新型トヨタ スープラ プロトタイプ試乗記・評価 豪快な直6サウンドを響かせるスポーツクーペ
CORISM / 2018年12月30日 10時17分
全長が短く、ワイドトレッドで低重心な新型トヨタ スープラ
デトロイトショーでベールを脱ぐ次期新型トヨタ スープラの最終プロトタイプに、千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗した。
ボディはカッティングシートで偽装されていたが、エクステリアはマッチョな筋肉質のクーペボディだ。最近は、ホイールベースの長いスポーツカーが多いが、スープラは2470mmと発表されている。このホイールベースは、トヨタ86より100mmも短い。前後のトレッドも1600mmを超えているようだから、トレッドとホイールベースの比率は黄金比に限りなく近いと思われる。全高に加え、重心高までもトヨタ86より低く抑えられた。
かなりマッチョで複雑なデザインをもつ新型スープラ
新型トヨタ スープラのエクステリアは、ロングノーズ&ショートデッキにファストバックの典型的なスポーツカーフォルムだ。ルーフは中央を窪ませたダブルバブルとしている。
フェンダーだけでなくドアやリアまわりも抑揚が強く、カモフラージュしているがマッチョなボディと想像できた。
フロントマスクは、切れ長のLEDヘッドライトと台形のグリル、左右の大きなインテークが目をひく。リアエンドはスポイラー形状で、トランクの後端を跳ね上げている。
ほぼ新型Z4的なインテリア
新型トヨタ スープラのインテリアは、黒い布によって偽装されていたが、シフトレバーやウインカーなどは、姉妹車ともいえる新型BMW Z4と共通するデザインだった。
ウインカーレバーは左側にあり、土手の高いコンソール部分に組み込まれたATのシフトレバーもBMWと同じものを使っている。
ドライバーの前に据えられたデジタルメーターも、スタイリッシュな今風のデザインだ。このデジタルメーター、走行時の視認性も優れている。
キャビンは乗員2人分としては、十分な空間で着座位置もかなり低い。本革ステアリングの径と握り心地も満足できるものだった。
340ps&500Nmを発揮する直6 3.0Lターボを搭載?
プロトタイプということで、パワートレインの説明はなかった。だが、外からでもBMWの直列6気筒DOHCターボと分かる豪快な咆哮を放っていた。
フロントミッドシップに搭載されているのは、新型Z4のM40iなどに積まれ、3.0Lの直噴ツインターボだろう。となると最高出力は340ps、最大トルクは500Nmといったところになる。
トランスミッションは、電子制御8速ATだ。ドライブモードは、標準モードとスポーツモードがあり、横滑り防止装置のVSCはオンとオフのほか、トラクションモードを設定している。
高回転までスムースさが際立つ直6ターボエンジン
最初はスポーツモードを選び、コースインした。ターボは低回転から過給を行い、気持ちよくスピードを上げていく。応答レスポンスは鋭いし、スムースさも文句なしだ。レッドゾーンの7000回転までストレスなく回り、リニアに力強い加速を見せつける。3速ですでに130km/hに達し、4速では難なく150km/hを超えていた。豪快な走りだ。
パワー感、トルク感ともに満足のいくもので、パンチのある加速を披露する。フルスロットルを与えると、加速Gも強烈だ。8速ATも滑らかな変速フィールだった。テンポよくつながり、パドルシフトを使っての加減速も楽しい。
このエンジンは、加速していくと豪快な直6サウンドを響かせる。とくに、4000回転を超えてからのサウンドが耳に心地よい。だが、クルージング時は静粛性も高い。
電子制御可変ダンパーを採用した新型スープラ
新型トヨタ スープラのサスペンションは、電子制御可変ダンパーを採用したAVSだ。理想的な駆動力を確保するために電子制御アクティブデフも組み込んでいる。
タイヤはミシュランのパイロット・スーパースポーツを履いていた。前後異サイズで、フロントは255/40R19、リアは275/35R19だ。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクで、フロントには大径の対向4ポットキャリパーをおごっている。
ボディ剛性は、レクサスLF-Aより上!?
新型トヨタ スープラのホイールベースは短く、前後の重量配分は50:50だから身のこなしは軽やかだ。しかも驚くほど剛性が高い。エンジニアの話では、レクサスLF-Aより剛性が高いという。
ハンドリングはクイックで、気持ちよく曲がる。電動パワーステアリングも自然な操舵フィールだ。狙った方向に軽やかに向きを変え、オン・ザ・レールでコーナーを駆け抜けていく。ペースを上げた走りでもグリップ限界は高く、コントロールできる領域も広い。アンダーステアに手を焼くことはなく、運転がうまくなったように感じる。
VSCの介入も上手だから安心して走れるが、クルマに操られていると感じる場面もあった。VSCなどの挙動安定制御をオフにした走りでも実力の80%くらいまでの領域を使う分にはコントロールしやすい。
もう1ランクアップしてほしいブレーキ性能
さらにペースを上げていくとリアがスッと出るが、フロントタイヤのグリップ力は強大なので不安感なく運転を楽しめた。だが、これはドライ路面での話だ。ウエット路面では、リアの踏ん張りが今一歩で、限界も分かりにくいからスピンしないように神経を遣った。
ブレーキの制動フィールはよいが、サーキットではもう1ランク引き上げてほしい、というのが本音だ。19インチタイヤの割に乗り心地はしなやかだと感じる。デートカーとしても十分に使えるだろう。
2.0L 直4ターボも用意されるはず?
ベールを脱ぐのは1月14日に開催されるデトロイトショーだ。発売時には2.0Lの直列4気筒DOHCターボも設定されると噂されている。新型Z4では、197ps&320Nmと258ps&400Nmという2タイプのスペックが公開されている。
これから発売まで、さまざまな改良が施されるだろう。短時間の試乗でも素性のよさが感じられた新型トヨタ スープラだった。正式デビューが待ち遠しい、ピュアスポーツカーである。
<レポート:片岡英明>
<参考>新型BMW Z4 M40iスペック
全長/全幅/全高/ ㎜ 4324 / 1864 / 1304
ホイールベース ㎜ 2470
トレッド ㎜ 1594 / 1589
エンジン 直6 3.0Lツインターボ
最大出力 250kW/340ps/5000~6500rpm
再大トルク 500Nm/1600~4500rpm
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