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“お伊勢参り”の出発地点【二見浦】 倭姫命が二度振り返るほどの絶景とは

CREA WEB / 2021年9月25日 11時0分

#231 Futami Ura
二見浦(三重県)


5~7月は大小の岩の間から朝日が昇ります。

 八百万の神々の中心にいる天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつり、全国の神社の中心と仰がれる伊勢神宮。

 江戸時代には“お伊勢まいり(お蔭まいり)”が大流行し、「伊勢に行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」(伊勢音頭)とまで、うたわれたほど。

 そしてこの混迷の時代、お伊勢まいりの人気がふたたび上がっているそうです。


1年に約1,500回の祭事があるという伊勢神宮。

 伊勢神宮は、内宮と外宮を中心に125社があり、東京・世田谷区とほぼ同じ5,500ヘクタールもの広さを誇ります。天照大御神にここに鎮座していただこうと、内宮の創建の地を決めたのは倭姫命(やまとひめのみこと)。弥生時代の紀元前4年のことでした。


天照大御神のお告げがあり、五十鈴川のほとりに内宮を創建することに。

 倭姫命は、現在の伊勢神宮の地にたどりつくまでに近江や美濃など、各地をめぐりました。この旅は“倭姫命の巡行”と呼ばれています。

 ふさわしい地を探して、二見浦に船を着けた倭姫命。名勝地ゆえ、その美しさに思わず二度振り返り、ご覧になったことから「二見」と呼ばれるようになったそうです。


大小の岩にかけられた注連縄は鳥居の役割。

 二見浦は、大小の岩が仲良く並ぶ「夫婦岩」で知られています。大きい「男岩」は高さ9メートル、寄り添う「女岩」は高さ4メートル。2つの岩には大注連縄がかけられています。

 夫婦岩の沖合、約700メートルの海底には、猿田彦大神ゆかりの御霊石「興玉神石」が鎮まっているそうです。そしてここは常世から最初の波が打ち寄せる聖なる浜と、信じられていました。夫婦岩にかけられた注連縄は、神の世と俗世を分かつ、鳥居の役割もあるそうです。

 二見浦のハイライトは5~7月の朝、訪れます。夫婦岩の間から、朝日が顔を出すのです。それがちょうど富士山の方角にあたり、夏至の約1週間は富士山の背後から昇る朝日が見られるとか。この現象を“ダイヤモンド富士”と呼びます。ご利益、ありそう! でも、わたしは眠気に勝てませんでしたが……。

 夫婦岩が位置するのは、“おきたま様”と地元の人から親しみを込めて呼ばれる二見興玉神社。万事を最善の方向に導いてくれるという猿田彦大神を、御祭神にまつっています。


猿田彦大神の使いである“二見蛙”。“無事に帰る”、“お金が返る”など、縁起のいい存在。

手水舎にも二見蛙が。

伊勢神宮と日本初の公設海水浴場

 伊勢神宮へ参拝する前には、まず二見興玉神社へ。古来より、ここで潮水を浴びて身を清める、「浜参宮」が行われていました。いわば、禊(みそぎ)です。今ではこの神社に参拝し、「無垢塩祓」を受けることが、禊の代わりになるそうです。

 海に沿って西へ、夫婦岩表参道を進むと、松林に守られた二見浦海水浴場があります。砂浜&松林、“白砂青松”のザ・日本のビーチです。「日本の渚百選」にも選ばれています。


沖に知多半島の山並みがかすかに見えます。

駐車場から松林を抜けて海水浴場へ。

 実はここ、明治15年に日本で初めて開設された国指定の海水浴場。当時、レジャーというよりも“浴治”という医療が目的だったとか。和製タラソテラピーでしょうか。

 また、大正天皇は幼少期、伊勢まいりの賓客をもてなした宿「賓日館」(現在は資料館、国指定重要文化財)に滞在した際、ここで水泳を覚えたとの逸話も残っています。

 さらに西へ進むと、伊勢神宮の125社のひとつ、「御塩殿神社」があります。


昔ながらの製法で堅塩は作られ、伊勢神宮で使用されます。

木々が濃い影を落とす、御塩殿神社。

 御塩の神様がまつられていて、神宮で使用するための「堅塩」が2,000年以上、変わらぬ製法で作られています。境内の裏手には、海水を汲む場所と塩を焼く建物があり、これは登呂遺跡にみられる建築様式だそう。訪れた時、人が誰もいなかったせいか、まるで弥生時代にタイムトリップしたような気分でした。

 そして、いよいよ伊勢神宮へ。

 最初に天照大御神のお食事をつかさどる神、豊受大御神がまつられている外宮から参拝します。そして外宮から約5キロ離れた、天照大御神がまつられている内宮にお参りします。


天照大御神をまつる内宮の本宮。いつも、ありがとうございます! ©神宮司庁

 外宮も、内宮も、正宮では日頃の感謝を伝えます。お願いごとをするのは正宮ではなく、ご神霊のもうひとつの面である、行動力のある“荒御魂(あらみたま)”をまつる宮で。外宮なら多賀宮、内宮なら荒祭宮です。


参拝後はおかげ横丁やおはらい町通りを散策。

もっちりとした太麺の伊勢うどん。1本の長さがあるので、数回すすれば、あっという間に完食。

 神代のできごとと現実が、ゆるやかに交じり合う伊勢。ギリシャで神話を身近に感じた感覚と、どこか似ている気がしました。

二見浦

●アクセス JR参宮線の伊勢市駅から二見浦駅まで6~9分。または伊勢・二見・鳥羽を周遊するバス「CANばす」を利用する方法も。
●おすすめステイ先 神宮会館
https://www.jingukaikan.jp/


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子

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