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「よく焼けていて『おいしそう』な うつわが好き」…賢者が伝授する 間違いのない選び方&好みのうつわ

CREA WEB / 2024年2月6日 7時0分

 うつわのある暮らしには憧れるけれど、どんなふうに集めていったらいいんだろう……? うつわを手軽に、上手に暮らしに取り入れるためのヒントを求めて、達人たちを訪ねました。


◆Vol.9 お話を聞いた人 鈴木一夫さん


鈴木一夫さん

1951年東京都生まれ。「荻窪 銀花」店主。大学卒業後、建築事務所勤務を経て1980年に「荻窪 銀花」をオープンする。うつわのみならず工芸品全般に造詣が深い。
https://www.kan-an.com/


やっぱり「好き・嫌い」がなにより大事


マンションの1室にある『荻窪 銀花』には、ご主人の愛するうつわが数多く展示されていた。

 うつわを選ぶ上での物差しって、やっぱり「好き・嫌い」だと私は思っています。詳しくなくても、直感的に思ったことって正しいものです。自分が好きなものでないと使いませんからね。「あ、これ好きだな」と思うものがいくつか見つかったら、「何を盛ろうか」と考えてみて、3品ぐらい思いつくものがあったら、買って間違いのないものだと思います。


手に取って気に入ったら、次に「何を盛りたいだろうか」「どんな使い方ができるだろう」と想像してみる。

 いわゆる磁器は使い続けても基本的にほぼ変化はありません。それはそれでひとつの良さです。対して陶器は使っていくうちに「侘びて」いきます。持ち主が使い続けることで生まれる「侘び」とは「育てた」ということ。育てたうつわは「おいしそう」にも繋がるんです。


ご主人である鈴木さんのいわれる「よく焼けた」うつわたち。表情がなんとも豊か。

土の中の鉄分がしっかり溶けて得も言われぬ風合いが生まれている。

 私の好きなうつわは、「おいしそうなもの」です。おいしそうなうつわとは、よく焼けたもの。よく焼けると、土の中の鉄が溶けて独特の表情が生まれます。そういううつわは、丈夫で使いやすく、口当たりや手ざわりもいいんですよ。陶器のうつわはアシンメトリー、つまり対称的じゃないものが多いですが、自然な歪みはうつわの美しい表情だと思っています。

はじめに買うといいもの


動作を含めて楽しむ生活の道具、急須は客人をもてなすときにも活躍してくれる。

 はじめに買われるなら自分が毎日使っているうつわ、飯碗やマグカップなどがいいと思いますが、こちらの連載を読ませていただいたらもう皆さんが同様のことをおっしゃっていますね(笑)。

 そこで考えたのですが、私は急須をおすすめしたいです。お茶を淹れるためだけの道具ではありますが、急須とは「注ぐ」という動作を含めて楽しむもの。ただ何かをのせるうつわとは別種の面白さがあります。


なめらかで洗練されたフォルムが魅力的な加藤財さんの急須。手触りがとてもいい。

 淹れる、注ぐ、最後に水を切るといった一連の「操作する楽しみ」は独特のものです。日本人の文化に根付いてきた道具の良さを、今の生活にも取り入れてほしい。誰かをもてなすときにも、ひとりで喫茶を楽しむにも、急須はいいものです。


「加藤財さんの急須は水のキレもとてもいいんです」と鈴木さん。

お茶を淹れると花が浮かび上がる野波実さんの碗。そんな「遊び」がまた愉しい。

「多用的に使う感覚」を持ってうつわを選ぶ


大きめの大皿は盆のように使ってもいい。「多用的に使ってほしい」と鈴木さん。

 うつわを選ぶとなったら、多目的に使えるものが選ばれがちではないでしょうか。それもいいのですが、私は多目的というより「多用的に使う感覚」を持っていただきたいと思っています。単なる小皿でも取り皿として使うだけでなく、ガラスコップの受け皿やソーサー的に使ってもいいし、小鉢の下皿にしてアクセントにしてもいい。そんな取り合わせもうつわの楽しみ方ですし、見立ての面白さでもある。いろんな使い方を自由に発想し、見つける楽しさを知っていただきたいんです。


口当たりがやさしい手作りのグラス類、ひとつ持っていて損はない。

「荻窪 銀花」はガラスのうつわにも力を入れています。吹きガラス(※ガラス成形技法のひとつで、パイプに息を吹き込んで作るもの)は手仕事ならではのぬくもりがあって、おいしい口当たりを直接感じられるものですね。焼き物にはない魅力があり、夏だけでなく四季を通して使ってほしい。マグや湯呑み同様、マイグラスもぜひ気に入ったものを見つけて、暮らしに取り入れてほしいと思います。


ご主人の鈴木一夫さん、話し出すとうつわ愛が止まらない。

白央篤司

フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/

文=白央篤司
撮影=平松市聖

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