DS DS7クロスバック試乗記・評価 アートのようなSUV
CORISM / 2018年12月25日 19時41分
シトロエンから独立した新プレミアブランド「DS」
シトロエンから独立し、より上のポジションを与えられたのが「DS」ブランドだ。そのフラッグシップとして開発され、初の専用モデルとなるのがDS7クロスバックだ。
DSとしては初のクロスオーバーSUVで、2017年秋の東京モーターショーに参考出品され、注目を集めた。そして18年7月、日本での正式発表にこぎつけている。
ルーブル美術館の「あれ」をモチーフにしたデザインを採用
DS7クロスバックのエクステリアは、オーラを放つダイナミックなデザインだ。多くの部分にダイヤモンドのような形を散りばめ、高級感を強くアピール。
フロントグリルは、フランスのパリにあるルーブル美術館のエントランスにあるピラミッド型のオブジェをモチーフに、菱形のデザインとしている。そのためフロントビューはきらびやかだ。クロームメッキを多用し、複数の三角形を組み合わせて高級感を演出したリアランプ周りも美しい。
アートな領域に達したインテリアデザインをもつDS7クロスバック
インテリアも、SUVとは思えないほど洗練された都会的なデザインとしている。ダッシュボードは中央からドアへと流れるようにデザインし、金属をギョーシェ彫りした精緻なセンターコンソールも強い存在感を放っていた。
エンジンをかけると、中央に姿を現すベルナール・リシャール・マニュファクチャー社製のアナログ時計も凝ったデザインだ。また、インパネやドアトリムに手触りのよい生地を採用し、フランス車らしいオシャレ感覚を上手に表現している。12.3インチのデジタルメーターも新鮮な感覚だ。この粋なデザインとファッション感覚に惚れ込んでしまう人は少なくないだろう。
狭い道が多い日本では少々扱いにくい? まさかの、全幅1895㎜!
DS7クロスバックのボディサイズは、ゆったりとしたインテリア空間を実現するため、全幅を広く取った。全長は4590mmだが、全幅は1895㎜とかなりワイドだ。全高は1635㎜で、2730mmのホイールベースを確保したから、前席も功績も不満のない広さを確保している。
オペラグレードに採用されている高級なナッパレザーを用いたウォッチストラップデザインシートは大ぶりで、フィット感や座り心地がいい。後席も、ヘッドクリアランスはそれなりだが、ひざ元の空間は十分だから気持ちよく座れた。
スムースさと静粛性が際立つ1.6Lターボエンジン
DS7クロスバックのプラットフォームは、シトロエンC4ピカソなどに使われているEMP2。パワーユニットもPSA製を使う。日本仕様のDS7クロスバックが積むのは、可変バルブタイミング機構を採用した1.6Lの直列4気筒直噴ターボと、2.0Lの直噴ディーゼルターボだ。
1.6Lのガソリンターボは、225 ps(165kW)/30.6kg-m(300Nm)で、燃費14.7㎞/L。2.0Lのディーゼルターボは177ps(130kW)/40.8kg-m(400Nm)を発生し、燃費は16.4㎞/Lとなる。トランスミッションは、アイシン製の8速ATを組み合わせている。
どちらのエンジンも余裕があり、1.7トンのボディを苦もなく加速させた。低回転からたっぷりとしたトルク感を味わえ、力強い加速に加え、フレキシブルなのはディーゼルだ。
スムースさと静粛性の高さはガソリンエンジンが一歩上を行く。車重が軽いこともあり、軽やかな走りを見せつけた。新開発の8速ATも効率よく滑らかにつながる。
20インチはやり過ぎ? 少々ドタバタ感あり!アクティブスキャンサスペンションとは?
DS7クロスバックのサスペンションは、ストラットとマルチリンクの組み合わせで、全車にDSアクティブスキャンサスペンションを採用した。これはメルセデス・ベンツが採用しているマジックボディコントロールと似たシステムだ。マルチアクションカメラによって前方の路面状況を高速でスキャンし、その情報をコンピュータに集め、瞬時にショックアブソーバーの減衰力を最適にコントロールするのである。
20インチのファットなタイヤを履いていることもあり、フランス車ならではの猫足感覚とは無縁だった。荒れた路面ではゴツゴツとした乗り心地だし、路面によってはドタバタと跳ね、しなやかさを欠くことがある。
コンフォートモードでは、DSアクティブスキャンサスペンションが作動するのだが、標準モードより少し柔らかくなったかな、という程度の違いだった。20インチタイヤはちょっとオーバークオリティで、ファットなタイヤを履きこなしていないという印象だ。
スピードを上げていくとフワッとしたフランス車らしさが出てくる。この感覚が好きでない、というならスポーツモードを選べばいい。引き締まった乗り味になり、ホットな走りでもロールが抑えられる。
かなりワイドな全幅だが、最小回転半径は5.4mと取り回しは良好!
鼻先が軽く、ワインディングロードで楽しかったのはガソリンターボだ。驚かされたのは、大柄なボディに似合わず取り回し性が良好だったこと。最小回転半径は5.4mである。パリ育ちらしく、ボディの大きさを感じさせない取り回し性のよさだった。しかも、アップライトパッケージだから運転しやすい。
今のところFF(前輪駆動)車しか用意されていないし、価格も500万円前後と安くはない。だが、他メーカーにはできないオシャレ感覚がDS7クロスバックにはある。
また、快適装備に加え、先進安全装備も納得できるレベルのものを盛り込んだ。個性的なSUVに目を向けている人は、検討してみる価値がある。
<レポート:片岡英明>
DS DS7クロスバック価格
・DS 7 CROSSBACK Grand Chic 2.0Lディーゼルターボ 5,620,000円
・DS 7 CROSSBACK Grand Chic 1.6Lターボ 5,420,000円
・DS 7 CROSSBACK So Chic 2.0Lディーゼルターボ 4,690,000円
DS DS7クロスバック、燃費、ボディサイズなどのスペック
代表グレード:DS 7 CROSSBACK Grand Chic 2.0Lディーゼルターボ
ボディサイズ 全長4590×全幅1895×全高1635mm
ホイールベース:2730mm
車重:1700kg
最低地上高:185㎜
エンジン:2.0L直4ディーゼル ターボ
最高出力:177ps(130kW)/3750rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
トランスミッション:8速AT
最小回転半径:5.4m
タイヤサイズ前/後:235/45R20:235/45R20
燃費:16.4km/L(JC08モード)
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DS DS7クロスバック公式HP
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