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「演技で肌の色を変えてみたい」いま目が離せない“若武者”3人の野望 坂東龍汰×髙橋里恩×清水尚弥

CREA WEB / 2024年5月25日 17時0分


左から、清水尚弥さん、坂東龍汰さん、髙橋里恩さん。

 たしかな実力と才能を持つ若手俳優――坂東龍汰(27)、髙橋里恩(26)、清水尚弥(29)。今をときめく3人が、二ノ宮隆太郎監督の待望の最新作『若武者』に集結した。2024年5月25日(土)に公開される本作は、幼馴染の若者が“世直し”と称して街の人間たちの些細な違反や差別に対し、無軌道に牙を剥いていくストーリー。ふりかざす正義が徐々に“暴力”へと変化していくさまを3人は見事に演じきった。

 しかし取材になると一転、誰よりもムードメーカーな坂東を中心に、20代の若者らしい軽快な会話と冗談が飛び交う。演技論、私生活、お互いの性格分析――あらゆることを語り合う貴重な鼎談が実現した。


俳優の仕事の「原動力」は何?


©2023 “若武者” New Counter Films LLC. ALL RIGHTS RESERVED

――みなさんが俳優になった経緯を教えていただけますか?

清水 僕は11歳のときに、原宿でスカウトしていただいて。

坂東 そうなんだ? すげえ!

清水 母子家庭なんですけど、もともと母親がダンサーで父親がギタリストで。芸事をやってきた家だったので、スカウトされたことを親に伝えたら、「落伍していく人は自然にやめることになる。始めるきっかけをせっかく頂戴したんだからやってみてもいいんじゃない?」という反応でした。

髙橋 僕は10代の頃、親や周りの大人からものすごく心配されていたんです。16歳から居酒屋でバイトをさせてもらっていて、そこに今所属している鈍牛倶楽部の社長たちがご飯を食べに来て。ちょうど若手を探していたのか、「よかったらやらない?」と言われて。高校卒業前のタイミングで、ご縁があって養成所に入りました。

坂東 僕は北海道から上京してきて、あてもなくフラフラしていたときに、鈍牛倶楽部に自分から履歴書を送りました。


©2023 “若武者” New Counter Films LLC. ALL RIGHTS RESERVED

――そして『若武者』という作品で共演した今、どんな想いや目標が、俳優という仕事の原動力になっていますか?

髙橋 恩返しです。この業界にいさせてもらって、なんかこう……(自分が出演する作品で世の中を)盛り上げることができれば、家族やお世話になった人たちも喜んで、笑顔になってくれるんじゃないかなと思っています。

清水 修行僧みたいな感覚です。もっともっとお芝居がうまくなりたいという欲求があります。でも、やってもやってもきりがないですし、達成することは多分ないと思うので。

坂東 僕は高校のカリキュラムで舞台があって、その本番で、爆発力みたいなエネルギーを経験しました。表現することにちょっと前向きになっていた時期で、「これしかないかもしれない」と初めて思ったのが、お芝居だったんです。正直、あのアドレナリンを超えた瞬間はまだないですし、死ぬまで出会わないと思うけれど、また出会えることを信じてやっています。わからないものを追い求めながら、わからないまま死んでいけたら本望です。

――諦めずに続ける。

坂東 そうですね。それに近いアドレナリンが毎回出るので、それを信じて。

肌の色を変えるほどの演技力


コップが空なのに、飲んでいる音が聞こえるとか。そういうことができる俳優になりたいです。

―みなさんには、〈目指す俳優像〉はありますか?

髙橋 アル・パチーノは映画も好きですが、ある舞台の話を聞いて、「その域まで行きたい」と思いました。右側に暖炉がある設定で、椅子に座って9分の長台詞を言ってから立ち上がったときに、アル・パチーノの右側だけ赤くなっていたらしいです。

坂東 え? どういうこと?

髙橋 暖炉がないのに、演技で肌の色を変えたらしい。

坂東&清水 すげえ〜!!

高橋 何かにお湯が入っている設定で、そこに手を入れる芝居をしたら肌が赤くなるとか、その次元まで行ってみたい。コップが空なのに、飲んでいる音が聞こえるとか。そういうことができる俳優になりたいです。

坂東 超人だ。

清水 僕は海外の俳優さんだとエディー・レッドメインさんの役作りが丁寧で好きです。


修行僧みたいな感覚。もっともっとお芝居がうまくなりたいという欲求があります。

坂東 幼少期というか、映画を見始めたときはジョニー・デップの作品をいろいろ見ました。『シザーハンズ』(1991年/ティム・バートン監督)や、レオナルド・ディカプリオと共演した『ギルバート・グレイプ』(1994年/ラッセ・ハルストレム監督)も最高です。

――〈映画〉という表現の場所について、特別な想いはありますか?

髙橋 所属している鈍牛倶楽部のことを僕は映画に強い事務所だと思っているので、「映画が求めている芝居」を自然に勉強できているんじゃないかと思っています。

清水 僕は「お芝居っていいな」と初めて思ったのが、映画を見たときだったと思います。

髙橋 わかる。俺もそうだった。

清水 それが他の表現じゃなくて、映画だったというのはやっぱり大きいです。映画のお仕事でボコボコにされてきたので(苦笑)、だから好きなんですよね。


清水さん、髙橋さん、坂東さん。

坂東 僕はテレビを18歳ぐらいまで見せてもらえなくて、中学3年生から唯一許されていた娯楽が週に1本の映画だったんです。インターネット、携帯、テレビ、漫画などを見ない生活だったので、映画の世界から受ける刺激が半端じゃなくて!

髙橋 劇薬?

坂東 まさにそれ。脳みそ溶けちゃうんじゃないかっていうぐらいの感覚があったから、当時見た映画を今でも鮮明に覚えています。自分が今生きているリアルな世界が本物なのか、さっき見た映画の世界が本物なのか、区別がつかなくなるぐらい没頭していました。


映画の世界は脳みそ溶けちゃうんじゃないかっていうぐらいの感覚があった。

髙橋 それ、すごいな。

坂東 本当にはまった映画だと、その余韻を消したくないから次の週の映画を見られないんです。僕のいろんな感受性を別角度から形成してくれたのが映画だったのかなと思います。今はあのピュアな感覚で映画を観られないのがすごく悲しいですけど。

清水 映画が人格形成に入り込んできている。

坂東 完全に。信じちゃってるもん。ハリー・ポッターの杖を自分で作って、「魔法が出る」って信じて振り回してた。

髙橋 出るっしょ?

坂東 出ないよ(笑)。

3人が映画に“ハマった”きっかけの作品は?


稽古から本番までの長い期間も、この3人なら楽しくやれそう。

――大人になっちゃいましたね(笑)。清水さんが、「お芝居っていいな」と思った映画が気になります。

清水 中学生のときに見た西川美和さんの『ゆれる』(2006年)です。ハリー・ポッターみたいな作品での感動体験はもちろんありましたが、日本語の台詞だったこともあって、日本人の自分が見ていたリアルな大人を、すごく身近に感じた作品でした。「こんなに素敵なことがお芝居で起こせるんだ」って。

坂東 中学生で? すごいなあ。俺が中1で初めて見た映画は『羅生門』(1950年)でした。父が黒澤明監督の大ファンだったので、次が『七人の侍』(1954年)。

髙橋 他にも見ていたと思うけど、「映画って面白いんだな」と最初に思わせてくれたのは中学生のときに見た『GO』(2001年/行定勲監督)でした。

――みなさん中学時代に映画に衝撃を受けたんですね。では最後の質問です。この先3人でやってみたいことはありますか?

清水 また一緒にお芝居をやりたいね。

髙橋 舞台をやりたいかも。稽古から本番までの長い期間も、この3人なら楽しくやれそう。

坂東 確かに、『若武者』を一緒にやったのは大きいかも。

清水 演劇おもしろそう!


映画『若武者』に出演した清水尚弥(29)、髙橋里恩(26)、坂東龍汰(26)。

坂東龍汰(ばんどう・りょうた)

1997年、北海道出身。2017年デビュー。『フタリノセカイ』(飯塚花笑監督、22)で映画初主演を務め、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。主な出演作に映画『春に散る』(瀬々敬久監督、23)、『バカ塗りの娘』(鶴岡慧子監督、23)、『一月の声に歓びを刻め』(三島有紀子監督、24)、舞台「三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?」(岩松了作・演出)、「う蝕」(横山拓也・作、瀬戸山美咲・演出)などがある。現在、4月期ドラマ「366日」(CX)、「RoOT / ルート」(TX)に出演中。『君の忘れ方』(作道雄監督、25)の公開を控えている。


髙橋里恩(たかはし・りおん)

1997年、東京都出身。2016年デビュー。主な出演作に『恋い焦がれ歌え』(熊坂出監督、22)、『ファミリア familia』(成島出監督、23)、『映画 ネメシス ⻩金螺旋の謎』(入江悠監督、23)、『東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編-運命-』(英勉監督、23)、『誰が為に花は咲く』(藤原知之監督、24)、舞台「世界が消えないように」(タカイアキフミ作・演出)、ドラマ「家政夫のミタゾノ」(EX)などがある。『陰陽師 0』(佐藤嗣麻子監督)が公開中。


清水尚弥(しみず・なおや)

1995年、東京都出身。2015年『死んだ目をした少年』(加納隼監督)で主演を務める。主な出演作に『ソ満国 15歳の夏』(松島哲也監督、15)、『人狼 ゲーム プリズンブレイク』(綾部真弥監督、16)、『ある女工記』(児玉公広監督、16)、『ちはやふる-上の句-』(小泉徳宏監督、16)、舞台「惡の華」(加藤拓也演出、16)、「犇犇」(タカイアキフミ作・演出、21)、ドラマ『刑事7人』(EX)、『GARO -VERSUS ROAD』(TOKYO MX)などがある。主演を務めた短編映画『竹とタケノコ』(川上信也監督)が2024年春公開を控えている。

文=須永貴子
撮影=榎本麻美

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