『青春18×2 君へと続く道』でシュー・グァンハンが挑んだ日本語 藤井道人監督からのリクエストとは
CREA WEB / 2024年4月23日 11時0分
台湾東部・花蓮で発生した地震の被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
CREA編集部では、台湾観光庁の声明や、現地コーディネーターからお話をうかがい、台湾を応援する気持ちを込めて、完売したCREA春号をハンディサイズにムック化した、CREA Due『愛しの台湾』を刊行します。その一部を抜粋し、掲載します。
CREA編集部一同、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
18年という年月を超えたラブストーリーで主役のジミー役を演じたのは、台湾のみならずアジア各国で注目を集めるシュー・グァンハン。撮影を通してどんなことを感じたのだろうか。
日本語のセリフは完璧に喋りたいという一心で猛特訓
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──『青春18×2 君へと続く道』に出演を決められた理由を教えて下さい。
この作品は台湾と日本の合作であり、ふたつの地域をまたがるプロジェクトです。そして、青春を軸にしながら、旅をすることで成長し、癒されることもテーマにしています。以前から、こういった作品に出演したいと思っていました。
それから、日本語のセリフがあることも決め手の一つでした。こうしたチャレンジを成し遂げられるのかという不安もありましたが、挑みがいがあると感じました。
──グァンハンさんの日本語のセリフは見事でした。どうやってこのクオリティまで高めていかれたのでしょう。
素晴らしい通訳の先生がいらっしゃって、その方にクランクイン前に何週間もかけてご指導いただき、繰り返し練習しました。藤井道人監督からも「日本人とほぼ同じように話してほしい。なまりがあっても構わないけれど、促音(『っ』など)もきっちり発音してほしい」とリクエストがありましたし、僕自身も完璧に喋りたいという一心で猛特訓しました。
今回共演して下さった日本の俳優の皆さんは、素晴らしい俳優ばかり。もし、僕の日本語がへたくそで、皆さんの演技に何かしらの悪影響を及ぼすことがあってはいけませんから。
──18歳と36歳の演じ分けはどのように構築していかれたのでしょう。
僕はあと数年したら36歳になるので、心境的には近いものがありますが、とはいえ未経験ではあるため「36歳になった自分はどういう人間になっているのか、36歳のジミーはどういう人間なのか、我々の間の共通点と相違点は何か」と一生懸命考えました。
一方、年をとればとるほど、実年齢は離れていきますから18歳を演じるのは、また違った難しさがあります。以前も別の作品で18歳の若者を演じたことがありますが、ジミーとは全く別のキャラクターであるため完璧に転用できるわけではありません。ただ、内面や外見も含めて、今まで演じた高校生とは違うタイプの一人の人物をお見せできるようにとは心がけて、役作りに励みました。
藤井監督は俳優に自由に演じさせてくれる
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──そうした役作りにおいて、藤井監督とはどのようなディスカッションをされましたか?
時々、僕のやり方と監督の考えが違う方向にいってしまうことは当然ながらあります。そんなとき、藤井監督は必ず何らかの形容詞、或いは言葉を一つ渡してくれました。それを受けて、まずは僕たちがやってみるという藤井監督のやり方や表現方法が、僕はとても好きでした。
ガチガチに固めるのではなく、ある種の方向性を示してくれて、その空間の中で俳優に自由に演じさせてくれるのです。撮影現場では、そういった部分にしっかりと時間をかけて監督と二人三脚で作っていきました。
──グァンハンさんは役を決め込まずにある程度バッファを持たせる“余白„を大切にされているのではないかと感じました。
そう感じていただけたなら、それは藤井監督の編集が上手いからだと思います(笑)。また、それは僕と役どころの間にある距離感にリンクするとも思います。演技において、自分自身が役柄に近づいていくときがあれば、遠く離れる場合もあったり、程よい距離感を保ってバランスを整えたりするときもあります。
中国語では「天・地・人」の3つのバランスが取れた状態がベストだといいますが、この場面では近づくのが正解で、また違う場面では離れたほうがいい──といったように、常に距離感を意識しながらその都度試行錯誤しています。
あるシーンを1回演じてみて「すごく上手くできた! 残りのシーンもこう演じればいいんだ」と手ごたえを得たとしても、次のシーンでは「あれ? やっぱり違う」となってしまうこともあります。まだまだ勉強不足だと日々痛感しているので、さらに演技力を磨いていかなければいけません。
シュー・グァンハン
1990年生まれ、台湾出身。俳優として活躍中。13年、ドラマ「潛入藍中籃」で初主演し俳優デビューを果たす。19年、ドラマ「時をかける愛」で大ブレイクし、台湾のエミー賞とも称される第55 回金鐘獎の連続ドラマ主演男優賞にノミネートされ、中華圏以外に、韓国などアジアからの注目も集める。おもな映画出演作に、『ひとつの太陽』(19)、『僕と幽霊が家族になった件』(23)などがある。
※表紙と巻頭グラビアに登場したNICHOLASのスペシャルインタビュー、台湾で必ず食べたい小籠包や魯肉飯の名店、メイドイン台湾の美しい日用品などが盛りだくさんの台湾特集はCREA Due『愛しの台湾』でお読みいただけます。
Text=SYO
Photographs=Asami Enomoto
Hair=Edmund Lin From Zoomhairstyling
Make-up=Kao Hsiu Wen/prettycool
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