新型トヨタ ヴォクシー、ノア新車情報・購入ガイド 弱点だった安全性能が劇的進化。しかし、アレが無いの問題かも?
CORISM / 2022年2月5日 19時7分
顧客のツボを押さえた超人気ミニバンが新型ヴォクシー&ノア
トヨタは、人気ミニバンであるヴォクシー&ノアをフルモデルチェンジし発売を開始した。今回のフルモデルチェンジで、新型ヴォクシー&ノアは4代目となった。同時に従来、姉妹車関係にあったエスクァイアは姿を消している。
トヨタ ヴォクシーは、とくに高い人気を誇るミニバンだ。従来の5ナンバーミニバンカテゴリーで登録車新車販売台数は、2021年で70,085台を売り9位。モデル末期であるのに、ベスト10内に入っている。
ライバル車である日産セレナは、58,954台を販売し11位。1万台以上の差が付いている。姉妹車関係にあるノアは、44,211台を売り18位。ホンダステップワゴンは、わずかにノアに及ばず39,247台で19位となった。撤退したエスクァイアを加えると3姉妹で約12.7万台を販売。セレナの2倍以上となる販売台数となるほど大差を付けている状態だ。それほど、ヴォクシー3姉妹は売れていた。
徹底したマーケットインによる開発か?
その理由は、徹底的なマーケットイン的開発だ。デザインは、他社の失敗例からも学び、とにかく大きく見えるスタイルにまとめている。ミニバンは、大きく見えるデザインがとにかく好まれる。
さらに、フェイスデザインは大きな顔のイカツイデザインに、LEDライトなどを駆使し、ギラギラ系にまとめた。デザイン性というよりも、とにかく迫力があり目立つデザインが好まれるからだ。
その上で、ピアノブラックやメッキ加飾など、ギラギラ感ある内装が組み合わされる。
ただ、それだけでなく実用性や燃費、乗り心地も重視される。ヴォクシー3姉妹では、当時、クラストップレベルの室内スペースをもち、1.8Lハイブリッド車がは、ライバルを圧倒する超低燃費性能を誇った。2017年のマイナーチェンジでは、静粛性や乗り心地も大幅に向上している。
つまり、従来の5ナンバーミニバンは、わずかなスキも許されないような厳しい顧客の要望に応えてきた歴史がある。ライバル車も同様だったことから、各社切磋琢磨し、ほぼ日本専用車ながら非常に贅沢で完成度の高いミニバンになっている。
全車3ナンバー化、そしてより高くなった新型ヴォクシー&ノア
従来、ヴォクシー&ノアなどの多くのモデルは、エアロパーツ類を装備したモデルなどを除き、全幅が1,695mmだったことから、5ナンバーミニバンと呼ばれていた。しかし、新型ヴォクシー&ノアの全幅は1,730mmとなり、全車3ナンバーとなった。
また、大きく見せることや室内スペースの拡大もあり、先代モデルに対して全高を+70mmも高くし1,895mmとしている。こうしたボディサイズの変更も顧客ニーズをピックアップした結果だ。
ただ、あまり全高を高くすると重心高がアップ。重心が高くなり過ぎると、全幅が狭いため、横転リスクが高くなる。そうしたことも考慮してか、最低地上高は、先代の160mmから20mm下げられ140mmとしている。最低地上高が低くなれば重心高も低くなる傾向になり、フロアも低くなり乗り降りもより容易になる。
より迫力系に進化したフロントフェイスデザイン
新型ヴォクシー&ノアのシルエットはは、歴代モデルで追求してきた、室内空間の最大化と力強いハコ(箱)らしさを継承。「堂々・躍動的な力強いハコ」スタイルを追求した。
また、ノアは「堂々・モダン・上質」と「王道・アグレッシブ」、ヴォクシーは「先鋭・独創」をキーワードとして、デザインしている。
新型ヴォクシーは、先代モデルよりさらに先鋭で独創的なスタイルを追求。フロントは、薄型アッパー部と分厚くスクエアなロア部の組み合わせた。フェイス3分の2がグリル? と、思わせるほど大きい。さらに、怪しく光るギラギラ系が特徴的のフロント/リアランプによって、夜間でもひと目でヴォクシーと分かる存在感を強調している。
ノアも上部に薄型のヘッドライトを装備し、睨みの効いたフェイスとした。
「S-Z」「S-G」のエアロモデルは、さらに強烈。もはやバンパー? と、思わせるような押出しのあるメッキグリルを装備。ゴリゴリのインパクト重視なフェイスとなった。先代ノアのマイナーチェンジ前モデルは、ややファミリーカー的優しい感じが残る顔だったが、販売台数でヴォクシーに差を付けらたこともあり、今やヴォクシーにも負けないオラオラ系フェイスになっている。
より使いやすさにこだわった室内
新型ヴォクシー&ノアは、みんなでやりたいことを詰め込んで出かけたくなる「より快適に」「より便利に」「より安心な」ミニバンとして誕生。
クルマの基本性能を司るプラットフォーム(車台)は、GA-Cが採用された。プラットフォームが刷新されたことで、より優れたパッケージング設計が可能。初代から受け継ぐ、優れたパッケージングと使い勝手の良さを一層深化させている。
まず、トヨタのカタログ値である室内スペースは、新型ヴォクシー&ノアが室内長2,805×室内幅1,470×室内高1,405mmなのに対して、先代ヴォクシーは室内長2,930×室内幅1,540×室内高1400mmとなっている。このカタログ値だけ見ると、先代ヴォクシーの方が室内スペースが広いことになる。
ただし、左右のCピラー間距離は1,295mm。先代比+75mmとなっていて、トヨタは開放感ある室内空間を創出とアピールする。
また、新型ヴォクシー&ノアの3列目シートは、従来通り左右跳ね上げ型。床下に3列目シートを収納する必要がないため、大容量104Lのスーパーラゲージボックスが設定されている。高さのあるゴルフのキャディーバッグなどや、スーツケースなどの収納に便利だ。
シート関連では、より豪華傾向に進化した。7人乗り2列目シートは、キャプテンシートを採用。クラス初となるオットマン機構とシートヒーターを用意。さらに、折りたたみ式大型サイドテーブルなども設定された。
キャプテンシートによる、2列目シートの居住すぺーすをアップするため、従来のロングスライド機能は、シートを一旦横にスライドさせることなく、ストレート超ロングスライド(スライド量745mm)となった。より使いやすくなっている。
8人乗り仕様の2列目シートは、3人掛けベンチシートの6:4分割チップアップシートを採用。7人乗り仕様と同様に超ロングスライド(スライド量705mm)を実現している。8人乗りでも2列目シートでも、余裕ある空間を手に入れた。
新型ヴォクシー&ノアの3列目シートは、従来通り跳ね上げ式で左右固定式となっている。細かい部分だが、3列目シートを固定するのにストライプが使われていたが、新型ヴォクシー&ノアではワンタッチで固定できるストライカロック固定式が採用され、より使いやすくなっている。
もはや、唯我独尊状態ともいえる超低燃費性能
新型ヴォクシー&ノアに搭載されたパワーユニットは、従来と同じく1.8Lハイブリッドと2.0Lガソリンの2タイプとなった。
1.8Lハイブリッドは、全ての電動モジュールを刷新。モーター・バッテリーの高出力化とシステムの高効率化を図り、心地よい加速と優れた燃費性能を両立した。
とくに、燃費性能は、もはや完全に他社を凌駕するクラストップレベルの実力だ。ほとんどのモデルが23.0㎞/L(FF、WLTCモード)を実現。先代が19.0㎞/L(FF、WLTCモード)だったので、20%以上もの燃費向上だ。車重が少し軽くなっていることも影響しているのだろう。
また、最新ハイブリッド技術を継承した新型E-Fourも採用された。リヤモーターの出力は41ps&84Nm。プリウスなどに設定されているE-Fourなどは、とても小さなモーターで、滑りやすい道での発進時にアシストする程度だった。これだけ大きな出力があれば、コーナリング中の前後輪トルク配分を最適に制御し、操縦安定性を高めることができる。このクラスのハイブリッドミニバンには、電気式4WDの設定が無かっただけに、降雪地域のユーザーには大きなメリットになる。
カーボンニュートラルは関係ない? アレが無いのは残念
そして、2.0Lガソリンエンジンも用意された。トヨタは、カーボンニュートラルに全力で取り組むとしている。しかし、用意された2.0Lガソリン車には、アイドリングストップ機能さえ無い。
さらにトヨタは、環境問題を重視して2030年までにグローバルで350万台のBEV(バッテリー電気自動車)を販売するとしている。
ガソリン車の設定があるだけでも疑問を感じるのに、アイドリングストップさえ装備されていないガソリン車を売るというのは、こうした数々のアピールとは言行不一致といえる。建前と本音が見事に交錯する残念な設定だ。
このアイドリングストップ機能が無いガソリン車の燃費は、15.0~15.1㎞/L(FF、WLTCモード)。優れた燃費値、アイドリングストップ機能が無いエンジンでもクラストップレベルと優秀。しかも、出力は170ps&202Nmと力強い。
これだけよくできたガソリンエンジンだけに、アイドリングストップ機能がプラスされれば、さらに燃費性能がアップするのだから、かなり残念に感じる。
弱点を克服し、国産トップレベルの予防安全装備
先代となるヴォクシー&ノアには、大きな弱点があったが非常によく売れた。2014年のデビュー時には、自動ブレーキ関連の予防安全装備は無し。2016年の改良で、対車両低速域のみの自動ブレーキなどをセットにしたトヨタセーフティセンスCが用意されたが、全車標準装備ではなかった。
その後、ようやく歩行者に対応する自動ブレーキが用意されたのは2019年になってからだ。この改良で、全車標準となっている。ライバル車から大きく遅れての装備となった。
売れれば官軍的だったヴォクシー&ノアだったが、予防安全装備へのニーズが急速に高まったこともあり、新型ヴォクシー&ノアでは、イッキにクラストップレベルの予防安全装備を得た。このレベルの予防安全装備は、クラストップレベルというより、国産車トップレベルといえる高機能を誇る。
自動ブレーキの対象は、昼夜の歩行者と自転車に加え、昼間の自動2輪も検知。さらに、右折時の対向車、右左折時の歩行者にも対応する。これだけ多くのシーンや幅広い対象物に対して、いざというときに自動ブレーキが作動すれば、交通事故減に大きく寄与する。
その他、低速時加速抑制機能や緊急時操舵支援機能なども追加され、まさに万全の予防安全装備となった。
そして、トヨタ車初搭載となるのが「プロアクティブドライビングアシスト」。「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」など、運転の状況に応じたリスクの先読みを行い、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないようにステアリング・ブレーキ操作をサポート。さらに、先行車や前方のカーブに対して減速操作をサポートし、頻繁な踏みかえ操作を軽減。最初は少々クルマが勝手に色々やっている印象が強く違和感があるが、慣れてくると、非常に便利で疲労軽減にもなる。
ハンズオフ機能まで搭載した最新運転支援機能
運転支援技術「トヨタチームメイト」には、新機能「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」、「アドバンストパーク(リモート機能付)」が新たに設定された。
「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」は、トヨタ車初搭載となる。この機能は、自動車専用道路での渋滞時(0km/h~約40km/h)、レーダークルーズコントロール及びレーントレーシングアシストの作動中に、ドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすとシステムが作動。渋滞時のみだが、ステアリングから手を放すことができるハンズオフ機能も装備されている。
この機能、最初は不安にだが慣れてくるとかなり便利。ハンズオフしての走行は、想像以上にドライバーの疲労を軽減できるのでお勧めの機能だ。
「アドバンストパーク(リモート機能付)」は、並列駐車時の支援を拡大。従来のバック駐車に加え前向き駐車に対応し、前向き/バック出庫が可能。
また、ハイブリッド車では、ドライバーがスマートキーを携帯していることが条件になるが、車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンでクルマを操作可能。ちょっとした自動運転感が味わえる。運転席ドアを開けるスペースがあまりなく、乗り降りがしにくい駐車場で便利な機能。
こうした駐車支援は、運転に慣れているドライバーにとっては、手間がかかり自分で運転したほうが早い。しかし、運転が不慣れなドライバーや高齢者などにとっては、時間はかかるものの確実・安全に駐車できるメリットがある。
そして、魅力的なのがソフトウェアアップデート。購入後もクルマに新たな機能が追加されると、ソフトウェアだけで対応可能な機能であれば、パソコンのようにアップデートが可能。これにより、より最新の性能を得ることができ、より安全・安心なクルマへと進化できる。
新型ヴォクシー&ノアのグレード選びは、ハイブリッド車一択
新型ヴォクシー&ノアのパワーユニットは、ハイブリッド一択。環境問題が重視されEV化が急速に進んでいる中、優れたガソリンエンジンだが、今時アイドリングストップ機能も持たないのでは、さすがに選びにくい。
ハイブリッド車を選ぶと、イッキに選びやすくなる。次に、リセールバリューやデザイン的な魅力をを考えると、やはりエアロパーツ類の装着されたS-ZとS-Gから選ぶことになる。8人乗りが前提になると、S-Gしか選べない。
S-GとS-Zの大きな違いは、S-Zは2列目キャプテンシートを豪華仕様であること。S-Gに対してS-Zには、17インチアルミホイールやLED薄暮灯、バックガイドモニター、両側パワースライドドア、バックドアイージークローザー、運転席・助手席シートヒーター、リヤクーラー、AC100V/1500Wアクセサリーコンセントなど、意外と差が付いている。
新型ヴォクシーでのグレード価格差は、30万円だ。安くは無いが、両側パワースライドドアやAC100V/1500Wアクセサリーコンセントなどは、欲しい装備。ただし、この2点の装備はオプション装着が可能だ。S-Gを選択して、欲しいオプションをプラスしていくのもよいが、そうなると結果的にS-Zに近い価格になってしまう。こうなると、多少無理してでも、やはりS-Zを選択するというのがベストかもしれない。
また、運転支援や安全装備に関しては、トヨタ車らしくオプション設定がとても多い。安全面装備面では、車線変更時など後側方から接近する車両を検知し警報などを発するブラインドスポットモニター、後退時に接近する車両や障害物を検知するパーキングサポートブレーキは、安全面で積極的に装備したいオプションだ。
運転支援機能では、高速道路など渋滞時にハンズオフが可能となるアドバンストドライブがお勧だ。
新型トヨタ ヴォクシー、ノア価格
■ヴォクシー 2.0Lガソリン車
・S-G 7/8人乗り FF 3,090,000円/4WD 3,288,000円
・S-Z 7人乗り FF 3,390,0000円/4WD 3,588,000円
■ヴォクシー 1.8Lハイブリッド車
・S-G 7/8人乗り FF 3,440,000円/7人乗り 4WD 3,660,000円
・S-Z 7人乗り FF 3,740,000/4WD 3,960,000円
■ノア 2.0Lガソリン車
・X 7/8人乗り FF 2,670,000円/4WD 2,868,000円
・G 7/8人乗り FF 2,970,000円/4WD 3,168,000円
・Z 7人乗り FF 3,240,000円/4WD 3,438,000円
・S-G 7/8人乗り FF 3,040,000円/3,238,000円
・S-Z 7人乗り FF 3,320,000円/4WD 3,518,000円
■ノア 1.8Lハイブリッド車
・X 7/8人乗り FF 3,050,000円/7人乗り 4WD 3,270,000円
・G 7/8人乗り FF 3,320,000円/7人乗り 4WD 3,540,000円
・Z 7人乗り FF 3,590,000円/4WD 3,810,000円
・S-G 7/8人乗り 3,390,000円/7人乗り 4WD 3,610,000円
・S-Z 7人乗り 3,670,000円/4WD 3,890,000円
■トヨタ ヴォクシー燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード: トヨタ ヴォクシー ハイブリッドS-Z(FF)
ボディサイズ[mm]: 全長4,695×全幅1,730×全高1,895
ホイールベース[mm]: 2,850mm
車両重量[kg]: 1,670kg
総排気量[cc]: 1.797cc
サスペンション前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm]: 72(98)/5,200rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm]: 142(14.5)/3,600rpm
モーター最高出力[kw(ps)]: 70(95)
モーター最大トルク[N・m(kg-m)]:185(18.9)
システム全体[kw(ps)]: 103(140)
ミッション: 電気式無段変速機
WLTCモード燃費[km/l]: 23.0km/l
バッテリー 種類/容量(Ah):リチウムイオン/4.08
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