BMW 3シリーズ(G20型)長期評価レポート vol.10 「アクセル踏んだらドーン!」初めてのPHEV、330e体験レポート
CORISM / 2020年5月3日 11時11分
電気でも走るスポーツセダン、330eに興味津々な理由とは?
新型BMW 330eは、PHEV(プラグインハイブリッド)です。PHEVとハイブリッドの大きな違いは、外部から電力を供給してもらえるか否かという点だそうです。電力は、ガソリン代よりも大幅に安価なので、ランニングコストを抑えることができます。毎日クルマで通勤する私にとっては、とても経済的に感じました。
実は、私の母が少し前に、同じPHEVであるプリウスPHVを購入していて、「もう、通勤くらいの距離ならガソリン使わなくなって経済的。しかも、ガソリンスタンドに行く回数も減って、時間も節約できた」と、ご機嫌だったのを思い出しました。車種は異なるとはいえ、330eも同じ利便性があるんですね。
ただ、私は普段大型バイクに乗っていたり、レーシングカートも楽しんでいたこともあり、最近では自分が乗るクルマも走りがスポーティなクルマがいいと思っていました。そんなこともあり、母のプリウスPHVには、残念なことにまったく興味が無かったのです(笑)。
そう感じていた頃、知人の先々代BMW3シリーズを運転させてもらったことがあったのです。乗る前は、私にはボディサイズが大きく乗りにくいように感じていました。
でも、少し慣れてくると、クルマの動きが俊敏で、ボディの大きさも気にならなくなりました。少し古いクルマでしたが、BMW3シリーズって運転していて楽しいクルマという印象が強く、新型のBMW330eには興味津々です。
通常なら、ほとんどEVとして走行する330e
簡単に330eのレクチャーを受けた後、待望の試乗です。試乗車は、330e M Sportで専用のエアロパーツを装着したスポーツグレードです。
運転席に座ると、まず驚いたのがステアリングの太さでした。とにかく太い! 普通のクルマとは違う雰囲気が、ステアリングからも伝わってきます。しかも、インパネ周りやシートは、私の大好きなモノトーン系。テンションが上がりますね。
まずは、プッシュスタートボタンをONに。330eは一定の電力がバッテリーに蓄えられている状態では、エンジンがかかりません。基本的にEV走行になります。
シフトレバーをDレンジに入れ、アクセルをゆっくりと踏み込むと、想像以上の力で330eは走り出しました。新型となった330eに搭載されたモーターは、先代モデルから大幅にパワーアップされて83kW(113ps)/265N・m。このモーターだけで約120km/hまで速度を上げることができます。日本であれば、高速道路でもほとんどEV走行できることになります。
短距離移動なら、ほとんどEV!? とても経済的!
EVというと、どうしてもエコのようなイメージがあるかもしれません。でも、330eはEV走行のときでも、アクセル操作に対してクルマが瞬時に反応し、とてもキビキビと走ります。
慣れてくると、アクセルオフ時の回生ブレーキによる減速を上手く使えるようになります。その結果、アクセルとブレーキの踏み換えする回数が減り運転が楽になりました。これは、意外でした。
バッテーリーの残量が十分であれば、330eは街中を走行している限りでは、ほとんどEV走行で走りました。カタログ値では、満充電時で52.4km/L(WLTCモード)の距離をEV走行できます。これくらい走れば、通勤や送迎、買い物程度なら、ガソリンを使わずに済みますね。CO2の排出量もゼロなので、環境にも優しいクルマです。
今回、330eで200kmくらい走りました。最初に充電されていた電力を使いきれば、ハイブリッドモードに移行します。この時の燃費は13.1km/L(WLTCモード)です。
アクセル踏んだら「ドーン!」に大感動?
そして、何よりも楽しかったのが、アクセルを全開にしての加速です。アクセルを一定以上、深く踏み込むとEV走行時のモーターパワーに2.0L直4ターボエンジンの出力である184ps&300N・mのエンジンのパワーがプラスされます。330eには、エクストラブーストと呼ばれる機能があり、約10秒間+40psパワーが上乗せされ、システム出力は292psにもなるそうです。
私の愛車は、アクセルを全開にしても、エンジンの回転が上がり、ターボが効き始めてから力が出る感じでした。でも、330eはかなり違っていて、アクセルを踏んだ瞬間から「ドーン」なんです。これには、もう感動。
330eに積まれているターボエンジンにも、ターボラグと呼ばれる反応遅れがあります。どのターボエンジンにもある宿命みたいなものですよね。
ただ、330eには強力なモーターが装備されています。モーターは、瞬時に最大トルクを発生させるので、ターボラグを補ってくれる効果があります。そのため、アクセル操作における反応遅れを感じることなく、アクセルを踏んだ瞬間から「ドーン」という気持ちよい走りが可能なのだそうです。ターボとモーターって相性がいいんですね。
PHEVって、いかにもエコカー的なんですけど、330eはまるでスポーツカーです。0-100km/h加速は4.4秒(欧州モデル値)と教えてもらいました。私のバイクであるZX-10Rの0-100㎞/h加速が約3秒なので、かなり近い数値です。セダンでこんなに速いなんて驚きでしたが、とても刺激的で楽しかったです。
ドライバーの操作にしっかりと応えてくれるハンドリング
そんな加速性能と同じくらい楽しかったのが、カーブなどでのハンドリング性能でした。ドライバーズシートの着座位置も低くて、低重心化されたスポーツカーのようです。
シフトノブの側にあるドライブモードをスポーツにすると、EV走行中でもエンジンが始動。12.3インチのフル・デジタル・メーター・パネルが赤くなり、テンションを上げてくれます。
カーブに侵入し、ステアリングを少し操作しただけで、330eは俊敏に向きを変えます。このキビキビとした身のこなし、330eの大好きなところです。レーシングカートをしていたこともあり、330eのように反応の良いクルマは運転していて気持ちがよいです。
カーブでは、ピタッっと地面に張り付くような安定感が際立っていました。走行中の速度を指摘されて、初めて自分のクルマではありえないくらいのスピードでカーブを曲がっていることに気が付きました。それくらい安定感があるってことなんですね。
その後、少しスポーツドライビングのコツを教えてもらいながら走っていました。運転のコツが分かってくると、それに応じて330eも応えてくれる感じがして、走ることがドンドンと楽しくなってきたのです。
また、330eのボディサイズは、全長4,715x全幅1,825x全高1,450mmと、最初、私には少し大きく感じました。でも、ドライバーの操作に機敏に反応することもあり、走り出すとクルマとの一体感が増し、車体が小さく感じたほどでした。
便利で安全! 女性にも優しい運転支援機能が満載
思う存分330eの走りを楽しんだ後、自宅への帰り道、高速道路上で少々渋滞。330eには、「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が装備されています。早速、試してみました。
この機能は、渋滞時に車線を維持しながら先行車に追従して走行します。ストップ&ゴーも自動で繰り返してくれて、ドライバーを支援してくれます。
こうした機能は、他メーカーのモデルにもありますが、330eはハンズオフが可能です。いつでも自分で運転できるような状態であれば、ステアリングから手を離してもOK。最初は少々不安がありましたが、ビックリするくらい安心感がありました。
左右の車線にいる車両を認識できていて、割り込みなども事前に察知。私は認識していなくても、クルマは察知していたこともあり、安全性も高いと感じました。
仕事や遊びなどで、疲れて帰るときの渋滞時には最高の装備です。ちょっとした自動運転気分を味わえます。こうした制御を実現したのは、日本で初めて導入された3眼カメラと高性能画像処理プロセッサーなどの技術によるものだそうです。
もちろん、歩行者検知式自動ブレーキなどの安全装備も万全です。女性は運転に自信が無い人が多いですから、「安心して乗れるクルマ」というのは、とても重要だと思います。走行性能などより、女性には安全装備の方が心に響くのではないでしょうか。
そして、もうひとつ感動的だったのが、リバース・アシスタント機能でした。車両が直前に前進したルート最大50mまでを記憶していて、その同じルートをバックで正確に戻ることが可能な機能です。
クルマ1台分しか通れないような狭い道で、前方からクルマが来て、バックして道を譲らなくてはならないようなシチュエーションションで便利な機能です。慌ててバックしてクルマを壁や電柱にぶつけるなんていう最悪のシナリオは回避できそうです。
実際に試したのは駐車場でしたが、バックにギヤを入れ、モニター上に表示されたスイッチにタッチ。後は、速度をドライバーが調整するくらいで、クルマは自動でステアリングを右へ左へとグルグルと回し、スイスイと今まで通ってきた道をバックしました。結構、女性や運転が苦手な人に優しい機能だと思います。
そして、便利な機能だったのがBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントです。「OK, BMW(オーケー・ビー・エム・ダブリュー)」で、システムが起動します。例えば、「ボリューム下げて」と発話するとオーディオのボリュームを下げてくれます。その他、色々な操作が可能です。
330eは高級車なので、たくさんの機能があり、短い時間の試乗では、操作を覚えるのが難しかったので、こうした機能があれば便利ですね。しかも、車両の機能説明までしてくれます。また、システムの起動コマンドを「OK, BMW(オーケー・ビー・エム・ダブリュー)」から、「OK,〇〇〇」と任意の言葉に変えることができます。
私は、バイクにニックネームを付けて呼んでいます。もし、こうした機能のあるクルマに乗ったら、即座にニックネーム付けて呼びますね。その方が、愛着わきますよ。きっと。
走行性能だけでない扱いやすさも兼ね備えた330e
BMW 330eに抱いていた最初のイメージは、「電気でも走るスポーツセダン」でした。まぁ、このイメージそのものは間違っていないとは思います。
ですが、多彩な運転支援機能やインテリジェント・パーソナル・アシスタントなど、使いやすさは女性ドライバーにも優しいものでした。こうした機能は、想像外だったのでちょっとビックリ。さすが、高級スポーツセダン! ですね。
BMW 3シリーズセダン価格
・320i SE 4,610,000円
・320i 5,330,000円
・320i M Sport 5,940,000円
・320d xDrive 5,890,000円
・320d xDrive M Sport 6,410,000円
・330i M Sport 6,440,000円
・330e M Sport 6,670,000円
・M340i xDrive 9,800,000円
BMW 3シリーズ ツーリング価格
・320i SE ツーリング 4,940,000円
・320i ツーリング 5,670,000円
・320i ツーリング M Sport 6,190,000円
・320d xDrive ツーリング 6,140,000円
・320d xDrive ツーリング M Sport 6,660,000円
・330i ツーリング M Sport 6,690,000円
・M340i xDrive ツーリング 10,050,000円
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BMW 330e、ボディサイズ、燃費などスペック
全長x全幅x全高(mm) 4,715x1,825x1,450
ホイールベース(mm) 2,850
トレッド F:1,585 R:1,570
車両重量(kg) 1,830
最小回転半径(m) 5.4
トランク・ルーム容量(L) 375
定員(名) 5
エンジン型式 B48B20B 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1,998
エンジン最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 135〔184〕/5,000
エンジン最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC) 300〔30.6〕/1,350-4,000
モーター最高出力 kW〔ps〕/rpm 83〔113〕/3,170
モーター最大トルク Nm〔kgm〕/rpm 250〔25.5〕/3,170
システム・トータル最高出力:215kW〔292ps〕
システム・トータル最大トルク:420Nm〔42.8kgm〕
燃料消費率JC08モード(国土交通省審査値)(km/ℓ) 15.4
燃料消費率WLTCモード(国土交通省審査値)(km/ℓ) 13.1
トランスミッション 8速AT
タイヤ F:225/45R18 R:255/40R18
サスペンション F:ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式 R:5リンク式
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