【日産リーフ 長期評価レポートvol.13】無充電でどこまで走れるのか? 電費は?リアルワールドで、その実力を検証!!
CORISM / 2019年3月21日 19時0分
航続距離の不安を払拭。航続距離458㎞(WLTCモード)を誇るリーフe+
2019年1月、EV(電気自動車)のパイオニアである日産リーフに、航続距離を40%も伸ばした新グレード「リーフe+(イー・プラス)」が追加された。
このリーフe+は、従来の40kWhというリチウムイオンバッテリーの容量を55%もアップし62kWhとしたモデルだ。この大容量バッテリーにより、リーフe+は航続距離を大幅に伸ばしWLTCモードで458km(JC08モード:570km)を実現している。
日産がこうしたリーフe+を投入した理由として、EVの購入を断念した顧客の多くが航続距離が短いことを上げていたからだ。2代目リーフの40kWh車でもWLTCモードで322km(JC08モード:400km)という十分な航続距離をもっていた。ほとんどの顧客が1日に走る走行距離を十分に満たしている。
しかし、EVはまだまだ発展途上のクルマということもあり、顧客が航続距離に不安を感じるのも不思議はない。日産は、こうした顧客の不安を少しでも払拭するために、投入したのが航続距離が長いリーフe+ということになる。
実際の航続距離と電費は? 一般道と高速道路で、その実力を試す!
大幅に航続距離伸ばしたリーフe+。カタログ値では458㎞(WLTCモード)走れることになっているが、実際の一般道ではどんな数値になるのか? その実力を試すため、ロングドライブを敢行した。
スタート地点は、横浜市の日産グローバル本社。そこから、首都高みなとみらい入口経由、東名高速道路の横浜・町田インターチェンジを目指す。この区間はノーマルモード、e-Pedalをオンにして走行。もちろん、エアコンとシートヒーターはオンの状態にしている。男性2名乗車でのスタートだ。
流れは悪かったが、渋滞もなく東名横浜・町田ICに到着。適度に減速と加速を繰り返す保土ヶ谷バイパスでは、電費がグングンよくなり、7km/kWhに迫った。
実燃費をアップさせる運転方法とは?
[caption id="attachment_18145" align="alignright" width="210"] エアコンの操作系パネルの下にあるのが、シートヒーターのスイッチ。リーフには、全車標準装備されている。冬場には、非常に快適なアイテム。[/caption]
東名高速道路に入る。EVで実燃費を向上させる運転方法は、急のつく運転をしないこと。急加速や急ブレーキをしないというのは、EVでもエンジン搭載車でも同じである。道路状況を読み、下り坂が近づいているときは必要以上にアクセルを強く踏まない。
また、適度な車間距離を保ち、一定のスピードで流れに乗って走ることもエコ走行につながる。減速するときも一気にスピードを落とすのは避けたい。また、速度をアップさせると、消費電力が大きくなり電費の悪化に直結する。高速道路では、心にゆとりをもって、のんびり走ることが電費アップのコツとなる。
EVはエンジンのような熱源がなく、電気ヒーターによる暖房となる。寒くないならヒーターは、出来るだけ切ったほうがいい。ヒーターは、多くの電力を消費するからだ。寒いときはヒーターを弱めに使うか、体を直接暖めてくれるシートヒーターやステアリングヒーターも上手に活用するとよい。
電費、山あり、谷あり?
[caption id="attachment_18146" align="alignleft" width="210"] ステアリングホイールの右下部分にECOモードスイッチやステアリングヒーターなどのスイッチが並ぶ。[/caption]
エコランというほどではないものの、電費を意識した運転を心がけて東名を静岡方面へ。2代目リーフは空力性能もよくなっているので、高速走行でも大きく電費を落とすことはなかった。流れに乗って90km/h前後のスピードでクルージングすると、平坦路では7km/kWhに迫る電費をマークした。
だが、大井松田から御殿場に向かう登坂路では、みるみる電費が落ち込んだ。電費計は4km/kWh台まで下がっている。ここは我慢のしどころ。EVは登り坂が苦手だが、登りがあれば下りもある。御殿場から先は下り坂なので、一気に電費が回復した。下り坂では、アクセルを早めに戻して回生ブレーキを作動させ、発電を行ってバッテリーに充電する。
清水ジャンクションまで走行。この区間は下り坂と平坦路が多いこともあり、電費計の数字は7km/kWh台に突入している。
高速道路はe-PedalをOFF、一般道ではONが効率的
[caption id="attachment_18147" align="alignright" width="210"] シフトレバー前方にあるe-Pedalの切換えスイッチ。その右にあるのが、プロパイロットパーキングのスイッチだ。[/caption]
平坦路やゆるい下り坂では、e-Pedalをオフ。コースティングを意識して走行した。これは、電気の流れが加速でもなく、回生でもない電力消費ゼロの空走状態のことだ。パワーメーターを見て、針が出力側(パワー)と電力回生側(チャージ)の境界にあるゼロ付近にくるようにアクセルを加減し、ジワッと減速するのである。コースティングを使ったほうが回生ブレーキを使うより、電費がよくなる傾向だ。
ガソリン車やディーゼル車のエコランでは、エコメーターが大いに役立つ。EVでもパワーメーターを見ながら走れば、無駄な電気の浪費を防ぐことができる。
高速道路では、e-Pedalをオフにしたほうが電費を稼げるし、ギクシャクしないEV本来の滑らかな走りを楽しめるだろう。一般道では、逆にe-Pedalが効果的なので上手に使い分けたい。
高速道路200㎞以上走行した電費は6.5㎞/kWh!
[caption id="attachment_18148" align="alignleft" width="210"] 高速道路での電費は6.5km/kWhとなった。おおよそ90~100㎞/hで走行しての結果。この時点で、まだ192㎞も走れる状態。[/caption]
清水ジャンクションから北に向かい、新清水ジャンクションでは東に進路をとり、新東名高速道路に入った。この手前で、走行距離は150kmを超えている。海に近いところから山間部まで上り坂だし、新東名高速道路もゆるい上り坂が多い。
回生ブレーキがあまり使えないから、電費はジワジワと落ちてきた。長泉沼津ICで一般道に下りたが、約200km走ってのトータル電費は6.5km/kWhとなっている。この数値を信じると、電池容量が62kWhなので、リーフe+の航続距離は403kmとなる計算だ。
200㎞走行しても、まだ192㎞も走行でいる安心感はリーフe+ならでは
この数値を見ると、やはり62kWhの電池容量をもつリーフe+の実力感じた。従来の40kWh車に置き換えると、6.5㎞/kWhの電費であれば航続距離は260㎞。200㎞走行時点で、残りの航続距離は60㎞の計算。そろそろ充電しないといけない状態だ。
ところが、リーフe+はメーター上での航続可能距離は、あと192㎞と表示されていた。この差は大きく、余裕と安心さを感じた。
一般道の箱根越えでは、電費7.1km/kWhを記録
[caption id="attachment_18149" align="alignleft" width="210"] 登り坂での電費の悪化は想定内とはいえ、さすがに4㎞/kWhを割り込むと少々ドキドキする。だが、逆に下り坂になると、ドンドンと電費がアップ。電費計の数字が増える度に得した気分になる。[/caption]
長泉沼津インターチェンジからは、一般道で再び横浜を目指す。このステージには天下の険として知られる箱根越えがある。沼津の市街地を走行後、国道1号線に入ると箱根まではずっと登り坂だ。電費は一気に落ち込み、アッと言う間に4km/kWhを割るところまで落ち込んできた。
しかし、それは想定内。下り坂では、ひたすら充電モードになるから心配はない。下り坂に入ると、ジワジワと電費が上がっていく。小田原まで38kmを走っての電費は7.1km/kWhだ。238kmを走った時点で、バッテリー残量は31%、航続可能距離は128kmを指している。
小田原からは、国道1号線や海沿いの134号線を使い湘南を抜け、夕方には横浜に戻ってくることができた。一般道での走行距離は122㎞に達した。平均電費は7.5km/kWhである。EVは、加減速する区間の多い一般道のほうが良好な電費を出しやすく、速度も低いので絶対的な電気使用量が少なくて済むからだ。
約400㎞の航続距離を達成したリーフe+。ロングドライブが楽しめるEVに成長。航続距離への不安は無し!
[caption id="attachment_18151" align="alignright" width="210"] 無充電で約330㎞を走行。それでも、まだ71㎞走行できる状態だったリーフe+。航続距離への不安はなかった。[/caption]
トータル328㎞を走行し、リーフe+のバッテリー残量は、まだ15%も残っており、この時点での航続可能距離は71㎞となった。一度も充電していないので、リーフe+の航続距離は約400㎞ということになる。リーフe+のWLTCモードの航続可能距離は458㎞なので、実航続距離はWLTCモード比約87%となった。
横浜の日産本社を出発したのが、9:30頃。ロングドライブから戻ってきたのが18:00頃と、約9時間近いドライブとなった。この間、何度も休憩しており、短時間でも継ぎ足し充電していれば、更なるロングドライブが可能であることも実感できた。
走行シーンや、速度、運転方法により航続距離は異なる。今回のロングドライブのように、少し電費を気にしながら運転すれば、約400㎞無充電で走れるようになったリーフe+。EVの航続距離は短くて不安。そんなイメージは、リーフe+には当てはまらない。安心してロングドライブを楽しめるEVへと成長した。より多くの人が、EVを楽しめることができるようになった。
<レポート:片岡英明>
日産リーフ価格
●バッテリー容量62kWh車
・リーフe+ G 4,729,320円
・リーフe+ X 4,162,320円
●バッテリー容量40kWh車
・リーフG 3,999,240円
・リーフX 3,661,200円
・リーフS 3,243,240円
日産リーフ公式HPへ
日産リーフ燃費、ボディサイズ、燃費などのスペック
代表グレード 日産リーフe+ G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4480x1790x1545mm
ホイールベース[mm] 2700mm
車両重量[kg] 1680kg
最小回転半径 5.4m
総電力量[kWh] 62kWh
最高出力[kw/rpm] 160kW(218ps)/4600~5800rpm
最大トルク[N・m/rpm] 340N・m//500~4000rpm
WLTCモード一充電走行距離 458㎞
JC08モード一充電走行距離 570km
タイヤサイズ 215/50R17
定員[人] 5人
消費税込価格[円] 4,729,320円
発売日 2019/1/23
レポート 片岡英明
写真 編集部
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