「際立つゴーカートフィール!」 MINI JCW(ミニ ジョン・クーパー・ワークス)試乗記・評価
CORISM / 2018年12月19日 8時45分
デザイン、走り、テレマティクスを強化したMINI
個性派モデルのアイコンとして、クルマ好きのみならず、ファッショニスタ、老若男女を問わず、幅広いユーザーに愛され続けてきたMINI。2018年5月16日、3ドア/5ドア/コンバーチブルの3モデルに大幅改良が施された。
今回のマイナーチェンジのハイライトは、デザインの変更のほかに、もしもの時に備え、ドライブの利便性を高めるネットワーク化、パワートレーンが刷新された3点にある。
エクステリアは、MINIの特徴となっている丸目のヘッドライト周りのパーツがグルリと一周を囲うデザインに変更されたほか、LEDのデイタイム・ランニ
[caption id="attachment_6360" align="alignright" width="203"] モータージャーナリスト の藤島知子がレポート。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。藤島知子Facebookへ[/caption]
ングライトを標準装備した。
従来のモデルからの大きな変化を感じるのが、リヤコンビネーションランプ。夜間やブレーキ時にイギリスに由来するブランドであることを象徴するユニオンジャックが浮き上がるあたりが新しい。
エンジンは2種類で、3気筒の1.5Lツインパワー・ターボ、4気筒の2Lツインパワー・ターボ(ガソリン /ディーゼル)で、組み合わされるトランスミッションは6速ATのほか、MINIとしては初めて、低燃費走行と素早い変速レスポンスが期待できる7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が採用された。
迷わずMINI JCWを選びたくなる理由は「ゴーカートフィール」?
MINIがかねてより、大事に受け継いできた走りの特徴が「ゴーカート・フィール」。ドライバーズシートに座り、ハンドルを握って走り出せば、クルマと一体感を得て走る歓びにたちまち虜にされてしまうはずだ。
中でも、MINI John Cooper Works(JCW/ジョン クーパー ワークス)は そんなMINIの走りの楽しさを際立たせたハイスペックなモデル。MINIの象徴とも言えるモデルだ。MINI JCWは、各ボディタイプの最上位モデルとして展開されている。MINI持ち前のゴーカート・フィールをストイックに体感できるので、私は迷わず3ドアのJCWを選ぶ。
ひと目でハイスペックモデルと分かるスタイリングをもつMINI JCW
[caption id="attachment_6367" align="alignright" width="210"] 標準車は205/45のタイヤと17インチホイールの組み合わせ。試乗車は、オプションの205/40タイヤと18インチホイールを装着。[/caption]
MINI JCWのスタイリングを見ると、ひと目でハイスペックなモデルであることが分かる。逞しさが増した前後のバンパーにルーフスポイラー、リヤバンパー下部にはセンター2本出しのエキゾーストパイプをあしらい、足下には205/40R18サイズのたわみが少ないタイヤが装着されている。
試乗車にはオプション設定のアダプティブ・サスペンションを装備。MINI JCWのセンターキャップがあしらわれた専用デザインのホイールの隙間には、ブレーキディスクに噛みつく赤いブレーキキャリパーがチラリと顔を覗かせている。ルーフやドアミラーが赤でペイントされた2トーンカラー仕立てであることもMINI JCWならではの特徴で、ホットなキャラクターであることを鮮烈に印象付けるものだ。
新8速ATを得て、走りの質や燃費が大幅に向上
[caption id="attachment_6371" align="alignleft" width="210"] 231ps&320Nmを発揮する直4 2.0Lターボエンジン。全長3,875㎜という小さなボディが、まるで弾け飛ぶような加速力が魅力だ。[/caption]
3ドアのMINI JCWに搭載されるエンジンは、ガソリン仕様の2L ツインパワー・ターボ・エンジンで、231馬力を発生する高出力バージョン。マイチェン前のモデルは、6速ATだったが8速ATに変更された。
トランスミッションの多段化は、必要な車速を得る上で、一つ上のギアで低いエンジン回転を維持して走れることから、低燃費走行が期待できる。なおかつ、このエンジンはわずか1450回転〜4800回転の幅広い回転域で320Nmの最大トルクを発揮する。わずかなアクセル開度であっても十分な推進力を得ることができた。
今回は幸いにも、MINI JCWの走りを存分に満喫できそうな山道のワインディング路でテスト走行を開始。走り出しは静かで、大人な乗り味といえる。エンジン回転を高めていくと、3千回転〜レブリミットの6千5百回転近い高回転域に向けて、抜けるような気持ちいい音色とともにエンジンの回転が伸びていく。
トルコン式の8速ATは、滑らかに上のギアにシフトアップしていくが、スパっとレスポンスよく切り替わっていくさまは「ホントにAT?」と思えてくるほどフラストレーションが少なく、変速ショックすら感じさせない洗練されたフィーリングに驚かされた。
スポーツモデル初心者でも安心感を感じるMINI JCW
サスペンションとショックアブソーバーは、速いリズムで縦揺れを刻むもので、タイヤが転がる際のロードノイズはやや大きめ。スポーツモデルであることを意識させるものの、強固なボディとしなやかに動いてみせる足の恩恵で、タイヤが丁寧に路面を捉えて走る。
お洒落なレザーシートは、体圧を分散させながら身体をしっかり支えるもので、上体が揺すられにくく、不快感を与えないものだ。スポーツモデルのわりに快適な移動を両立させているあたりも、特筆すべきポイントだ。
一方で、走行モードを「SPORT」に切り替えると、アクセルペダルを深く踏み込むやいなや、軽いトルクステアを意識させる。優等性で扱い易いモデルが多い現代に、敢えて刺激を与えてくるあたりは、もはや確信犯といえるのかも知れない。
ともあれ、基本的にはドライバーのコントロール下に車体の姿勢を持ち込めるオン・ザ・レール感覚の走りは、スポーツモデル初心者が走らせても安心感は高く、走り好きには意のままの走りを存分に楽しませてくれる懐の深い走りを披露。不安定になりがちな下り坂で、高い次元の操縦安定性を実感させてくれるあたりもMINI JCWらしい。
切れ味の良い8速ATのパドルシフト。MT派にもうれしい 6速MTも用意
私自身、スポーツカーは必要なトラクションを欲しいタイミングで得て走りたい方なので、MTシフトを操って走るのが好みだ。だが、MINI JCWの8速ATは、ステアリングにパドルシフトが設けられていて、手動でシフト操作が楽しめる。
しかも、MT車でシフトダウンするのとほぼ同じタイミングで下のギアに落として、アグレッシヴに駆け抜けられるあたりも、本格的なスポーツカーとしてあるべき性能にこだわる姿勢がヒシヒシと伝わってくるのが嬉しい。今では少数派になってしまったが、どうしてもMTで走りたいという顧客のためにMINI JCWには6速MTも用意されている。
デザイン性や走行性能だけでなく、今時の「つながる機能」も充実
走りやファッション性において、優れ稀な魅力を提供し、こだわりのクルマを作り続けてきたMINI。
安心ドライブをフォローする機能も充実させており、衝突被害を軽減する自動ブレーキ機能をはじめ、オンラインを通じて、事故やトラブルが起こってしまった際に助けを求めるSOSコール、ドライブに必要な情報が得られるオンラインサービスやドライバー・サポート・デスクも用意されている。
いま欲しいアイテムやサービスを充実させてきているあたりも、最新のモデルを購入するメリットとなる。
<レポート:藤島知子>
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MINI John Cooper Works価格
■3ドア
・MINI John Cooper Works 6速MT 4,320,000円/8速スポーツAT 4,500,000円
MINI John Cooper Works 3ドア(8速AT)燃費、ボディサイズなどスペック
全長×全幅×全高 3875×1725×1430mm
ホイールベース 2495mm
車両重量 1290kg
乗員定員 4名
エンジン型式 B48A20B
最高出力 231ps(170kW)/5200rpm
最大トルク 320N・m/1450~4800rpm
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1998cc
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
JC08モード燃費 15.8km/L
トランスミッション 8速AT
0-100㎞/h加速 6.1秒
サスペンション形式(前:後) マクファーソン・ストラット: マルチリンク
最小回転半径 5.3m
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