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料理というアートを堪能する 東京国立近代美術館内のレストラン 「ラー・エ・ミクニ」

CREA WEB / 2024年3月27日 11時0分

 美術館で心ゆくまでアートを鑑賞するひとときは、ほんの1日の休日でも、ちょっと特別な日に変えてくれます。すてきな食事の予定があればなおのこと。

 東京国立近代美術館内の「ラー・エ・ミクニ」は、そんな休日にぴったりの一軒。美術鑑賞の前後に、緑豊かな眺望を楽しみながら、アートのように美しい料理を堪能できるレストランです。

 春を迎え、「ラー・エ・ミクニ」では毎年大好評の「春の桜祭り」がいよいよ開幕。華やかな彩りにあふれ、目と舌を楽しませてくれるコースメニューを覗いてみましょう。

芸術と料理の融合で、東京の地産地消をアートする


東京国立近代美術館の正面から「ラー・エ・ミクニ」のメインエントランスへとつながる重厚な石積みのアプローチ。

 地下鉄・竹橋駅から歩いてすぐ、北の丸公園に堂々たる姿で佇む歴史ある美術館、東京国立近代美術館(MOMAT)。正面に立つイサム・ノグチの巨大なオブジェ《門》が見えたら、そのすぐ隣が三國清三シェフプロデュースの「ラー・エ・ミクニ」です。

「芸術とミクニ」という名前が指すとおり、この店のテーマは「芸術と料理」。「東京の地産地消をアートする」というコンセプトのもと、江戸東京野菜をはじめとした伝統野菜やハーブ、調味料など、さまざまな東京の食材を用い、フレンチとイタリアンが融合した料理の数々を作り上げています。


大きなガラス窓から北の丸公園と皇居の豊かな自然を一望。明るい自然光があふれるダイニング。

 北の丸公園と皇居の豊かな緑が大きなガラス窓に広がる店内は、美術館の展示室のようにモノトーンで統一され、スタイリッシュな落ち着きある空間が広がっています。

 アート鑑賞の前にランチを楽しむ人や、見終わった後にディナーをゆっくり味わう人など、「MOMATに行くなら食事はここ」と決めている常連客も少なくないそうです。

 もちろん美術館に入館しなくても食事は可能ですので、記念日などちょっと特別な日に訪れてみるのもおすすめです。春ともなれば窓からは満開の桜を眺めることができ、絶好のお花見席として早くから予約で満席となる日も。


こごみやうるいなどの山菜やスナップエンドウなどの春野菜を、バーニャカウダでシンプルに味わうアンティパスト。

 さて、そんな「ラー・エ・ミクニ」のお楽しみのひとつが、この時期だけのコースメニュー「春の桜祭り」。春に旬を迎える食材を中心に、華やかで明るい色彩に仕上げた料理の数々を堪能できます。

「周囲の桜が満開の時期を迎えますので、その景色に合わせ、桜をモチーフにした料理を揃えました」と庵原瑞穂シェフ。今回はランチコースの中から「メニュー ディ サクラ」を味わわせていただきました。

 まずアンティパストは、真っ赤なトマトソースが目にも鮮やかな「山菜と春野菜のバーニャカウダ」。山菜といえば、これぞ春の味覚という食材。その香りやほろ苦さ、そしてスナップエンドウなどの春野菜の甘さがそのまま楽しめ、濃厚なバーニャカウダソースと爽やかなトマトの酸味がさらに味わいを深めてくれます。


菜の花の緑が春の色合いを添える「シラスと菜の花、ローストしたアーモンドとルルロッソ小麦のタリオリーニ」。

 ふた皿目のパスタは、「シラスと菜の花、ローストしたアーモンドとルルロッソ小麦のタリオリーニ」。シラスもまた、3月頃から旬を迎える食材のひとつ。釜揚げと素揚げ、2種類のシラスの異なる味わいと食感が絶妙で、菜の花のほろ苦さやローストしたアーモンドがアクセントを添えます。

 希少な北海道産小麦「ルルロッソ」を使用した平打ちパスタは、もちもちと歯応えがよく、小麦本来の香りがふわりと感じられます。ソースともよく絡み、「もう少し食べたいな」と欲張りになってしまいそうなひと皿です。

メインもデザートも桜色! 春のアートを料理で満喫


「桜鯛のポワレ トマトと春キャベツのエチュベ」。春の時期だけ「桜鯛」と呼ばれる真鯛をふんわりと蒸し焼きに。

 魚料理の食材は桜鯛。実は真鯛のことなのですが、春の産卵時期にはオスもメスも繁殖色の鮮やかな桜色に色が変わるため、この季節だけ「桜鯛」というなんとも風流な名で呼ばれるそう。皮目はカリッと香ばしく、身はふっくらと仕上げたポワレでいただきます。

 添えられているのは、トマトと春キャベツのエチュベ。エチュベとは野菜そのものの水分だけで蒸し焼きにする調理法で、今回は柔らかな春キャベツの水分がたっぷりと染み出し、自然な甘さのソースとなっています。トマトの色みが全体を桜色に染めており、まるで春の景色を描いた水彩画のようです。


メイン料理は仔牛肉。柔らかくさっぱりとした味わいの仔牛ロースに濃厚なブランケットソースが寄り添います。

 いよいよメイン料理。登場したのは、この季節が旬だという仔牛肉のローストです。

 牛の出産時期は春。欧米では、生まれてまだ草も食べていない乳飲みの仔牛肉が最高級とされているため、春から初夏にかけて出荷される仔牛肉が何より喜ばれるのだそう。

「使用している仔牛のロース肉は、あまり脂身がなくさっぱりとした味わいが特徴です。そこに、キノコや玉ねぎ、生クリームで作った濃厚なブランケットソースを合わせることで旨みがプラスされ、口当たりも滑らかになります」(庵原シェフ)

 外は香ばしく、中はしっとりと焼き上げられた仔牛肉は美しいロゼ色で、たとえるなら華やかな八重桜でしょうか。ほのかにミルクを思わせる仔牛ならではの旨味にブランケットソースが優しく寄り添い、満足感あふれるメインディッシュでした。


ひと口ごとに苺の甘酸っぱさと桜の香りが広がる「桜香るジュレと苺のパルフェ」。

 目と舌で楽しませてくれた春のコースは「桜香るジュレと苺のパルフェ」、そしてカフェと小菓子で締めくくり。食べるのが惜しくなるような愛らしいビジュアルのデザートは、ほんのり桜が香るジュレをベースにフルーツ、スポンジケーキ、アイスクリーム、そして甘酸っぱい苺がたっぷり並び、気持ちも明るくなるような爽やかさです。

 目と舌で春を満喫させてくれる「ラー・エ・ミクニ」の「春の桜祭り」。この時期はMOMATでも「美術館の春まつり」というイベントが開催されています。春を探して美術館とレストランを巡る、なんていう贅沢な休日を過ごしたら、心まで豊かになりそう。この季節だけのアートに浸るひとときを、竹橋で過ごしてみませんか?

ラー・エ・ミクニ

所在地 東京都千代田区北の丸公園3-1東京国立近代美術館内
営業時間 ランチ 11:30~15:00
     ディナー 17:30~21:00
定休日 日曜のディナー、月曜(祝日または振替休日の場合は翌火曜)※3月25日(月)は営業
https://lart-et-mikuni.jp

[春の桜祭り]
◆ランチ
3月15日(金)~22日(金) 11:30~15:00(L.O.14:00)※各90分
メニュー ディ ピッコロ 4,800円、メニュー ディ サクラ 6,500円
3月23日(土)~4月7日(日) 11:30~13:00(L.O.12:00)、13:30~15:00(L.O.14:00)※完全2部制
メニュー ディ サクラ 6,500円
◆ディナー
3月15日(金)~3月22日(金) 17:30~21:00(L.O.19:00)
メニュー ディ グランデ 6,800円、メニュー ディ サクラ 10,000円 ※いずれも別途サービス料10%
3月23日(土)~4月6日(土) 17:30~21:00(L.O.19:00)
メニュー ディ サクラ 10,000円 ※別途サービス料10%
※時期によっては混み合うのでウェブサイトからの事前予約がおすすめ

文=張替裕子(Giraffe)
写真=杉山秀樹

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