ミュージカル『刀剣乱舞』でへし切長谷部役を演じた木原瑠生が語る人気作ゆえのプレッシャーとは
CREA WEB / 2024年5月10日 7時0分
●撮影や放送終了で終わる関係性ではないキラメイメンバー
8年ぶりに再始動する「ROCK MUSICAL BLEACH」において、新たに主人公・黒崎一護を演じる木原瑠生。
キラメイイエローとして注目され、「刀ミュ」でも活躍する彼が、これまでのキャリアを振り返りつつ、自身の特撮ヒーローに対する思いも語ってくれました。
――20年に放送された「魔進戦隊キラメイジャー」では射水為朝(いみず・ためとも)/キラメイイエロー役を演じられましたが、その1年間で学んだことは?
それまで映像のお仕事は、ほとんどやってなかったので、映像について一から学ばせていただいた現場でしたし、今後に繋がる縁を作ってくれたのが「キラメイジャー」と思います。
撮影や放送が終わったら、それで終わってしまう関係性ではないんです。今でもかなりの頻度で、キラメイ男子メンバーは会っていますし、特撮好きのスタッフの方は、まるでお兄ちゃんのような存在で、毎日のようにいろんな話をしています。また、みなさんと一緒に仕事できたらいいと思っています。
――そういう意味では、「キラメイジャー」は木原さんにとって。大きな転機になった作品といえますか?
より多くの方に知られる存在になったうえ、ヒーローを演じるうえでの責任感みたいなものを背負い始めた意味では、「キラメイジャー」との出会いは、かなり大きかったと思います。やっぱり、どこで誰に見られているかわからないこともあり、自身の行動に関しても意識するようになりましたし。
――そして、21年5月に1stシングル「お願い神様」でソロデビューを果たします。
それまでグループでやっていたぶん、一人でやる大変さも分かりましたが、「やっと来たな」という嬉しい気持ちでいっぱいでした。いろいろな意見も出せるようになりました。
デビュー曲のときは「ポルノグラフィティさんの「サウダージ」のようにノレる曲をやりたい」だったり、「自分なりに面白い歌詞を書いてみたい」ということを提案しました。
●役者としてワンステップ上がった「刀ミュ」での経験
『きさらぎ駅』は撮影方法が特殊で、かなり難しかったのですが、映像のお芝居で大切にしていることは「こういう人いるわ!」と思ってもらえるよう、リアルさを出すことだと思っています。
役柄的にもクズ男だったので、その中で人間味を出すところの面白さもありました。あと「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」をやっていた寺坂頼我との出会いもあったので、ファン目線でいろいろ裏話を聞かせてもらってもらいました(笑)。
「壁こじ」では「動物戦隊ジュウオウジャー」の中尾暢樹くんとの出会いもありましたし、作品ごとに素敵な出会いがありますね。
――23年からは、ミュージカル『刀剣乱舞』にて、へし切長谷部役を演じられています。世界的にも人気な歴史ある「刀ミュ」への参加はいかがでしたか?
「刀ミュ」を応援している方がたくさんいらっしゃるということもあって、プレッシャーは半端じゃなかったですし、へし切長谷部というキャラクターのことをよく知っていたからこそ「ファンの方の期待に応えられるか?」という責任を感じていました。
それまで「イケメン戦国 THE STAGE」で徳川家康を演じたことはあったのですが、いわゆる2.5次元ミュージカルは、ほぼ初めてで。「熱さ」や「生きざま」といったワードは、稽古の段階でも演出の茅野イサムさんに何度も言われていましたし、僕が演じたへし切長谷部は、作品の中で隊長として他の刀剣男士たちを率いる立場だったので、心と身体が全然追いつかない日々でした。
だから、開幕した後にいろんな方から「へし切長谷部が素敵だった」と言っていただけて、本当に良かったです。茅野さんに厳しく鍛えてもらいながら成長させてもらったので、役者としてワンステップ上がった作品になりました。
――24年に入り、明治モダン歌劇「恋花幕明録~前日譚~」では主人公・斎藤一を演じられました。
今、25歳なのですが、座長を務めるということが、初めてに近かったんです。座長となると、歳下の子と共演する機会も多くなるのですが、有難いことに、この作品の共演者はまだ先輩の方が多かったので、その人たちに喰らいついていこうと思う気持ちの方が強かったんです。だから、「俺が座長なんだ」って感覚は、まったくなく、周りの方に助けてもらっていた座長でした。
●ギラギラしつつも、生き様が美しい一護を目指す!
――そして、5月に上演される舞台「ROCK MUSICAL BLEACH」~Arrancar the Beginning~では主人公・黒崎一護を演じられます。
「『BLEACH』の主人公って、一護だよね」ということは、すごく多くの人に知られていると思うんですよ。その役を任せていただいたので、覚悟を決めてやらなきゃいけない。今回こそは、「俺が座長なんだ」という気持ちで臨むつもりです。
8年ぶりの「ROCK MUSICAL BLEACH」なので、8年前の技術ではできなかった仕掛けとか演出もあると思うんですが、今回僕が演じるのは「破面(アランカル)篇」なので、ちょっと成長した一護を自分の中で作り上げていこうと思っています。
――2.5次元ミュージカルを演じるにあたって、心がけていることは?
自分が演じるキャラクターや作品に対する愛は、常に大切にしています。かなり好きじゃないと、「このカットを原作通りにできたらいいな」と、いろいろ考えられることはできないので……。
ただ、それだけではなく、その部分と役者が演じる意義みたいなことを、ちょっと折り混ぜていけたらいいなということを心掛けています。
――今回の舞台において、どのような新しい木原さんが見られると思いますか?
幕が開けてみないと分からないですが、今まで演じてきた役どころは正統派なカッコ良さが強かったと思うんですよ。でも、今回はちょっとギラギラした一護の男らしさを出していけたらいいと思っているんです。
僕の中でイメージしているのは、B'zの稲葉浩志さん。一本筋の通っている男らしさとともにギラギラしているのに、その生きざまが美しくて色気を感じるので、そういう面に注目してほしいです。
●夢はウルトラマンに抜擢されるエンターテイナー
――俳優として、歌手として、将来の希望と展望を教えてください。
歌とお芝居の表現の仕方は違いますけれど、お客さんに喜んでもらえるっていう点では同じことで、それを総合してエンターテイメントなのかなって思っているんです。だから、もっとパフォーマンス能力を上げて、「この人のライブ楽しいよね」と言ってもらえるようなエンターテイナーになりたいという思いが強いです。
その中の目標として、やっぱりウルトラマンに抜擢される俳優になりたいです。そして、わがままを言えば「キラメイジャー」のときには(コロナ禍で)聞くことができなかった子どもたちの「頑張れー!」の声が聞きたいんです。
――ちなみに、憧れの先輩はいらっしゃいますか?
ウルトラマンをやられた俳優さんは、みんな憧れなんですけれど、いちばんは「ウルトラマンダイナ」のつるの剛士さんです。僕がいちばん好きなウルトラマンというのもあるんですが、何度かお会いさせていただいて、本当に素敵な方で、僕の考えるエンターテイナーだと思うんです。
あと、より身近な人で言うと、「ウルトラマンX」の高橋健介さんです。Live Musical「SHOW BY ROCK!!」で初めて共演させていただいて、「刀ミュ」で再共演させていただいて、めちゃくちゃお世話になっています。
木原瑠生(きはら・るい)
1998年9月15日生まれ。東京都生まれ。16年より活動を開始し、舞台やミュージカルなどで活躍。20年放送の特撮テレビドラマ「魔進戦隊キラメイジャー」で射水為朝(いみず・ためとも)/ キラメイイエロー役に抜擢され、注目を浴びる。23年からはミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで、へし切長谷部役を演じるほか、歌手としても活動している。
文=くれい 響
撮影=今井知佑
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