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マンガ好き必見! マンガ賢者が選ぶ 最愛の一冊、いま読むべき作品はこれ!夜ふかしマンガ大賞アンケートも

CREA WEB / 2023年11月30日 17時0分


マンガ好きの皆さんが推す、今注目の作品や人生の一冊。

 この秋、発表になったCREA夜ふかしマンガ大賞2023。作品を推薦してくださったマンガ好きの30名の皆さんが、大賞に推した作品とその熱い推薦コメントを一挙にご紹介します。

 人生に影響を与えた作品や読書スタイル、いま注目の作品も伺いました! マンガ愛に溢れた回答を全6回に分けて紹介します。

粟生こずえさん[編集者・ライター・作家]
足立圭吾さん[ebookjapan マンガコンシェルジュ]
井口啓子さん[ライター]
伊藤絢子さん[コミック編集者]
犬山紙子さん[イラストエッセイスト]


粟生こずえさん[編集者・ライター・作家]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA


『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA

 毎日のように女子に告白される高校生の熱海くんは学年一の美形。だけど好きになるのは男性で――。モテる男子の悩める恋物語。

「めちゃくちゃ面白いのに『ここが面白い』とポイントを挙げづらいのはなぜか。全部のコマが面白いんです。正確にいうと『興味深い』。特別に面白いできごとを描くのではなく、その人、その光景の切り取り方で面白く感じてしまう。とりあえず、熱海くんをはじめ登場人物のことをもっともっと知りたくなる」

●『胚培養士ミズイロ』おかざき真里/小学館

「不妊治療について自分がいかに無知だったかを思い知らされる。主人公は天才的な技術を駆使するプロフェッショナルですが、その技量を支えているのは彼女の志。きれいごとを掲げるのではなく、その仕事に携わるものとして確固とした考えを持っている主人公の言葉がズシンと響く快作」

●『私たちが恋する理由』ma2/祥伝社

「『大人になったら、10代の頃のような純粋な恋はできない』なんて言う人もいるけど、そんなの嘘! ハートの根っこにあるものは同じはず。その『根っこ』を踏まえつつ描きつつも、大人の恋の物語になっているのがいい。自立した大人たちが奏でる恋の協奏曲」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『ドカベン』水島新司/秋田書店


『ドカベン』水島新司/秋田書店

 キャッチャーである山田太郎を主人公に、甲子園大会優勝を目指す、明訓高校野球部と個性豊かなライバルたちとの激戦を描く青春物語。

「この作品を読んだことで、(実際の)野球の見方、面白さがわかるようになりました。本作には、多くの個性的な選手が出てきますが、作者が野球を非常によく知っているだけに、トンデモに感じない説得力があります。また野球というスポーツの中での戦術の工夫、各選手の野球哲学などからものの考え方を学んだと思っています」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「連載中の作品をある程度巻数がたまったところで1巻から読み返すのが楽しみです」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『パコちゃん』我妻ひかり/集英社

「予想を裏切るつかみどころのなさが魅力。良い意味でいろいろ引っかかる作品です」

●『昭和天皇物語』原作:半藤一利、作画:能條純一/小学館

「若き日からの昭和天皇の姿、感情を丹念に描いている作品。現在、単行本最新刊では盧溝橋事件まで来ています。第二次世界大戦に至る背景をじっくりと……その先もできる限り長く描いてほしい!」

Q5:いま、読み返したい名作は?

●『火の鳥』手塚治虫/角川文庫

「年齢を重ねると見えてくるもの、感じることがかなり違いそうです」

粟生こずえ(あおう・こずえ)さん
編集者・ライター・作家

マンガレビュー、マンガ家インタビュー多数。本を読むのが習慣の自称“読鬼”。不定期でブックトークイベントや蔵書を放出する「おもしろ古本市」を開催。

足立圭吾さん[ebookjapan マンガコンシェルジュ]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『これ描いて死ね』とよ田みのる/小学館


『これ描いて死ね』とよ田みのる/小学館

 東京の離島に住む安海相(ヤスミアイ)はマンガが大好きな高校1年生。あることがきっかけでマンガ道へ踏み出すマンガ家マンガ。

「マンガ好きな主人公・アイちゃんの『私はこれが好きなんだ!』という真っすぐな思いに胸が熱くなります。アイちゃんが初めて書いた作中マンガ『ネコ太とニャン太』はお世辞にも上手いとはいえないのですが、初期衝動をそのままカタチにしたような圧倒的な熱量で、その純粋さに思わず涙してしまいました。作品全体から『好きなものを好き』という肯定の力をとても感じ、自分自身もマンガが好きでよかったなぁと思えた作品です」

●『クジマ歌えば家ほろろ』紺野あきら/小学館

「ロシアから来た渡り鳥(?)のクジマが春までの住みかとして新くんの家に住むことに……という居候もの作品なのですが、クジマの造形が大好きです。鳥なの? 人なの? というルックス、カタコトの日本語(ロシア語はペラペラ)など、ありそうでなかった設定で、よくこんなもの考え出したなぁと感心してしまいました。クジマは何か役に立つということはないですが、クジマがいることで少しずつ登場人物の関係が変わっていくのは微笑ましいです。単純にコメディとして面白いので、仕事終わりに読みながら声を出して笑うのがストレス発散になりました」

●『みちかとまり』田島列島/講談社

「絵柄と内容のギャップにいい意味で裏切られました。最初はほのぼのした物語かな? と思って読み始めたのですが、主人公・まりの日常が、謎の女の子・みちかと出会ったことでどんどんズレていく様子に、『えっ、そんな話なの?』とびっくりです。まだ1巻ということで話がどう進んでいくのか、期待しています」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『ドラえもん』藤子・F・不二雄/小学館


『ドラえもん』藤子・F・不二雄/小学館

 ある日、勉強も運動も苦手な小学生・野比のび太のもとに、22世紀の未来からネコ型ロボットのドラえもんがやってきて……。

「自分が最初に意識して読んだマンガ単行本が『ドラえもん』でした。夢中になって読んでいたのですが、いま思えば作中には本当にたくさんの『教養』が描かれていたんだなと。それはその話のテーマとしてだったり、はたまたひみつ道具の説明だったり、ドラえもんのちょっとしたセリフだったり……。恐竜・宇宙・タイムトラベルものなどはもちろん、たとえば『盲点』や『賄賂』なんて言葉を知ったのもこのマンガから。その後手に取ったSF短編集なども含め、自分の好奇心を育ててくれたのは藤子先生の作品群だと思っています」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「大きなヨギボーに沈みながらiPadで読んでいます」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『マイホームアフロ田中』のりつけ雅春/小学館

「20年以上連載しているシリーズではありますが、だからこそ『長年のツレ』のような感覚があります。結婚からの娘誕生までの流れはリアルな友人が幸せになるさまを見ているようでした。登場人物と年齢が近いこともあり、社会人生活~結婚~出産~マイホーム検討というライフステージの変化に対する共感度が非常に高いです。『みんな思っているけど言わないこと』に対し、『おかしいだろ!』と一通り叫ぶ大人気ない田中を見て溜飲を下げています」

Q5:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は?

●『スキップとローファー』高松美咲/講談社

「主人公たちの若さ溢れる高校生活があまりにも尊いのと、それぞれがちょっとしたことで悩み、傷つき、でもまわりの誰かの優しさや気遣いでまた前に進んでいくという青春の営みの流れに毎回涙腺を刺激されてしまいます」

Q6:期待の新人作家とその作品は?

●『月出づる街の人々』酢豚ゆうき/双葉社

「透明人間、オオカミ男、フランケン、メデューサ…モンスターの高校生たちが自らの特性とともに紡ぐ“普通の”友情や恋愛の話で、『みんな違ってみんないい』を体現したような世界観にあたたかな気持ちになりました」

足立圭吾(あだち・けいご)さん
ebookjapan マンガコンシェルジュ

5歳でマンガの魅力に憑りつかれ、マンガ業界に身を捧げる。電子書籍サービス「ebookjapan」の営業で、蔵書約2万冊を超えるマンガコンシェルジュ。

井口啓子さん[ライター]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA


『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA

 毎日のように女子に告白される高校生の熱海くんは学年一の美形。だけど好きになるのは男性で――。モテる男子の悩める恋物語。

「恋愛や友情といった言葉では言い表せない、微妙かつ曖昧な感情や関係性が日常の喋り言葉でさりげなく浮き彫りにされていて、心にストンと入ってきます。嘘っぽくない関西弁によるシュールな笑いもクセになるし、嫌な人が一切出てこないのもいい。BLと思い込んで読んでない人がいたら人生損してる! と言いたくなる、読むたびに癒される宝物みたいな作品です」

●『胚培養士ミズイロ』おかざき真里/小学館

「不妊治療について描いたマンガは最近増えてきたとはいえ、ここまで真正面から不妊治療のリアルについて描いたマンガはなかったのでは? 胚培養士の仕事内容をはじめ、未知のことだらけで妊娠はして当たり前どころか奇跡にほかならないと改めて目から鱗。14人にひとりが体外受精で生まれているという、いまの日本で誰もが知るべき事実がここにある。人間ドラマとしても読み応えがある」

●『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』大白小蟹/リイド社

「シュールでコミカルな設定のもと起こる“日常の小さな奇跡”を描いた短編集。たとえば『人間に忘れられたら私たちは存在していられなくなる』と人間を氷漬けにする運命をただ受け入れていた雪女が、トラックドライバーの千夏の力を借りて、暑さを回避しながら夏祭りを謳歌する『雪子の夏』。自分の存在の希薄さに怯え、他者と触れ合うことで自分の輪郭を確認する。人間の切なさと温かさが心に染みる」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『同棲時代』上村一夫/eBookJapan Plus


『同棲時代』上村一夫/eBookJapan Plus

 小さな広告会社に勤める今日子21歳と、フリーのイラストレーターである次郎23歳。ある日、ふとしたきっかけでふたりは同棲生活を始める。自由であり、不安定でもあるふたりの暮らしは愛と性の間で揺れ続け――。

「恋愛のすべてがここに詰まっているマスターピース。1972年の作品ですが男女の姿は普遍なんだなと思います。映画『花束みたいな恋をした』にグッときた若者はぜひ読んでみてほしい。絵的にも今見てもスタイリッシュで、海外ではアートコミックとして高く評価されています」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「ベッドに寝転がりながら、ビールとポテチをおともに、が最高のご褒美です」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『この雪原で君が笑っていられるように』ちづはるか/小学館

「まだ雑誌&ウェブ連載が開始したばかりで単行本は出ていませんが、1話を読んだだけで引き込まれます。ヤングケアラーの現実、地方都市で暮らす若い女の子の生きづらさをリアルに描きつつも、尊い人間関係を鋭敏なタッチで描き出す。そのセンスと力量は新人作家とは思えないもの。今後の展開が楽しみです」

井口啓子(いぐち・けいこ)さん
ライター

雑誌『ミーツ・リージョナル』にてコラム『おんな漫遊記』連載中。昭和の劇画家・上村一夫が好きすぎて展示企画したり、小冊子を作ったりも。

伊藤絢子さん[コミック編集者]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)』原作:六つ花えいこ、キャラクター原案:秋鹿ユギリ、作画:白川蟻ん/KADOKAWA


『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)』原作:六つ花えいこ、キャラクター原案:秋鹿ユギリ、作画:白川蟻ん/KADOKAWA

 魔法学校に通う17歳のオリアナは恋人ヴィンセントと謎の死を迎える。記憶を持ったまま7歳の姿に戻ったオリアナはやがて彼と再会を果たすのだが……。

「とにかく表情がすごい。コミカライズにおいては、作画担当の方がどれだけキャラクターを愛し、自分で産んだ子のように歴史も含めて理解し、そのうえで客観的な視点も持って、解像度を上げていけるか……が肝要かと思いますが、この作品の作家さんは素晴らしくその力を発揮されています。とにかく表情が豊か。セリフがなくても、表情だけで感情が揺さぶられる、そんなシーンの連続。恋愛だけでない人間関係のドラマもあります。家で温かい飲みものを準備して、じっくり読んでいただきたい! と作者じゃないのに人におすすめしたくなる作品です」

●『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA

「友人でもある先輩・足立くん家の小粋な会話に『「強豪校」って感じや……』と呟く熱海くんが可愛い。清潔な絵柄のそこかしこにしのばせられた小ネタが愛しくて、毎ページきゅんとしてしまいます。熱海くんを取り巻く世界はほどほどに優しくて、それは熱海くんが前向きな子だからだろうなあと思います。人にはそれぞれオリジナルな部分があって、あんまり合わないかもと一見では感じても、真剣に向き合ってみれば案外好きになれたりしますよね。自分も出来る範囲で周りの人に興味を持って、誠実に接して、本作のようなやわらかでおもしろい世界をつくっていきたい。自分次第で、本当に出来ちゃうのかもしれない。読んだ後の人生に、そうしたポジティブで静かなガッツをくれる作品です」

●『野良猫と狼』ミユキ蜜蜂/白泉社

「恋愛マンガの名手、ミユキ先生による、とびきりドキドキできる少女マンガです。大人が読んでもドキドキするのは、人と人が近づいてゆくさまを、そのとき心のヒダがどう震えているかを、細やかに描いてくれているからでしょうか。ヒーローキャラは、一般的にはもしかして“悪い男”と呼ばれてしまうかもしれないタイプのバンドマン。ですが、確かな愛と出会い、戸惑いつつも不器用ながらにヒロインを慈しんでいきます。こんなん、好きになっちゃいますよね……」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『あしたのジョー』原作:高森朝雄(梶原一騎)、作画:ちばてつや/講談社


『あしたのジョー』原作:高森朝雄(梶原一騎)、作画:ちばてつや/講談社

 ボクシングマンガの金字塔。不良少年の矢吹丈がドヤ街で知り合った元プロボクサーの教えでボクシングの道へと進む。後のライバルである力石のパンチに沈み、敗北感を味わった丈のボクシング魂に火が灯る。

「祖母の家にあった唯一の娯楽は、学生時代の父が実家に残していった『あしたのジョー』のコミックス。力石が死ぬ回が収録されている巻だけ叔父が持ち去ったため、その前後で一変した物語に大変戸惑いました。悪ぶっていてもかわいげがあり、何かを愛し没頭したがっている主人公・矢吹丈。彼を好きになりすぎて、小学生から大学生まで“ジョー”っ気のある男子にキュンとしてしまうようになり、恋愛に難儀しました……」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「ソファの下に座り、背中だけもたれかかって、床にコミックスを塔のように重ねます。テーブルには水と『堅あげポテト ブラックペッパー』を。ポテチは割り箸でいただきます(手を汚さないですみます!)」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『トリリオンゲーム』原作:稲垣理一郎、作画:池上遼一/小学館

「1話ごとの完成度がすごい。毎回、『続きが待ちきれない』と思わせてくれるヒキの強さは、エンタメに溢れた現代において、とんでもない武器です。仕事に誇りを持つキャラクターたちが愛おしく、明日出勤するための気合いも授けてくれます。とりわけ、最近になって登場したあかりちゃんが大変魅力的。功刀さんとのコンビが最高です」

Q5:いま、読み返したい名作は?

●『小さなお茶会』猫十字社/宝島社

「いつ読み返しても、心に安らぎをくれる大名作です。『もっぷ』と『ぷりん』というキュートな猫夫婦の日常を眺めるうちに、心をほんわりと優しい風が撫でていくような。いや、優しいとも限らないような……。いずれにせよ、「なんだか今日はいろいろとうれしくないな」、と思ってしまうような日に、静かにビスケットをつまみながら読めば、本を閉じたときにはちょっと心が整っているかもしれません。新婚夫婦に贈ったりもしたい作品です。『“ほどほどにデカダンなケーキ”ってなんだろう?』とか、話し合ってほしいな」

Q6:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は?

●『ピアノの森』一色まこと/講談社

「『スキップとローファー』『BLUE GIANT』など、近年にも心揺らす作品が多いので選出に悩みましたが、永遠の名作のこちらを推薦します。主人公・カイの、周囲の人物との絆、才能と向き合ううえでの悩み、努力、真摯な感情のすべてに感激します。厳しい環境のなかにあってなお輝く、無垢な心のまばゆさたるや。純粋な生きものには、抗いようもなく心を打たれますよね。対して“純粋”ではないことを悩むキャラクターもいますが、自分のなかの汚さに向き合って乗り越えようとするさまもまた美しいです。音楽のすばらしさを浴びながら、人間を好きになれる作品です」

Q7:深夜、ひとりでコッソリ楽しみたい作品は?

●『ラーメン赤猫』アンギャマン/集英社

「『ジャンプ+』のインディーズ連載からコミックス化を果たした人気作。その人気の所以はとにかくの“優しさ”。猫たちが働くラーメン屋の日常を、黒子として店を手伝うことになった人間の目を通して覗き見られます。一日の終わりに布団のなかで読んで、平和な気持ちで眠りにつくにはぴったりの作品。深夜にラーメンが食べたくなることだけがネックですが」

伊藤絢子(いとう・あやこ)さん
コミック編集者

文藝春秋編集者。元WEB少女まんがレーベル編集長。担当作に『鬼の花嫁』(スターツ出版)。

犬山紙子さん[イラストエッセイスト]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『月出づる街の人々』酢豚ゆうき/双葉社


『月出づる街の人々』酢豚ゆうき/双葉社

「異なる種族のモンスターたちが一緒に暮らす世界。見た目も力も特性もバラバラ。それでいて優しい世界なのは“この種族が偉くて、この種族は劣っている”という描写がまったくないから。特性を全然違うキャラクターたちにすることで、心の繫がりがより伝わってくる表現は見事です」

●『ダイヤモンドの功罪』平井大橋/集英社

「感情と感情のぶつかり合いが至高。運動の能力がずば抜けているせいで、自分は友だちと楽しく野球をしたいのに自分のせいで負ける人や夢を諦める人がいる。その孤独にスポットライトが当たっています。大きな才能に対し、悔しい思いをしてきた人にとっては身をえぐられるような読書体験」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『東京ガールズブラボー』岡崎京子/JICC出版局


『東京ガールズブラボー』岡崎京子/JICC出版局

 両親の離婚で母とともに憧れの東京にやって来た金田サカエは、同じ高校に通う島野夏美と高田美夜子と出合い、東京を知ってゆく。

「主人公のおしゃれ命のサカエは田舎から東京に引っ越してきた高校生の女の子。親友となる東京育ちのなっちゃん、みやちゃんとの文化資本の差が当初エグいわけですが、そんなの吹き飛ばすサカエの“欲”と“おもしろ”に、田舎に住んでいた思春期の私は“最高”と目をハートにしておりました。サカエがすっとバージンなのも、『くちびるから散弾銃』で20代になっても仲良くしている姿が最高です。安野モヨコ先生が岡崎先生のアシスタントをされていたこと、そしていま現在『後ハッピーマニア』が楽しませてもらっていることに歴史を感じます」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「週に2・3回、新幹線の往復があるので、基本新幹線でたこ焼きとか天むすとかその土地のおいしいものをつまみながら読んでいます。夜ふかしとなると週末の夜、エアロバイクを漕ぎながらスマホで読みます。面白い作品は自然と漕ぐ足が止まっちゃうので運動にはならなかったりするのですが、それがまた幸せです」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『後ハッピーマニア』安野モヨコ/祥伝社

「最新話、最新刊が出るたびに女友だちと盛り上がれるって本当に凄いことだと思います。アラフォー、アラフィフの女性のシリアスな事情をコミカルに笑わせながら、フクちゃんとの友情を中年になったいまも見られることに喜びを感じます。以前はフクちゃんとシゲタふたりとも独身女性で彼氏を欲しがっていたけれど、いまは属性も収入もガラリと違う。それでも続く友情は、王子様が迎えに来てくれる物語よりずっとずっとロマンチックで胸がときめくのです。最新刊で、ふたりの友情が続くことへの言及があったことも凄く嬉しかったです」

Q5:注目している新人作家とその作品は?

●『君と宇宙を歩くために』泥ノ田犬彦/講談社

「まだ始まったばかりですが、これまでマンガで言語化されていなかった、人の特性にまつわる大切なテーマを、丁寧に丁寧に描き上げ読ませ、人を断罪しない1話に涙が止まりませんでした」

犬山紙子(いぬやま・かみこ)さん
イラストエッセイスト

多くの雑誌で執筆のほか、メディアでも活躍中。ゲームやマンガなど、2次元コンテンツ好き。著書に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ文庫)。

文=大嶋律子(Giraffe)

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