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“失恋族の聖書”発見!50周年THE ALFEEアルバム全部聴いてみる!デビュー~メリーアン篇

CREA WEB / 2024年5月18日 11時0分

●「メリーアン」以前も人気だったアルフィーに驚く

 今年で50周年を迎える、THE ALFEE。それを記念し、「アルフィー50年分のアルバム全部聴いてみる大作戦」を決行中である。

 前回の記事では1stアルバムにボーナストラックが2曲ついた「青春の記憶+2」とデビュー年1974年に思いを馳せたが、今回は2ndアルバムから「BM」期のアルバムを追う。

 BMとは何か。Before MARIE-ANNE――。つまり「メリーアン」リリース前の期間である。言わずもがな、西暦で言うBC(キリスト誕生前)に倣っての表現である。

 私がアルフィーの存在を初めて知ったのは、「ザ・ベストテン」で「メリーアン」を歌ったときである。多分私のような方は多いのではないだろうか。


大ブレイク曲「メリーアン」。アルフィー記事で何度かこの曲の歌詞について記したおかげで、私のパソコンはいまや「ウォ」を打つと自動変換の候補のトップに「ウォンチュッステッフォーミー」と出る。

 調べてみるとBMの期間アルフィーは、ALFIEからAlfee、ALFEEと、読みは「アルフィー」のまま、ひたすら表記を変えてみるという不思議なアップロードを繰り返し、「無言劇」というヒットも出していた。さらにはアルバムを5枚(「メリーアン」収録の「ALFEE'S LAW」は含まず)もリリース。渋谷公会堂ライブも成功させている。エエッ、けっこうご活躍ではないか!

 ということで、今回は、2ndアルバム「TIME AND TIDE」から6thアルバム「ALFEE」までの感想を、本当にザックリではあるが書いていきたいと思う。

 現在、すべてサブスクで聴けるので、アルフィーを初めて聴く方もぜひ一緒に聴きながら、泣いたり浮かれたりしんみりしたりしよう。フォーク&ロック&ポップ&演歌etc、心が洗濯機に入れられたようにゴウンゴウンと激しくウォッシュされ、聴き終わった後は爽快感いっぱいだ。

●失恋族よ、ともに泣きながら聴こう。2ndアルバム「TIME AND TIDE」


2ndアルバム「TIME AND TIDE」。ガクブチの画像がドカンとあるシンプルなジャケットと思いきや、よく見ると白く縁どられた3人のシルエットが。

「参った参ったまいっちんぐマチ子先生……」私は机に突っ伏した。1stアルバム「青春の記憶」もセンチメンタルモード大好きな私にとって、恐ろしいほどの名盤であったが、この「TIME AND TIDE」はその上を行った!

 初っ端から、耳にチロチロとあたってくる雨音の効果音。繊細に流れる高見沢さんのボーカルと3人のハーモニーがほら泣けとばかりに私の心を掻き乱す!

 そんな1曲目「雨」から始まり、12曲オール名曲、しかもそのうち9曲が片恋失恋お別れ曲――。ちょっと待て待て。私のためのアルバムではないか。「ゲーム・オーバー」なんて、一度楽曲が終わったかと思ったら、再び「ゲーム・オーバー……」と歌が復活する構成。これが沁みる。失恋後「もう終わってん。うん、終わった。うーん!」と延々言い続けて、友人に「アンタ実は未練タラタラやな!」とツッコまれた過去を思い出してしまったではないか。

「メモアール」はまさかの離婚がテーマである。しかも3人が寄ってたかって(1番坂崎さん、2番桜井さん、3番高見沢さん)どうすれ違ったかを検証してくるのだからたまらない。

 ツイてない恋や過去をこれでもかと歌ってくるが、ラストの「過ぎ去りし日々」でガッツリ慰めてくれるという見事な布陣。失恋族の聖書と言いきろう!

●気まずさも恋の醍醐味 3rdアルバム「讃集詩」


3rdアルバム「讃集詩」。ジェントルマンな三人がカッコいい。

 誰しも心に溜めている小さな過ちや恨みごと。それをハーモニーの美しさで全部いい想い出に変えたろうとする力技が冴える1枚だ。奥歯がキュッとなる楽曲が多い。

 3曲目の「帰郷」は、気まずい。ひたすら気まずい。中条きよしの「うそ」ばりに、タバコの吸殻がいい仕事をしている。余談だが、タバコは会話が続かない時、間をもたせるのに便利だと聞き、私も吸ったことがある。結果下痢をし、体質に合わないと断念した。そんなだから、タバコと吸殻は憧れのアイテムなのである。

 話を戻そう。そして、哲学的な香りがありながら、声に出して読むと「夏ざかりほの字組」と似ているという奇跡的なタイトル、4曲目の「逆戻り浮気考」。ドゥンドゥンという胸の鼓動のように響くパーカッションが明るく気まずい。

 さらに9曲目、「無言劇」という気まずさの極みのような楽曲が響く。三角関係鉢合わせの、402号室の玄関の前の風景がつらすぎる。トゥルルルンというスキャットはきっと、こぼれ落ちる涙と鼻水の擬音(泣)。

 ところがこれらの気まずさが、聴いていると本当に心地よいのだ。ああ、人間の感情って不思議!

●バラエティパックな「ALMIGHTY ALFEE」


4thアルバム「ALMIGHTY ALFEE」。このジャケットは深い。なぜ3人は図形を凝視しているのか。そして桜井さんだけなぜネクタイをしていないのか。2つのミステリーを解く必要に迫られる。

 1曲目の「SAVED BY THE LOVE SONG」は、最初こそアルバム「TIME AND TIDE」「讃集詩」の流れを汲む、切ない曲だなと思って聴いていたら、おりゃおりゃドンドンと壮大になってビックリ! ほかにも演歌な「さすらい酒」、歌声喫茶で頭を揺らし歌いたくなるような「水曜の朝午前3時」、社交ダンス日本一のカップルをゲストに迎えて聴きたくなる「踊り子のように」――。

 バラエティの豊富さが逞しさを感じさせる。感動の涙を拭くのもレースのハンカチ以外許されなさそうなほど繊細だった前の2アルバムから、「ピュアからの卒業」といったストーリーを想像させ、聴いていて清々しい。

 とはいえ、やはり特筆したいのは失恋ソング。私はけちょんけちょんに悲しいお別れソングが好きだと改めて確信する。「挽歌」は最高だ。いやもうアルフィーの歌う「裏切られ三角関係ソング」はいい!

●やさしさ100万ドルな「doubt,」、夢が伝染してくる「ALFEE」


5thアルバム「doubt,」。靴の色が印象的。桜井さんがブラック、坂崎さんがレッド、高見沢さんがイエロー。それぞれのイメージカラーなのかなと思いきや、イメージカラーは特に決まっていないらしい。じゃあペンライト(サイリウム)はどうなっているのかと調べたら、「マラカスライト ミカエルの剣」という、情報量が多すぎるネーミングのアイテムが出てきた。ブルーに光っていたが、パープルの「アクエリアスの涙」というのもあるらしい。アルフィーの沼は深い、深すぎる……。

 5thアルバム「doubt,」は、聴くだけでむちゃくちゃイイ女になったと錯覚できる歌が多く、聴きながら私は浅野温子ばりに髪をかき上げ、陶酔した。曲がすべて終わった後、鏡に映った自分を見て我に返り、ビールを噴いたが。

 どちらにしても「アイニージュ!」と求めてくれたり「ドンクライ(泣かないで)!」と励ましてくれたり、「グッナイ……」とやさしく寝かしつけてくれたり、情緒不安定な50代にとって音楽の常備薬。プレイリストに入れておくのがオススメだ。

「夕なぎ」は、今さらだが、夢を追う主人公が出てくるスペシャル青春ドラマのエンディングとして起用されないだろうか。


6thアルバム「ALFEE」。アナログ盤は「ALFEE」というタイトルの文字の色が、温度によって変わる仕掛けになっていたという。画像は青色だが、これが何色に変化するのか。その瞬間が見たい……!

 そして6thアルバムの「ALFEE」。音楽の専門知識がほぼない私ですら「このサウンドはさ……」とウンチクを語りたくなるようなパワフルさ。なるほど「メリーアン」は近いぞ!

 上昇志向を感じるだけでなく、夢が伝染してくるような楽曲の流れ。「夢よ急げ」の疾走感からぶわーっと来て「愛は想い出の中に」でふわーっと浮遊感が漂い、「真夜中のロマンス」でシャーッとブランデーを注文したい気分にさせられ、ラスト「OVER DRIVE」で「夢よ急げ」というキーワードを回収してくるあたり震える!

●突如飛び込んできた「歌朱印」のニュース

 この5枚を聴き終わり、私は遠い目になってしまった。彼らは「メリーアン」というビッグヒットまで、こんなに様々な楽曲を出していたのか。

 彼らの音楽は何でもあり(オールマイティ)。聴いていると「なんにだってなれる」勇気と素直さを貰える。

 音楽とはまさに旅。聴くものまでも冒険者に変えるのだなあ。

 さあ、ついに「メリーアン」収録の7枚目のアルバム「ALFEE’S LAW」まで来た。震える指をプレイボタンに乗せようと思ったが、いや待て。その前に、一つのターニングポイントにたどり着いた祝いをしたい――。

 そんなとき、奇跡のニュースが舞い込んできたのである。

「THE ALFEE デビュー50周年記念『歌朱印』をプレゼント
オリジナルグッズが当たるキャンペーンを4月3日よりスタート」
https://big-echo.jp/campaign/alfee/


ズラリ並んだ曲名は見るだけで壮観!「木枯らしに抱かれて」など、筆文字の迫力により、「木枯らし」という言葉の迫力が増し、時代劇のタイトルにも見えなくない。詳しくはhttps://big-echo.jp/campaign/alfee/に掲載されているのでチェック!

 ううう歌朱印? 初めて聞く単語である。メガネを拭きながら読み進めると、全国のビッグエコーの50店にそれぞれ、アルフィーのヒット曲が割り振られており、歌のタイトルが書かれた「歌朱印」がもらえるという、深夜の会議で決まったようなハイな内容だった。

 ううむ、これは参加したい。しかも「メリーアン」の歌朱印を受け取ることができるのは、大阪の吹田岸辺店ではないか。

 大阪在住の私。神様が、私に「メリーアン」の宴をせよと背中を押している――。

 ということで、行ってきました。その様子は「歌朱印編」へ続く!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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