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自由に、無心に、真っ直ぐに 俳優・杉野遥亮が考えること 「今の自分に迷いはないです」

CREA WEB / 2021年9月24日 19時0分


ブルゾン 41,800円、パンツ 46,200円/共にサイ(マスターピースショールーム)

 深夜ドラマ枠で史上初となる2作連続主演を務め、『夜への長い旅路』で初舞台を経験し、この1年で幅広い役を演じてきた杉野さん。

 9月24日(金)から、Amazon Prime Videoで全話一挙配信される「僕の姉ちゃん」では、まっすぐに育ってきた社会人1年目の白井順平を演じる。

 デビューから6年、さまざまな役を経験してきた杉野さんは「今、凄く幸せです」と答えてくれました。そんな彼の心のうちに迫ります。


人と信頼関係を築くには爆発的ななにかが必要


――「僕の姉ちゃん」では素朴でまっすぐに育ってきた社会人1年目の順平を演じていますが、杉野さんから見た順平はどんな印象ですか?

 昔の自分に似ていると思いました。軸が無くていろんな意見を取り入れて、目の前で起こったことに対してすぐ傷ついたり、喜んだりして……。目の前の人や事を素直に受け入れて右往左往している様子が、以前の自分を見ているようでした。

 今は、人の本質を見つめるようになって少しは理解できるようになったかなと思っています。そこの部分が、順平とは違っていて、自分の中でも成長して変わったなと感じる点ですね。

――作品の中で、姉のちはる(黒木 華)と恋、仕事、趣味、人生にまつわる会話を繰り広げていますが、そこで順平はちはるの鋭いツッコミをだいぶ受けていました。ちはるのキャラクターに関してはどう感じましたか?

 ちはるは台本を読んだ時から、魅力的な姉ちゃんだなって思ってました。人の本質を捉えてはいるんだけど、それを弟にカッコつけて話していたり、あえて外側の部分を言うことで自分を保っていたり、良い意味で人間臭い姉ちゃんだな、と。

 でも、撮影をしていてたまに、このちはるってどんな人なんだろうとか、これは真面目に言ってるのか、ふざけて言ってるのか、どこまでそうなのかってことがわかんなかった時もありました、そういう意味では順平と同じように疑問を感じたり、追及したりもしてて。やっぱり順平には似ているところが多いのかも(笑)。


――ちはるとのやり取りも魅力的ですが、会社の同僚である美穂子(久保田紗友)の言動に少し翻弄されている姿も一方で楽しく観させていただきました。杉野さんは順平のように女性の言動は素直に正面で受け止めてしまうタイプですか?

 この人は表ではこう喋っているけど、裏ではこんな風に考えているなっていうのは分かっているつもりなんですけど……。もしかしたら嘘をつかれている可能性もありますもんね(笑)。難しいですよね、そこって。最終的にその人のことを信頼しているのかどうかだと思います。

 僕自身は他人の言動に対して「あれってどういうことだったんだろう」っていろいろと考えちゃうタイプなんです。あんな気もするし、こんな気もするしって。その時点で実はその相手のこと信頼してないのかもしれない。でもやっぱり信頼関係って爆発的ななにかがないと構築されないですよね。

――イベントのような?

 そう、なにかしらのイベントがないと一生相手が言ってることって本当はどうなんだろうって思って、疑ってしまうかも。だって裏切られて傷つくの怖いじゃないですか。

 だから、プライベートで友達になりたいって思った人には、タイミングが来たら自分から意見を言います。自分が思っていることを伝えるっていうのは相手を信頼してのことだから。それで受け止めてもらえたら嬉しいですよね。そういうある意味飾らない“裸の交流”があればストレートに気持ちをやり取りできる気がします。

欲求が削ぎ落ちていき、人生の最終的な終着点が見つかった


――杉野さんは家族の中ではどんなキャラだと思いますか?

 たぶん一番、掴めない奴なんじゃないかなって思います。小さいころは、気になる習い事があったらやりたいって言ってはすぐ辞めてっていう繰り返し。何事も長くは続かなかったなあ。突然、生徒会やってみたいって手を挙げてみたり、マラソン大会で一位を取りたいって、毎日ランニングしてみたり。そんな掴めないというか、家族の中で唯一、ややこしい奴だったんじゃないかな。

――熱しやすいタイプなんですか?

 いや、いろんなことにとにかく興味があったんでしょうね。でもやってみるとなんだか違うってなってしまう。一つのことを続けるというのが、なかなかできなかったんです。長く続けたと言えば、バスケぐらいかな。けど、それも割と仕方なくというか、他にやりたかったこともなかったし、これならできるというちょっと後ろ向きな理由だったんですけど。

――でも今、まさに一つのことを続けてらっしゃるじゃないですか。

 最初は不純な動機だったんですけどね。キラキラしていて、楽しそうだなって。

――今も楽しいという実感はありますか?

 はい、楽しいです。でも、始めたころに比べて楽しさの内容が変化してきました。最初はいろんな人がいる、いろんな経験ができる、いろんな人と喋れる、だったんですけど、だんだんと慣れてくるじゃないですか? 最初にその慣れを感じた時、自分はなんでこの仕事やっているんだろうって思って、悩みました。

 いろいろと考えて、人と話すのが楽しい、お金が欲しい、知名度が欲しいとか、僕はそういうことを求めていたわけではないなって気づいたんです。もちろん、そういう欲求が0というわけではないんですけど、限りなく薄いです。コロナの自粛期間を経て、その傾向がより強くなって。欲求がどんどん削ぎ落ちていっているんです。

 みんなが僕のことを知ってくれるのは嬉しいことだけど、知られ過ぎても生きづらくなってしまうし。

 でも実は、やりたいことが今は見つかったんですよ。夢というか。


――どんなことですか?

 コロナが落ち着いて世界がもうちょっと開けた時の話なんですが、1〜2年くらいお休みをもらって、アフリカとかで、現地の子供たちと一緒になんかやってみたいなあって。井戸を掘ってみたり、木を植えたり、これからのためになることをしたいです。そういう意味で夢はいっぱいあるかな。

 地球の未来のために、今何ができるのかというのを世界を旅しながら探求していく『ザック・エフロンが旅する明日の地球』というドキュメンタリーを観て、こういうことがやりたい! と思ったんです。まあ、今はまだ遠い夢の話、人生の最終的なご褒美なのかなって思いますが。

 その夢のためにも、今は役者の仕事を頑張りたいし、楽しいって純粋に感じています。ありがたいことにいろんな役や作品と出会えていますし、いろんな人から愛情を感じますから。演じさせていただいた後に「良かったな」って思うことが本当にたくさんあって。今はその繰り返しに充実しています。

――良かったなと思うこととは?

 役者としてはもちろん、人間として成長させてもらう機会をいただけていることです。あとは、自分が伝えたいことが作品を通して世の中に届いて、人の心を揺さぶったり、何かしら波風を立たせたり、そういう反応が見れた時に嬉しいなって思います。

 役者として、表現者として深いところに行けば行くほど、そういう喜びというのも大きくなる。そのためには人間としても成長をしなくてはいけないし、辛さを感じたり、きついと思うこともある。ただただ楽しい一辺倒というわけではないのが大変でもありますが、役者としての仕事にやりがいを感じています。自分が進むべき道がしっかり見えているというか。それって凄く幸せなことですよね。

――幸せってはっきり言えるって充実している現れですね。

 そうですね。今の自分に迷いとかはないですね。

自由でいるために誰にも執着したくないし、縛られたくない


――先ほどコロナの自粛期間を経て、いろいろと変わったと話されていましたが、具体的にどんな点が変わったと感じますか?

 ちょっと前まではなんていうか、心の中がぐちゃぐちゃでした。当時、自分でも気づけてなかったんですけど、無理していたんだなと思います。コロナで撮影が約2ヶ月ストップした時、その期間がそのまま自分と向き合う時間になって。だんだんと今の自分というものが整理されていったんです。

 失敗したら、どうしよう。とか以前は漠然とした不安があったのですが、やるべきことを自分がしっかりとやっていれば、その結果起きることはすべて流れなんじゃないかって思うようになりました。例えば、仕事で失敗したとしても、そこから学ぶための流れだったんじゃないか、とか。成功したとしてもそうです。そのまま受け止めようと思いましたね。これって難しいし、怖いことですけど。

 今のようにいろんな仕事をさせていただいている状況ってなかなか無いことで、恵まれていることだと思っていますし、作品ごとに不安に思ったり、しんどかったりすることはあるけど、そういう考えになりました。僕は役者という仕事に全力で取り組むだけだって。支えてくれる人が周りにたくさんいますし、考えすぎる必要はないなって。

――杉野さんはオンオフをきちんと切り替えられるタイプですか?

 苦手なタイプです(笑)。自分の性格上、スイッチが切れないんですよ。一見、休んでいるように見えても、気持ちが休めないんです。オフの日でもつい仕事のことを考えてしまうし、こういう感情を活かせるなとか、こういう感情を経験できて良かったなとか思って、作品や役に繋げてしまう。

 それはそれでいい部分もあるんですけど、最近はポジティブな意味でそういう自分から離れたいって思ってます。オフの日にエネルギーを一度きちんと充電して、よし仕事! ってなったら、もっと良いものを届けられるのかもって考えたりしています。


――今の杉野遥亮として、他にはどんなことを感じたり、思ったりしていますか?

 基本的に自由でいたいんですよね、なににも縛られたく無いし、誰かに執着されたり、執着するのも嫌だし、なにかにすがるのも嫌ですし…。

――誰かに甘えたりとか頼ったりしないんですか?

 それも実は苦手で(笑)。でも、最近は親にいろいろと頼れるようになりました。ありのままの自分を一番よく知っているのは家族ですし、受けとめてくれるのも家族。子どものころは長男だったし、自立しなきゃって思っていて甘えられなかったけど、大人になって弱い部分なんかもさらけ出せるようになってきました。やっぱりそういう意味でも、この1、2年で大人になったのかな。

――それでは最後に、今後やってみたい役を教えてください。

 今の自分では理解できない役柄をやってみたいです。今、お話をいただいている役って自分にどこかしらリンクしている気がするので。今回の『僕の姉ちゃん』も以前の自分に似ている部分があったり。

 とにかく、いろんな役をもっとやってみたいです。役を演じることで、自分の見たことのないパーソナルな部分に出会えるかもしれないし、他者への理解も広がるかもしれない。演じたことがある役柄でも、相手との関係値でやっぱり変わる部分がありますから。そういう経験を重ねていくことで世界はどんどん広がっていくんじゃないかな。

 そんなふうに考えると、これからの役との出会いにワクワクしますよね。

杉野遥亮(すぎの・ようすけ)

1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2017年公開映画『キセキ―あの日のソビト―』で俳優デビューしたのち、さまざまなドラマや映画で活躍。映画『東京リベンジャーズ』では、ナオト役を演じる。待機作には、ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」が10月6日からスタート予定。

文=渡里友子
写真=鈴木七絵
スタイリング=伊藤省吾
ヘアメイク=後藤泰(OLTA)

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