロークをアップするなどして、不快な挙動を抑制して乗り心地を向上している。
そして、軽量化は2代目新型ヴェゼルにとって重要。高張力鋼板の中でも特に強度の高い980MPa級以上の適用比率を先代モデルの9%から15%に拡大。軽量化しながら高剛性ボディに仕上げている。
また、2代目新型ヴェゼルの価格は300万前後となり、もはや高級車といえる価格帯となった。その価格帯のクルマに相応しくするため、エンジンマウントの構造見直しなどによるエンジン音の変動感抑制や、さまざまな周波数帯への対策を施し、ノイズと振動の低減を徹底的に追及。高級車らしい静粛性や快適さを得ている。
また、急斜面の下りで滑り落ちるリスクを最小限にするための機能である「ヒルディセントコントロール」を国内ホンダ車として初搭載した。
ホンダセンシング全車標準装備! どのグレードでも安心・安全な新型ヴェゼル
歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備関連では、全車に「ホンダセンシング」を標準装備した。ヤリスクロスは、全車標準装備ではないので、こうした部分は2代目新型ヴェゼルの美点。どのグレードを買っても安心して乗れる。ホンダとトヨタは、どちらも交通死亡事故ゼロを目指すとアピールしいてる。しかし、実際に売られている商品を比べると、全車標準装備化したホンダと非装着モデルがあるトヨタとでは、企業として安全に対する姿勢の違いを明確にしている。
ただ、重要な自動ブレーキの機能面では、2代目新型ヴェゼルにはない右折時の対向車両、右左折時の歩行者も検知し衝突回避・被害軽減する機能がヤリスクロスには装備されている。
そして、何かと話題となるコネクテッドサービスは、新世代コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「ホンダコネクト」を用意。より安心・快適なカーライフが楽しめるコネクテッドサービス「ホンダ トータルケア プレミアム」が提供される。
初の機能として「自動地図更新サービス」を搭載。その他、スマートフォンでドアロックやエアコンのON・OFFなどの操作を可能にする「リモート操作」、スマートフォンをクルマのキーとして利用できる「デジタルキー」、車内での楽しさ・快適さが広がる多彩なアプリを提供する「 アプリセンター」、車内でデータ通信容量を購入し、Wi-Fiスポットとしてインターネット接続が楽しめる「車内Wi-Fi」など、ホンダ量販車として初となる機能を多数搭載。もちろん、エアバッグなどが展開した場合、自動で専門オペレーターに通報。オペレーターによる緊急サポートも機能もある。
2代目新型ホンダ ヴェゼルのグレード選び、値引き
2代目新型ホンダ ヴェゼルのグレードは、ハイブリッドのe:HEVが XとZ、そしてPLaYの3グレード。 PLaY はFFのみの設定だ。ガソリン車は、かなり割り切ってGの1グレードとなる。
PLaY が 最上級グレードになるが、中間グレードのZとの価格差は、なんと約40万円もある。この差は大きい。装備差は、後退出サポート、ホンダコネクトディスプレイ+ETC、パノラマルーフ、ワイヤレス充電器、 PLaY 専用エクステリアなどだ。パノラマルーフは、 PLaY にしか装備できないので、パノラマルーフが欲しい場合、必然的に PLaY という選択になる。
もし、パノラマルーフに興味が無ければ、Zを選択して必要な装備だけオプションで選択する方法がよい。そのため、お勧めはe:HEV Zとなる。エントリーグレードのXも装備はシンプルだが、Zとの価格差は約24万円もあるので、割り切れればXでも十分だ。
2代目新型ホンダ ヴェゼルの値引きは、しばらくの間はゼロベース。バックオーダーが無くなってくれば、値引きは徐々に大きくなる。しかも、ホンダの場合、フィットが低迷したままだと、営業面で登録車の販売台数が厳しい状態になるため、値引きしてでも売れ! と、いった状況になる可能性が高い。こうした状況になっていれば、大幅値引きが狙えるようになる。強力なライバル車であるヤリスクロスと必ず競合させて商談することがコツだ。
ホンダ ヴェゼル新車情報・試乗評価一覧
ホンダ車新車情報・試乗評価一覧
SUV新車情報・試乗評価一覧
トヨタ ヤリスクロス試乗評価
トヨタ ヤリスクロス vs 日産キックス徹底比較!
ホンダ ヴェゼル価格
■ヴェゼルe:HEV(ハイブリッド)価格
・e:HEV X FF 2,658,700円/4WD 2,878,700円
・e:HEV Z FF 2,898,500円/4WD 3,118,500円
・e:HEV PLaY FF 3,298,900円
■ヴェゼル(ガソリン車)価格
・G FF 2,279,200円/4WD 2,499,200円
ホンダ ヴェゼル燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード ホンダ ヴェゼル e:HEV Z (4WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,330×1,790×1,590
ホイールベース[mm] 2,610
トレッド前:後[mm] 1,535:1,540
最低地上高[mm] 180
サスペンション 前:マクファーソン式 後: ド・ディオン式
車両重量[kg] 1,450
総排気量[cc] 1,496
エンジン型式 LEC
エンジン種類 直4 DOHC16バルブ
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 106(78)/6,000-6,400
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 12.2(120)/3,800〜4,800
フロントモーター最高出力[ps(kw)] 131(96)/4,000-8,000
フロントモーター最大トルク[kg-m(N・m)] 253(25.8)/0-3,500
WLTCモード燃費[㎞/L] 22.0
ミッション 電気式無段変速機
最小回転半径[m] 5.5 m
タイヤサイズ 225/50R18
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