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気圧変化で影響を受ける「自律神経」 「気象病」と呼ばれる最新の病 対策を専門の医師が徹底解説!!

CREA WEB / 2021年10月12日 13時0分

 近年では認知度が高まりつつある「気象病」。前回の記事では、“気象病のプロ”である「せたがや内科・神経内科クリニック」院長の久手堅 司医師に、気象病と向き合うようになったきっかけや、気象病が認知されるようになった背景、また気象病の主な原因である「気圧」について解説いただいた。

 本記事では、気圧などの気象変動が人体に具体的にどんな影響を及ぼしているのか、そして気象病への対策について詳しく解説していただいた。

気象の変化によって大きな変調をきたす人体の重要なシステム“自律神経”って何?


 気象病に関するサイトなどを見ると、よく「自律神経」という言葉を耳に目にする。改めて「自律神経」とはどういう働きを持つメカニズムなのだろうか。(以下、「 」内、久手堅医師)

「自律神経は脳から全身に出ている末梢神経です。これには日中や活動中に活発になる『交感神経』と、夜やリラックスしているときに活発になる『副交感神経』の2種類があります。

 これら2つの交感神経がシーソーのようにバランスを取ることで、無意識下に身体機能はコントロールされています。例えば寒いところに行くと体が勝手にブルブル震えたり暑いと勝手に汗が吹き出したりしますが、それらも自律神経の働きです」

「気象病」関連のサイトでよく目にする「自律神経失調症」とはなにか?


 では、なぜ気象病が自律神経に影響するとされているのか。

「気圧などによって、平衡感覚をつかさどる『内耳』という耳の奥にある器官のバランスが崩れると、その信号が自律神経を刺激し『バランスが崩れているよ!』となります。これによって交感神経が刺激されると、興奮状態になって血圧の上昇や心拍数の増加などの変調を引き起こしたり、副交感神経が刺激されると、全身倦怠感、起床困難、低血圧などになることに。この現象が気象変化の度に繰り返されると、自律神経が乱れやすくなってしまうのです。

 自律神経失調症は、自律神経が乱れて正常に機能しないことによって起こる症状の総称です。具体的な症状としては、だるさ、不眠、疲れが取れない、頭痛、動悸に息切れ、めまい、立ちくらみ、便秘や下痢等といった様々な症状が出ます。

 さらに“この症状が出ているのでこの病気でしょう”と簡単に特定できないといった特徴があります。脳神経外科、耳鼻科、内科胃腸科などで詳しく検査を受けたにも関わらず、その症状の原因となる病名がわからないという事態になって初めて、自律神経失調症と診断される場合が多いんです」

 自律神経失調症の要因のひとつに気象病があることは間違いないと久手堅医師は語るが、その要因は多岐に渡る。そのうえ、症状によっては自律神経失調症ではない別の病気によって引き起こされている場合もあり、判別は難しいようだ。

「実際、当院の患者さんにも『頭痛やめまいがして、ネットで調べたらどうやら自律神経失調症のようだ』と思い込んだまま来られる方は結構います。ですが、自律神経失調症に伴う症状を出す原因は他の病気である場合もあるわけですから、そうとは限りません。

 自己判断だと訪ねるべき外来を間違えてしまうことも多いので、当院はあえて『自律神経失調症外来』を設けています。当院では外来を横断して正しい治療法を見出すシステムを実践しているため、自律神経失調症だと思って当外来を訪れた方でも『実は、原因は肩や首のコリだった』とか『メンタルから来る自律神経の乱れだと思ったら、気象病が原因だった』など、診断に応じて効率的な症状の改善に努めています」

「気象病」や「自律神経の乱れ」を改善する、現役医師が教えるテクニック!!


 自律神経の乱れを治すために、日々行える効果的な対策は何かあるのだろうか?

「スマホやパソコンの長時間の使用を控え、首と肩が凝り固まっていたらしっかりストレッチすること。あとは朝昼晩と一定のリズムでバランスの良い食事を心がけるなど、規則正しい生活を心がけるのが肝要です」

 では気象病の予防についてはどうだろう。

「気候の変化は避けられないことなので、朝に雨が降ると気圧の変化で起きられなくなってしまう人は、事前に天気を調べておいて、その日は早めに起きてみるといいでしょう。体を慣らしていく時間を前もって用意するのは大切です。頭を覚醒させるためにコーヒーを1杯飲んでカフェインを摂取するのもいいでしょう。


 気象病の症状が出てしまったら、ロート製薬『キアガード』や小林製薬『テイラック』といった市販薬を飲むのもおすすめです。これらは『五苓散(ごれいさん)』という漢方を含んでいて、気圧の影響で血管が拡張することで自律神経が刺激されて起こる諸症状に対して、血管の拡張を抑制することで症状緩和にアプローチします。

 また、『五苓散』は気圧差によって起こる症状に対しても、体内の水分バランスを調節して和らげてくれます。正直、私の経験則では気象病に対してこれ以上効く漢方はないですね」

 最後に、久手堅医師は「気象病」や「自律神経の乱れ」について自覚的になることと、その認知が広まることの重要性を教えてくれた。

「まず、自分自身は自律神経が乱れやすい状態なのか、または気象変化の影響を受けやすい状態なのかどうかを知ることが大切です。自身の状態を把握していれば、打つべき対策の選択肢が具体的に見えてきますから。

 また、気象病のような病気は、一部では“根性がないだけ”みたいに思われることもありますが、なかには本当に起き上がることができなかったり、苦しくてのたうち回ってしまったりするほどの症状が出る人もいます。ですから、気象病がつらい病気であることをもっと多くの方に認知してもらいたいです」

————自身の体質を正しく把握し、「気象病」による影響を強く受けることがわかれば、日々の生活習慣について考える機会になるだろう。そして、久手堅医師のような専門医に相談する選択肢もある。「気象病」がより一般的になりつつある今こそ、自身の状態と傾向について自覚的になることが大切なようだ。

久手堅 司(くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック院長・医学博士。
日本内科学会 総合内科専門医
日本神経学会 神経内科専門医
日本頭痛学会 頭痛専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
https://setagayanaika.com/

書籍に「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」クロスメディア・パブリッシング
監修した本に「面白いほどわかる自律神経の新常識」宝島社

文=TND幽介〈A4studio〉

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