トヨタ プリウス新車情報・後悔しない購入ガイド 燃費より走行性能!?
CORISM / 2023年1月12日 7時7分
歴代プリウスの歴史は?
トヨタは、5代目となる新型60系プリウスの発売を開始した。PHEVは、2023年3月頃の販売を予定している。
初代トヨタ プリウスは、1997年にデビュー。初代プリウスは、画期的なモデルで、トヨタハイブリッドシステムの礎を気付いた。
2代目プリウスは、2003年に登場。モデル後期に、ガソリン価格高騰の追い風を受け爆発的な販売を記録。プリウス=超低燃費車というイメージを浸透させた。
2009年に3代目プリウスが登場。デビュー直後から、ホンダ インサイトとのハイブリッド戦争が話題になったが、圧倒的な燃費差で、3代目プリウスが圧勝。エコカー減税の恩恵もあり、記録的な販売台数を記録した。
4代目プリウスは2015年にデビュー。最新のGA-Cプラットフォーム(車台)を採用し、燃費だけでなく走行性能にもこだわった。販売台数は、かなり少なくなったが、これはハイブリッド車の選択肢が大幅に増えたことが主要因だ。
また、大きくなったボディサイズ。極細大径タイヤ装着理由とは?
5代目トヨタ プリウスの開発コンセプトは「HEVを変えるために、自身が生まれ変わる、ハイブリッドリボーン」とした。
その象徴的な部分が、外観デザイン。まず、ボディサイズは、先代よりやや大きくなっている。全長は先代モデル比+20mmの4,600mm。全幅も+20mmの1,860mm、全高はグッと下げられ-40mmの1,430mmとなった。
驚きなのは、このボディサイズでなんと19インチタイヤを履いていること。改良版GA-Cプラットフォームによる低重心化と、19インチ細幅大径タイヤによるワイドトレッド化により運動性能のアップしながら低燃費化も狙っている。
大径細幅タイヤの起源は、2014年に誕生したBMW i3に採用されたブリヂストンの次世代低燃費タイヤ「オロジック」だ。当時のタイヤサイズは、155/70R19と175/60R19というかなり特殊なサイズで話題になった。
オロジックによるメリットは、大径化することで、高内圧化し転がり抵抗減による低燃費化しならタイヤ接地面の確保。極細化することで、空気抵抗の低減による低燃費化が上げられる。5代目新型プリウスでは、i3ほどではないものの195/50R19という大径で細いタイヤを採用。低燃費化とタイヤのグリップ力を確保し、よりスタイリッシュなデザインとしている。
こうした大径で細いタイヤの組み合わせは、すでにクラウンクロスオーバーでも採用。クラウンクロスオーバーでは、 225/45R21という大径で細いタイヤが使われている。今後のハイブリッド車のトレンドになりそうだ。
歴代プリウスで、最もスポーティな外観デザイン
こうした大径ホイールのルックスを生かしながら、5代目新型プリウスはデザインされている。
「モノフォルムシルエット」を引き継ぎながら、より低重心かつスタイリッシュなプロポーションとした。シンプルでありながら抑揚のあるボディ造形は、長く愛されるための「感性に響くエモーション」と「普遍的な美しさ」を表現している。流麗なシルエットの中に、力強い筋肉質な張りのある面が特徴だ。
そして、もっとも特徴的ともいえるのがフロントフェイス。特徴的なハンマーヘッドモチーフを更に際立たせるヘッドランプデザイン。かなりユニークで、ヘッドライトのオン&オフなどにより、表情がガラッと変わる。
リヤビューは、世界的にも流行りの薄型一文字型のコンビネーションランプを採用。ボディサイドでグッと下がるデザインがユニークだ。フロントとリヤのデザイン共に、ひと目で5代目新型プリウスと分かる。
ボディカラーは全8色を設定。うち2色は、スポーティな印象を与え流行りのソリッドカラーベースの「アッシュ」と「マスタード」を新開発した。
意外とオーソドックスなインテリアデザイン
インテリアデザインは、外観デザインと比べるとオーソドックスな印象を受ける。「アイランドアーキテクチャー」コンセプトにより、圧迫感のない広々とした空間と運転に集中しやすいコックピットを両立。直感的に操作ができ、ドライビングを楽しめる室内空間とした。
EV(電気自動車)のbZ4Xのようにコックピット感ある運転席とメーター個性的だ。12.3インチの大型ディスプレイは、大きくて見やすいのだが、視線移動を少なくするためにも、もう少し奥に設置して欲しい。
インテリアカラーは、ブラックとレッド、グレーの3色設定。定番カラーばかりで、もう少しアグレッシブなカラーが欲しいところだ。
ライバル、シビックe:HEVを圧倒する超低燃費性能
そして、5代目新型プリウスで大きな変更点となったのがパワーユニット。従来、1.8Lハイブリッドのみの設定だったが、新型プリウスでは2.0Lハイブリッドがメインになった。
この2.0Lハイブリッドシステムは、すでにレクサスUX250hに搭載されていた2.0L直4のM20A-FXSを使うが、モーターも異なり大幅にパワーアップされている。UX250hのシステム出力は184psだが、新型プリウスでは196psとなった。
それでいて、燃費性能は28.6㎞/L(以下WLTCモード)と世界トップレベル。先代プリウスの人気グレードであるツーリングセレクション系が27.2㎞/Lだったので、排気量が増えてパワーアップしてるのに燃費も良くなっている。
トヨタのハイブリッドシステムは、常に進化し続けていて、もはや他メーカーが追随できないレベルになっている。
ちなみに、同じクラスのホンダ シビック2.0Lハイブリッド車であるe:HEVの燃費は24.2㎞/L。シビックとの燃費比較では、新型プリウスの圧勝となった。
ちょっとしたスポーツカー並みの加速力を誇る2.0Lハイブリッド
従来の1.8Lハイブリッド車は、エントリーグレードのみの設定となった。このハイブリッドシステムも進化型。最新のヴォクシー&ノアと同じタイプでシステム出力は140ps。先代が122psだったの大幅パワーアップ。パワーアップを実現しながら、燃費性能は驚愕の32.6㎞/L。先代モデルが30.8㎞/Lだったので、さらに燃費性能を向上させている。
新型プリウスは、パワーと低燃費性能を同時にアップさせながら走行性能にも磨きをかけた。
とくに、2.0Lハイブリッド車の加速性能は、ちょっとしたスポーツカー並みの0-100㎞/h加速7.5秒と俊足。1.8Lハイブリッド車の0-100㎞/h加速タイムは9.3秒となった。
クラス世界トップレベル!? 進化し続ける予防安全性能!
そして、予防安全装備パッケージ「トヨタ セーフティセンス」も、さらに進化した。
最新のトヨタ セーフティセンスの自動ブレーキ機能は、すでに業界トップレベル。昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪車を検知。交差点内では、右左折時の歩行者と自転車、右折時の直進車両も検知し、衝突回避もしくは被害軽減が可能。
さらに、高度な運転支援機能であるPDA(プロアクティブドライビングアシスト)は、歩行者や駐車車両に接近し過ぎないようにステアリング操作をアシスト。カーブ手前自動減速など、運転支援を行う。市街地で先行車両がいる場合、アクセルオフであれば車間距離を保ちながら自動減速。停止は自らブレーキを踏まなくてはならないが、より安全でドライバーの疲労を軽減してくれる。
こうした高度な機能に加え、後方車両接近告知をトヨタブランド初採用。ブラインドスポットモニターの後方ミリ波レーダーで後続車を検知し、接近した場合には、マルチインフォメーションディスプレイやブザーで知らせる。
また、周辺車両接近時サポート(録画機能・通報提案機能)もトヨタブランド初採用。後方車両が非常に接近した場合、システムからドライバーに対して、警察もしくはヘルプネットへの接続を提案。ドライブレコーダー装着の場合、状況を自動録画する。
さらに、セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中後突対応)もトヨタブランド初採用。追突時の二次被害を少なくする機能で、自車が停車中、ブライドスポットモニターの後側方ミリ波レーダーで後方車両を検知。追突される可能性が非常に高いとシステムが判断すると、自車のブレーキを作動。その後、追突された場合の自車の速度を減速し被害を軽減する。従来に比べ、衝突前からブレーキを作動することで、より早期での減速が可能となった。
こうした予防安全装備は、一部オプション設定だったりするが、フル装備にすると世界的にもクラストップレベルの充実度を誇る。
大幅価格アップだが、むしろコスパよし?
6代目新型トヨタ プリウス最上級グレードZの価格は、3,700,000円(FF)となった。単純比較はできないものの、先代プリウスの最上級グレードであるAプレミアム ツーリングセレクションが 3,442,000円だったので、約26万円の価格アップとなった。
ただ、パワフルで低燃費の2.0Lハイブリッドシステムを搭載し、19インチタイヤなど走行性能の向上。予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」の大幅機能向上などを考えると、むしろ価格アップ幅は少ない? と、思えるフルモデルチェンジともいえる。
後悔しないグレード選び。最上級グレード「Z」を買え! 的メッセージを感じる装備。新型プリウスのお勧めグレードは?
6代目新型プリウスグレードは、2.0Lハイブリッドがメインで最上級グレードのZとGの2グレード構成。Xグレード(1.8Lハイブリッド)は、ビジネスグレードとして設定されている。
このXグレードは、かなりシンプルな仕様だが、割り切れれば十分な装備となっている。予算重視であったり、燃費は日々足として使うクルマなどであればXグレードも悪くない。17インチタイヤということもあり、燃費は32.6㎞/Lと非常に優れている。目的次第では、意外と後悔しないグレードになる可能性もある。
ただ、やはり満足度や後悔しないという面では、最上級グレードのZがお勧めだ。Gグレードだと、なんとマニュアルシート。320万円もするクルマでパワーシートさえ装備されていないというのは、少々寂しい気持ちになる。Zには、シートベンチレーションも装備される。
また、ディスプレイオーディオもZは12.3インチなのに対して、Xでは8インチと極端に小さくなる。
その他、細かく装備差が付いているが、ZとGの価格差50万円は少々高めといった印象だ。Gを選択して、必要最低限の装備ということも可能。
しかし、例えば12.3インチディスプレイオーディオはオプションで選択できないなど、あえてZを買うように誘導されている装備になっている感じがある。
半導体不足や部品不足による超長期化しているので、なるべくひとつのグレードに集中させて納期を少しでも早くしたいという思惑さえ感じる。とはいえ、やはりZを買った方が満足度は高いことに間違いはないだろう。
面白いのは、19インチタイヤのレスオプションがあること。112,200円も安価になる。17インチスチールホイールになるものの、燃費は31.5㎞/Lと大幅にアップする。燃費を重視するのであれば、こうしたオプションを選択するのもおもしろい。また、ホイールを自分好みにカスタマイズ予定の人にも予算が削減できるのでお勧めだ。
納期超長期化中は、超絶高いリセールバリュー確実? ただし、後悔してしまうかもしれないリスクもあり
そして、気になるのが納期。2023年1月10日現在で、すでに納期は要販売店確認となり、納期不明状態。かなりの超長期納期化は確実だ。
また、こうした超長期納期状態が続けば、リセールバリューは異常なほど高くなるだろう。コロナ禍において、超長期納期化している人気モデルの高年式中古車は、軒並み新車並みの価格となっているからだ。1年落ち程度であれば、新車価格越えも車両も少なくない。
しかも、新型プリウスの場合、事前に公開された時点で非常に高い人気を得た。超長期納期化が十分に予想できたこともあり、転売目的の中古車店や個人が多く注文していることも予想できる。こうなると、大幅に新車価格を超えた未使用車が流通し、リセールバリューをさらに押し上げる可能性が高い。
ただ、リスクも大きい。コロナ禍における半導体不足や部品不足が解消され、超長期納期化が解消されれば、イッキにリセールバリューが下がる可能性がある。リセールバリューだけを追求して購入してしまうと、後々後悔してしまうだろう。
従来のプリウスは、人気車で中古車流通量も多かった。こうした状態になると、中古車流通量の多さはリセールバリューを下げる方向に作用する。購入から5年経過したときには、普通のクルマ並みのリセールバリューになっている可能性もある。新型プリウスは、売り時が難しいクルマになりそうだ。
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5代目新型トヨタ プリウス価格
■1.8Lハイブリッド車
・プリウスX FF 2,750,000円/E-Four 2,970,000円
■2.0Lハイブリッド車
・プリウスG FF 3,200,000円/E-Four 3,420,000円
・プリウスZ FF 3,700,000円/E-Four 3,920,000円
5代目新型トヨタ プリウス燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード:プリウス Z (FF)
ボディサイズ:全長4,600×全幅1,780×全高1,430mm
ホイールベース:2,750mm
最低地上高:150mm
車両重量:1,420kg
最小回転半径:5.4m
エンジン型式:M20A-FXS型 直4 DOHC
排気量:1.986L
エンジン最高出力:152PS(112kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4,400~5,200rpm
フロントモーター型式:1VM
フロントモーター最高出力:113PS(83kW)/-
フロントモーター最大トルク:206N・m(21.0kgf・m)/-
WLTCモード燃費:28.6km/L
動力用主電池種類: リチウムイオン電池
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
タイヤ前後:195/50R19
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