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いい人…違うの? 『アンメット』 大迫教授役・井浦 新に『ダブルチー ト』荒川良々…“おじさん俳優”に夢中

CREA WEB / 2024年5月13日 17時0分

 こんにちは、“おじさん俳優”好きのドラマウォッチャーのMです。春ドラマが佳境に入っていますが、皆さんはどのドラマにハマっていますか?

 今期はおじさんがグループ単位で登場するドラマは少ないのですが(『特捜9 season7』くらい?)、代わりに、主人公をさすがの演技力やいぶし銀の魅力で支えるおじさん俳優は登場しています。

 そこで、今期注目したいおじキャラと、演じる俳優たち3人を厳選してご紹介します。ちなみに、このコーナーでは “おじさん俳優”を、40歳以上と勝手に定義してます。


◆『アンメット ある脳外科医の日記』の井浦 新

まろやかな空気感の中に時折ピリリと不穏さが!


観葉植物に愛を注ぐ、優しい大迫教授だけど……。『アンメット ある脳外科医の日記』より。

 井浦 新さん(以下敬称略)の快進撃が止まらない!

 2024年になってからだけでも、まず『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)での、切ない過去を持ち、でもちょっととぼけた元公安警察役。相棒の三浦翔平とのやり取りでファンをキュンキュンさせました。また大河ドラマ『光る君へ』(NHK)では、要職についたとたん一族のことしか考えなくなり、民を見殺しにする独裁者を演じ、憎まれ役のまま先日見事に退場されました。

 そして4月からは、杉咲 花さん(以下敬称略)が“記憶障害を抱える脳外科医”という難役を演じている、『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)に出演しています。

 彼の役は、主人公・川内ミヤビ(杉咲 花)の古くからの知り合いで主治医でもある脳外科教授・大迫紘一。彼女が記憶障害になったあとも支えになり、彼女の脳の状態を診断し、病院で働くためのサポートをしています。

 柔和な人柄で部下に慕われ、教授室は大好きな観葉植物であふれているという人物で(拾ってきたり、知人から押し付けられたりしているらしい)、ミヤビをまろやかな笑顔で温かく見守る恩師として登場しました。過去にミヤビの母親も救っていたことも判明。

 ……が、彼の役がそんな、単なる“見守りあしながおじさん”なだけ、のハズがない、と疑いながら見ていたところ、第3話のラストで、ミヤビの脳の状態についてウソをついていたのかも!? という疑惑が浮上。さらに第4話では、ミヤビの脳を改めて検査し、疑問を持った三瓶先生(若葉竜也)の、カルテを見たいという要望をかたくなに拒否。しかもどうやら意図してミヤビの記憶が戻らないようにしているらしい、という衝撃の描写が。やっぱり……!

 ただ今の段階では、なぜそんなことをしているのかはまったく不明なので、もしかしたらミヤビのために、といった事情があるのかもしれません。そんな風に勘ぐってしまうのも、井浦 新が一言で善人、悪人と言い難い複雑な内面を表現できる役者だからこそ、だと思います。

 井浦 新はいつの間にか、そんな多面的な顔を持つ役者になっていました。

 役者としてデビューした映画『ワンダフルライフ』から始まり、伝説の監督、若松孝二氏の作品に出演し、のちには若松孝二役を演じるなど(最新映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』でも、再び若松孝二役を演じています)、キャリアの途中までは主に映画に出演していたので、テレビドラマ、特に連ドラで頻繁に顔を見かけるようになったのは最近という印象が強い人も多いと思います。


一見穏やかでまろやかな笑顔の下で、何を考えているのか。『アンメット ある脳外科医の日記』より。

 ドラマもかなりの本数に出演しているのですが、ここ数年だけでも、『アンナチュラル』(TBSテレビ系)の、乱暴な口調が新鮮だった法医解剖医の中堂 系役や、『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)での、病を抱える主人公の紅野真空(高畑充希)を受け入れ、彼女の癒しとなっていく医師・浅黄 朔の好演が記憶にあります。

 バカリズム脚本で彼とコンビを組む『殺意の道程』(WOWOW)は、無念の自殺を遂げた父親の復讐のために殺人計画を練るという、通常ならシリアス一辺倒になりそうなストーリーなのに、その準備のプロセスがどんどんコメディになっていくというふざけた展開で、ふたりが普通の会話をしているだけなのに面白くなる、間の絶妙さは最高でした。こんなのもできるんだ、と驚きました。

 そして一気にファンを倍増させたのは、吉高由里子主演のドラマ『最愛』(TBSテレビ系)。彼が演じたのは、吉高演じる朝宮梨央が社長を務める会社の、法務部所属の弁護士・加瀬賢一郎。彼女を私設秘書のように献身的に支え、武闘派ではないけれど最後まで守りぬこうとする姿が、多くのファンを泣かせました。

 と、元々コアなファンではない筆者が、彼が演じたキャラクターは鮮やかにすぐ思い出せる。どのキャラクターも心に残っている。それってやっぱり、彼の演技が素晴らしいからなのだと思います。

 筆者の勝手な感想ですが、井浦 新には、彼だけの時間軸で時が流れているような印象があります。他の人と少し違うリズムを感じる。だからどうしても目で追ってしまい、気にかかり、ドラマが回を重ねるごとに、どんどん彼のキャラにハマっていってしまうことが多いのです(とはいえ、現代劇のリズムに合っていないというわけではありません)。

『アンメット』の大迫教授も、第1話では優しげなただの脇役ですよ、の顔をしていましたが、回を追うごとに本心では何を考えているのかがわからなくなる一方。

 主人公・ミヤビの救いとなるのか倒すべき敵となるのか。ハラハラしながら見届けたいと思います。

『アンメット ある脳外科医の日記』

毎週月曜22時放送(カンテレ・フジテレビ系)
https://www.ktv.jp/unmet/
X:https://twitter.com/unmet_ktv
最新話無料配信中:https://tver.jp/series/srwy1lb14d

◆『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』の橋爪 功

自由すぎてキュート! な橋爪 功は格別


しばらく出てこなかったのに、また突然星太郎の前に姿を見せるようになった、幽霊の父親の真意はどこに!? 『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』より。

 高橋一生さん(以下敬称略)が、色々とこじらせている40代の花火師・望月星太郎を演じ、幽霊となって星太郎の前に現れる父親・望月 航を、ベテラン中のベテラン、橋爪 功さんが演じる『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』。

 2023年に放送されたこのドラマ。ふたり+同居することになる水森ひかり(本田 翼)の3人の息の合ったセリフの応酬が楽しく、ちょっと変わったホームドラマとして大人気となり、今期『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』となってカムバック。待望のシーズン2が始まりました。

 このドラマの舞台は、とある山間で代々営まれてきた、望月煙火店という花火師の家。星太郎はシーズン1のしょっぱなから引きこもり気味なので、物語は基本、彼らの住む家(がおよそ7割くらい)と花火を作る工場、あとは近所の神社、時々花火を打ち上げる場所のみで話が進みます(母親のからむエピソードの時だけ遠出することもありました)。

 派手な殺人事件や裁判や会社の買収うんぬんといったことは何も起こらない。家族と、同居している訳ありっぽい女子との会話劇だけ。今シーズンではそこにさらに、花火師として弟子入りを志願してきた野口ふみか(宮本茉由)が加わり4人になったけれど、舞台が星太郎の半径数キロメートル圏内ということは変わりません。

 じゃあなぜこんなに面白いのか、といえば、やはり、高橋一生と橋爪 功の演技力がすごすぎるから(本田 翼も、他では見ないくらい自然体で良い演技を見せています)!

 元々互いをリスペクトし合い、「ふたりで一緒にドラマをやりたい」という思いが実現したドラマだということですが、家族だからこそなってしまうぞんざいな口調や、家族だからこそいまひとつハッキリ言えないもんもんとした感情などの表現が、ふたりともに上手すぎて、本当の親子に見えます。

 記者会見でも互いに言いたい放題に見えるふたりのやり取りが、“親子げんか”と言われていました。

 そしてこのドラマでの橋爪さんの自由度、キュートさが突き抜けていて楽しい! そもそも橋爪さんは大ベテランの俳優で、主演した作品も膨大。筆者が何か言えるような方ではないのですが、それでも今回紹介したかったのは、この作品に、彼の軽やかな魅力が凝縮されていると思うからです。


軽々と飄々と幽霊の父親を演じる橋爪さん。『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』より。

 なにしろ幽霊ですから、体を大きくしたり小さくしたり、出るのも消えるのも思いのまま。基本は星太郎をからかい、好きなことだけ言って消えていくようでいて、時折切なさを感じさせたりもするし、星太郎の耳に痛いことを言ったりもするのですが、それがまた説得力がある。とにかく画面のどこかにいるだけでなんとなくおかしい。

 第3話の、事務所の引き戸のガラスになっている部分の後ろに立ち、木枠にぴったり収まって、まるで遺影の状態で星太郎たちの話を聞いている姿には爆笑しました。

 撮影中のひとコマを紹介している公式Xでも、「(この後)消えちゃったらどう? 消えたあとチョウチョ(になる)とかさ、蛾とかさ」と、監督に提案している様子が見られましたが、幽霊だからこその自由なふるまいは、橋爪さんの提案がかなり入っていると見受けられます。

 ふみかを演じる宮本茉由は幽霊が見えない設定なのに、一緒にいる場面ではどうしても橋爪さんに視線をやってしまうらしく、監督に「お父さんを絶対見ないでね」と注意されていました。でもあんなに面白い人が同じ場所にいたら、つい見ちゃうのはよくわかります。

 近年橋爪さんは、総理大臣をはじめとする政府の重鎮役や、軍や警察の重鎮、銀行の頭取、裏社会の元締め(現在話題のNetflix製作『シティーハンター』でも車椅子で登場!)などなど、とにかくラスボス的な位置づけの役、特に敵役をスパイス的に演じていることが多く、それらももちろん凄みがあって憎々しくて素晴らしいのですが、市井に暮らす普通のおじさんの面白さや悲しみを表現していても、見入ってしまいます。

 ほとんど何も考えていない……かのように見せる技術、他では見られない橋爪さんの軽やかな演技を堪能できるのがこのドラマなのです。そんな橋爪さんをどうしても知ってほしくて、このコーナーの最年長になりましたが、今回ご紹介しました。

 物語は中盤。一時期消えていたのに、また現れるようになった幽霊の父の登場に一抹の不安を感じながら、ふみかまで同居するかもという事態に星太郎が必死で抵抗しているところ。橋爪さん演じる父親は幽霊だから、いつかはいなくなるのかもしれないけれど、消えないでほしい、そのままずっと星太郎と口げんかしているのを見ていたい。そんな風に思わせるキュートな幽霊をお見逃しなく!

『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』

毎週土曜23時30分放送(テレビ朝日)
X:https://twitter.com/6secEx
TikTok:https://www.tiktok.com/@6secex

◆『ダブルチート 偽りの警官 Season1』の荒川良々

とぼけた顔したクリーニング屋さんの裏の顔は、詐欺師の優秀な相棒!


多家良啓介(向井 理)の詐欺を手助けする矢柴 等(荒川良々)。©テレビ東京 WOWOW

 向井 理さん(以下敬称略)が警察官と詐欺師のふたつの顔を持つ男・多家良啓介を演じることでも話題の、『ダブルチート 偽りの警官 Season1』(Ⓒテレビ東京 WOWOW)。

 向井 理はビジュアルも言わずもがなでカッコよく、毎回メガネを替えてファンを悶絶させながら別人になりきり、詐欺師をだまして大金をせしめます(それは主に、ひどい詐欺の手口でお金を取られた人に返すため)。

 現代に実際にある詐欺の手口の勉強にもなり、多家良啓介がどうやって詐欺師をだますのか、その手口も毎週楽しみに見ています。

 ですが、今回ご紹介するのは、そんな多家良の師匠&相棒役を演じる、荒川良々!

 彼のキャラクターが面白すぎて、初回からツボってしまったので、急遽このコーナーでご紹介することにしました。

 荒川良々の役は、公式HPからお借りすると、「普段はクリーニング店を営んでいるが、詐欺師・K(向井 理)の相棒として一緒に悪を裁く」矢柴 等。

 多家良が詐欺師をだますプランを立てたら、情報収集などの準備を請け負い、また多家良がだますためになりきるキャラクターに変装する際の衣装や小道具も準備するという、詐欺師のスタイリスト的な役割も担っています。時計などの小物を選ぶ時はちゃんと白手袋をはめているなど、芸が細かい。

 服を用意するから表向きはクリーニング屋なのか、と思いましたが、クリーニング店は見かけだけではなくて、きちんと営業していることが第2話で判明。クリーニング店も本来の業務と、詐欺師のアジトというふたつの顔を持っているわけですね。

 そして矢柴も裏方の仕事をするだけでなく別人になりきり、詐欺師をだますプロセスに参加します。

 第1話でなりすますのは個人投資家の信濃小路貴明。特注っぽい筆文字書体の名刺を出したり、女性のつくクラブで現金を使ったマジックを見せたり、話し方もゆっくりゆとりのある雰囲気で、いかにもなリッチな人を演じていました。

 第2話ではなんと税務署の職員・東雲謙吾に化けます。ウソの身分証まで持っていて、そこにあの良々(勝手に呼び捨てすみません!)の、朴訥なお役所窓口顔がそろったら、そりゃだまされますよね、と納得の配役。


安定のいい人顔だからこそ、悪い方に振りきれると凄みが!©テレビ東京 WOWOW

 個性的ではあるけれどとぼけた印象の顔と、ほとんど変わらない丸刈りヘアのままなのに、このふたつのキャラのどちらにも見えるなんてどういうことなんでしょうか。

 という具合に、向井君だけでなく良々の七変化も毎回楽しめそうなので、より面白くなってきたのです。

 彼は劇団・大人計画所属で、宮藤官九郎脚本の作品にも多数出演しているため、どうしてもそれらのメンバーとセットでイメージしてしまいがちですが、近年は違うスタッフの作品にも多く出演しています。

 ビジュアルの朴訥さから、いい人、気の弱い人、ふざけた人、純真な人といったキャラクターを演じている印象が強く、またコメディリリーフの役回りをしていることも多いのですが、ある時期からはそこに哀愁が漂っていたり、狂気が同居していたりするように見えることも増えてきました。

 NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)の時の副駅長役のように、視聴者に愛される役も多くありますが、ごく最近の作品では、井上真央と佐藤 健が共演したドラマ、『100万回 言えばよかった』(TBS系)で演じた洋食店のオーナー役が出色! 子ども食堂を運営するような子どもの味方の優しいおじさんかと思いきや、自分本位な殺人者だったというこの役は、前半で良々の柔和な雰囲気の顔やしゃべり方になじんでしまうからこそ、衝撃もひとしおでした。

 『ダブルチート』はテレビ東京とWOWOWの共同製作で、シーズン2まで放送される予定なので、多家良と矢柴の変身っぷりやだましの手口も長く楽しめそう。今からでも間に合います!

『テレビ東京×WOWOW共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season1』

Season1 毎週金曜20時放送 テレ東系にて放送
Season2 6月29日より毎週土曜22時放送 WOWOWにて放送・配信
https://www.doublecheat.com/
X:https://twitter.com/tx_wowow/ 
Instagram:https://www.instagram.com/tx_wowow/

文=斎藤真知子

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