ボルボV60 T6 Twin Engine AWD試乗記・評価 進む電動化! スムースさ際立つ次世代PHEVが登場
CORISM / 2019年8月23日 18時32分
待望のPHEV、V60 T6が登場
ボルボが開拓してきたステーションワゴンの分野にもニューフェイスが登場している。伝統のボルボV60は、2018年秋に新型が上陸した。ボルボV60も「Drive-E」と名付けたモジュール化コンセプトのパワートレイン戦略をとっている。
エンジンは、90シリーズと同じ2.0Lの直列4気筒直噴DOHCエンジンだ。これに、ターボなどを組み合わせてパワーアップを図っている。ボルボT8とT6が搭載するのは「ツインエンジン」と呼ぶターボとスーパーチャージャーの組み合わせだ。
その最新作であるV60 T6ツインエンジンAWDに乗る機会を得た。T6はT5に4WDシステムと電動モーターを加えたもので、基本のメカニズムはT8と同じプラグインハイブリッドだ。
前後にモーターを配置した、かなりパワフルなPHEV
フラッグシップのT8は233kW(318ps)/400N・m(40.8kg-m)を発生するが、T6はT8よりディチューンされ、186kW(253ps)/350N・m(35.7kg-m)のパワースペックとした。控えめな数値に見えるが、ライバルより高性能だ。また、電動モーターも65kW(87ps)/240N・m(24.5kg-m)と、T8とまったく変わらない。
ちなみに、200ボルトの普通充電で満充電まで3時間かかる。モーターとバッテリーで走れる距離は46.2kmだ。T6とT8は、分かりやすく言うとプラグインハイブリッド車。「Pureモード」を選べばCO2やNOxなどの有害物質を排出しない地球にやさしいゼロエミッションカーになる。
もちろん、駆動方式はAWD(オールホイールドライブ=4輪駆動)だ。エンジンを使って前輪を、電動モーターを使って後輪を駆動し、これを走行状況によって上手に使い分けている。
EV走行可能距離は46.2㎞! 125㎞/hまでEV走行可能
ボルボV60 T6の走行は、通常「ハイブリッドモード」を使う。エンジンと電動モーターを最適にコントロールしてくれるからだ。満充電で、短距離のドライブなら「Pureモード」という手もある。「Pureモード」は、モーター走行が最優先となり、46.2㎞の距離をEV走行できる。送迎や通勤といった短距離を毎日繰り返すような使い方をしているんであれば、ほぼガソリンを使わない生活も可能になってくる。
V60 T6のモーターは、アクセルを踏むと瞬時にパワーとトルクが立ち上がり、気持ちいい加速を見せた。この「Pureモード」は快適性も高い。エンジンと違って加速していくときも静かだ。これは街中などの走行ステージでは大きな武器になる。最高速125㎞/hまでEV走行が可能だ。
最高速125㎞/hだと、日本では高速道路でもEV走行可能だ。ただ、EVでの高速走行は効率が悪いので、ハイブリッドモードでの走行が無難。「Pureモード」は、速度の遅い市街地走行での使用が効率がよくお勧めだ。
ハイブリッドモードは、エンジンの苦手な低回転域をモーターが補い、レスポンスの鋭い力強い加速を披露した。勾配のきつい箱根の登坂路も苦手としない。この4気筒エンジンはモーターのアシストもあり、滑らかさも一歩上を行く。
軽快でパワフルなV60 T6
8速ATも滑らかな変速フィールだ。最高出力と最大トルクは上級のT8に及ばないが、実際にステアリングを握っても一般的な使用域では非力と感じることはなかった。
というより、かなりパワフルと感じたのである。価格的に頑張ったこともあり、内容を知るとかなり買い得なワゴンという印象だ。
走りの実力も高い。軽やかなフットワークを見せた。箱根のワインディングロードでもロールを上手に抑え込み、狙ったラインに乗せやすい。揺れの収まりは早く、速いスピードでコーナリングしたときも4輪の踏ん張りを感じさせるなど、絶大な安心感がある。
また、電動パワーステアリングの操舵フィールも自然な感覚だ。路面によっては衝撃を感じることがある。が、ハンドリングと乗り心地の妥協点は高く、同乗者にも優しい。
ブレーキも不満のない実力だが、ハイブリッド車特有のブレーキフィールには戸惑う。慣れないと踏み加減が分かりづらく、ギクシャクした動きが出やすい。走り出しは、ペダルのコントロールに気を遣った。ただ、しばらく走るとすぐに慣れるレベルでもある。
ボルボV60価格
V60 T6 Twin Engine AWD Inscription 7,490,000円
V60 T8 Twin Engine AWD Inscription 8,190,000円
ボルボV60燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード V60 T6 Twin Engine AWD Inscription
全長 × 全幅 ×全高 4,760×1,850×1,435mm
ホイールベース 2,780mm
車両重量 2050kg
エンジン種類 インタークーラー付スーパーチャージャー&ターボチャージャー DOHC直列4気筒16バルブ +モーター
総排気量 1,968cc
最高出力 186kW(253ps) /5,500rpm (ECE)
最大トルク 350Nm (35.7kgm) / 1,700-5,000rpm (ECE)
モーター最高出力(kW/rpm) 34/2,500(前) 65/7,000(後)
最大トルク(Nm/rpm) 160/0-2,500(前) 240/0-3,000(後)
トランスミッション 8速A/T
充電電力使用時走行距離 45.1km
タイヤ・ホイールサイズ 235/45R18
最小回転半径 5.7m
駆動方式 電子制御AWDシステム(エンジン+モーター)
サスペンション 前/輪 ダブルウィッシュボーン式/インテグラル式
エネルギー消費効率 (WLTCモード燃費値) 12.3km/L
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