ハイカラな横浜と出合うプチ旅行 ヨコハマ 5 hours Trip【モダン編】
CREA WEB / 2021年1月3日 7時0分
新型コロナウイルスの感染拡大がおさまらない中、密を避けつつも、少し出かける「5 hours Trip」。旅気分で街を歩けば、身近な街にも新鮮な出会いがあちらこちらに。そんな街歩きはいかがですか?
今回の舞台は江戸時代末期の開港を機に、西洋の文化を日本各地に広める拠点となった横浜。観光名所の横浜赤レンガ倉庫以外にも、明治から昭和初期のレトロな西洋建築や、歴史ある施設が数多くあります。
「5 hours Trip」で、ハイカラでモダンな異国情緒を味わえる非日常の世界へTrip!
伝統の味を噛みしめて眺めのいい公園で朝食を
9:00
横浜は日本で初めて食パンが生まれた街だといわれています。その伝統はいまも元町・山手エリアに息づき、パン屋さんの激戦区にもなっているほど。元町・中華街駅に着いたら、まずはおいしいパン屋さんで朝食を選んじゃいましょう。
朝9時から立ち寄ることができる「ウチキパン」は、1888年創業の歴史あるパン屋さん。香ばしい焼きたてのパンの香りが横浜元町・仲通りに漂い、お店までの道案内をしてくれます。

ウチキパンの歴史は、イギリス人のパン職人ロバート・クラークさんが横浜に住む外国人のために創業した「ヨコハマベーカリー」にまで遡ります。そこで修業をしていたのが、ウチキパンの創業者である打木彦太郎さん。
実はこのヨコハマベーカリーの“上部が山のようにふっくら盛り上がっている食パン”こそ、日本の食パン文化のルーツ。パン職人としての腕を認められた彦太郎さんは、ロバートさんから暖簾を譲り受け、彼から学んだ山型食パンをメインに、一般家庭の主食となるパン作りに力を注ぎます。その食パンが、現在もウチキパンのシンボルとして大人気の「イングランド」。約130年守り抜かれている、まさに伝統の味なのです。
山がふんわりと盛り上がった形の「イングランド」の作り方は、創業時からほとんど変わっていないとか。酵母から手間暇かけて生地を作り、じっくりと焼き上げます。また、主食として食べることを念頭にしているため、余分なものは含まれず、もっちりとした食感と小麦の香りが楽しめるのが特長です。

王道の食パンはもちろん、新メニューも日々考案されているので、店内は目移りするほどの品揃え。屋外でも手軽に食べられるようにと細長く焼き上げられた「アップルパイ」や、お客さんのリクエストで復活した「無花果クリームパン」などは売り切れ必至です。どれを選んでもハズレなし!
気になるパンを購入したら、近隣のアメリカ山公園で朝食タイム。小高い丘のベンチに座って、マリンタワーやベイブリッジを眺めながら、焼きたてのパンをいただきましょう。


ウチキパン
電話番号 045-641-1161
営業時間 9:00~19:00
定休日 月曜(祝祭日の場合は火曜)
http://www.uchikipan.com/

朝食後は、元町のおしゃれな店が並ぶ商店街をのんびり歩きながら、石川町方面へ。全長約600メートルの元町ショッピングストリートは、横浜開港当時、外国人御用達の店が集まって発達した商店街。少し歩いただけで洗練された雰囲気に浸ることができます。
昔の横浜レディたちも、こうしてウインドウショッピングを楽しんだのかな。さぁ、ストリートを抜けたら、異国情緒あふれる横浜山手西洋館が近づいてきます。
歴史の息吹を感じる横浜山手西洋館めぐり
9:45
石畳の元町ショッピングストリートを抜けて坂道をのぼったら、横浜山手西洋館の散策ルートへ。このあたりは江戸時代末期の開港後、外国人の居留地となったエリアで、今もその面影を残しています。明治から昭和初期に建てられた歴史的建造物やレトロな洋館も多く、横浜市が保存している7つの西洋館は入館無料で公開されています。
1 山手イタリア山庭園(外交官の家、ブラフ18番館)
2 元町公園(ベーリック・ホール、エリスマン邸、山手234番館)
3 港の見える丘公園(横浜市イギリス館、山手111番館)

山手イタリア山庭園内にある「外交官の家」は、1910年にアメリカ人建築家J.M.ガーディナーの設計により、明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅として東京渋谷に建てられたもの。1997年に山手イタリア山庭園に移築復原されました。室内には家具や調度類が再現され、当時の外交官の暮らしを垣間見ることができます。
外交官の家
電話番号 045-662-8819
開館時間 9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/gaikoukan/

山手イタリア山庭園にはもうひとつ、白壁が映える「ブラフ18番館」が。関東大震災後に山手45番地に建てられた外国人住宅で、1991年までカトリック山手教会の司祭館として使用され、93年に移築復元されました。
ブラフ18番館
電話番号 045-662-6318
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/bluff18/


元町公園エリアの丘の上には、現存する戦前の山手外国人住宅では最大規模を誇る「ベーリック・ホール」があります。1930年にイギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として、J.H.モーガンの設計により建てられたもので、スペイン風の外観だけでなく、タイル張りの床やキュートな形の窓など、遊び心のあるインテリアも見どころです。
ベーリック・ホール
電話番号 045-663-5685
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/Berrick-Hall/


その隣の「エリスマン邸」は、1926年に作られたスイス人貿易商の家。設計は“近代建築の父”と呼ばれたチェコ人の建築家A.レーモンドによるもので、派手な装飾はないものの、煙突、上げ下げ窓、鎧戸といった洋風住宅の意匠に当時のモダンな文化が偲ばれます。
エリスマン邸
電話番号 045-211-1101
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/ehrismann/

山手町一帯が関東大震災で被害を受けたあと、朝香吉蔵の設計により1927年頃に外国人向けの共同住宅として、現在の敷地に建てられたのが「山手234番館」。実際に70年代まで使用されていたもので、当時の外国人の優雅な暮らしを垣間見ることができる貴重な建造物となっています。
山手234番館
電話番号 045-625-9393
開館時間 9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/yamate234/

港の見える丘公園内にある「横浜市イギリス館」は、1937年に英国総領事の公邸として建築された鉄筋コンクリートの2階建てで、地下にはワインセラーもあるそう。2階の展示室や寝室が一般公開されており、広い窓からは庭や港の眺望が楽しめます。近接する湊の見える丘公園にある「イングリッシュローズガーデン」は、散歩コースとしても人気です。
横浜市イギリス館
電話番号 045-623-7812
開館時間 見学9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/british-house/

同じく港の見える丘公園の南端に佇むのは、スパニッシュスタイルの洋館「山手111番館」です。J.H.モーガンの設計により現在地に建てられたもので、地階は鉄筋コンクリート、地上は木造といった珍しい造りになっています。
山手111番館
電話番号 045-623-2957
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は、翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/yamate111/
「山手111番館」の地階には、喫茶室も併設されています。異国情緒たっぷりの洋館めぐりを楽しみながら、「カフェ・ザ・ローズ」でほっと一息。ローズガーデンを見下ろす開放感あふれる席でいただく手作りケーキとローズティーは、優雅な気分に浸れます。ティータイムのあとは、横浜初の都市型ワイナリーへ。


カフェ・ザ・ローズ
電話番号 045-622-3332
営業時間 10:00~17:00(L.O. 16:30)
定休日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、何末年始
https://cafe.hillsidegarden.jp/cafetherose/
都市型ワイナリーを満喫し、クラシックホテルで遅めのランチ
12:30
西洋館巡りのあとは、海側にひっそりと佇む「横濱ワイナリー」へ。

女性醸造家が手がける横浜初のクラフトワイン「ハマワイン」の醸造所「横濱ワイナリー」は、2017年にオープンしたばかり。開業当初はぶどう畑を持たずにワインを醸造する一般的な“都市型ワイナリー”のスタイルで、「地ビールがあるのだから、横浜に地ワインがあってもよいのでは?」という発想から生まれたそう。
コンセプトは、大地にも身体にも負担をかけないよう、できる限り化学的なものを使わないワイン造り。原料であるぶどうはどれも国内産で、無濾過、ノン・パスチャライズの生ワインなので、ありのままのぶどうの味わいを楽しめるのが特長です。試飲をしてお気に入りの1本が見つかったら、ぜひお土産に。

ハマワインのアルコール度数は10%前後。ワインとしては低めな仕上りで、最初のひと口から果実のフレッシュ感が味わえます。蛇口のついた樽とカモメのシルエットをあしらったエチケットにも横浜らしさが読み取れます。2020年から横浜でピノ・ノワールとシャルドネの栽培も始め、休眠耕作地を活用した地産地消にも挑戦中だそうです。

横濱ワイナリー
電話番号 045-228-9713
営業時間 月曜・金曜・祝前日14:00~20:00、土曜・日曜・祝日11:00〜18:00
定休日 火〜木曜 ※通常営業と異なります
https://yokohamawinery.com/
13:00
そろそろおなかもすいてきた頃。せっかくの横浜ですから、老舗ホテルの洋食でランチにしましょう。目指すはハマっ子が誇るクラシックホテル、ホテルニューグランドの「コーヒーハウス ザ・カフェ」です。


1927年、関東大震災の被害も著しい横浜の地に誕生したホテルニューグランド。ヨーロッパスタイルの正統派ホテルとしてのスタイルを築き上げていくなか、開業当初からキャッチフレーズとしていたのが「最新式設備とフレンチ・スタイルの料理」でした。その言葉どおり力を注いだレストランでは、国内外のVIPが舌鼓を打ち、「ホテルニューグランド発祥」とされる数々の料理が生まれました。

たとえばシーフードドリア。ドリアは今や家庭でも楽しまれている料理ですが、これはホテルニューグランドの初代総料理長サリー・ワイルが、体調を崩したゲストのために即興で考え出した創作料理なのだそう。
バターライスに合わせた海老のクリーム煮は、海老の旨味たっぷりの豊かなコクとなめらかな口あたりが魅力。くどさは少しも感じず、ぷりぷりとした海老の食感も楽しめるため、ついついスプーンが進みます。体調不良でも食べられるようにという料理長の心配りが伝わってきます。

最近ではちょっとしたブームにもなっているスパゲッティナポリタンも、ホテルニューグランドが発祥と言われています。第二次大戦後、GHQ将校の宿舎として接収されたホテルニューグランドで2代目総料理長を務めていた入江茂忠は、米兵が茹でたスパゲッティに塩、胡椒、トマトケチャップを和えて食べていたのを参考に、具材やソースを改良し、現在のスパゲッティ ナポリタンを完成させました。
飴色になるまでよく炒めたニンニクとたまねぎにトマトの粗切りやホールトマトなどを加えて仕上げたソースは、酸味の中にほんのりとした甘さがあり、ケチャップとはまた違う大人の味わい。もちもちとした太めのスパゲッティによく合い、思わず白ワインを頼みたくなってしまいそう。喫茶店のナポリタンが普段着の味だとすると、このナポリタンは“ちょっとおめかし”の味といえるでしょう。

ホテルニューグランド発祥の味は料理だけではなく、スイーツにも。終戦後のホテルニューグランドには米軍将校とその夫人が宿泊していました。その将校夫人にも喜ばれるような、華やかで満足度のあるデザートを、と考え出されたのが、プリンにアイスクリームや缶詰のフルーツを合わせた「プリン・ア・ラ・モード」です。
デザートにも満足度を求めるアメリカ人女性のために、パティシエが工夫をこらした組み合わせでしたが、当時これだけの量をのせられるデザート皿はなかったとか。そこで、前菜用に使っていたコルトンディッシュという特殊な器に美しく盛り付けたところ、そのスタイルから、“プリン・ア・ラ・モード”(洗練されたプリン)と呼ばれるようになったそうです。
さて、2017年からは開業90周年を記念した限定30食の「90thプリン ア ラ モード」が登場。伝統のプリン ア ラ モードをより華やかにアレンジしたボリュームたっぷりのスペシャルプレートで、リンゴのコンポートや生チョコケーキ、さらにミニパンケーキまで加わり、二人でシェアしても十分なボリューム。欲張りな女子旅にはぴったりのスイーツです。
いかがでしたか、ハイカラでモダンな横浜をめぐる今回の「5 hours Trip」。歩けば歩くだけ魅力が見つかる横浜。次はどんな「5 hours Trip」が待っているかな。ぜひお楽しみに!
ホテルニューグランド
コーヒーハウス ザ・カフェ
電話番号 045-681-1841
営業時間 10:00~21:30(L.O. 21:00)
定休日 無休
https://www.hotel-newgrand.co.jp/the-cafe/
文=大嶋律子
写真=釜谷洋史
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