「ドライバーが主役の4WD!」三菱車、雪上試乗評価レポート
CORISM / 2019年4月3日 19時31分
並みのSUV以上!? デリカD:5の雪道走破性
三菱ファンならずとも気になるのが、大がかりなマイナーチェンジを断行したデリカD:5の雪道での走りだ。排気量2267ccの4N14型コモンレール式直列4気筒DOHC直噴ディーゼルは、インタークーラーターボを装着するとともに最新の8速ATを採用した。
低回転からパワーとトルクが盛り上がり、多段化されたから雪道でも扱いやすい。応答レスポンスは鋭いし、低回転から十分なトルクを発生するから滑りやすい路面でも軽やかに加速する。従来モデルが苦手とした登坂路も苦もなく登れた。
4WDシステムは、通常2WDで滑ったときに後輪にも駆動トルクを伝達してトラクション性能を高めるオンデマンド式だ。電子制御カップリングを採用したアクティブオンデマンド4WDで、4輪接地荷重や制動力配分、4輪スリップなどを統合制御する三菱自慢の「AWC(アクティブ・ヨー・コントロール)」技術を導入した。
最新のデリカD:5は、前後駆動力配分のときに舵角だけでなくヨーレート制御を追加し、前後駆動力配分も最大40:60と、後輪への駆動力を増やせるようにしている。
ロックモードの出番なし? 従来モデルを大幅に超えた4WD性能
試乗コースでは、4WDオートモードでスタートしたが、驚くほど守備範囲は広かった。しかも、よほどの難コースでない限りロックモードの助けを必要としない。
20度を超えるスリッピーな急坂をオートモードのまま登りきれる実力を秘め、踏破性能も非凡だ。同じ坂に従来モデルでトライしたが、途中で息絶えてしまった。
4WDシステムに加え、エンジンも粘り強いからアクセルを踏み続けていれば、ジワジワと坂を登っていく。何度も走っていると、路面はさらに滑りやすくなった。そんなときはロックモードを選べば、難なく登りきることができる。
新型デリカD:5は、サブフレームを新設計するなどのテコ入れによって剛性をさらに高め、ステアリングギアも滑らかなデュアルピニオン式にした。また、サスペンションもコイルスプリングの受け角度を変えてフリクションを20%も減らしている。だから、荒れた路面の追従性とコントロール性は従来モデルを相手にしなかった。その実力は、SUV以上と言えるだろう。また、乗り心地がよくなったことに加え、静粛性も格段の進歩を実感できた。
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ド派手なドリフト走行も難なくこなすスポーティなエクリプスクロス
クロスオーバーSUVのエクリプスクロスが採用する4WDシステムもオンデマンド式だ。アクティブフロントデフは省いているが、路面に応じて駆動力制御を緻密に行う。
このS-AWC電子制御4WDも電子制御カップリングを用いた4WDシステムだが、フロントブレーキを利用した左右ベクタリングのAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)に、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)を組み合わせている。
前後輪に加え、前輪左右のトルク配分を制御するS-AWCは、グリップ能力が高いことに加え、気持ちよく狙い通りに曲がるのが自慢だ。対応能力は高く、操っている感じもデリカD:5より強く感じる。
高いグリップ能力による優れたライントレース性、コーナリングのしやすさは高いレベルにあり、滑ったときのリカバリー性能も非凡だ。
路面のミューが下がってもグリップ能力は高く、足も軽やかに動く。S字コーナーでもアンダーステアに手を焼くことなく、狙ったラインに乗せることができた。
スノーモードも実力派だが、運転して楽しいのはグラベルモードだ。カウンターステアを当てて、ドリフトに持ち込むマニアックな走りを存分に楽しむことができる。気持ちよくノーズが入り、アクセルを開けるとリアがスライドして向きを変えるのだ。
そして、ASCをカットしてしまうとFR車のような挙動になり、カウンターステアを当てての派手な走りも楽しめる。雪道での走りの味わいと操る楽しさは、あのランサーエボリューションに近い。
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安定感と楽しさを与えてくれた新設定のスポーツモードとスノーモード
アウトランダーPHEVは、2.4Lのアトキンソンサイクルに可変バルブタイミング機構付きの直列4気筒DOHCエンジンを積み、前輪と後輪に高性能モーターを組み込んでいる。
4WDシステムは、前後輪のトルク配分や左右輪のトルクベクタリング、4輪ブレーキ制御などを駆使して挙動を安定させ、狙い通りにコントロールできるようにしたS-AWCだ。最新モデルは制御をさらに緻密化するとともに、新たにスポーツモードとスノーモードを設定した。
2つのモーターを独立して動かすことができるため、スノーモードでは他の2車以上に緻密な制御を実現し、安心感のある走りを見せている。モーターのトルクは力強いから路面状況に応じて絶妙にトラクションがかかり、前輪の左右も上手にブレーキで制御するから破綻なくコーナーを駆け抜けることが可能だ。ビギナーでも安全に、気持ちよく走れるのが、このモードのいいところである。
スポーツモードは乾燥路で使うモードだが、駆動力配分を自在にコントロールしてくれるからスポーティな走りを楽しめた。アクセルワークとステアリング操作で姿勢を変えることもたやすい。滑りやすい路面で安全な走りを実現するだけでなく、雪道やオフロードでも主役はドライバーであることを教えてくれるのが三菱の4WDシステムだ。
<レポート:片岡英明>
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