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映画好きが繰り返し観てしまう 人生のこの1本! という映画

CREA WEB / 2021年10月13日 17時0分

 発売中の雑誌『CREA』2021年秋号「明日のためのエンタメリスト」より、「今なりたい気分」に寄り添う名作映画32選にて、紹介しきれなかった作品の数々を秋の夜長にちょっとずつご紹介します。

 まずは、映画を愛する9人が、折に触れ繰り返し観るという「人生の1本」とは!?


カルト的人気を誇る近未来SF短編の傑作

『ラ・ジュテ』


「モノクロ写真の連続のように構成された“フォト・ロマン”として有名な作品だけど、1場面だけ動きがあって、その瞬間のたぐいまれな美しさを観たいがために、繰り返し鑑賞してしまう1本。30分もない短い作品なので、深夜、気が向いたらDVDを再生している」(青野賢一さん)

 写真家でもありジャーナリストでもあったクリス・マルケル監督が、1962年に手がけた短編映画『ラ・ジュテ』。ほぼ全編モノクロ静止画のスライドにナレーションのみで描く、という画期的な技法で映画の概念を揺さぶる異色作。

 テリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995)をはじめ、数多くの作品に影響を与え続けている。

●あらすじ●

第三次世界大戦後、放射能に汚染されたパリでは、地下に潜った科学者たちがエネルギーや物資を過去と未来から調達すべく、捕虜を使った時間旅行実験を行っていた。そんな中、子どもの頃、オルリー空港の送迎台(=ラ・ジュテ)で見たイメージに取り憑かれていた男が治験者に選ばれる。かつて見た忘れがたい光景が実は……。

『ラ・ジュテ デジタル修復版』

監督:クリス・マルケル
出演:エレーヌ・シャトラン、ダヴォ・アニシュ、ジャック・ルドーほか
1962年/フランス/28分 © 1963 Argos Films
Blu-ray 4,180円(税込)
発売元:WOWOWプラス 販売元:KADOKAWA

新作が出たら必ず観て浸るウディ・アレン作品

「気分によって映画を観ているので、『特にこの1本を!』と見返すことはありません。ただ、ウディ・アレンの作品が好きなので、新作が出たら必ず観ています。なかでも、『カフェ・ソサエティ』や『インテリア』などのファッションやインテリアは、今の時代にも参考になります」(古牧ゆかりさん)

ウディ・アレン

1935年生まれ。米ニューヨーク州出身の映画監督・脚本家・俳優。『泥棒野郎』(1969)で監督デビュー。『アニー・ホール』(1977)でアカデミー監督賞と脚本賞、『ハンナとその姉妹』(1986)『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)でアカデミー脚本賞を受賞。『マンハッタン』(1979)『セレブリティ』(1998)『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019)ほか作品多数。

鬼才ポン・ジュノが描く未解決事件の衝撃的な闇

『殺人の追憶』


「一言でいうならば、圧倒的なリアリティ。そのリアリティが頭の中のノイズを消し去り作品に惹き込んでくれるので、頭の“ととのい”をしたい時によく観ています」(菅原敬太さん)

『パラサイト 半地下の家族』で、韓国映画として史上初となるカンヌ国際映画祭パルムドールに輝き、第92回アカデミー賞では作品賞含む最多4部門を受賞するなど、世界がその才能を絶賛するポン・ジュノ監督。

 その名前を有名にした『殺人の追憶』は、80年代後半に韓国で起こった当時未解決だった連続殺人事件をモチーフにしたミステリーの最高傑作! 約30年もの時を経て2019年、真犯人が特定されたことでも話題に。


●あらすじ●

ソウル近郊の農村で若い女性の変死体が発見された。捜査が難航する中、同じ手口の連続殺人事件が発生。地元の刑事とソウル市警から派遣された刑事がこの難事件に挑むも、殺人犯に翻弄され、追い詰められていく。性格も捜査方法も対照的な二人は衝突しながらも、ついに有力な容疑者を捕らえるのだが……。

『殺人の追憶』

監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、パク・ノシク、パク・ヘイルほか
2003年/韓国/131分
© 2003 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
Blu-ray 4,400円(税込) DVD 3,520円(税込)
発売・販売元:TCエンタテインメント

小雨がポツポツ降る日に毛布に包まって観たくなる

『真夜中の虹』


「淡々と、でもテンポよく、オフビートで上質な笑いがある映画で、人生捨てたもんじゃないと静かに思える映画です。セリフ量も多くないし、表情も変えないのだが、感情はよくわかる。むしろ排除されているものが多いので、表現がシンプルに露わになる。そして人生にはユーモアが大切なんだ、とこの映画そのものが教えてくれる。

 ラストシーンの新しい家族3人で小舟を漕ぐシーンでは『オーバー・ザ・レインボー』の曲がかかり希望に満ち溢れているように思えるが、目的が目的なだけに困難が待ち受けているのがわかるぶん切なくなる。映画史に残るラストシーンである。印象的なシーンが雨だからか、小雨がポツポツ降る日に毛布に包まって観たくなります」(瀧川鯉八さん)

 アキ・カウリスマキ監督のそっと優しい眼差しと、独特のブラック・ユーモアが随所で味わえるロード・ムービー。ハードボイルドなタッチで、行き場のない男女のやるせない放浪の旅を描く。モスクワ映画祭最優秀男優賞。国際映画批評家連盟賞。

●あらすじ●

舞台はフィンランドの北の果て、ラップランド。炭鉱が閉山したために職を失ってしまった青年に白いキャデラックを託し、父が自殺してしまう。青年は自由に憧れ、一路南へ向かう。しかし行く先々で、金、運までも奪い去られ、思いあまってキャデラックを売ってしまうが……。

『真夜中の虹』

監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
出演:トゥロ・パヤラ、スサンナ・ハービスト、マッティ・ペロンパー、E・ヒルカモほか
1988年/フィンランド/約173分
DVD廃盤

ハチャメチャだけどちょっぴり感動的な場面も

『ライフ・アクアティック』


「独特なテンポと、美意識に溢れた画面設計が見どころ。何もかもがうまく行かないと感じている時に見返したくなります」(辻川幸一郎さん)

 新世代監督のホープ、ウェス・アンダーソンによる海洋探検コメディ。ビル・マーレイ扮するやりたい放題の海洋冒険家と一癖もふた癖もある乗組員たちの交流を小気味よく描く。

 デヴィッド・ボウイの名曲のポルトガル語カバーや、ゾンビーズ、ストゥージズなど、優雅で心地よいラウンジ音楽も楽しめる。

●あらすじ●

海洋ドキュメンタリー監督のスティ-ヴ・ズィスーは、落ち目の海洋冒険家。資金獲得と自身の名声を取り戻すため、幻のジャガーザメを撮影する航海に出ることを決める。そこに突然名乗り出てきた昔の恋人の息子や、取材に押しかけた女性記者も同乗することになり……。

『ライフ・アクアティック』

監督・脚本:ウェス・アンダーソン
出演:ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ケイト・ブランシェット、アンジェリカ・ヒューストン、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラムほか
2004年/アメリカ/約118分
© 2021 Buena Vista Home Entertainment, Inc.
DVD 1,572円(税込)/デジタル配信中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン

消していくうちに蘇る美しい愛の思い出の数々

『エターナル・サンシャイン』


「僕にとっての映画の初期体験。チャーリー・カウフマンの巧妙な脚本に加えて、映像の面白さ、音楽の豊かさ。仕事に行き詰まったり、考えが凝り固まってきたりした時によく観ています。『映画って、もっと自由でいいんだよ』と教えてくれる一作です」(藤井道人さん)

『マルコヴィッチの穴』の脚本家、チャーリー・カウフマンによるユニークな脚本をミシェル・ゴンドリー監督が独特の映像センスで映画化。記憶消去という突飛な設定のもと、ステキな恋の思い出を切なく彩る新感覚のラブストーリー。この作品ではアカデミー脚本賞を受賞している。



●あらすじ●

恋人とひどいケンカ別れをした男のもとに届いた一通の手紙。そこには、元カノが彼の記憶だけを消去する施術を受けたことが記されていた。自分も彼女の記憶を消そうと同じ施術を受ける。だが、彼女を忘れたくないと深層意識は施術に反抗、自分の脳内の彼女の記憶を守ろうとする。

『エターナル・サンシャイン』

監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルステン・ダンスト、マーク・ラファロ、イライジャ・ウッドほか
2004年/アメリカ/107分
© 2004 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.
Blu-ray 2,075円 (税込) DVD 1,572円 (税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

今も衰えぬ破壊力と豪華すぎるゲストとの対バンが最高

『ブルース・ブラザース』


「自分の音楽人生の出発点ともいえる映画といえば、これ! 最高の音楽と、クライマックスのカークラッシュがかなり爽快。自分の人生を見つめ直したい時に観ています」(MELRAWさん)

 アメリカのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の人気キャラクターを映画化。全身黒ずくめのブルース・ブラザースが巻き起こす騒動を、笑いとアクション、歌と踊りを散りばめながら描いた傑作コメディ。ジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリンら豪華スター陣のファンキーなパフォーマンスも必見。



●あらすじ●

刑務所から出所したジェイクは迎えに来た弟分エルウッドとともに、かつて世話になった孤児院を訪れる。シスターから孤児院が存亡の危機に陥っていると知らされた彼らは、金を稼いで孤児院を救うことを決意。かつて組んでいたバンドを再結成し、一攫千金を目指すが、その途中で警察から追われ、さらに謎の女からも命を狙われる。

『ブルース・ブラザース』

監督:ジョン・ランディス
出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、キャブ・キャロウェイほか
1980年/アメリカ/133分
© 1980 Universal Studios. All Rights Reserved.
Blu-ray 2,075円(税込) DVD 1,572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

好きな映画は相米監督、大林監督、アザリロヴィック監督……

「人生の……。1本に決められませんでした。愛してやまないのは、ルシール・アザリロヴィック監督、リン・ラムジー監督、ジム・ジャームッシュ監督、相米慎二監督、大林宣彦監督の作品です。役者さんは、ドニ・ラヴァンさん、イザベル・ユペールさんが好きですね」(吉開菜央さん)

映画の面白さを知ったコーエン兄弟の世界観

「繰り返し観る人生の1本となると選べませんが、大好きなのは、コーエン兄弟の世界観ですね。映画の面白さに気づいた作品が多々あり、どれも外せない映画ばかりです」(ワタナベマキさん)

ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン

1954年生まれ/1957年生まれ。米ミネソタ州出身の映画監督・脚本家。ハードボイルドに描かれたスリラー映画『ブラッド・シンプル』(1984)が処女作。『ファーゴ』(1996)でアカデミー脚本賞など数多くの映画賞を受賞。『ノーカントリー』(2007)でアカデミー監督賞を含む4部門受賞。『バートン・フィンク』(1991)『ビッグ・リボウスキ』(1998)『バスターのバラード』(2018)ほか作品多数。

映画を愛する9人のレコメンダー

青野賢一(あおの・けんいち)さん

ライター、DJ、選曲家など。ファッション、音楽、映画、文学、美術などを論ずるライターとしても幅広く活動中。

古牧ゆかり(こまき・ゆかり)さん

スタイリング/ビジュアルディレクター。ファッションやインテリアのスチールほか、ムービー制作のビジュアルディレクションなども手がける。https://www.yukari-komaki.com/

菅原敬太(すがわら・けいた)さん

イベントクリエイター。服と甘味を求める“ファッショニスタ”で、“カンミニスタ”でもある。文化服装学院 非常勤講師も務める。http://www.synchronicity.jp/

瀧川鯉八(たきがわ・こいはち)さん

落語家。2006年瀧川鯉昇に入門。新作落語の天才と注目され、20年真打昇進。アキ・カウリスマキ監督が好きで、フィンランドでロケ地巡りをした経験も。

辻川幸一郎(つじかわこういちろう)さん

映像作家。日常にふと浮かび上がる妄想や幻覚を子どもの手遊び感覚で映像化する。MV、CM、ショートフィルムなど多岐にわたって活動中。

藤井道人(ふじいみちひと)さん

映画監督。映画『新聞記者』では第43回日本アカデミー賞優秀監督賞受賞。オムニバス映画『DIVOC-12』「名もなき一篇・アンナ」が10月1日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー。

MELRAW(めるろう)さん

ミュージシャン。ジャンルを超えてシーンをつなぐマルチプレイヤー。映画『ゾッキ』の音楽プロデュースも手がける。最新シングル「With You」配信中。

吉開菜央(よしがい・なお)さん

映画作家・ダンサー・振付家。写真家の石川直樹とタッグを組み、監督、出演した映画『Shari』が10月23日より渋谷ユーロスペースほかでロードショー。

ワタナベマキ(わたなべ・まき)さん

料理家。雑誌や書籍、広告、TVなど多方面で活躍。著書多数。近著に『和えもの 春夏秋冬:旬だからこそ手をかけないおいしさがある』(誠文堂新光社)。

文=大嶋律子(Giraffe)

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