1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

モアラビーチには遊びにくるジュゴンもニューカレドニアの素顔に出会う旅

CREA WEB / 2024年2月24日 7時0分

#294 Côte Est
グランドテール島東海岸(ニューカレドニア)


ティオきっての美ビーチといわれるモアラビーチ。地元の人に愛されるビーチのようです。

 ニューカレドニアの本島、グランドテール島。これまで首都ヌメアは何度か訪れていましたが、その先へは踏み入れたことがありませんでした。南北400キロ、東西約50キロのフランスパンのような細長い島は、まさに冒険の宝庫。今回は東海岸を進みます。

 西海岸のラフォアから、島の中央部を走る山脈を越えて東海岸へ。これまでの乾いたブッシュから、トロピカルな熱帯雨林へ、眺めががらりと変わります。また一歩、グランドテール島の深部へ分け入った気分です。

 聞くところによると、ニューカレドニアの人口密度は1平方キロメートルあたり15人。ヌメアの人の多さを鑑みれば、このあたりは1平方キロメートルあたり2人といったところでしょうか?

 東海岸の探訪は、ティオの町からスタート。1864年にジュール・ガルニエによってニッケルが発見されたこの場所は、ニューカレドニアの基幹産業であるニッケル産業のはじまりの地です。


“グリーンゴールド”とも呼ばれるニッケル。この鉱物の発見により、ティオの町の運命が変わりました。

 かつての鉱山長の住居と工場だった建物を改装した「ニッケル鉱山博物館」では、この町におけるニッケル産業の軌跡を知ることができます。当時はこの建物を中心に、町の繁栄が広がっていったそうです。

 一番古い鉱山は、1875年に採掘がはじまったプラトー。当時はニッケルの含有量がきわめて高かったため、目視で採掘場所を決めることができたとか。鉱山労働者として、ベトナムや中国、バヌアツなど各国から多くの移民がニューカレドニアへ渡り、プラトーに住み込んで過酷な採掘作業に従事していたそうです。

墓標には「鹿児島」や「沖縄」の文字が


ステンレスの原料やメッキに使われるニッケル。その産業の歴史など、博物館ではニッケルについての知識を学べます。スタッフも熱く語ります。

 当時の様子を伝える写真の中に、日本からの移民たちの集合写真がありました。着物姿の男性たちの口が一文字に結ばれているのは、故郷から遠く離れたこの地で生きていくという決意の表れなのでしょうか。彼らの中には地元の女性と結婚し、鉱山の労働から抜け出して農業や商店を自ら営むようになった人も。

 けれど1930年代に入ると、世界恐慌や第二次世界大戦によって状況は一変。日本人移民はそれまでに築いた財産を没収され、オーストラリアの強制収容所へ、あるいは日本へ強制送還された人も。

 山間の日本人墓地をたずねると、鹿児島や沖縄出身と刻まれた墓標がいくつも並んでいました。明治期から昭和にかけて、ニューカレドニアという異国で奮闘した先人たち。日本人移民がニューカレドニアにいたことを、今回はじめて知りました。


山間の日本人墓地。ニューカレドニア日本人移民120周年時に建てられた、ステンレスの慰霊碑には日本人229人の名前が刻まれています。

 ニッケル産業は今では最盛期の賑わいはないものの、途切れることなく続いています。ボタメールのビーチは、「ニッケル鉱山博物館」で見た100年ほど前の写真と地形が変わっておらず、今も沖にはニッケルの積み下ろしをするタンカーが停泊しています。

 かつてはビーチのすぐ近くにニッケルを運ぶための鉄道の駅もあったそうで、波打ち際から数メートル先の水深15メートル付近には2隻の輸送船も沈んでいるとか。水辺には人の行き来も喧噪もなく、穏やかに波が打ち寄せています。


展望台から見下ろしたボタメールのビーチ。

ニッケル産業は現在も続いています。港の近くの道路には運搬時にこぼれたグリーンゴールドの小石が転がっていることも。

村を訪問するときには酋長に贈りものを渡すのがマナー


ティオにホテルはないので、民宿ステイ。心づくしのおもてなしに、ほっこりします。こちらでは乗馬もアレンジしてくれます。

 ティオの町からクルマで数分走り、このあたり随一の美しさと評判のモアラビーチへ。

 サンゴの塊が転がっているビーチを、背の高いヤシの木が縁取り、その背後にはマンゴーやジャックフルーツなどの木々が茂っています。日よけになる小屋もあり、地元の人もピクニックなどに訪れているようです。とはいえ、やはり混雑とは無縁そう。この静かなビーチにはジュゴンも遊びにやってくるそうです。


フランス人らしき観光客を1組みかけただけの、モアラビーチ。ほぼ貸し切り状態です。

浜辺の背後にある、ジャックフルーツの木。豊作です。

 モアラビーチを後にして、海岸線をなぞるようにドライブ。道の左側には紺碧の南太平洋がキラキラと輝いています。欄干のない橋やガードレールのない断崖など、アドベンチャーな場所を乗り越えつつ、走ること約30分。美しい湾に面した先住民カナックのポートブーケ族の村に到着。

 ニューカレドニアでは先住民のカナックの村を訪れる際、まずは酋長さんに挨拶をします。村の人々と訪問者が二手に分かれて向かいあい、真剣な表情で互いに接遇と訪問の口上をのべ、訪問者からは布やたばこなどの贈りもの(クチューム)を贈呈。この儀式を経て、ようやく村に迎えられるのです。


村を訪問する際、まずは酋長にご挨拶。

 村ではカナックの特別な日のごちそう、ブーニャがふるまわれました。これはバナナの葉にくるんだ魚や肉、タロイモやバナナ、野菜にココナッツミルクをかけ、焼けた石を敷いた土中に埋めて蒸し焼きにする料理。香ばしい匂いとホクホクとした食感、やさしいココナッツの味わいのシンプルな料理です。


村の女の子たちはごちそうの準備。冠婚葬祭でふるまわれるブーニャも用意してくれました。

テーブルいっぱいのごちそう。

素朴な村も首都ヌメアも、それぞれの魅力を楽しんで

 食後にはヤシの葉で帽子を編んでくれたり、浜辺で投網漁を見せてくれたりなど、村の暮らしを紹介してくれました。子供たちは訪問者が珍しいのか、人懐っこく笑いかけてくれて、ピースな時間が流れていました。ちなみに、こうしたカナックの村を訪れる際には、事前に予約が必要です。


慣れた手つきでヤシの葉を編み、あっという間に帽子が完成。作り方も教えてくれます。

村の前の入り江で投網漁を見せてくれました。

 カナックのポートブーケ族の村から、首都ヌメアへはクルマで約2時間弱。ヌメアへ戻る途中、郊外にある大型ショッピングモールに立ち寄ると、フランスからの輸入チーズやワイン、食材がずらりと並んでいました。素朴な海辺の村もステキだけれど、ニューカレドニアのフランス的美食も、それはそれで魅力的。あらゆる楽しみ方ができるのがグランドテール島です。


ヌメア郊外にある大型ショッピングモール、「ダンベアモール」。

グランドテール島東海岸

●アクセス ヌメアからクルマで周遊。
●おすすめステイ先 ティオにホテルはないため、ドミトリーや民宿泊を利用

【取材協力】

ニューカレドニア観光局 https://www.newcaledonia.travel/ja
エアカラン https://www.aircalin.jp/ja


古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください