伝説の少女たちは大女優に 90年代のデビュー&ヒット曲は名曲揃い

CREA WEB / 2020年10月10日 20時0分

大女優たちの語らずにはいられない名曲たち


素晴らしくカワイイ観月ありさ「伝説の少女」時代。真ん中のチラシと表紙は、彼女の筋金入りの大ファンという文春社員さんの私物。伝説は続いている!

 人生、気がつけば半世紀。甲子園に出る高校野球選手が全員オッサンに見えていた昔が懐かしい。今じゃ、テレビドラマで大会社の幹部を威厳たっぷりに演じる俳優さんすら、年齢を調べたら年下で仰天、ということも多い。

 仕事でご一緒するのも8割が年下だ。この間は、20代のかたと横浜流星と浜辺美波主演のドラマ「私たちはどうかしている」の話になり、鬼姑を演じている観月ありさを称賛する流れに。が、私が彼女のデビュー曲「伝説の少女」についてキャッキャと話を振ったところ、衝撃の一言が。

「なんですか、それ?」

 うおお、知らないのかッ、あの伝説の「伝説の少女」を! 知らないどころか、彼女はこの曲が発売したときはまだ生まれていなかった。コウノトリレベルのジェネレーションギャップにビックリー‼

 そこで私は彼女に語った。観月ありさは名曲の宝庫であることを。1990年代は「アイドル冬の時代」などと言われたが、10代の人気女優たちが演技力をフルに活用し、名曲を出していたことを。そして年を重ね、彼女たちは今、女優として大輪の花を咲かせていることを……。

 その流れで、語るだけでは足りず、書きたい衝動がもうどうにも止まらなくなった。

 大女優たちが90年代に放ったデビュー曲・ヒット曲を紹介させてほしい!

歌ってくれてありがとう! 時代を超えた名曲中の名曲

●ともさかりえ「エスカレーション」


ともさかりえ「エスカレーション」(1996年)。

 自分を魅せるセンスがアイドル時代からオシャレだったともさかりえ。このデビュー曲も「パリでシャンソン歌ってた前世の記憶を覚えてます」くらいの謎の大物ムードを感じさせる堂々っぷり。

 その後「さかともえり」名義で面白い曲も歌ったり、ブレイク前の椎名林檎の楽曲を歌ったり、良質のアンテナを持っている感がすごい。

 ちなみに、河合奈保子さんの「エスカレーション」も名曲。「エスカレーション」というタイトルの曲にハズレなし。

●広末涼子「MajiでKoiする5秒前」


広末涼子「MajiでKoiする5秒前」(1997年)。

「ずっと前から~彼のこと~♪」のサビが、鼻血が出るほどカワイイ! ヒロスエは完成度が超越していて、私の中では宇宙人枠に入っている。

 そして、その魅力を余すところなく出せるこの曲を作った竹内まりやは天才。Majiで尊敬した23年前(えっ、もうそんなに経つのか!)。

●観月ありさ「伝説の少女」


観月ありさ「伝説の少女」(1991年)。

 作詞・作曲は「オリビアを聴きながら」の尾崎亜美。タイトルがもうプレッシャー大。ヘタだったら別の意味で伝説になり、恥ずかしすぎるではないか。

 しかしいらぬ心配だった。当時14歳だった彼女は恐るべき歌唱力で歌い、私は感動して、これがCMソングとなっている「シャッセ」というジュースを飲みまくった。発売元のキリンにはかなり貢献したと思う。

表現力が凄すぎる! 世界観に吸い込まれるデビュー曲

●深田恭子「最後の果実」


深田恭子「最後の果実」(1999年)。

 当時不思議ちゃんキャラが強かった彼女が、歌い出したらビックリするほど「女優さん」という感じになり、初めて聴いたとき、時が止まった。薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」を聴いたときと似た衝撃。

 この曲がきっかけで深キョンを好きになり、今に至る。もちろん今期のドラマ「ルパンの娘」も観ます!

●和久井映見「マイ・ロンリイ・グッバイ・クラブ」


和久井映見「マイ・ロンリイ・グッバイ・クラブ」(1990年)。

 和久井映見の低声は、芳醇な香りのコーヒーの如し。

 これを聴くと2ndの「天使にスリルを教えてあげて」も聴きたくなり、これまた良曲であれよあれよと次が聴きたくなるので、興味を持ったかたは、最初からベストアルバムを買おう。そっちのほうが絶対早い。

●W-NAO「孤独のRunaway」


W-NAO「孤独のRunaway」(1992年)。

 飯島直子と網浜直子という2人のダイナマイトバディがタッグを組み、B'zのカバーを歌うという恐ろしいプロジェクト。そしてこれが最高にアツイ!

「いやいや、スタイルと歌の迫力はまた別だからね」と半信半疑で聴いたが、イイ女パワー全開で感動した。

デビュー曲ではないけれど個性が際立った名曲

●中谷美紀「砂の果実」


中谷美紀「砂の果実」(1997年)。

 中谷美紀の、感情あまり乗せない歌い方と、坂本龍一の哀しいメロディが、染みる。心の琴線とはこんな音じゃないかしらと思う。

 初めて聴いたときは、あまりに繊細な世界観に落ち込んだ。が、不思議な中毒状態に陥り、結局CDショップに走った思い出が。

●宮沢りえ「赤い花」


宮沢りえ「赤い花」(1993年)。

 コムロプロデュースの「夢」を強く押し出した他の楽曲もいいが、異国情緒溢れるメロディと、童謡のような歌詞のこの曲が、シングルの中で一番宮沢りえのキュートさを引き出したんじゃないかと思っている。天女顔なので、東洋系の音楽を歌うと神々しい。

●菅野美穂「あの娘じゃない」


菅野美穂「あの娘じゃない」(1996年)。

 カンノちゃんの声は唯一無二。特にこの曲は、あのちょっと鼻づまりの、低いとも高いとも言えない声で、ていねいに歌う感じが悶えるほど堪能できる。

 けっして音域が広そうではないのだが、音符の上に言葉をキチンキチンと置くように歌う。この気持ち良さよ!

●安達祐実「風の中のダンス」


安達祐実「風の中のダンス」(1995年)。

 90年代伝説のドラマ「家なき子2」の挿入歌。作詞・作曲大貫妙子、編曲千住明。彼女が13歳のときの楽曲で、幼い声でぽつり、ぽつりと歌う感じは、大人を食うようなドラマの演技とは違った、頼りない、心細さが溢れ出て切ない。

●竹内結子「ただ風は吹くから」


竹内結子「ただ風は吹くから」(1998年)。

 透明感、という言葉をそのまま楽曲にしたような、竹内結子さん唯一のシングル。爽やかな歌声と、寄り添ってくれるような歌詞がリンクし、やさしいやさしい世界が広がる。

 映画『インサイドヘッド』のヨロコビ役の吹き替えも「気持ちのいい明るい声! 誰?」と思ったら竹内結子さんだった。

 彼女の声は本当にやわらかく、風のように心地いい。


 90年代の音楽は、懐かしさと同時に、今聴いても謎の新しさがあるワンダーゾーン。

 時代のヒロインたちは、歌詞とセリフに演技力を乗せ、キラキラと輝く「一生青春ワールド」に連れて行ってくれる。昔も、今も。

 ありがとう、ありがとう!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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