BMW 1シリーズ試乗記・評価 万人受けするスポーツコンパクト
CORISM / 2020年5月12日 16時13分
FRからFFへ。化による居住空間の拡大
![BMW1シリーズ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2020/04/IMG_9887-300x200.jpg)
BMW1シリーズ最大の注目点は、従来のFR(後輪駆動)から、FF(前輪駆動方式)に変更されたことだ。このFF化により、全体的な居住空間が拡大されていて、後席座面も少し高くなっている印象だ。FF化により、後席のレッグスペースは、十分確保されている。その分、目線が高くなり視界は広がったが、ヘッドクリアランスや前席ヘッドレストとの間隔は、あまり変化が無くFF化による恩恵はあまり感じ取れなかった。
納得できる装備にすると400万円オーバーする価格
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しかし、価格を安く見せるため、この価格帯のクルマとしては、装備がやや貧弱だ。軽自動車でも標準装備されているモデルがあるのに、118i playだけでなくMスポーツまでも、全車速前走車追従式クルーズコントロールはオプション。
とくに、驚きなのがエントリーグレードの118i。334万円からという価格訴求用の専用グレードで、なんと自動ブレーキなどの運転支援システムさえも装備されておらず、オプションでも装着できない。
実質的に118i playがエントリーグレードといった印象。これに、全車速前走車追従式クルーズコントロールやiDriveナビゲーション・パッケージなどを装備すると、ザックリだが420万円前後の価格になる。
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振動少なく、実用十分な1.5L直列3気筒ターボエンジン
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深くアクセルペダルを踏み込むと、エンジン回転数はスムーズに上昇しレッドゾーン付近に達する加速自体は悪くない。振動面で不利な3気筒エンジンだが、さすがBMW製。不快な振動は、ほとんど感じない。むしろ、4気筒エンジンといわれれば気が付かないほどだ。
電子制御7速AT(DCT)もシフトUP/DOWN共に変速ショックは小さく、市街地や高速道路、山岳道路を十分スムーズに駆け抜ける。特に山岳道路ではパドルシフトが有れば、より心地良いスポーティ感を味わえるだろう。
コスト高となるマルチリンク式リアサスを継続採用
118iのサスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンク式で16インチのタイヤが組み合わされていた。Cセグメントにおいて、最近ではリアサスペンションをトーションビーム式を選択するメーカーが多い。Aクラスやマツダ3などは、フルモデルチェンジを期に、従来の上級なマルチリンクからトーションビームへ変更し、コストダウンを図っている。その結果、主に乗り心地面で、少々物足りない結果となっている。
そんな中、新型1シリーズは、乗り心地やハンドリングにこだわり、このクラスにも継続してマルチリンクを採用したのは正解だ。新型1シリーズはその結果、ライバル車に対して1歩リードする乗り心地やハンドリングを手に入れている。
FF化というネガなイメージを一切感じさせないハンドリング
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新型1シリーズの操縦性は、全般にマイルドな印象、ボディ剛性高く、ターンインでのブレーキングからステアリングを切る一連の操作に対するクルマの動きは自然だ。前輪は、コーナーの狙ったラインを進みピッチングやロールも急な動きが無い。リアもスムーズに追従しアンダーステアをほとんど感じない。
コーナー出口付近で、ステアリングを戻しながらアクセルペダルを徐々に踏み込むと、若干ステアリングの接地感は薄まるが、リヤタイヤはしっかりと追従してくれてロールの戻りもスムーズさがあり気持ち良く加速していく。
連続した切り返しでもステアリングの追従とロールダンピングがスムーズで不安感が無く、スポーティな印象で楽しくなってくる。ARB(タイヤスリップ・コントロール・システム)がフロントの駆動状況を瞬時に判断する制御と、ボディ剛性、軽量化などが高次元でバランスしている証拠であろう。
下りのコーナーでもロールは抑えられ、リヤタイヤも従順に追従し挙動が乱れることは無く、不安感も無い。205/55R16 91W(内圧Front 2.6、Rear 2.3)と言うタイヤサイズも忘れてしまう程のスポーティさと安心感のあるコーナリングが楽しめた。FF化、1.5Lエンジンは非力だろとのネガティブな当初のイメージはすっかり消え去ってしまった。
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AIを使ったインテリジェント・パーソナル・アシスタントなど、近未来の運転支援機能が満載
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また、新しい機能として直前に前進したルートを最大50mまでシステムが記憶。その軌跡を正確にバックで戻る事が出来るリバースアシストも全車に標準装備される。例えば、スーパーなどの駐車場で、空いていると思って奥まで進みスペースが無く、仕方なくバックで戻ったと言う経験をした人は、私を含めて多く居ると思う。これがあれば「奥が空いてなかったらどうしよう」と考えずに進んで行ける。時間を掛けてバックしなくても、速度調整だけで、ハンドル操作はクルマにお任して入口まで戻る事が出来る。日常の買い物や子供の送迎、知らない狭い道でも不安なくグイグイ突き進んでいけそうだ。
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視認性の良い8.8インチのデジタル・ディスプレイ
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レーンチェンジ・ウォーニングやクロス・トラフィック・ウォーニング(リア)、スピード・リミット情報表示などの運転支援機能も充実して、速度制限表示を見落としがちな私にとっては強い味方になりそうだ。
また、余裕があればオプションでラインナップされた10.25インチのディスプレイを2つ備えた最新のBMWライブ・コクピットや大型化したBMWヘッドアップ・ディスプレイを選択すればよりイージーなドライビングを提供してくれる。
FRを捨てたことで万人受けするモデルになった新型1シリーズ
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また、同じグループのミニブランで蓄積されたFF車のノウハウを新型1シリーズ用に再チューニング。日本のBMWとして初のARB(タイヤスリップ・コントロール・システム)を搭載する事で、BMW本来の走りの良さを確保。より、万人受けするモデルになった。
とはいえ、このクラス唯一のFRが無くなったことは、生粋のBMWファンにとっては残念だろう。
また、装備面では、自動ブレーキなどの予防安全装備が全車標準装備ではなく、少々物足りない設定ではあるものの、各種運転支援システムを装備してユーザーへ安心感と共に走る喜びも与えている。
ただ、今後この様なデバイス(後部衝突警告、リバースアシスト、自動ブレーキや前走車追従機能など)が増える事で、ドライバー自身が周りの環境に注意を払って運転することが希薄になる可能性もある。こうなると、クルマがドンドンと単なる移動手段となるのは寂しい限りだ。
また、ドライバーが「考えて操作」する運転が減少し、漠然とクルマに乗せられて移動するドライバーが増えていくのにも不安を感じる。
だが、どんなに「考えて操作」しようがしまいが、人はミスを犯すもの。いくら普段「考えて操作」して運転していても、わずかな見落としやタイミングの悪さなど不運が重なれば、交通事故は起きてしまう。そのため、安全・安心を担保出来るクルマや装備も必要であり、ユーザーが自分に合ったスタイルを沢山の中から選択出来るのは歓迎だ。
<レポート:河野達也>
BMW 1シリーズ価格
■ガソリン車
![BMW1シリーズ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2020/04/IMG_9949-210x140.jpg)
・BMW 118i Play 3,750,000円
・BMW 118i M Sport 4,130,000円
・BMW M135i xDrive 6,300,000円
■ディーゼル車
・118d Play Edition Joy+ 3,850,000円
・118d M Sport Edition Joy+ 4,230,000円
・118d Play 4,130,000円
・118d M Sport 4,510,000円
BMW 1シリーズ、燃費、ボディサイズなどスペック
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・全長x全幅x全高(mm) 4,335×1,800×1,465
・ホイールベース(mm) 2,670
・トランク・ルーム容量(L) 380 *後席収納時最大容量(L) 1,200
・定員(名) 5
・エンジン型式 B38A15A
・エンジン種類 直列3気筒DOHCガソリンターボ
・総排気量(cc) 1,499
![BMW1シリーズ](https://www.corism.com/review/wp-content/uploads/sites/3/2020/04/IMG_9925-210x140.jpg)
・最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC) 220〔22.4〕/1,480-4,200
・燃費消費率 JC08モード(km/L)16.8
・燃料消費率WLTCモード(km/L) 13.7
・トランスミッション 7速AT(DCT)
・タイヤサイズ 205/55R16
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