三菱デリカD:5 プロトタイプ試乗・評価 すべての要素を大幅向上させた唯一無二のミニバンオフローダー
CORISM / 2019年2月2日 9時52分
ミニバンで唯一4WDの走破性をウリとしているデリカD:5
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また、荷物も積みやすい。これらの条件を満たした上で、プラスアルファの魅力を持っているのが三菱のデリカD:5だ。他のミニバンと大きく違うのは、4WDモデルを主役としていることである。パワートレインの売れ筋も、ガソリンエンジンではなく実用域のトルクが太く、実用燃費がいいディーゼルターボだ。
ディーゼルターボを積むデリカD:5の4WDモデルは、SUV並みの走破能力を売りにする。三菱のイベントでは、トラックの荷台に設置された斜度45度の登坂路を苦もなく登りきり、途中で停止した後の再スタートでも息切れせず頂上まで上がれた。
当然、オフロードも雪道も苦にしない。どんな路面でもダイナミックに走りきれる実力派ミニバンなのだ。4WDの実力は、クロスオーバーSUVと同等以上と断言できる。
だが、三菱デリカD:5がデビューしたのは2007年1月。すでに、登場から丸12年になる古参ミニバンである。走りの実力だけでなく、先進安全装備や環境性能も、後発のライバルに後れをとるようになった。
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2019年春にデビュー予定の新型三菱デリカD:5に試乗
そこで2019年の春に、モデルチェンジに近い大がかりなマイナーチェンジを断行する。その概要については、11月に発表された。
大きく変わるのは、クリーン性能を大幅に高めたディーゼルターボを積む4WDモデルだ。ガソリンエンジン搭載車は、現行モデルを継続販売することになっている。
まるで別のクルマ? 大幅フェイスチェンジした新型デリカD:5
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エクリプスクロスなどと同じように。切れ上がったダイナミックシールドをデザインコンセプトにしている。そのため、フロントマスクは迫力満点だ。横桟のメッキグリルの外側に、3段重ねのライトを組み合わせた。最上段はポジションランプ、その下に縦2列にマルチLEDヘッドライトを並べている。
外側はロービームで5灯式だ。内側はハイビームで4灯式とした。最下段はウインカーランプとなっている。
新型デリカD:5は、標準仕様と新設定のアーバンギアがある。標準仕様は、バンパー下にスキッドパネルガーニッシュを組み込んだ。アーバンギアは、横ストライプのメッキグリルで差別化を図っている。
リアビューは、縦長のリアコンビランプと真っ赤なガーニッシュ、バンパーなどが新しいデザインとなった。フロントスクリーンから後方はパネルを変えていない。だからサイドビューは見慣れたデザインだ。
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質感と機能性を高めたインテリア
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また、インパネやドアに木目調パネルを張り、スタータースイッチはプッシユボタン式に改められた。インパネ中央には10.1インチのナビシステム(ディーラーオプション)を組み込んでいる。これは画面を4分割できるクワッドビューやタッチ操作の機能も備えた優れモノだ。
小物の収納スペースも多いが、USB接続のソケットが前席にしかないのは残念と感じた。3列目のシートを跳ね上げる作業が重いという弱点も解消されていない。いくつか課題は残されているが、新型デリカD:5には短所を補って余りある魅力がある。
その最大のものが、4WDシステムだ。4輪接地荷重や制動力配分、4輪スリップなどを統合制御する三菱自慢の「AWC」技術を用いた電子制御の4WDである。
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走破性をさらに高めた三菱AWC
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この改良によってオートモードのときでも、今まで以上に適切な駆動力配分を行えるようになった。4WDロックモードをチョイスすればSUVに負けない走破性を披露する。
新型デリカD:5の試乗では、オフロードの特設コースも走行した。朝まで雨が強く降り、滑りやすかった。最初のステージは、斜度25度〜30度の勾配のきつい登坂路だ。
4WDのオートモードでスタートしたが、ぬかるみに加え、ギャップが大きく、路面も荒れていたため、苦戦した。助走をつけなければ登りきれない。だが、4WDロックモードにするとあっさりと登りきった。
午後は路面が乾いてきたのでオートモードでも難なく登りきれたし、一旦停止しての再発進も上手にこなす。こういった場面では、アクセル操作に専念できるヒルスタートアシストが便利だ。
![三菱デリカD:5](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2019/02/IMG_4657-210x140.jpg)
アプローチアングルは24度から21度に減っているし、最低地上高も185mmに引き下げられた。だが、これは計測方法が変わったためだ。真の実力は現行モデル以上に高いレベルにあると断言できる。
新型デリカD:5のトラクション能力は驚くほど高く、コントロール性も素晴らしい。SUV並みの走破性能と絶大な安心感、これが新型デリカD:5の最大の魅力である。これに、下り坂を安心して降りられるヒルディセントコントロールが加われば鬼に金棒だ。
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ボディ剛性をアップし、優れた操縦安定性と静粛性を手に入れた
![三菱デリカD:5](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2019/02/IMG_4623-210x143.jpg)
さらに、サブフレームを新設計とするなど、剛性アップを図っている。剛性アップに加え、電動式パワーステアリングに変更。そのギアには、滑らかなデュアルピニオンを採用した。荒れた路面を走ったときでも手を蹴られるキックバックに悩まされない。サスペンションもコイルスプリングの受け角度を変え、フリクションを20%も減らしている。
改善の効果は、舗装路のステージでも立証された。これまでの美点だった直進安定性のよさに磨きがかけられている。ヨーレートフィードバック制御を加えた4WDシステムにより、コーナリングしたときのコントロール性も向上した。
ストラットとマルチリンクのサスペンションは、動きが滑らかだ。操舵フィールが洗練され、舵の利きもよくなっている。操舵したときの動きも滑らかだ。
速いスピードでコーナーに入ってもロールの挙動は穏やかで、コントロールしやすい。荒れた路面を駆け抜けたときもショックを上手に受け流し、速やかに収束する。
ブレーキングしたときの挙動の乱れも小さくなった。悪路でもオンロードでも安心感があり、乗り心地も劇的によくなった。新型デリカD:5は、ドライバーだけでなく同乗者も快適だ。
ディーゼルのみの割り切った設定。最大トルクは380Nm!
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型式は変わっていないが、大幅なアップデートを図り、燃焼室までも設計変更した。また、燃料噴射のインジェクターも最新のものに交換している。
排ガスをクリーンに浄化するために、新たに尿素SCRシステムを採用したのも見逃せない進化点だ。最低地上高が185mmになったのは、アドブルーのタンクをラゲッジルーム後方の下側に設置したためである。
4N14型直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボの排気量は2267ccだ。トランスミッションは、最新の電子制御8速ATを組み合わせている。もちろん、パドルシフトに加え、マニュアルモードも設定した。
最高出力は107kW(145ps)/3500rpm、最大トルクは380N・m(38,7kg-m)/2000rpmと発表された。排ガス対策のために最高出力は3ps減ったが、最大トルクは200Nmも増えている。実力は4Lクラスのガソリンエンジンと互角だ。
優れた実用性を誇るディーゼルエンジンと滑らかな8速AT
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このエンジンの魅力を上手に引き出しているのが新開発の8速ATだ。扱いやすさが向上したことに加え、滑らかにつながる。だから扱いやすいと感じるのだ。このフレキシブルなエンジン特性は、滑りやすいオフロードの走りでも威力を発揮した。
新型デリカD:5は、クルージング時の静粛性も大きく向上している。フロアやルーフなどに遮音材をおごり、エンジンルームにも防音材を敷いたから静かだ。
高速走行は試せなかったが、かなり静かになっているはずである。現行モデルの100km/h走行中の回転数は1850回転くらいだが、新型デリカD:5は1550〜1600回転くらいでクルージングできるだろう。当然、実用燃費も向上しているはずだ。
ステアリングを握る前は心配だったが、実際に運転してみるとモデルチェンジに近いくらい進化していることが分かった。デザインも心配したが、実車のフロントマスクは思いのほかカッコいい。春に新型デリカD:5がベールを脱ぐ。正式発表が楽しみだ。
新型三菱デリカD:5燃費、ボディサイズなどスペック
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ホイールベース 2,850mm
最小回転半径 5.6m
エンジン 直列4気筒DOHCインタークーラーターボディーゼル
排気量 2,267cc
最高出力 107kW(145ps)/3,500rpm
最大トルク 380Nm/38.7kgf・m/2,000rpm
![三菱デリカD:5](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2019/02/IMG_4886-210x127.jpg)
駆動方式 4WD
JC08モード燃費 13.6km/L
乗車定員 7~8人
車両重量 1,930~1,960kg
サスペンション形式 F:マクファーソンストラット R:マルチリンク
タイヤサイズ 255/55R18
新型三菱デリカD:5予定価格
標準車 約385万円~425万円
URBAN GEAR 約410万円~425万円
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